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参照。

心臓の刺激伝導系

2009-01-30 10:21:01 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
刺激伝導系とは、心臓の拍動のための仕組みで、心臓の筋肉の中を走る一方通行の電線のようなものである。

心臓の筋肉の一種だが、普通の筋肉とは異なり、筋肉が収縮するための電気信号をすばやく伝え、さらに自ら電気信号を一定の間隔で発生する能力を持っている。

右心房にある洞結節(どうけっせつ)というところが、刺激伝導系の開始点である。この洞結節は、何も刺激を受けなくても、一定時間ごとに繰り返し電気信号を発生する。これが私たちの心臓の脈の速さを決めている。

洞結節で発生した電気信号は、心房の筋肉を伝わって房室結節(ぼうしつけっせつ)へ伝わる。このとき、心房の筋肉は収縮し、心房の中に溜まっていた血液は心室へと送られる。

電気信号を受け取った房室結節は、わずかな時間だけ待ってから、心室へと向かうヒス束(そく)へ信号を伝達する。こうして信号の伝達を少し遅らせることで、心房が収縮しきる前に心室が収縮し始めてしまうことを防ぐことができる。

伝導系は、ヒス束から左脚、右脚の2つに分かれた後、さらに細かく枝分かれ(プルキンエ線維)して、心室の筋肉全体に電気信号を伝える。こうして心室の筋肉は収縮し、心室の中に溜まっていた血液を力強く心臓から全身へと送り出す。
刺激伝導系の電気信号の流れ

洞結節 → 心房の筋肉 → 房室結節 → ヒス束 → 左脚/右脚 → プルキンエ線維

電気信号発生   心房収縮   伝達時間を遅らせる   心室収縮



刺激伝達系の信号は、正常の場合には一方通行である。順番を逆にさかのぼって電気信号が伝わることはない。心臓の筋肉の収縮も、血液の通り道と同様に、「心房から心室へ」の順番が正しく守られている。

リンパ液循環

2009-01-29 22:10:29 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
リンパ液循環は盲管(一端が閉じている)で始まる。これは表面の透過性が高い毛細リンパ管で、組織液の圧力が十分に高いとき液が互いの間を通過できるようにボタンのようなつなぎ目をもった内皮細胞から作られている。これらボタンのようなつなぎ目は血小板内皮細胞接着分子-1(PECAM-1)のようなタンパク質フィラメントからなる。ここに配備されているバルブ系は、吸収したリンパ液が組織液のほうに漏液しないようにする。管の内腔に沿ってリンパ液が逆行しないようにする半月弁の系がもう一つある。毛細リンパ管は互いの間を接合するものを多数もっており繊細なネットワークを形作っている。


運動の際に起こる、管壁のリズムをもった収縮も、液がもっと小さなリンパ管、つまり毛細管に引き込まれるのを助けるようだ。組織液が組織に腫れをもたらす場合、浮腫と呼ばれる。体に張り巡らされた循環経路の系がつながって行くうち、液は次第に大きなリンパ管へと運ばれ、最後に右リンパ本幹(体の上半身のリンパ液に対して)および胸管(体の残りの部分のリンパ液に対して)に達する。両管とも右および左鎖骨下静脈で循環系に液を運び込む。この系はリンパ節の白血球と協同し、体を、がん、カビ、ウイルス、細菌の感染から防いで守る。この系は二次循環系として知られている。

毛細リンパ管はリンパ液をより太い収縮性のリンパ管に移す。このリンパ管は弁も平滑筋ももっている。これらは集合リンパ管と言われる。集合リンパ管がより多くの毛細リンパ管から、割り当てられた役目であるリンパ液収集を行ううち、これらはもっと太くなる。そしてリンパ節に入っていくので輸入リンパ管と呼ばれる。ここでリンパ液はリンパ節組織で濾過され輸出リンパ管に送り込まれる。輸出リンパ管は(右リンパ本幹あるいは胸管)のようなリンパ管に直接つながるものがあるし、輸入リンパ管として、他のリンパ節につながるものもある。右リンパ本幹、胸管は鎖骨下静脈に流入してリンパ液を血流に戻す。

再生不良性貧血

2009-01-29 07:18:56 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
【病態】  再生不良性貧血は、骨髄中の造血幹細胞の減少により造血能力が低下し、末梢血中の全ての血球が不足する疾患である。血球が不足する結果、貧血症状や感染による発熱、出血などが起こる。原因には、先天性と後天性の両方がある。

【症状】  再生不良性貧血では、初期の段階では自覚症状はほとんどなく、ある程度病状が進行してくると息切れや動悸、眩暈、出血傾向、顔面蒼白、皮下出血、眼底出血などの症状が現れる。

 再生不良性貧血の重症度は、顆粒球や血小板、網赤血球の数により、軽症、中東賞、重症の三段階に分類されている。軽症や中等症では自然治癒もある。重症の場合、造血能回復治療などで90%以上の患者は回復するが予後不良の場合もある。


【統計】  現在、日本における再生不良性貧血の患者数は約5000人と推定され、特定疾患に指定されている。

出血性貧血

2009-01-29 07:16:17 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
【病態】  出血性貧血は、急性あるいは慢性の出血により血液が失われ、これに対して骨髄での赤血球の産生が追いつかない場合に生じる貧血である。

 大怪我や喀血、吐血、下血などで大量出血すると急性貧血になるが、全血量の1/3が失われると「ショック症状」が起こる。

 また、胃や十二指腸潰瘍、胃・大腸癌、潰瘍性大腸炎などで少量ながら継続的な出血があると慢性出血性貧血となる。貧血の中では鉄欠乏症貧血が最も多く、出血性貧血がそれに次いで多く見られる。特に、女性では、毎月の月経や出産時の出血でも出血性貧血の症状がでてくる。

【症状】  貧血が起こると、赤血球による酸素運搬能力が低下するので、これを代償するために動悸や息切れの症状が出る。更に、全身倦怠感や食欲不振にもなる。

 症状が進行すると、爪が反り返るようになったり、物を飲み込めなくなる嚥下障害が出ることもある。

溶血性貧血

2009-01-29 06:54:09 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
溶血性貧血は赤血球寿命の異常な短縮に起因する、貧血症状を中心とした諸症状をきたす病態の総称で、貧血・黄疸・脾腫の3大主徴を特徴とする貧血と定義される。しかし、貧血のタイプや重症度により臨床像は幅広い変動を示し、基礎疾患がある場合はそれらによる症状・所見が加わり複雑になる。病因的には先天性と後天性に分けられる。前者は赤血球自体の異常によることが多く、そのほとんどが赤血球膜異常によるものである。後者は、赤血球以外(血漿中など)に病因があることが多いといわれている。

どんな病気か
 ヒトの赤血球には約120日の寿命があり、この寿命が異常に短縮した状態を、溶血と呼ぶ。赤血球の寿命が短くなっても、ヒトの骨髄(こつずい)では普通の状態の6~8倍、赤血球を作る能力があるため、その程度が軽い場合には貧血は起こらない。赤血球の寿命が15~20日より短くなって、初めて貧血が起こる。
 溶血性貧血は、先天性のものと後天性のものとに分けられる。先天性では、赤血球そのものの異常が溶血の原因だが、後天性の溶血性貧血は、発作性夜間血色素尿症(ほっさせいやかんけっしきそにょうしょう)などの一部を除いて、赤血球に対する抗体や、血管壁の異常などの赤血球以外の異常によって起こる。
 下図は溶血性貧血の分類を示している。先天性では遺伝性球状赤血球症が、後天性では自己免疫性(じこめんせきせい)溶血性貧血が、それぞれの過半数を占めている。溶血が起こる場所には、血管のなかと、脾臓(ひぞう)をはじめとする網内系(もうないけい)組織との2種類がある。


原因は何か
 最も頻度の高い自己免疫性溶血性貧血では、赤血球を壊す自己抗体が体のなかにつくられてしまうことが原因である。ウイルス感染や、薬剤の使用に引き続いて起こることもあるが、ほとんどの例で誘因は不明である。全身性エリテマトーデスのような膠原病(こうげんびょう)や悪性リンパ腫を合併している例もある。
 また、血管壁の病的な変化や、外部からの物理的な力によって赤血球が壊されて起こるタイプの溶血性貧血(赤血球破砕(せっけっきゅうはさい)症候群)もある。
 先天性の溶血性貧血では、遺伝子の異常のために赤血球の膜をつくっている蛋白や酵素に異常があるため、赤血球が壊れやすくなっている。


症状の現れ方
 溶血性貧血では、動悸(どうき)・息切れ・疲れやすさなどの通常の貧血症状に加えて、黄疸(おうだん)がみられることが特徴。これは、壊れた赤血球内のヘモグロビンが体内で大量に処理された結果、間接ビリルビンという黄色の色素が体内で増えるためである。同時にこのビリルビンは尿中にも排泄されるため、尿の色が濃くなったり、血管内溶血の場合には赤色やコーラ色の尿が出たりすることもある。溶血が慢性化すると、このビリルビンが胆嚢(たんのう)にたまるため、結石ができやすくなる。
 伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)(りんご病)の原因ウイルスであるパルボウイルスB19が溶血性貧血の患者さんに感染すると、急速に貧血が進行することがある。
 溶血性尿毒素(ようけつせいにょうどくそ)症候群や血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などの赤血球破砕症候群では、貧血症状に加えて発熱、腎障害、意識障害などがみられる。

血栓症2

2009-01-28 21:57:52 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
血栓症のメカニズム
血栓症とは、血の流れ血流をとめることによって、血液の中に血の塊ができること。
この塊で正常に血液が流れなくなり、いろいろな障害をおこすことになる。人間の体は頭から足の先まで血が流れています。血の塊があることで、血の流れを止めてしまい塊から先へは血が流れなくなる。

血栓症の原因
血栓症は生活習慣病といわれている。最近では不規則な生活・食生活から血栓症になるケースが増えている。血栓症で一番知られているのが、飛行機でおこるエコノミー症候群は、長時間同じ姿勢でいることで血の流れを妨げてしまう。これも血栓症のひとつと言われている。
また、老化とともに血栓症はおこりやすいと言われている。喫煙やアルコールなども血栓症を引き起こすこともある。喫煙されているかたは、特に指先などが冷たくなったり、時間をおいたあとタバコを吸うと頭がクラクラしたりする。これはタバコの中のニコチンが血の流れを悪くしているといわれている。血の流れを遅くすることで塊が非常にできやすくなる。
この血の流れを妨げることで、血行不良でおこる冷え性や肩凝り、肌荒れなどや高血圧、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病などになることがある。一番こわいのが心臓への負担である。血栓症により心筋梗塞などの危険性もでてくる。

血栓症予防
血栓症は、現代での生活にかかわる病気である。血栓症にならないためにも生活習慣からきちんとする必要がある。規則正しい生活は絶対条件ですが、食生活でいうとバランスのとれた食事に適度な水分補給も重要である。人間のからだのほとんどが水なので、汗をかいたり乾燥したりといろいろある。このことから上手に水分補給をすることで、血栓症の血栓ををできにくくすることになるので、水分補給も大変重要である。
また、適度な運動をすることで、体の代謝も良くなるので血の流れもよくなる。激しい運動をするのではなく有酸素運動などの軽いもので十分である。何事も続かなくては意味がないので、できるだけの範囲で規則正しい生活をこころがける。


ドロドロ血

2009-01-28 16:32:16 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
ドロドロ血液の原因
過労・睡眠不足・ストレス、喫煙や糖分やアルコールの過剰摂取などの生活習慣がドロドロ血液の原因。

血液ドロドロの3つの原因
赤血球がうまく変化しなくなる
糖尿病などで血液中の糖分が過剰となったり、悪玉コレステロールが増えたりすると、赤血球の変形能力が低下してしまう。
血液ドロドロ化の原因のひとつは、この赤血球の変形能がうまく機能しなくなることがあげられる。

白血球がくっつきやすくなる
ストレスなどの要因によって、白血球の粘着性が高まり、血液が流れにくくなってしまう。
血小板が固まりやすくなる
ドロドロ血液による悪循環
さらにドロドロ血液は生活習慣病(特に高血圧や高血糖、高脂血症)とも関係がある。血液は順調に流れていれば血圧が高くなる事はないが、血液がドロドロになり血管が細くなる事で流れにくくなると、血管にかかる負荷が増し血圧が高くなる。また、血圧が上がるほど血管や血球にかかる負荷が増し、傷つきやすくなる事で血液はさらに粘り気を増してしまう。

血糖値が高くなると血液中の糖と赤血球が結びつき、赤血球の表面が覆われて柔軟性が失われてしまう。赤血球は形を変えながら狭い毛細血管にも入っていくため、柔軟性がなくなる事で血流が悪くなったり、毛細血管を詰まらせたりする。また血漿に溶けているタンパク質も糖と結びつく事で血液の粘度を高める。血液中の中性脂肪やコレステロールが高い状態が続くと、白血球や血小板がくっつきやすくなってしまう。また血管内に付着し血流を妨げるほか、血管の柔軟性をなくし動脈硬化の原因にもなるため、血液はどんどん流れにくくなる。

このように生活習慣病がドロドロ血液の発端となり、ドロドロ血液が生活習慣病を促進させるという、悪循環が起こってしまう。

血小板形成

2009-01-08 08:00:48 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
血小板とは、骨髄の巨核球 (megakaryocytes)の細胞質がちぎれてできたもの。当然、核はなく、大きさはまちまち。

巨核球と血小板形成:巨核球は球形または卵形の直径30-100μmの大型の細胞で、表面に不規則な突起を出す。核は複雑に分葉し、染色質網が粗く、核小体が多い。成熟すると、細胞質に微細な顆粒が多数、出現する。顆粒は1層の限界膜に包まれた径200-300 nmの電子密度の高い顆粒で、Azur好性である。顆粒の出現と同時に多数の小胞が現れ、それらが増加・融合して連なり、分離膜 (platelet demarcation membrane)を形成する。分離膜は網状に広がって細胞質を多くの区域に分ける。
次に、巨核球は突起を延ばし、その突起が類洞内皮(細胞間隙または細胞質の穴)を通り抜けて類洞内腔に達する。

まず、突起の一部が細胞体から離れ(前血小板となる)、次に離れた突起の中で分離膜によって分けられていた細胞質の各区域が、分離膜が次々と融合してゆくことにより完全に分かれ、血小板となる。


巨核球の起源:幹細胞-> 巨核球前駆細胞-> 巨核芽球-> 巨核球となる。巨核芽球から 巨核球になる際、細胞質が分裂せずに核分裂だけが起こるため、分葉核となる(多くが16n-32n)。

類洞内皮に延びだした巨核球の突起からは1回に、約2,000個の血小板ができる。この過程を4回ほど繰り返すうちに、細胞質がなくなって、巨核球は死滅する。

脾臓

2009-01-03 14:12:37 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
 

 脾臓は腹部の左上にあり、肋骨(ろっこつ)の下に隠れているため、通常触れることはできない。大きさは握りこぶしくらいで、重さは約120g。

 脾臓には胎児期まで血液を造る働きがありますが、生後、成長とともにその働きは骨髄が担うようになる。

 脾臓は外側の赤脾髄と内側の白脾髄という組織からできており、脾臓が暗褐色に見えるのは赤脾髄が血管に富んでいるからである。

 赤脾髄は血液のろ過を行っており、古くなった赤血球をせき止めて貪食(どんしょく)、破壊する役割がある。赤血球は全身に酸素や栄養素を運び、不要な二酸化炭素を排出する重要な働きがあるが、赤血球の寿命は約120日といわれ、古くなるとこの働きが正常に行われなくなるため、古いものは処分され、新しい血液が造られる。その処分を行っているのが脾臓である。また、処分した血液から造血に必要な材料を取り込み、必要なとき(不意の出欠や酸素が必要なとき)に供給する。 
 白脾髄は免疫系に関与するBリンパ球を産生しており、リンパ球は血液中に侵入した細菌や異物をキャッチすると貪食したり、それらに対する抗体をつくる働きがあり、健康を維持するために重要な防衛機能のひとつである。

  血管や神経が出入りする部分を脾門(ひもん)という。

2008-12-28 04:32:54 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
◆鉄とは
  鉄は体の中に3~4g存在する、赤血球をつくるのに必要な栄養素。

◆どんな働きがあるか
  体内の鉄は、その約70%が血液中の赤血球をつくっているヘモグロビンの成分になっていて、約25%は肝臓などに貯蔵されている。ヘモグロビンは、呼吸でとり込んだ酸素と結びつき、酸素を肺から体のすみずみまで運ぶという重要な働きをしている。

◆どんな食品に多く含まれているか
  鉄の多い食品といえばレバーを思い浮かべることが多いようだが、そのほかにも魚、貝、大豆、緑黄色野菜、海草など、鉄を豊富に含む食品はたくさんある。
  食品中の鉄の種類には、肉・魚・レバーなど動物性食品に含まれるヘム鉄と、野菜・海草・大豆など植物性食品に含まれる非ヘム鉄がある。国民健康・栄養調査結果によると、私たちの口に入る鉄は非ヘム鉄の方が多いようだが、ヘム鉄の方が非ヘム鉄より吸収がよいという点で鉄を摂取したい人に効果的である。また、食事からの摂取が難しい場合ではサプリメントを利用するという手段もある。一方、非ヘム鉄はビタミンCや動物性たんぱく質といっしょにとると、その吸収効率をアップできることが知られている。つまり、野菜・海草・大豆には、果物・肉・魚を組み合せるとよいということである。
  以上のことをふまえ、ひとつの食品に偏らず、日々の食生活の中でいろいろな食品から鉄を十分にとるようこころがけること。

◆どれくらいとったらよいか
  不足すると、赤血球をつくる材料がないため鉄欠乏性の貧血になるおそれがある。貧血になると血液は酸素を十分に運べないので体が酸素不足になり、頭痛がしたり、すぐ疲れたりといった症状がでる。また、心臓はこれを補ってフル回転するので、どうき・息切れをしやすくなる。女性は月経による出血や妊娠・出産によって鉄が失われる分、男性よりたくさん必要である。成人女性の5人に1人が鉄欠乏性貧血であるといわれ、また中学・高校の女子生徒の貧血有病率が増加していることから、食生活を見直すと同時に必要な鉄をきちんと摂取することが重要である。
  一方、鉄のとり過ぎは通常の食生活ではほとんどないが、鉄剤やサプリメントなどから誤って大量摂取した場合は鉄沈着症などの過剰症がみられるため、摂取量などに十分に注意して適切なご利用をこころがけること。

心臓

2008-12-26 11:56:46 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
心臓は前中隔の左右の肺の間にある。心臓は2重の袋(心嚢:Pericardium)につつまれており、心臓自身も横紋筋の袋でできている。心臓の重さは約270gで大きさは人の握りこぶし程度である。心嚢内には漿液があり、摩擦を防いでいる。

1.心臓の構造
心臓は隔壁によって左右に分けられ、さらに弁膜によって 心房と心室に分かれている。これによって右側には右心房(Right atrium)と右心室(Right ventricle) 、左側には左心房(Left atrium)と左心室(Left Ventricle)がある。右心房と右心室の間には三尖弁と呼ばれる3つの弁尖からできている。また、左心房と左心室の間には僧帽弁があり、2つの弁尖からできている。同様に右心室と肺動脈の間には肺動脈弁、左心室と大動脈の間には大動脈弁がある。
 全身を循環し、低酸素、高二酸化炭素となった静脈血 は上・下大静脈から右心房に入り、三尖弁を介して右心室 に入る。心臓のポンプ作用によってこの静脈血は肺動脈弁を介して肺動脈へ入る。肺動脈から肺に入った血液は 肺でのガス交換によって高酸素、低二酸化炭素の動脈血になり、肺静脈から左心房へ帰る。この経路を肺循環(Pulmonary circulation)という。左心房から僧帽弁を介して左心室へ入った動脈血はポンプ作用によって大動脈から全身へと流れる。この全身にいたる経路を体循環(Systemic circulation)という。



血液

2008-04-01 17:13:11 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
ヒトの全血液量は体重の約1/13である。
血液の細胞成分は血球で、液状の間質を血漿という。
血球は全血液量の約45%である。
血漿の約90%は水である。
体液量は年と共に減少する。
凝固しないように処理した血液を放置すると上澄みの血漿と下に沈殿した血球に分かれる。

血液を試験管に入れ放置すると、凝固して沈殿物(血餅)と液体(血清)に分かれる。血餅は細胞成分(赤血球、白血球、血小板)と線維素からなる。これをさらに遠心分離すると、血清(血液が凝固して上澄みにできる淡黄色の液体成分)と血餅を完全に分離できる。

血液から細胞成分を除いたものを血漿(けっしょう)といい、血漿から線維素原と凝固因子を(凝固によって)除いたものが血清である。

動物(馬など)に、毒素を無毒化・弱毒化した上で注射し、毒素に対する抗体を作らせる。血清療法は、この抗体を含む血清を、病気の治療や予防に用いる方法である。例えば、ニホンマムシやハブの毒素に対する抗体を、馬に作らせる。マムシ等による咬傷の際、この血清を患者に投与して治療する。ただし、馬血清はヒトにとって異物であるので、投与の際にはアナフィラキシー・ショックと遅延型アレルギーに対する十分な注意が必要である。

【組成・成分】
血球成分(細胞性成分)と血漿成分(液性成分)からなり、その比率は 45:55 である。また、血球成分は赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成される。血漿成分は水分96%、血漿蛋白質4%、そのほか微量の脂肪、糖、無機塩類で構成される。大きな分子を除いた残りのものの組成は、古代の海水に近い


【主な役割・機能】
血液ガス、すなわち酸素および二酸化炭素の運搬
糖、脂質、アミノ酸、タンパク質等のエネルギー基質(栄養分)の運搬
各種ホルモンの運搬(全身の情報・指令伝達)
免疫機能
体温運搬
組織で産生された代謝産物を肺、腎臓などの排泄器に運搬する
体内に分布する化学受容器、圧受容器に適合刺激を与える
体液の浸透圧、pHを調節する

【循環】
●体循環(大循環といい約50~60秒で循環する
 体の各組織に酸素と栄養素を送り、二酸化炭素や老廃物を受け取って心臓に戻す経路である。
 心臓→動脈→肺以外の全身→末梢部毛細血管→静脈→心臓(肺循環に続く)
●肺循環(小循環といい約4秒で循環する)
 肺で二酸化炭素を放出し、酸素を取り入れる経路である。  
 心臓右心室→肺動脈→肺→肺胞部毛細血管→肺静脈→心臓左心房(体循環に戻る)
(血液が上記のように全身を循環している事は、ウィリアム・ハーベイにより1628年に提唱された)

血液のうち、血球成分は骨髄内の造血細胞で生産される。血球毎に寿命は異なるが、赤血球の場合、約120日で寿命を迎え、老廃した赤血球は肝臓、脾臓で壊され、体外に排出される。ただし赤血球中のヘモグロビンは排出されず、再利用される。

血管の構造

2008-03-29 12:22:17 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
血管は、内膜、中膜、外膜の3層からなっている。動脈の壁は拍動性の血流と血圧に耐えられるよう厚く弾力があり、内部の圧が減っても丸い形が保てるようになっている。静脈の壁は薄く柔らかい。

動脈…心臓から出た血液を末梢(まっしょう)に運ぶ血管で、全血液の20%が流れている。中膜の平滑筋(へいかつきん)と弾性線維(だんせいせんい)により伸縮性と弾性がある。末端は枝分かれして細くなっており、これを細動脈という。

静脈…毛細血管に続き、血液を心臓に送り返す血管で、中膜の平滑筋が少なく弾性も乏しくなっている。始まりの部分は細静脈という。場所により内膜に半月状の静脈弁を持ち血液の逆流を防いでいる。皮下組織内を走行する静脈を皮静脈と総称している。

毛細血管…細動脈と細静脈とを結ぶ網目状の血管で最も細い血管(5~20μm)である。壁は単層の内皮細胞からなり、平滑筋はない。壁の細胞のすきまを通して、血管内の血液中と組織間で、栄養素、酸素、二酸化炭素、老廃物(ろうはいぶつ)などの物質交換が行われる。

リンパ系

2008-03-29 12:14:27 | 解剖生理学(循環器・血管・血液系)
リンパ系は、リンパ器官(リンパ節、リンパ管、胸管など)からなる複雑なシステムで、リンパ液の生成及び、組織から循環系への移動にあずかる。また免疫系において大きな役割をはたす。

リンパ系には以下の3つの機能があり、これらは相互に関係がある。

・組織から余剰になった液を取り除く
・消化吸収された脂質を循環系まで運ぶ
・免疫担当細胞(リンパ球、単球、抗体を産生する形質細胞)の産生

リンパ液の元は毛細血管から漏出した血漿が細胞間隙にて組織液となったものである。血漿は静水圧によって毛細血管から押し出され、組織液に混じる。ほとんど(90%程度)の組織液は浸透圧によって血管内に戻るが、一部(10%程度)は細胞間に残り、組織液の量は次第に増加することになる。その結果余剰が生じ、余剰部分はリンパ管の中に拡散し、リンパ系によって循環系に戻されることになる。要するに、リンパ液はリンパ系にとりこまれた組織液そのものである。

リンパ液の循環
リンパ系は第二の循環系として機能している。リンパ系ではリンパ節の白血球が体を癌細胞、真菌、細菌、ウイルスから守っている。ポンプ(心臓)を中心とした閉じた管からできている血管系と違って、リンパ系は開放循環系である。リンパ系にかかる圧力は低く、液の流速も遅い。リンパ系の圧力は蠕動、骨格筋の収縮によってもたらされ、リンパ管には静脈と同じく、逆流防止の半月弁がある。リンパ液の移動は主に骨格筋の収縮を原動力とするが、周期的な管壁の収縮もリンパ液のリンパ管への移動を助ける。毛細リンパ管は集合しつつ次第に太くなり、右の上半身からのリンパ液は右リンパ管に、他の部位からのリンパ液は胸管に集まる。これらは右及び左の鎖骨下静脈に流れ込み、血液循環系と合流する。

脂質の運搬
リンパ管は 乳糜管とも呼ばれ、消化管の表面に沿って分布する。小腸で吸収された栄養素はほとんどが肝門脈を通って肝臓に流れ込みそこで処理されるが、脂質はリンパ液に乗って胸管を通り静脈まで運ばれる。小腸からの脂質を多く含むリンパ液は乳糜と呼ばれる。脂質は一旦体循環に乗った後で肝臓において処理される。

リンパ器官
リンパ器官を構成する付随的なリンパ組織には胸腺、脾臓、リンパ節、パイエル板、扁桃、虫垂、赤色骨髄がある。これらの器官を足場にして、B細胞やT細胞、及びマクロファージ、樹状細胞など他の免疫細胞が体を循環する。他にも、細網内皮系と呼ばれるものがある。病原体が体内に侵入したり、体が抗原(スギ花粉のような)に晒されたりすると、抗原がリンパ液に移動し、リンパ液はリンパ管を通って近傍のリンパ節に運ばれる。リンパ液の中の細菌、癌細胞といった異物はリンパ節で除去される。マクロファージおよび樹状細胞が病原体を貪食・処理し、リンパ球に対して抗原提示を行う。病原体を認識するとリンパ節は腫大し、産生された免疫細胞が新たに加わって生体防御にあたることになる。

一次リンパ性器官(骨髄、胸腺) 血液(血漿、リンパ球)の産生器官
二次性リンパ器官(脾臓、扁桃腺、所属リンパ節など) 生体防御器官