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望月圭介傳の構成(章立て)

2012年07月01日 | 望月圭介伝を読む

 望月圭介は,慶應3年に生まれ,昭和16年(1月)に75歳で没している。 

 『望月圭介傳』は,彼の死後組織された「望月圭介傳刊行会」が編纂した。 
 昭和19年12月31日印刷,昭和20年1月5日発行。羽田書店。物資の供給が侭ならない終戦の年に発刊された希少本
である。

 構成は,Ⅰ生い立ち,Ⅱ政治活動,Ⅲ人となり,の大きく3つの塊であり,1~26の章立てとなっている。

  Ⅰ 生い立ち

     1 郷土, 2 生家, 3 家業, 4 少年時代, 5 青年時代

  Ⅱ 政治家としての活躍の場

     6 政治生活への出発, 7 大正時代,8 第一次逓相時代, 9 内相時代, 10 5.15事件と議員辞職問題,
    11 岡田内閣の成立と入閣拒絶の事情,12 内閣審議会への入閣,13 新党樹立運動と岡田内閣入閣,
    14 第一次逓相時代, 15 2.26事件, 16 昭和会の解散, 17 近衛内閣成立前後, 
    18 政友会中島派への復帰, 19 内閣参議就任

  Ⅲ 望月圭介の人となり

    20 家庭, 21 性格, 22 忠誠と公平, 23 修養と教訓, 24 信仰, 25 愛郷, 26 趣味  
   

   望月圭介が生まれたのは、瀬戸内海のど真ん中に位置する大崎上島町。小津安二郎の『東京物語』が山田洋次監督
  によってリメイクされているが、そのロケ地となった場所だ。3.11以降の日本の復興を託したこの作品に選ばれたのは、
  日本人の原光景がこの地に宿るからだろう。
   ちなみに、ロケは、島全体が、みかんの花の香り一色に染められる5月の連休明けに行われた。

   その真北の竹原市は、池田隼人が生まれ育ったまち。浜田省吾が過ごした街でもある。アニメ『たまゆら』の舞台となっ
  た竹原の街並み。写真家の父親の形見のカメラを携えて、父親が愛した瀬戸内の風景を描写するこの作品の舞台となっ
  た地。セーラー・ムーンの佐藤監督が、全国津々浦々を歩いて、探し当てた地でもある。

   沖浦監督による『ももへの手紙』の舞台は、大崎上島の南。呉市豊町の御手洗であり、江戸時代に北前船の寄港地とし
  て、人工的につくられた街である。ピーク時には2000人を超える人でにぎわい、100人近い遊女が船旅に雅と憩いを与
  えた。天下の台所、大坂に東北、北陸の珍品、物産を届けつつ、同時に、四国や九州への中継貿易地点として賑わった。
 
   綺麗に保存された街並みは、訪れるものに往時の隆盛を語りかける。

   沖浦監督のおじに当たる沖浦和光氏(桃山学院大学名誉教授)は、『瀬戸内の民族史』(岩波文庫)で、芸予諸島の原
  風景の魅力を紹介しているが、そのエートスが「ももへの手紙」へ継承されている。

   竹原と御手洗。ふたつの重要伝統的建造物保存地区に挟まれた大崎上島。

   聳え立つ神ノ峰は、夕日に照らされる芸予諸島を霊験あらたかに映し出す。瀬戸内海屈指の多島美を堪能できる山で
  あり、大小の島々が広げた手の先に迫り、その先には、6.2㎞の来島大橋が海と島に、新たな調和を提供する。

   望月圭介の生地は、日本人に「なつかしい未来」 を示すアイコンでもある。


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