アロマテラピー学習ブログ

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参照。

末梢神経の脳神経

2008-03-15 15:39:37 | 解剖生理学(脳神経系)
番号による名称 固有の名称   主な働き
第0脳神経    終神経     嗅覚および視覚の遠心性調節
第I脳神経    嗅神経     嗅覚
第II脳神経    視神経     視覚 (知覚神経)
第III脳神経    動眼神経   眼球運動 (運動神経)
第IV脳神経    滑車神経   眼球運動(上斜筋)(運動神経)
第V脳神経    三叉神経   顔面・鼻・口・歯の知覚、咀嚼運動
第VI脳神経    外転神経   眼球運動(外直筋)(運動神経)
第VII脳神経    顔面神経   表情筋の運動、舌前2/3の味覚、涙腺や唾液腺の分泌
第VIII脳神経   内耳神経    聴覚、平衡覚
第IX脳神経    舌咽神経   舌後1/3の知覚・味覚、唾液腺の分泌
第X脳神経     迷走神経   のどの知覚・運動、頚胸腹部の臓器を支配
第XI脳神経    副神経     肩や首の筋肉の運動(僧帽筋、胸鎖乳突筋)
第XII脳神経    舌下神経   舌の運動

脳神経は第I~第XII神経まで存在し、全て脳幹部から発生しているが発生元の脳の部位が異なる。第I~第III脳神経までは中脳、第IV~第VIII脳神経は橋、第IX~第XII脳神経は延髄から、それぞれ発生している。
嗅神経と視神経は厳密には中枢神経の延長であるが、歴史的に末梢神経に含めて考えられている。
この12対が、脳から出る神経のすべてというわけではない。終神経、鋤鼻神経など、上記の12対に含まれない脳神経も存在する。人間では退化しているが動物ではよく発達しており、フェロモンを感じ取る役目があるといわれている。
魚類、両生類の脳神経は10対であるとされる。
脳神経の覚え方として使われる語呂合わせにこのようなものがある。

「嗅いで見る動く車の三の外、顔耳のどに迷う副舌」
「臭い指導者、三べん、外回し顔面! 内回し舌咽! 迷! 副! 舌!」(空手風)
「急止した動く車が三転し、顔耳のど切り冥福した」
"On Old Olympus Towering Top A Famous Vocal German Viewed A Hop."
"Oh, Oh, Oh, To Touch And Feel A Girl's Vagina - Ah, Heaven!"
"Some Say Marry Money, But My Brother Says Big Boobs Matter More!"(S:感覚、M:運動、B:両方)

ホメオスターシス(恒常性)

2008-03-15 15:28:32 | 解剖生理学(脳神経系)
生物のもつ重要な性質のひとつで、生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態のこと。生物が生物である要件のひとつであるほか、健康を定義する重要な要素でもある。生体恒常性とも言われる。

恒常性の保たれる範囲は、体温や血圧、体液の浸透圧やpHなどをはじめ、病原微生物の排除、創傷の修復など生体機能全般に及ぶ。恒常性が保たれるためには、これらが変化したとき、それを元に戻そうとする作用、すなわち、生じた変化を打ち消す向きの変化を生む働きが存在しなければならない。これは、負のフィードバック作用と呼ばれる。この作用を主に司っているのが主として間脳視床下部であり、そこからの指示を伝える伝達網の役割を自律神経系や内分泌系(ホルモン分泌)が担っている。それに免疫系がやや独自に活動する。

よく例に出されることの多いのが、体温調節である。鳥類や哺乳動物は酵素が働く至適温度である37℃付近で最も活動し易いため、この温度に体温を保とうとする。これより体温が高い場合は発汗、皮膚血管の拡張で体温を下げようとし、体温が低い場合はふるえ(戦慄)や非ふるえ熱産生(代謝の亢進による発熱)によって体温を上げようとする。

感染症の際に体温が上がるのは、炎症物質によって調節の目標温度が高まるからである。これは、病原体が熱に弱いという性質を利用した抵抗活動である。解熱鎮痛薬はこの目標温度を下げることで解熱させる。これらの他、血圧反射機能も恒常性の概念の説明に汎用されている。

下垂体

2008-03-15 15:09:30 | 解剖生理学(脳神経系)
脊椎動物の体に存在する器官のひとつで、多くのホルモンを分泌する内分泌器官。脳に接して、脳の直下(腹側)に存在し、脳の一部がのびてぶら下がっているように見えることからこの名がある。

二重支配

2008-03-15 15:00:37 | 解剖生理学(脳神経系)
内臓器官の多くは、交感神経と副交感神経の遠心性線維によって二重に支配されている。
このような両神経系による支配を二重支配といい、二重支配を受ける器官としては
心臓・気道・胃腸・膀胱・膵臓・唾液腺がある。
これに対し、瞳孔括約筋は、副腎髄質・膵臓・腎臓・立毛筋・汗腺・大部分の血管は交感神経のみ、
瞳孔括約筋は、副交感神経のみの支配を受けている。
一部の血管は、副交感神経の支配を受けている。

拮抗作用

2008-03-15 14:27:23 | 解剖生理学(脳神経系)
生物体のある現象に対し、二つの要因が同時に働いて、互いにその効果を打ち消し合う作用。心臓の拍動に対する交感神経(促進)と副交感神経(抑制)の作用など。また、薬物を併用した場合、互いに薬効を減弱させる作用など。

心拍数は、交感神経の作動によって促進され、副交感神経の活動によって抑制される。
胃腸管の運動および分泌機能は、交感神経の活動によって抑制され、副交感神経の活動によって促進される。

これに対し、唾液腺の分泌は拮抗支配を受けておらず、交感神経および副交感神経の両者の活動によって促進される。

大脳辺縁系

2008-03-15 14:06:09 | 解剖生理学(脳神経系)
大脳辺縁系(英 limbic system: limbicの語源のラテン語であるlimbusは、edge すなわち「辺縁」の意である)は人間の脳で情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している複数の構造物の総称で、大脳旧古皮質、大脳核、海馬、視床下部などで構成されている。

辺縁系のうち、重要かつ機能の解明されてきている特異な構造として扁桃体と海馬体が挙げられる。(なお、海馬体とは海馬、海馬台、そして歯状回の総称である。)

大まかに見て大脳辺縁系は、大脳の表面からは見えない大脳の辺縁皮質とその下の、そしてそれらを繋いでいる線維連絡から成り立っている。

辺縁皮質
辺縁皮質の主要な部位は大脳のうちの古い部分である原皮質と古皮質から成り、ほぼ発生学的な「嗅脳」に相当する。こうした言葉に対応して、(人における)大脳皮質の表層部は「新皮質」と呼ばれる。おおまかな古皮質・原皮質、その他の辺縁皮質の対応は以下のようになっている。

古皮質 Paleocortex:梨状前野、扁桃体周囲野

原皮質 (原始皮質)Archiocortex:海馬体

その他の辺縁皮質(これは中間皮質と呼ばれる。):帯状回、海馬傍回、鈎

帯状回 cingulate gyrus:心拍数や血圧のような自律神経機能のほか、認知や注意のプロセスにも関与している。
弓隆回 fornicate gyrus:帯状回、海馬、そして海馬傍回を包含した名前。
海馬 hippocampus:長期記憶の形成に関わっている。
海馬傍回 parahippocampal gyrus:空間記憶に関与している。
さらに、場合によっては以下のような皮質の部位も辺縁系に包含される。

眼窩前頭皮質 orbitofrontal cortex:意思決定に必要とされる。
側頭葉極部

辺縁系に含まれる皮質下の
これに対して、辺縁系に含まれる皮質下の核には、扁桃体、中隔核、視床下部、視床の前核などが含まれる。視床下部は辺縁系に含まないこともあり、この場合には、辺縁系が視床下部の上位中枢と見なされる。

扁桃体 amygdala:攻撃性や恐怖に関与している。
視床下部 hypothalamus:ホルモンの産生と放出により自律神経機能を調節している。血圧、心拍数、空腹、口渇、性的興奮、そして睡眠・覚醒のサイクルなどに関与している。
乳頭体 mammilary body:記憶の形成に重要である。
側座核 nuculeus accumbens:脳内報酬系、快楽、そして薬物依存などに関与している。

線維連絡
これらをつなぐ線維連絡として、脳弓、脳弓交連などがある。

<機能>
大脳辺縁系は、内分泌系と自律神経系に影響を与えることで機能している。大脳辺縁系は、側座核といわれる構造と相互に結合しており、これは一般に大脳の快楽中枢として知られている部位である。側座核は性的刺激、そしてある種の違法薬物によって引き起こされる「ハイ」な感覚と関連している。こうした反応は、辺縁系からのドパミン作動性線維の投射によって強い修飾を受けている。金属電極を側座核に挿入したラットは、この部位への電気刺激を引き起こすレバーを押し続け、食物や水の摂取をせずに最終的には疲労によって死んでしまうことが知られている。

<辺縁系の発達>
進化論的には、大脳辺縁系は脳の最も古い部位の一つであり、嗅葉orfactory lobesと関連している。魚類ではすでに辺縁系を見ることができる。動物が高等になるほど新皮質の占める割合が大きくなるのに対して、辺縁系の発達にはあまり差がなくなる。これは辺縁系が動物に共通な機能に関係しているからである。

<実生活での応用>
大脳辺縁系機能が刺激されている人は、記憶の保持と想起が助けられる。例えば、辺縁系は嗅覚機能と強い関係があるので、記憶の形成される際にコーヒーやピーナッツバターなどの(あるいは、プルーストの言うプティット・マドレーヌでも良かろうが、)容易に認識されるような芳香が存在すると、そうした記憶と芳香は結合される。そのため、同じ匂いは記憶の蘇えりを促進することになる。つまり、テスト勉強中にコーヒーを煎れていたならば、テストの合間にコーヒーを飲むことによって、テストに必要な情報を思い出すことがより容易になるかもしれない。


大脳新皮質

2008-03-15 13:55:47 | 解剖生理学(脳神経系)
大脳新皮質とは、大脳の部位のうち、表面を占める皮質構造のうち進化的に新しい部分である。いわゆる下等生物では小さく、高等生物は大きい傾向がある。人類では、中脳、間脳などを覆うほどの大きさを占めている。 厚さおよそ2mmの皮質状組織で、灰白色を呈し、6層構造をもつ。


神経系

2008-03-15 10:22:21 | 解剖生理学(脳神経系)
一般に、神経系は大きく以下の2つに分けられる。
中枢神経系 - 脳などの塊からなるもので脳と脊髄とをあわせて中枢神経系と呼ぶ。中枢神経系の組織は、神経組織と呼ばれ、実際に情報の伝達を行うニューロンと、その働きをサポートするグリア細胞・オリゴデンドロサイトなどから構成される。送られてきた情報を分析整理、判断しこれに適応した決定を下す。

脊椎動物の中枢神経系は、大きく脳と脊髄に分けられる。

・大脳(終脳)…頭蓋骨の直下に位置し、ヒトでは非常に発達している。大きくは大脳皮質と呼ばれる表層の灰白質と、神経線維の束である白質とに分けられる。
間脳 …自律神経系や内分泌系の中枢を有する。視床、視床下部、下垂体で構成されている。
中脳…視覚および聴覚の中継地点。瞳孔の反射にも関与。

延髄…咀嚼、嚥下、発生のほか、呼吸や循環(血管運動、心臓調節)などの生命そのものを司っている。
小脳…平衡感覚の機能をつかさどる。
脊髄 …興奮の伝達と脊髄反射などの中枢。構造は延髄の下に続き、長さ40~45cmで、成人の場合腰椎1番~2番で終了してしまう
脳幹とは、間脳・中脳・橋・延髄をあわせて呼んだもの。ここは生命維持に関する中枢である。


<発生の過程>
発生の過程では、中枢神経系は、まず神経管と呼ばれる中空の管状構造として形成され、体の前後軸に沿ってのびる。この神経管は外胚葉性である。この管の壁は、神経細胞とグリア細胞のもとになる細胞、神経幹細胞で構成される。この細胞の分裂は、神経管の前部で他の部位よりも激しい。その結果、神経管の前部だけが膨れることになる。その膨れた部分が将来の脳であり、それ以外の部分が脊髄になる。神経管の内側の空洞は、成体になっても残され、脳の中の脳室、脊髄の中の脊髄中心管となる。  神経系の発生を特徴づける次の段階は、神経細胞が本来あるべき正しい位置に配置され、それぞれの神経細胞が正しくシナプスで結合することである。大脳などの皮質構造をなす場所では、神経細胞は層状に配置され、また神経核においては、細胞が集合する。神経細胞からは、軸索および樹状突起が伸長し、神経回路形成が行われる。


末梢神経系 - ひも状に細くのびて体内を走るもの。主に神経線維束や、局所的に神経細胞体が集まって存在する神経節などから構成される。神経線維束は、神経細胞体からのびる神経線維(軸索)が多数集まって束になって走るものである。中枢神経系と体の各部位を結ぶ働きをする。末梢神経が中枢神経とつながる場所は全て決まっている。また、束になった神経は体内での走行パターンが決まっており、全て名前がついている。情報伝達を担う。

<解剖学的な分類>
末梢神経がどの中枢神経に接続しているかによって分けられる。
脳神経 - 脳から出るもの
なお、嗅神経と視神経は脳神経ではあるが、組織学的に見れば中枢神経である。
脊髄神経 - 脊髄から出るもの

<機能的な分類>
末梢神経はどのような信号を伝えるかによって体性神経系と自律神経系に分けられる。
体性神経系 - 受容器から知覚情報を受け取ったり、運動指令を伝達したりして、外部環境と作用している神経系。太い神経で、敏感・迅速に伝わる。動物神経とも言う。脳神経と脊髄神経に分けられる。
  求心性神経(感覚神経) - 知覚の信号を受容器から中枢神経系へ伝える。
  遠心性神経(運動神経) - 運動の信号を中枢神経系から作動体へ伝える。
自律神経系 - 心拍、呼吸、分泌の調節など、内部環境の調整を行っている神経系。植物神経とも言う。
  交感神経
  副交感神経

<発生の過程>
発生の過程では、末梢神経系は、神経管の周辺に形成される神経冠などの細胞群、神経堤の細胞が、体中に散らばったものから起こると考えられている。

神経の興奮伝達の仕組み

2008-03-15 10:14:28 | 解剖生理学(脳神経系)
神経伝達物質はシナプス前細胞の細胞体で合成され、細胞輸送によって運ばれてくるないしは細胞外から吸収され、前シナプス終末にあるシナプス小胞に貯蔵される。前シナプス終末に活動電位が到達すると神経伝達物質はシナプス間隙に放出されると、拡散によって広がり、後シナプス細胞の細胞膜上にある受容体と結びついて活性化される。受容体がイオンチャネル型の場合そのイオンチャネルが開き、受容体が代謝型であればその後いくつかのステップを経てイオンチャネルを開かせ、後シナプス細胞に脱分極ないし過分極を生じさせる。放出後は速やかに酵素によって不活性化されるか、または前シナプス終末に再吸収され、一部は再びシナプス小胞に貯蔵され再利用される(元のシナプス小胞に戻るのではなく別のシナプス小胞に充填される)。

神経伝達物質(化学伝達物質)

2008-03-15 09:46:05 | 解剖生理学(脳神経系)
交感神経の神経伝達物質はカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)
副交感神経の神経伝達物質はアセチルコリン

神経伝達物質とは、シナプスでシグナル伝達に介在する物質で、神経細胞などに多く存在する。
1960年代からの判断基準によれば、以下のような条件に該当する物質が神経伝達物質と呼ばれている。
・シナプス前細胞で合成される。
・シナプス後細胞に受容する機構(基本的に受容体)がある。
・シナプス前細胞から開口放出後、シナプス後細胞に影響を与えるに十分な量がある。
・非常に局所的に作用し、あたかも物質放出がシナプス後細胞内でおこったかのように作用する(内在性放出の模倣)。
・放出後に生化学的に不活化するような機構が存在する。

分類
神経伝達物質は大きく分類すると以下の3つになる。
・アミノ酸 (グルタミン酸、γ-アミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシンなど)
・ペプチド類(バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシンなど)
・モノアミン類 (ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ドパミン、セロトニン)とアセチルコリン
 その他一酸化窒素、一酸化炭素なども神経伝達物質様の作用を示す。

主な神経伝達物質
アミノ酸
・アスパラギン酸
・グルタミン酸 (Glu)
・γ-アミノ酪酸 (GABA)
・グリシン (Gly)
・タウリン

アセチルコリン
・アセチルコリン (Ach)

モノアミン類
フェニルアラニン、チロシンより合成 (合成経路でカテコールアミンを経由)
・ドパミン (DA)
 ・ノルアドレナリン (ノルエピネフリン) (NE)
  ・アドレナリン (エピネフリン) (Epi)
・オクトパミン
・チラミン
・フェニルエタノールアミン
トリプトファンより合成
・セロトニン (5-hydroxytryptamine, 5-HT)
 ・メラトニン (Mel) (セロトニンより導かれるが、モノアミンではない)
ヒスチジンより合成
・ヒスタミン (H)

ポリペプチド類(神経ペプチド類)ペプチドホルモンと共通するものが含まれる。
・ボンベジン
・ガストリン放出ペプチド (GRP)
ガストリン類
・ガストリン
・コレシストキニン (CCK)
Neurohypophyseal類
・バソプレッシン
・オキシトシン
・ニューロフィジンI
・ニューロフィジンII
神経ペプチドY
・神経ペプチドY (NY)
・膵ペプチド (PP)
・ペプチドYY (PYY)
オピオイド
・副腎皮質刺激ホルモン
・ベータリポトロピン
・ダイノルフィン
・エンドルフィン
・エンケファリン
・Leumorphin
セクレチン類
・セクレチン
・モチリン
・グルカゴン
・血管作動性腸管ペプチド (VIP)
・成長ホルモン放出因子 (GRF)
ソマトスタチン
・ソマトスタチン
タキキニン類
・ニューロキニンA
・ニューロキニンB
・ニューロペプチドA
・ガンマニューロペプチド
・P物質

その他
・一酸化窒素 (NO)
・一酸化炭素 (CO)
・アナンダミド
・ジメチルトリプタミン
・アデノシン三リン酸 (ATP)

ドーパミン
人間だけが神経伝達物質として利用している
人間だけが神経伝達物質として利用しているドーパミンはアミノ酸のひとつ、チロシンから作られるカテコールアミンの一種。元はノルアドレナリン の中間物質の役割しかもっておらず、人間以外の動物も神経伝達物質としては利用していない。大脳の急激な発達とともに、神経伝達物質として、快楽を司る役割をもつようになった。
集中力、やる気などの精神機能を高め、運動機能に関係する
ドーパミンは脳を覚醒させ、集中力を高めたり、ストレスの解消や楽しさ心地よさといった感情を生み出す働きをもっている。また人間が物事を行う時の動機付けの役割や恋をしているときにあらわれる身体に表れる症状(顔が赤くなるなど)もドーパミン が関係している。
小さい子供が大人からみたらとてもささいな事でも夢中になれるのはドーパミンが脳内に十分に放出されているからである。脳内のドーパミンの濃度の低下は、物事の関心が薄らぐなどの精神機能の低下、運動機能の低下、性機能の低下につながりますまたパーキンソン病(症状として振るえ、動きにくさ)の患者はドーパミンが早く減少してしまう事がわかっている。
ドーパミンが過剰に放出されると統合失調症(幻覚、幻聴、パラノイアなど)トゥレット症候群(意識しないのに顔や頭が勝手に動く、のど鳴らし、汚い言葉を発する)過食を引き起こすと考えられている。
ドーパミンと依存症の関係
タバコ、お酒はドーパミンを増やす。ドーパミンはドーパミンレセプター(受容体)にくっついて情報として次の神経系につたわるのであるが、タバコ、お酒が過剰になるとドーパミンが過剰になる。脳はレセプターの生産量を減らすことで過剰に快楽が伝わらないようにコントロールする。このことにより中毒者はドーパミンが一定量でていても、欠乏状態と認識され、ドーパミンを補充しようとタバコ、お酒を繰り返す。これが中毒になるメカニズムである。

ノルアドレナリン
意欲、ストレスに関係する別名「怒りのホルモン」
神経を興奮させる神経伝達物質、意欲・不安・恐怖と深い関係があり、人間を含めて動物において脳内で一番多く分泌されている。「ノル」とは「正規化合物」「基本の化合物」を表す言葉でノルアドレナリンの一部が変化したものがアドレナリンである。ストレスを受けると放出されるため「怒りのホルモン」とも呼ばれる。
強い覚醒力で人間の意識を維持する
覚醒、集中、記憶、積極性、痛みをなくするなどの働きがあり、その覚醒力が人間の生命と源泉となっている。またもとは敵に出会ったときに敵から身を守るために、交感神経を刺激し心拍数や血圧をあげ敵に対抗する(または逃避)する役割があり、現代においてはストレスを受けたときに同じような仕組みがおこる。
不足すると無気力、無関心、意欲の低下、うつ病の原因となり、過剰にだと躁状態をひきおこす。またノルアドレナリンは血圧、血糖をあげる作用があるためノルアドレナリン の過剰状態が続くと高血圧、糖尿病の要因になりうる。
長期間回避不能なストレスは人を攻撃的にさせる
長期間回避不能なストレスにあった場合、ノルアドレナリンの使用が合成を上回るため、ノルアドレナリン が減少する。ノルアドレナリンが減少すると、ノルアドレナリンの受容体の感受性を上昇させ対応しようとする。そのため、ささいなストレスにも過剰に攻撃・逃避反応をするようになる。

セロトニン
人間の体の2%のセロトニンが精神活動に大きく影響
セロトニンは脳内の神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸であるトリプトファンから生成される。セロトニン は人を含む動植物がもっており、人の体内には約10mgのセロトニンが存在する。そのうちの2%が精神活動に大きく影響している(残りは消化管の運動のためや止血など血中で使われる)
精神を安定させる作用
セロトニンは他の神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリンなどの情報をコントロールし精神を安定させる作用がある。またセロトニンは夜間に多く分泌されるホルモン、メラトニンへと代謝されることからセロトニンが睡眠の周期性に関係していることを示す。
身体のさまざまな機能に関与
体温調節、血管や筋肉の調節、攻撃性の調節、運動など身体のさまざまな機能に関係している。
セロトニンが不足すると、うつ状態やパニック発作、食欲が増し、摂食障害などを引き起こす。また起床後も覚醒状態をうまく作れず、その後も調子がでない状態や感情のブレーキが効かなくなり、攻撃的になりやすくなる。
過剰だと抗うつ薬の副作用としてほとんどわずかではあるが、セロトニン症候群というものがある。セロトニン症候群は症状として、精神の錯乱、発汗、発熱、振るえなどがあり、抗うつ薬にはセロトニンを増やす作用のものもあるため、可能性としてセロトニンの過剰がセロトニン症候群を引き起こすと考えられる。
ストレス環境に長期間さらされるとセロトニンが大きく減少
幼児期に安全な環境にいなかった動物はセロトニンの分泌能力が低くセロトニンの濃度低下がおこりやすくなる。また長期間ストレスにさらされるとセロトニンが大きく減少するため、感情にブレーキが利かなくなる。
リズム運動、太陽光で活性化される
セロトニンは、歩行、呼吸、咀嚼などのリズム運動、また太陽の光(特に朝の光)にあびると活性化される。ただし、運動のしすぎは疲れがセロトニンの活動を抑制するため逆効果である。

脳内麻薬様物質(オピオイド)
最期にもたらされる残酷な救い 
脳内麻薬様物質(オピオイド)は交感神経系の興奮によって、GABA神経系から分泌されるエンケファリン、β-エンドルフィンなどを指す。オピオイドは阿片などの麻薬に極めて近い構造をもつ。
オピオイドの大量分泌により、精神活動の麻痺や感情鈍麻といった状態に入る。これは、闘争も回避もできない深刻なストレスにさらされた生物に、「最期の救い」をもたらす。精神活動の麻痺や感情鈍麻によって、完全な降伏と受身の態勢をとり、現実感のなさによって、生物は「静かに捕食者の餌食となる」のである。
長期間反復的に回避不能のストレスにさらされた個体は、脳内オピオイド受容体の感受性が上昇する。これは阿片などの麻薬を反復投与された個体に見られるものと同じ、生理的な反応である。そしてこのような個体にストレス刺激や麻薬の反復投与を急に中断したり、オピオイドの拮抗物質であるナロキソンやクロニジンを投与すると、同じような退薬症状(禁断症状)を呈する。そのため、オピオイド受容体の感受性が上昇した個体は、強烈なストレス刺激(自分で自分の命を危険に晒したり、自分の身体や心を痛めつける行為)なくしては生きていけなくなる。
オピオイドの過剰放出は、大脳辺縁系の扁桃体、海馬などにダメージを与えることで知られている。扁桃体に損傷を受けた個体は、「恐ろしいもの」「いやなもの」に直面しても、避けようとしなくなる。
マラソン中にオピオイドが分泌されることはわりと有名で、マラソンによってオピオイドが分泌された状態のことを「ランナーズ・ハイ」と呼ぶ。オピオイド濃度の上昇は、他にも手術、接食障害者の嘔吐などで確認されていて、また、リストカット、車での暴走等の自傷行為によってもオピオイドは上昇する。
オピオイドの大量分泌は離人症的な症状をもたらす。現実感の喪失、自己と外界を隔てる透明な壁のある感じ、自分のことを遠くで自分が観察している感じ、自分の手足の消失する感じなど。

エンドルフィン
脳内で機能する神経伝達物質のひとつ。

内在性オピオイドであり、モルヒネ同様の作用を示す。特に、脳内の報酬系に多く分布する。内在性鎮痛系にかかわり、また多幸感をもたらすと考えられている。そのため脳内麻薬(のうないまやく)と呼ばれることもある。

マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用「ランナーズハイ」は、エンドルフィンの分泌によるものとの説がある。また、性行為をすると、β-エンドルフィンが分泌される。β-エンドルフィンは脳内麻薬の一種で、モルヒネに比べて6.5倍の鎮痛作用がある。

シナプス

2008-03-15 09:38:07 | 解剖生理学(脳神経系)
シナプスとは、神経細胞間あるいは筋線維、ないし神経細胞と他種細胞間に形成される、シグナル伝達などの神経活動に関わる接合部位とその構造である。化学シナプス(小胞シナプス)と電気シナプス(無小胞シナプス)、および両者が混在する混合シナプスに分類される。シグナルを伝える方の細胞をシナプス前細胞、伝えられる方の細胞をシナプス後細胞という。

神経細胞(ニューロン)

2008-03-15 09:33:55 | 解剖生理学(脳神経系)
神経細胞(ニューロン)は、神経系を構成する細胞で、その機能は情報処理と情報伝達に特化しており、動物に特有である。

機能
神経細胞へ入力刺激が入ってきた場合に、活動電位を発生させ、他の細胞に情報を伝達することである。ひとつの神経細胞に複数の細胞から入力したり、活動電位がおきる閾値を変化させることにより、情報の修飾が行われる。

区分
・細胞核のある細胞体
・他の細胞からの入力を受ける樹状突起
・他の細胞に出力する軸索
*前の細胞の軸索終末と後ろの細胞の樹状突起の間の情報を伝達する部分には、微小な間隙を持つシナプスと呼ばれる化学物質による伝達構造が形成されている。

細胞小器官

2008-03-15 08:55:53 | 解剖生理学(身体の発生)
細胞小器官とは、細胞の内部で特に分化した形態や機能を持つ構造の総称である。細胞内小器官や細胞内器官、あるいは細胞器官、英名であるオルガネラとも呼ばれる。細胞小器官が高度に発達していることが、真核細胞を原核細胞から区別している特徴の一つである。

どれを細胞小器官と呼ぶべきかという議論は諸説あり以下の通りである。
 核、小胞体、ゴルジ体、エンドソーム、リソソーム、ミトコンドリア、葉緑体、ペルオキシソーム等の生体膜で囲まれた構造体だけを細胞小器官と呼ぶ説。

 ①に加え、細胞骨格や、中心小体、鞭毛、繊毛といった非膜系のタンパク質の超複合体からなる構造体までを細胞小器官に含める説。

 ①、②に加え、核小体、リボソームまで細胞小器官と呼んでいる説。

ミトコンドリア…ATP(アデノシン・三リン酸)を合成。ATPが分解して1個のリン酸が取れるときにエネルギーが発生する。
ライソゾーム…不用物・異物の消化分解。
中心体…細胞分裂などのとき紡錘糸を形成して染色体の移動に関与する。
リボゾーム…タンパク質の合成。