goo blog サービス終了のお知らせ 

常総ニュータウン「取手ゆめみ野」の開発

2020年11月05日 13時04分21秒 | 社会・文化・政治・経済

取手市(とりでし)は、茨城県南部の県南地域に位置する市。
東京都市圏を構成する市町村の一つである(東京通勤圏に含まれる)。

現在の市域の中央部を南北に水戸街道(国道6号)が通り、古くは千住宿から5つ目の宿場町として取手宿が置かれ、利根川水運の拠点地・物資集積地でもあったこととあいまって、当時200軒程度の家並みが並ぶ大規模な集落を形成していた。
近現代の状況としては、1970年代から1980年代にかけて、東京都心へ通勤・通学する人々が住むベッドタウンとして市内各所でニュータウンの開発が行われ、人口が増加した。それ以降、いわゆる「茨城都民」と呼ばれる住民が多くなった。
1995年をピークとして以降、都心回帰現象の影響や、子供が成長して家を離れるケース[注釈 1]も多く見受けられ、人口は減少傾向に推移している。その一方で、世帯数は増加しており、少数世帯化・少子高齢化が進み、市立学校では校舎の老朽化が進行したことから、2008年(平成20年)から市内の小・中学校の大幅な統合が実施された。
2005年に北相馬郡藤代町との合併によって人口10万人を突破するとともに、茨城県の「まちづくり特例市」に認定され、土地利用や福祉関係等の県主要事務の権限移譲を受けた。

2020年現在、取手駅周辺再開発や土地区画整理事業、宅地開発などが新たに行われているほか、都市再生機構(UR)による常総ニュータウン「取手ゆめみ野」の開発が進められている。
市内に、東京芸術大学取手キャンパスがあることから、「アートのまち取手」としてまちづくりを展開しており、その一環として1999年より市民と取手市、東京芸術大学の三者が共同で、取手アートプロジェクト(TAP=Toride Art Project略)を行っている。
地理

市内を流れる河川:利根川、小貝川、北浦川、相野谷川、谷田川、西浦川、大野川
1911年(明治44年)から1920年(大正9年)の利根川河川改修によりできた、利根川を挟んだ千葉県側に「取手市小堀(おおほり)」と呼ばれる、いわゆる対岸飛地があり、市営渡し船である小堀の渡しによって結ばれている。また、小堀地区を循環するバスも運行されている。尚、この地区は古利根沼が千葉県我孫子市との境である。
「取手」の都市名の由来は、戦国時代に大鹿太郎左衛門の砦(大鹿城:現在の取手競輪場付近)があったことから名づけられたといわれている。ただし、平安時代末の11世紀には伊勢神宮の相馬御厨として、当市周辺の地名が既に史料に記されており、さらに13世紀になると、稲村、戸頭、高井、大鹿などの地名も相馬氏の領地として史料に登場することから、正確な由来は判明していない。平将門が城堡(砦)を築いた事に由来するとの説もある。また、「取手」「鳥手」「鳥出」という標記がされている歴史書なども見受けられる。

1878年(明治11年)12月2日 - 郡区町村編制法の茨城県での施行により、茨城県管下の下総国相馬郡の区域をもって行政区画としての北相馬郡が発足。
郡役所を取手村に設置。
1875年(明治8年)5月7日 - 新治県廃止に伴う茨城県・千葉県の再編に合わせて、千葉県管下の下総国のうち利根川以北の区域が茨城県に移管。葛飾郡とともに相馬郡も分割され、利根川以北の区域が茨城県の所属となる。

下高井村、上高井村、貝塚村、市之代村(現取手市)
稲戸井村 ← 稲村、戸頭村、米ノ井村、野々井村(現取手市)
寺原村 ← 寺田村、桑原村(現取手市)
取手町 ← (取手駅)、台宿村(現取手市)
井野村 ← 井野村、青柳村、小堀村、吉田村、長兵衛新田(現取手市)
六郷村 ← 清水村、毛有村、渋沼村、中田村、谷中村、小浮気村(現取手市)
山王村 ← 山王村、和田村、配松村、神住村、中内村、岡村(現取手市)
相馬町 ← 藤代村、椚木村、片町村、平野村、宮和田村(現取手市)
高須村 ← 高須村、大留村(現龍ケ崎市・取手市)、押切村、神浦村(現取手市)


児童虐待対応件数 過去最多のペース コロナで潜在化の可能性も

2020年11月05日 11時56分35秒 | 事件・事故

2020年9月30日 11時55分 NHK

子どもが親などから虐待を受けたとして、児童相談所が対応した件数は、ことし1月からの半年間で9万8000件余りに上り、過去最多のペースとなっていることが、厚生労働省のまとめでわかりました。
一方で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されていた5月は、去年より減少していて、専門家は「学校などからの情報提供が減り、潜在化した可能性がある」と指摘しています。

厚生労働省のまとめによりますと、ことし1月から6月までに子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は、全国で9万8814件に上りました。

虐待の対応件数は年々増加していて、ことしの上半期も去年の同じ時期を8948件、率にして10%上回り、過去最多のペースとなっています。

月別にみますと、
▽1月は1万4799件(去年同月比+21%)
▽2月は1万5004件(+11%)
▽3月は2万3601件(+18%)と、
いずれも去年の同じ月より大幅に増加しました。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されていた
▽4月は1万4475件で、去年の同じ月より4%増えましたが、
▽5月は1万3462件で、4%減少しました。
一方で、解除されたあとの
▽6月は1万7473件で、去年より8%増加しました。

行政の虐待対応に詳しい日本大学の鈴木秀洋教授は、「新型コロナウイルスの影響で学校や保育所が休校などとなったり、乳児がいる家庭を訪問する自治体の事業の中止や延期が相次いだりしたため、児童相談所などへの情報提供が減少し、虐待が潜在化した可能性がある。周囲から虐待がわからない状態が続くと命に関わるおそれもあるため、オンラインでの面談や、短い時間でも直接会う機会を増やすなど、対応を考えなければならない」と指摘しています。

 


児童虐待のきっかけは?増加の背景を知って防止につなげよう

2020年11月05日 11時51分15秒 | 事件・事故

児童虐待防止・幼児虐待防止
社会問題にもなっている児童虐待。

みなさんは、児童虐待で亡くなっている子どもたちがどれくらいいるのか、ご存知でしょうか? 
厚生労働省の報告によると、死亡事例は年間50件を超えており、1週間に1人の子どもの尊い命が失われているのです。

今回は、児童虐待が起こってしまうきっかけや背景について考えていきたいと思います。

 f:id:jidou-youji:2019 10 30

児童虐待のきっかけ、背景は?
児童虐待が発覚するきっかけは?
児童虐待にはどんな種類があるの?児童虐待の定義
身体的虐待
性的虐待
ネグレクト
心理的虐待
平成30年度の虐待件数は?増加の原因とは
児童虐待を防止するには?対策方法とは
児童虐待の防止策①:カウンセリングを受ける
児童虐待の防止策②:子どもとの距離を一時的におく
児童虐待の防止策③:児童相談所に相談する
児童虐待防止法が改正され親の体罰が禁止に!
ひとりで抱え込まずにSOSを出すことが児童虐待の防止につながる
 

児童虐待のきっかけ、背景は?
児童虐待をしてしまう親は、誰も虐待をしようと思ってしているわけではありません。不思議に思われるかもしれませんが、「虐待をしてしまうかもしれないという不安」「このままでは子どもを殺してしまうかもしれないという恐怖」と戦っている親がほとんどなのです。

また、精神的に追いつめられており虐待をしているという意識がないケースもあります。 児童虐待は悪であり親が非難されるのも当然のことですが、育児や家庭の悩みをひとりで抱え込み苦しんでいる親が多いのです。

だれも児童虐待をしようと思ってしているわけではありません。
では、児童虐待をしてしまうきっかけとは何でしょうか?

仕事や生活上のストレスや疲れ
子どもが障害、病気などで子育てに手間がかかる
アルコールや薬物の依存
失業、片親などの経済的問題
パートナーとの不仲
子どもの時に虐待を受けた経験があり子育てがよくわからない
育児のストレスや疲れ
地域や親族など頼れる人がいないことの孤独や社会からの孤立
このように児童虐待が起こる背景にはさまざまな要因があります。

きっかけはすぐそこにあり、子を持つ親は誰もが児童虐待のリスクを抱えているのです。 しかし、あくまでも児童虐待が起こりうるリスク要因なので、そういった環境であるからといって必ずしも被害者や加害者になるというわけではありません。

さまざまな要因が複雑に絡み合うことで、精神的に追いつめられやすくなり児童虐待につながってしまうリスクが上がります。
深刻な心理状態になると感情をコントロールすることが困難となり、子どもを愛していても傷つけてしまうという悲劇が起こってしまうのです。

児童虐待が発覚するきっかけは?
児童虐待が発覚するきっかけで、最も多いのが「通告」です。
2015年7月1日から児童相談所全国共通ダイヤル(189)によって、「虐待かも」と思ったら、誰でも通告・相談ができるようになりました。

匿名での通告・相談も可能なので、個人情報や内容についての秘密は守られます。
 児童相談所全国共通ダイヤルについて|厚生労働省

児童虐待の解決のカギは、早期発見です。

子どもの泣き叫ぶ声や親の怒鳴り声が頻繁に聞こえる、子どもに不自然なケガや痣があるなど少しでも様子がおかしいと感じたら、周囲の人はすぐに児童相談所に通告・相談してください。

また、被害者である子ども自身が学校でスクールカウンセラーに相談して、児童虐待が発覚するケースもあります。
相談することはとても勇気がいりますが、誰かに助けを求めることはとても大切な選択ですね。

児童虐待にはどんな種類があるの?児童虐待の定義
児童虐待としつけの線引きはとても難しく、グレーな部分もあります。

子どもの成長を阻害してしまうほどの行き過ぎたしつけや教育は、虐待と捉えるべきでしょう。

厚生労働省では、以下のように児童虐待を大きく4つの種類で定義しています。

身体的虐待
殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
身体的虐待は、周囲から分かりやすいので、児童虐待が明るみになるケースが多いです。しかし、衣類の下など目で確認できない部分にのみ暴力を振るうケースもあるので注意が必要でもあります。

性的虐待
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
暴力や脅迫で口止めをされているケースや、被害者が相談しにくい問題でもあり顕在化しにくい虐待でしょう。

また、性的虐待を受ける年齢が早いと、性的虐待だと認識できないこともあります。

しかし、幼児時期からの性的虐待も発生しているので、周囲の人がよく注意してあげてください。

ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
ネグレクトは、乳幼児や小児など年齢の低い子どもが被害を受けやすいです。

体重や身長が標準よりも著しく低かったり、不潔であったり季節感のない身なりをしている、家に帰りたがらない、学校に行っていないなどが当てはまる子どもはネグレクトの可能性があります。

心理的虐待
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など
心理的虐待は、物理的な傷跡がないので定義が難しく、認知されにくい虐待でもあります。

しかし、親から言われた存在否定の言葉は子どもたちの心にずっと残り続け自尊心を壊してしまうので、注意が必要です。「生まれてこなければよかった」「殺してやる」などといった言葉の暴力や脅迫行為は、子どもたちの心を殺します。

心理的虐待の増加は目立っており、深刻な問題です。

児童虐待は、心理的虐待のみなど単独で起こるケースもありますが、暴力と暴言、性的暴行と脅迫などが複雑に絡まり合っているケースもあります。

引用元:児童虐待の定義と現状|厚生労働省

平成30年度の虐待件数は?増加の原因とは
厚生労働省の調査によると、

平成30年度中に、全国212か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は159,850件(速報値)で、これまでで最多の件数となっている。
児童虐待件数は、前年度より2万6072件も増えているのです。

増加の主な理由は、

・心理的虐待に係る相談対応件数の増加
・警察等からの通告の増加
だといいます。

調査を開始してから、児童虐待の相談件数は28年連続で増加しているそうです。

どうして児童虐待の相談件数は増え続けているのでしょうか?

その背景には、もちろん虐待について社会的意識が高まったことで、通告が増えたことが考えられます。
ですが、核家族化や経済的不安、地域からの孤立など社会的問題によって、児童虐待そのものが増えていることも事実でしょう。

引用:厚生労働省|子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)及び児童相談所での児童虐待相談対応件数

児童虐待を防止するには?対策方法とは
「児童虐待をしてしまったらどうしよう」「わが子を殺してしまうかもしれない」と不安を抱えている親は多いです。 親ができる児童虐待を起こさないための予防や対策には、どのようなものがあるのでしょうか?

児童虐待の防止策①:カウンセリングを受ける
児童虐待を予防するには、悩みを一人で抱え込まないことです。
カウンセリングを受けたり、地域の子育てひろばなどに参加して、話を聞いてもらいましょう。
自分の悩みを受け止め応援してくれる人がいることで、心の葛藤が軽減されだんだんと心に余裕が生まれてくるものです。

児童虐待の防止策②:子どもとの距離を一時的におく
育児に関心がなくなったり、カッとなって手を上げてしまったりなど、児童虐待の予兆がある場合は、一時的に育児から離れてみることも対策になります。

一時保育や託児所サービスを行っている保育所、自治体が運営しているファミリーサポートやベビーシッターなどを利用するのもよいでしょう。

児童虐待の防止策③:児童相談所に相談する
「子どもを傷つけてしまいそう」と感じたら児童相談所に相談してみましょう。

児童相談所全国共通ダイヤル(189)に電話すると、近くの児童相談所につなげてくれます。
また、東京都福祉保健局では、令和元年8月1日から児童虐待を防止するためのLINE相談を実施しています。
LINEだとより気軽に相談しやすいですよね。

児童虐待を防止するためのLINE相談「子ゴコロ・親ゴコロ相談@東京」 東京都福祉保健局

積極的に相談できる場所を探すことが、児童虐待の防止につながります。

児童虐待防止法が改正され親の体罰が禁止に!
ここ数年、虐待を受けて死亡した児童の事件が相次ぎ、胸を痛めている方も多いのではないでしょうか…。

国会では、児童相談所の不手際や関係機関との連携不足を受け、2019年6月に体制の強化や児童虐待防止法の改正が可決されました。施行されるのは、2020年4月からのようです。

改正法では、「親権者や児童福祉施設長による児童への体罰」が禁止となりました。
体罰の定義があいまいであり、罰則もないため実効性に欠けると不満の声も大きいようです。

しかし、親権者の方にとって、この改正法はしつけのあり方を見直すきっかけにもなるでしょう。

まだまだ改正法には課題点が多くありますが、「児童への体罰の禁止」という法律が抑止力になり児童虐待の防止につながることを祈ります。

厚生労働省の公式HPから、児童虐待に関する法令や指針の詳細を確認できます。

ひとりで抱え込まずにSOSを出すことが児童虐待の防止につながる
虐待はどんな理由やきっかけであろうと、あってはなりません。

児童虐待をしてしまう親の多くは、「真面目すぎる」ことも原因のひとつであるといわれています。
初めての育児で思い通りにならないことや育児の責任の重さで精神的に追い詰められてしまうこともあるでしょう。そんなときは、ひとりで悩みを抱え込まず周りの人の助けや専門機関の力を借りることも大切です。

また、周りの人もよその家庭のことだからと無視するのではなく、子どもとその親の未来のためにも児童虐待に気がついたら迷わず児童相談所に知らせてあげてくださいね。

児童虐待防止や子育て支援を行っているNPO法人日本ららばい協会では、子育て支援フォーラムや講演会、子守唄コンサートなどをおこなっているようです。
このような活動への参加は、児童虐待の現状や防止方法についてより深く考えるきっかけにもなるのではないでしょうか?

 


急増する児童虐待—その社会的な背景を探る

2020年11月05日 11時43分21秒 | 事件・事故

 2017.01.10 nippon.com
西澤 哲 

児童相談所が対応した児童虐待が、2015年度に初めて10万件を突破した。暴言や脅しで子どもの心を傷つける「心理的虐待」、殴る、蹴るなどの暴行を加える「身体的虐待」、食事などを与えない「ネグレクト(育児放棄)」、「性的虐待」など、なぜ児童虐待は増加する傾向にあるのか。

他の言語で読む
English 日本語 简体字 繁體字 Français Español العربية  Русский
2016年8月、厚生労働省は、15年度に全国の児童相談所が対応した虐待通告件数が10万3260件(速報値)と、初めて10万件を超えたことを公表した。子ども虐待に関する統計が初めて取られた1990年の通告件数は1101件であり、25年の時間経過があったとはいえ、100倍にも及ぶ増加は特異なものであると言える。

 

また、児童福祉法の改正で、05年度より、市区町村も虐待通告に対応することになっているが、14年度の全国の市区町村の虐待通告対応件数は約8万8000件となっている。児童相談所による対応件数と市区町村のそれには、多少の重複があると考えられることから単純な加算はできないものの、児童相談所と市区町村を合わせると、年間に十数万件程度の通告に対応していることになり、事態は極めて深刻である。

心理的虐待が半数を占めた理由

今回公表された児童相談所の通告対応に関する統計によると、「心理的虐待」が47.5%と半数近くに及んでおり、身体的虐待、ネグレクト、性的虐待、心理的虐待という虐待の4類型中最多となっている。

「心理的虐待」とは、子どもに対して「お前は欲しくて生まれた子じゃない」「お前さえいなければ家族が幸せになれる」など、親などの養育者が子どもの存在価値を否定するような言動をとるものである。身体的虐待やネグレクトなどと比較して、外部からは認識されづらい。

今回の統計によると、日本では「心理的虐待」が飛び抜けて多いように思われるかもしれないが、そんなことはない。これは「DVの目撃」を「心理的虐待」とすることによって生じた結果である。

こうした状況を招いた要因は、児童虐待防止法における心理的虐待の定義にある。2004年の同法の改正において、DV(ドメスティックバイオレンス、パートナー間暴力)を目撃することは子どもにとって心理的虐待に当たると明示されている。これを受けて警察庁は、警察がDVであると認知した事例において、父母などの間に未成年の子どもがいる場合には児童相談所に通告するよう指示している。

その結果、わが国の統計では、欧米先進国のそれと比較して、心理的虐待が多数に上るという事態となっていると考えられる。こうした状況では、心理的虐待の実情が把握できない。また、海外の虐待統計との適切な比較検討が不可能となってしまう。DVの目撃事例の取り扱いについて、早急に改善すべきである。

例えば、NCANDS(全米子ども虐待とネグレクト・データ・システム)に基づく2013年の米国の報告(Child Maltreatment 2013)によれば、 同年中に全米のCPS(子ども保護機関)に通告のあった事例のうち、虐待もしくはネグレクトが確認されたのは67万9000件であった。その内訳は、ネグレクトが79.5%と最も多く、以下、身体的虐待が18.0%、性的虐待が9.0%と続き、心理的虐待は8.7%と最も少なくなっている。

ちなみに米国では、子どもがDVを目撃した可能性がある場合を、虐待4分類とは別に、“Children With a Domestic Violence Caregiver Risk Factor”(養育者がDVのリスク要因を抱えている子ども)としてデータが取られている。13年には、36州で不適切な養育が確認された46万4952件のうち、27.4%に当たる12万7519人の子どもがこれに該当するとされている。

子ども虐待の特徴

今回報告された虐待事例の総数から心理的虐待を除いた5万4567件を母数として、心理的虐待を除く3つのタイプの構成比を算出すると、身体的虐待が54.5%と最多であり、ネグレクトが44.8%、性的虐待が2.8%となる。先述の米国のデータと比較すると、わが国では身体的虐待が多く、ネグレクトと性的虐待が少ないといった特徴があることが分かる。

これは、おそらく実態を示したものではなく、ネグレクトや性的虐待に対する過小評価を反映したものと解することができよう。ネグレクトが過小評価される背景には、ネグレクトによって死亡に至る事例が少ないとの誤認があると推測される。また、ネグレクトに対応する関係機関の職員の認識の低さも影響している。慢性的ネグレクトが非器質性成長障害(NOFTT)など深刻な影響を与える危険性があることなどを考慮すると、これは看過できない問題である。

またわが国では、性的虐待として通告されるのは、そのほとんどが思春期以降の子どもであり、思春期前の子どもの性的虐待被害はほとんど捉えられていない。「性的虐待を受けるのは思春期以降の女の子」といった誤った先入観が子どもに関わる専門職にもあると考えられ、それが性的虐待事例の的確な把握を妨げていると推測される。

虐待通告の増加が意味するもの

子ども虐待に関するわが国の統計は上記のような問題点をはらみつつも、初めて統計が取られた1990年には約1000件であった通告件数が25年後には10万件を超えるといった急激な増加を示していることには注目すべきである。この急増の背景には、2つの要因が指摘される。第一の理由としては、市民の意識の変化である。

かつて家族間の暴力等に関しては、家庭内の問題として社会は介入しないといった態度が優勢であった。しかし今日では、たとえ家族内のことであっても、暴力に対しては社会が介入するといった態度に変化してきている。こうした社会的態度の変化が、2000年の児童虐待防止法の成立につながっていった。また同法の施行が、さらに市民意識の変化を促すといった状況を生み出し、虐待通告件数の急増をもたらしたと言える。しかし、それだけではこれほどの急増を説明することは困難である。

家族崩壊が引き金に

第二の理由としては、やはり虐待の発生件数が実質的に増加していると推測すべきであろう。しかし、こうした現象の社会心理的な要因を実証的に検討することは非常に難しい。

さまざまな要因が考えられるが、一つには家族の養育機能の低下を挙げることができるだろう。その低下を示唆する社会統計指標として、以下の項目が挙げられる。

妊娠先行結婚の増加とその離婚率の高さ
10代の母親の出産数の微増傾向
全般的な離婚率の上昇
若い母親と幼児からなる若年母子家庭の増加
母子家庭の貧困率の高さ
上記の諸現象は、大正年間に産声をあげ高度経済成長期まで増加の一途をたどった核家族という「標準的な家族」からの変化もしくは偏差の進行を意味している。

こうした変化に伴って、家族の子ども養育機能の低下が深刻化し、それが虐待の増加につながっていると考えることが可能である。なお、上記の家族の変化に伴う家族の養育機能の低下には、家族に対する社会的な資源や支援の在り方が、核家族という「標準的な家族」を前提としているため、そこから上記の諸問題をはらむ家族には支援が届かないといった社会的要因があることに留意すべきである。

こうした事態を招かないようにするためには、例えば、増加する若年母子家庭を対象とした新たな社会的支援の仕組みを構築することなどの取り組みが必要になってくる。現実的な対策を施すことによって、虐待の発生を予防することも可能だと思われる。

難しい実態の把握

ここでは公表された統計資料に基づき、日本の子ども虐待の現状と、虐待を増加させている要因に関して若干の考察を試みた。しかし現実的には、こうした統計には反映されない「新たな特徴」が観察されている。それは、SBS(乳児揺さぶり症候群)もしくはAHT(虐待的頭部外傷)や、MSBP(近親者によるミュンヒハウゼン症候群)の増加である。

前者は、泣き止まない乳幼児を激しく揺さぶることによって深刻な頭蓋内出血などを生じるという虐待の態様であり、後者は、養育者が実際には存在しない子どもの症状を訴え、あるいは故意に症状を作り出し、不必要な医学的検査や治療を繰り返させるものであり、医療的虐待とも呼ばれる。

こうしたタイプの虐待の増加を示すデータは、筆者の知る限りでは存在しないものの、虐待臨床に関わる専門職はこうした虐待事例の増加を実感している。このように、日本ではいまだ子どもの虐待の実像を的確に捉えているとは言い難い。データに捉えられない子ども虐待の実態を緻密に分析し、子どもたちのトラウマを取り除くための心理的な臨床活動がさらに必要になってくると思われる。


西澤 哲NISHIZAWA Satoru経歴・執筆一覧を見る
山梨県立大学人間福祉学部福祉コミュニティ学科教授・学科長。サンフランシスコ州立大学大学院教育学部カウンセリング学科修了。虐待を受けた子どもの心の専門家で、トラウマを受けた子どもたちの心理臨床活動を行っている。社会福祉法人子どもの虐待防止センター理事。著書に『子どものトラウマ』『子ども虐待』など。


大手企業がワクチン事業から撤退?

2020年11月05日 11時36分35秒 | 医科・歯科・介護

ワクチン業界 再編の行方は? 阪大微研と田辺三菱が合弁会社 化血研は…
2017/05/15 answers.ten-navi

化学及血清療法研究所による血液製剤の不正製造問題を契機に、再編に向けた圧力が高まるワクチン業界。5月9日には、阪大微生物病研究会と田辺三菱製薬が生産基盤の強化を目指して合弁会社「BIKEN」を設立しました。

 一方、化血研の事業譲渡はアステラス製薬との交渉打ち切りで暗礁に。表立った動きもめっきりなくなりました。「護送船団方式で守られているため国際的な潮流から取り残されつつある」などと厳しい指摘を受けるワクチン業界ですが、再編の行方はいまだ不透明なままです。

「企業規模大きくする動き、歓迎」
「国際的な潮流から取り残されつつある」
大手が相次ぎ事業強化
カギ握る化血研 事業譲渡は膠着
 
「企業規模大きくする動き、歓迎」

「今後、日本のワクチン産業の企業規模を大きくする動きが、安全で良質なワクチンの安定供給と、国際社会への貢献につながっていくと期待している。そういう意味で歓迎したい」

 昨年11月、阪大微生物病研究会(阪大微研)と田辺三菱製薬がワクチン製造の合弁会社「BIKEN」の設立で基本合意したと発表すると、塩崎恭久厚生労働相は「タスクフォースの提言に沿ったもの」と評価しました。

 タスクフォースの提言とは、化学及血清療法研究所(化血研)による血液製剤の不正製造を機に省内に立ち上げた「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース」の有識者が昨年10月にまとめた提言のこと。「世界的に規模の拡大と寡占化が進んでいる一方、国内市場では統廃合が進まず極めて小規模のままである」と、ワクチン業界の再編を促しました。

 

合弁で生産強化

阪大微研と田辺三菱は5月1日、合弁会社の設立に最終合意。5月9日には阪大微研の100%出資でBIKENを設立しました。9月1日に株式33.4%を田辺三菱に売却し、合弁会社として操業を開始します。

 

両者が合弁設立で狙うのは、ワクチンの生産基盤の強化です。阪大微研の生産設備を移し、関連職員約580人が出向。田辺三菱が持つ医薬品の生産・管理のノウハウを取り入れ、生産量の拡大を目指します。

 

「国際的な潮流から取り残されつつある」

「護送船団方式で守られているため国際的な潮流から取り残されつつある」「統廃合が進まず極めて小規模のままであることから、研究開発力や海外展開、国際競争力に乏しい」。厚労省のタスクフォースの提言には、ワクチン産業に対する厳しい指摘が並びます。

確かに日本のワクチン産業は、企業規模の観点からすると脆弱です。国内では、化血研や阪大微研などの財団法人や一部の企業が研究開発と製造を担い、武田薬品工業やアステラス製薬といった大手製薬企業が販売を行っています。売上高は化血研が458億円、阪大微研が412億円。製造から販売まで手がける第一三共も385億円と規模は大きくありません。

 一方、世界市場ではメガファーマ4社がシェアの7割を握り、寡占化が進んでいます。世界最大手の英グラクソ・スミスクラインのワクチン売上高は6842億円。米ファイザーが6557億円、仏サノフィが5492億円と、いずれも日本のメーカーとは桁が1つ違います。

製薬各社のワクチン売上高

 ワクチン業界の再編の必要性は昔から言われてきたことでもあります。2007年に厚労省がまとめた「ワクチン産業ビジョン」でも、規模拡大による競争力の強化がうたわれました。しかし、10年たった今も状況はさほど変わっていません。

 大手が相次ぎ事業強化

とはいえ、この10年間で全く動きがなかったわけではありません。市場は急速に拡大し、大手企業が提携や買収を通じてワクチン事業の強化に乗り出しました。

ワクチン業界の最近の主な動き

 グローバル展開を目指して2012年1月にワクチンビジネス部を設置した武田薬品は、パイプラインの強化を目的に海外のベンチャー企業を相次いで買収。デング熱やノロウイルスに対するワクチンが開発後期段階に入っています。

 第一三共は11年4月に北里研究所との合弁会社「北里第一三共ワクチン」を設立。翌12年7月にはグラクソ・スミスクラインと共同で「ジャパンワクチン」を立ち上げました。田辺三菱製薬も13年にカナダのベンチャー企業を買収。新規技術を使ったワクチンでグローバル市場への進出を狙います。

 カギ握る化血研 事業譲渡は膠着

今後の再編を占う上で注目されるのは、やはり化血研の動向です。不正製造の発覚を受け、厚労省は繰り返し化血研の「解体」を明言。事業譲渡を求めてきましたが、アステラス製薬との交渉は昨年10月に破談。振り出しに戻りました。

 日本脳炎ワクチン「エンセバック」をめぐる問題にもまだ決着がつきません。

 厚労省は昨年10月、化血研が「エンセバック」を承認書と異なる方法で製造していたとして報告を命令。「このような事態が続く場合には医薬品製造販売業許可の取り消し処分もありうる」と伝えましたが、化血研側は不正製造を否定しました。厚労省は化血研から提出された弁明書を精査しているといいますが、膠着状態は続きます。

 もっとも、化血研は独自での事業継続を志向しているとも言われます。昨年6月には理事長を外部出身者に交代し、評議員会のメンバーをすべて外部出身者とするなど、経営体制を刷新。しかし、それ以降も厚労省が繰り返し抜き打ちでの立ち入り検査に入っていることなどを踏まえると、自力再建への理解が得られているとは言えません。

 アステラスはどう動く

アステラスの動きも気になるところです。

 現行の中期経営計画で次世代ワクチンを「新たな機会への挑戦」と位置付ける同社は、2011年に米バイカル社から移植時のサイトメガロウイルス感染に対するワクチンの全世界での開発・販売権を獲得。臨床第3相(P3)試験が進行中です。

 一方、UMNファーマと共同開発していた細胞培養インフルエンザワクチンは承認を得られず、共同事業契約を解消しました。武田薬品や第一三共が製造を手がけるのに対し、アステラスはワクチンの生産機能を持っていません。

 「特に新しいタイプのワクチンについて、今後新しい取り組みをしていきたいと考えている。トータルとしては興味の高い領域だ」

 アステラスの畑中好彦社長は昨年10月の会見でワクチン事業への興味を語る一方、「日本のワクチン産業の再編の考え方として厚労省が出したものと、これから私たちがやろうとすることは必ずしもリンクするものではない」と、業界再編の議論とは一線を画す考えを示しています。

 不祥事を発端に行政主導で始まった再編議論は今後、本格化していくことになるのでしょうか。いずれにしても、国内メーカーの競争力強化が待たれていることだけは確かです。


コロナ治療薬・ワクチン開発は今どうなっているのか?製薬業界・政府の動向まとめ 薬事日報社緊急寄稿

2020年11月05日 11時31分01秒 | 事件・事故

製薬業界を知る   2020/09/17

新型コロナウイルスが猛威をふるった初期の段階では、その治療薬に注目が集まりました。さらにその後は、世界の平常化に向けて、ワクチン開発が重大な課題になっています。今回の記事では、その両方について、製薬業界や政府がどう動いているのか、2020年9月17日時点の状況をお伝えします。

薬事日報社

医薬業界向け専門紙「薬事日報」、薬学生向け情報紙「薬事日報 薬学生新聞」等の発行をはじめ、電子メディアの運営、専門情報書や実務書、解説書などの図書出版を手掛ける。

 「ドラッグリポジショニング」とは何か? なぜ必要なのか?

新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっている。感染症の世界的流行(パンデミック)が訪れるたびに、世界の叡智を結集させて効果的な治療法を開発し、危機を乗り越えてきた。コロナ危機に対応した有効な薬、予防できるワクチンがないことが大きな問題となり、製薬企業の新型コロナウイルス感染症治療薬開発でもいまだ試行錯誤が続いている。

新型コロナウイルスに治療効果がある薬をまっさらな状態から研究して見つけ出すには、膨大な時間と資金がかかる。新型コロナウイルスに効き目のある化合物を設計し、動物実験、健康な人を対象に安全性を確かめる初期段階の臨床試験、感染患者を対象に有効性・安全性を検証する最終段階の臨床試験を経て、医薬品として認められる。

一刻も早く医療現場に届けていかなければならない緊急事態では、通常の研究開発手法は現実的ではない。そこで、製薬企業と国・大学の研究機関などが協力し、既に医療現場で使われている既存薬の中から新型コロナウイルスに有効な薬を探索する“ドラッグリポジショニング”という手法が用いられるようになった。

ドラッグリポジショニングで見つかった医薬品候補は、医薬品として患者に投与された実績からどのような副作用が引き起こされるかある程度は明らかになっている。細胞レベルで新型コロナウイルスへの効果が期待できる結果が見いだせれば、動物実験を省略して、すぐにヒトを対象とした臨床試験を始めることができる。開発コストの削減、開発期間の短縮につながるため、最短ルートでの医薬品開発も可能になる。

 

治療薬「レムデシビル」「デキサメタゾン」そして「アビガン」


様々な医薬品が新型コロナウイルス感染症治療薬候補として挙げられる中、米国の製薬企業「ギリアド・サイエンシズ」が開発した抗ウイルス薬「レムデシビル」が治療薬第1号となった。もともとはエボラ出血熱を対象に開発を進めていた薬だったが、臨床試験で目的としていた治療効果を満たせずに開発を中断していた。2月に新型コロナウイルス感染症を対象とした臨床試験を開始し、4月下旬の中間解析では標準治療薬との併用で重症入院患者への効果を示すことが判明。レムデシビルを臨床現場で用いていく機運が高まった。

開発医薬品を承認審査する米国食品医薬品局(FDA)は5月1日に新型コロナウイルス感染症の治療を一時的に認める「緊急使用許可」をレムデシビルに付与した。日本政府は医薬品医療機器等法の政令を改正し、通常よりも早期に承認できる「特例承認」の適用対象に新型コロナウイルス感染症を効能・効果に加え、7日にはレムデシビルを世界初承認した。通常ならば企業が薬事申請したデータを十分に審査するが、異例の対応となった。

日米両国でレムデシビルの扱いは異なり、米国はレムデシビルの投与を一時的に認めても、正式な承認は見送った。対照的に日本では、海外で実施した臨床試験で日本人での投与実績は乏しいものの、「ベクルリー」の製品名で薬事承認し、保険診療を認めた。販売後に十分な有効性・安全性情報を集積することを承認条件とした。

7月には国内2番手としてステロイド系抗炎症薬のデキサメタゾンが新型コロナ治療薬として認められた。「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」が改訂され、正式に記載されたもので、英国のランダム化比較試験で投与患者群の致死率低下が確認されたことなどが根拠とされた。レムデシビルとは異なり、50年以上の長い使用経験の蓄積がある古い薬で薬価も安い。

治療薬候補として期待された抗インフルエンザ薬「アビガン」は、安倍晋三前首相が有効性の検証を条件に早期承認を目指す意向を示していた。富士フイルム富山化学により臨床試験や実用化に向けた増産体制が進められてきたものの、当初目標にしていた5月中の承認は断念。現在進行中の臨床試験結果を待ってから承認の判断が行われる予定だ。

 

「血漿療法」など、話題になった治療薬のほかにも多くの可能性を模索


そのほか、ドラッグリポジショニングによる開発が進行しているのは、蛋白分解酵素阻害剤「ナファモスタット」、抗IL-6受容体抗体「トシリズマブ」、TLR4アンタゴニスト「エリトラン」、セリンプロテアーゼ阻害剤「カモスタット」などがある。

このうち中外製薬のトシリズマブについては、年内に承認申請予定としており、エーザイのエリトランも年内に治験結果が判明する見通し。小野薬品のカモスタットも臨床試験の結果が今秋までにまとまる予定となっている。

新型コロナウイルスから回復した患者の血漿を用いて治療する血漿療法も注目だ。米国では緊急使用が許可された。新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血漿には、新型コロナウイルスに対する抗体が含まれており、患者に投与すると免疫系の活性を高め、回復につながる可能性がある。武田薬品は高度免疫グロブリン製剤「TAK-888」は年内に申請予定としている。

新型コロナウイルスの収束後も第2波、第3波の流行が想定され、緊急対応的なドラッグリポジショニングから先を見据えた新薬開発へと移行する動きも出てきている。将来発生する可能性のある変異型コロナウイルス、過去に流行したSARSやMERSを含めたコロナウイルスに対しても効果のある汎用性の高い治療薬開発を進める企業も登場している。

 

世界の巨大製薬企業がしのぎを削るワクチン開発

感染拡大を封じ込める予防ワクチンをめぐる開発競争では、治療薬開発以上に世界のメガファーマがしのぎを削っている。100種類以上のワクチンが開発段階にある。

米ファイザーと独ビオンテックは早ければ10月までに海外での承認申請を目指している。米モデルナも最終段階の治験を開始した。製薬大手2社の連合体である仏サノフィと英グラクソ・スミスクラインは、世界で共同開発を進め、来年下半期までの実用化を目指す。米ジョンソン・エンド・ジョンソン、英アストラゼネカもそれぞれ世界各国での実用化を目指し、国内での治験を開始した。米メルクは今年後半に治験を開始する。うまくいけば来年初めには承認されたワクチンが登場するかも知れない。

 

ワクチンの確保をめぐる日本政府の動き


日本政府は来年前半までに国民全員がワクチン接種できる供給量を確保する方針を打ち出し、海外製薬企業とは供給契約に向けた交渉を進めている。既にファイザー、アストラゼネカとはそれぞれ1億2000万回分の接種量を供給する契約で基本合意しているほか、モデルナとは武田薬品の流通販売のもと、来年年明けから4000万回分の供給が受けられるよう交渉を進めている。

これら3社と最終契約にこぎ着けることができれば、2億8000回分のワクチン接種量を確保することになり、人数で換算すると国内人口を超える1億4000万人分をカバーできる見込み。来年前半までに確保できる量はファイザーから6000万人分、アストラゼネカから1500万人分、モデルナから2000万人分となっている。

海外製ワクチンの薬事承認に向けてはレムデシビルと同様、海外の臨床試験データを活用する方向で、特例承認も視野に入れている。海外の輸入ワクチン使用で健康被害が起きた場合に、海外メーカーの損害を国が肩代わりする損失補償についても、接種の開始前までに法的措置を講ずる方針だ。加藤勝信厚生労働相も「今後も安定供給を確保するため、ワクチン開発を進める海外メーカーとの交渉を行う」と表明している。

 

国内製薬メーカーもワクチン開発に追随

巨大なワクチンメーカーがなく、欧米企業とは生産体制で圧倒的な差をつけられた国内製薬企業も追随している。塩野義製薬は国内バイオベンチャーのUMNファーマを買収してワクチン事業に参入。年内にも治験を開始し、生産体制についても来年末に3000万人分を製造できるよう基盤強化を図っている。第一三共は東京大学医科学研究所と連携し、来年3月に遺伝子(メッセンジャーRNA)ワクチンの治験を開始する予定。

KMバイオロジクスは国立感染症研究所、東大医科研、医薬基盤・健康・栄養研究所と年内にも不活化ワクチンの治験を実施する。武田薬品は海外ベンチャーとの連携を通じて開発に着手し、光工場での生産体制の整備を進める。大阪大学発ベンチャーのアンジェスは日本企業で初めてDNAワクチンの臨床試験を始めた。

新型コロナウイルス感染症の流行は、製薬業界に感染症治療薬・ワクチンの開発基盤を強化する必要性を知らしめた。感染症領域の医薬品・ワクチン開発は投資回収の難しさもあり多くの企業が事業から撤退している。

 

「日本版CDC」などアフターコロナ・ウィズコロナを見据えた動き

重要となるのは平時からの十分な備えだ。製薬企業で構成された業界団体「日本製薬工業協会」は、新型コロナウイルス感染症治療薬・ワクチンの創製に向けた提言書を公表した。米国疾病予防管理センター(CDC)の感染症に特化した“日本版CDC”のように司令塔機能を設け、長期的な予算措置の権限を付与し、研究開発基盤の整備から生産、供給までの戦略立案・実施を担うという構想だ。開発に成功した企業が投資に見合った利益を確保できるよう、薬価の見直しや薬剤の使用量ではなく定額料金で支払う新たな制度を要望。企業やアカデミアの開発意欲を高める仕組みづくりが今後の課題と言えそうだ。

 新規CTA


Moderna社および厚生労働省との提携による、新型コロナウイルス感染症ワクチンの日本における供給について

2020年11月05日 11時29分49秒 | 医科・歯科・介護

2020年10月29日 武田薬品
- 当社、Moderna社、厚生労働省の三者間の合意により、Moderna社の新型コロナウイルス感染症ワクチンmRNA-1273を日本において供給
- 当社はModerna 社の新型コロナウイルス感染症ワクチン5,000万回接種分を2021年前半より日本国内において供給予定
- Novavax社の新型コロナウイルス感染症ワクチンの日本国内製造に続く提携
- 日本国内向けに継続的に取り組んでいるパンデミック対策をさらに拡大
当社は、このたび、Moderna社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補であるmRNA-1273を、2021年前半より、5,000万回の接種分を輸入し、日本において供給することになりましたのでお知らせします。この日本における供給は、日本国内でのmRNA-1273の製造販売承認取得後に行われます。この取り組みは、当社、Moderna社、厚生労働省の三者間の契約に基づくものです。Moderna社は、米国においてmRNA-1273  100 µgの接種用量にて実施中の臨床第3相試験へ30,000例の被験者登録が完了したことを公表しました。

すでに公表しているとおり、当社は、日本国民向けにNovavax社の新型コロナウイルス感染症ワクチンを日本国内で生産する長期的な供給体制整備を進めています。当社は厚生労働省ならびに国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より、Novavax社ならびにModerna社が開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチンを日本国内において開発・供給するための助成を受けます。

当社 Global Vaccine Business Unit の PresidentであるRajeev Venkayyaは、「当社は日本国民へ新型コロナウイルス感染症ワクチンを迅速かつ安定的に供給するために、厚生労働省およびワクチン開発企業と連携し尽力してきました。その中で、有望な新型コロナウイルス感染症ワクチン候補を有するNovavax社に加え、Moderna社とも提携することになりました。今後も引き続き、全社での研究開発を通じて、新型コロナウイルス感染症に対する世界的な取り組みを支援してまいります」と述べています。

厚生労働省およびModerna社との合意において、当社は日本国内にmRNA-1273ワクチン5,000万回の接種分を流通させるために必要な製造販売承認申請を担います。Moderna社は、ワクチン最終製品の提供に加え、当社へ臨床開発および製造販売承認申請に関する支援を行います。
以上

<武田薬品の新型コロナウイルス感染症への取り組みについて>
武田薬品は、新型コロナウイルス感染症に対する治療と予防に向けた取り組みを支援するため、研究開発およびワクチンに重点を置いた様々な活動やパートナーシップを通じ、包括的なアプローチで取り組んでいます。当社は、 CoVig-19 Plasma Alliance を共同設立し、世界をリードする他の血漿分画製剤企業と共同で、新型コロナウイルスとの世界的な闘いに向けた高度免疫グロブリン製剤の開発および製造を進めています。このアライアンスは、The Fight Is In Usにも参加しており、回復期血漿提供キャンペーンにも関連しています。また、COVID R&D Alliance、IMI Care Alliance、Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines (ACTIV) partnership に参画し、既存医薬品および開発中の化合物について、新型コロナウイルス感染症に対する評価を行っています。加えて、新型コロナウイルス感染症ワクチンの普及促進に向け、日本政府、Novavax社およびModerna社と提携しています。当社は、これまで培ってきたグローバルな製造・供給能力を活用し、日本国内向けに継続的に取り組んでいる新型インフルエンザ対策を基盤としたパンデミック対応を強化していきます。新型コロナウイルス感染症対策に効果的な治療薬やワクチンを迅速に研究・開発・提供し、将来のパンデミック対策に備えるという共通の目標に向けて、パートナー企業およびアライアンスメンバーと取り組みます。

<武田薬品のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。武田薬品は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、新型コロナウイルス感染症、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。武田薬品はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<留意事項>
本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本資料(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

<将来に関する見通し情報>
本プレスリリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「可能性がある(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。将来見通し情報は、多くの重要な要素に関する仮定に基づいており、実際の結果が将来見通し情報に明示又は暗示されたものと大きく異なることがあり得ます。重要な要素には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む当社のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、製品開発計画の成功又は失敗、規制当局による判断とその時期、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念等、当社、当社が事業を展開している国の政府を含む当社の顧客及びサプライヤー又は当社事業の他の側面に対する、新型コロナウイルスのパンデミックのような公衆衛生上のクライシスの影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、その他米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び他の報告書に記載された事項(https://www.takeda.com/jp/investors/reports/sec-filings/又はwww.sec.govにおいて閲覧可能です。)が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、又は当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果及び公表情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。


日本のワクチン供給体制は脆弱

2020年11月05日 11時16分07秒 | 医科・歯科・介護

オピニオン

論点

新型コロナ 遅れる国産ワクチン

 毎日新聞2020年11月4日 東京朝刊

新型コロナウイルス感染症の収束の鍵となるワクチンが早ければ年内にも実用化される見通しだ。欧米の開発が先行しており、いずれも承認実績のない新技術だ。国内も複数企業が開発を進めるが、欧米の「周回遅れ」とも言われる。パンデミック(世界的大流行)への備えに何が足りなかったのか。【聞き手・横田愛】

技術基盤整備、国が主導を 手代木功・塩野義製薬社長
 年内に治験を始め、来年末までに3000万人分以上の生産体制構築を目標にワクチン開発を進めているが、今のところ欧米企業の「m(メッセンジャー)RNAワクチン」と「ウイルスベクターワクチン」という新技術を使った開発が先行している。日本政府は7000億円近くを投じて購入する計画だが、それだけの国費が外に流れるに至った理由をもっと考える必要がある。


犯人どこに? 事件から10年 未解決のまま...迫る風化

2020年11月05日 11時07分46秒 | 事件・事故

11/4(水) 20:31配信

FNNプライムオンライン
未解決事件のニュース。

多くの遺留品がありながら、なぜ10年たっても、犯人が捕まらないのか。

10年前、コンビニ店長を殺害し、いまだ逃走を続ける犯人に...。

石川・大聖寺署 惣島敦副署長「被害者やご家族の無念を晴らすように、捜査を継続していきます」

未解決事件の解明へ。
警察は、執念の捜査を続けていた。

事件は、10年前の11月3日、石川・加賀市のコンビニで発生。

深々とフードをかぶった犯人がコンビニに押し入り、店長の山崎外茂治(ともじ)さんを殺害し、逃走。

その際の映像には、音声も残されていた。

犯人「マネー、マネー」

その後、犯人が逃走に使用したとみられるトラックや、身に着けていたかつらなど、多くの遺留品を発見。

それでもなぜ、事件解決に至っていないのか。

警察がこれまでに事情を聞いたのは、延べ3,000人。

しかし、目撃者がいないため、捜査は難航。

事件は未解決のまま、10年の月日が流れた。

事件があった国道8号線沿いの現場。
コンビニエンスストアはすでに取り壊されていて、当時の面影はない。

すでに事件現場は更地に。
事件を風化させまいと、石川県警は、YouTubeで防犯カメラ映像の配信を始めた。

さらに、あらためて犯人につながる情報の提供を求めている。

事件から10年。
犯人はどこにいるのか。

執念の捜査は続く。

情報提供は、「大聖寺署(0761-72-0110)」まで。

【関連記事】