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一日も早い回復をお祈りいたします

25日の続き

2007-06-26 13:59:24 | ラジオ

~れいこさんの部屋
「何かいいね~、この雰囲気。停電も悪くないね。」
「思い出します。」
「ん?」
「家族3人で 海に行ったこと。」
「ここから車で1時間くらいの くがしま海岸。」
「くがしま・・。つじがさき の隣ね。」
「お母さんが 育ったところです。」
「そうなの。」
「去年の夏3人で 行きました。夜 砂浜をお散歩してたら、急に雨になって お母さんが いい雨宿りの場所があるって 古い木の小屋に連れていってくれました。」
「そこは 漁師さんが休む所で ラジオとロウソクが ありました。」
「ラジオから音楽が流れて お母さんがロウソクに火をつけて。私 ロウソクに てらされた お母さんの顔を見て 胸が苦しくなりました。」
「言いたいことが 沢山あると 思ったんです。今 伝えないと・・って。」

「何を言いたかったの?」
「分かりません・・。ただ・・。」
「ただ?」
「ありがとう と言うことだと思って。」
「ありがとう?」
「お母さんは いつも自分の事は 後回しにして お父さんや私の事を考えてくれました。病気の事も 誰も知らずに。」
「今日 お父さんから聞いたよ、亡くなったんだって、お母さん。」
「はい・・。」
「いい お母さんだったんだね。」
「いつも 一緒にいると思っていたのに 突然いなくなって しまいました。」
「どうして、言わなかったんだろう・・、ありがとうって。」

(れいこ)
急に けいごさんの顔が浮かんだ。
毎月 弟の借金を少しずつ払いに来てくれた けいごさん。
私は いつしか お金の事よりも 彼が家に来てくれる事が嬉しくて、
正直 借金の事は どうでもなれ・・と思っていた。
いざとなったら・・。


「雨が上がって海岸に出ると 大きな丸い月が出ていて 星がたくさんあって、
ラジオから音楽が流れてて なんていう曲だったかな?
お母さんが この曲大好きだと言って。『ねえ あやか いい曲ね。』って。」
「どんな曲?」
「分からない・・、ちゃんと思い出せない。」
「ねえ れいこさん。お母さんの事も こんな風に忘れていっちゃうのかな。」
「そんな事ないよ。」
「お母さんは 今でも ここにいる。何より あやかの心に いるって お父さんは言ったけど やっぱりいないんです。
だって 聞きたいことが、言いたいことが あっても 届かないんだもん。」
「あやかちゃん・・。」
「もう一度 お母さんに会いたい。(涙)」

きっと今まで 泣かないで きたんだね。
言葉は きっと届くよ と言ってあげたかったけど何も言えなかった。


(くどうあかね)
名前を思い出した。
さまじまけいご。
自分が くどうあかね と言う仮の名前で生きているから(人の名前は)よく覚えている。

「あなたの名前 さめじまけいご よね?」
「・・なんで?」
「タクシーのネームプレート。」
「そうか。」
「なんで40万 必要なの?」
「それは どうしても300万必要だから。」
「じゃあ、なんで 私に300万要求しないの?」
「それは・・、郵便局で・・。」
「まさか・・よね?」
「オレは もうとっくに 犯罪者なんだ。」
「あの郵便局を襲ったのは あなた?どうして・・?」

「弟が とんでもないチンピラで 女性から金を騙し取っていて。
結局 組から消されたけど その女性の1人が 弟の借金で ヤバイ事になってるんだ。」
「弟さんが作った借金を あなたが犯罪をしてまで 返すの?バカみたい。今時 そんな人がいるなんてね。人は人。自分は自分じゃない。」
「・・それは 人生相談をやってる くどうあかねが 言っているのか、本当のあんたが 言っているのか?」
「本当の私?何 本当の私って。」
「いや、ただ 口をついて 出ただけだ。ただ オレはタクシーで あんたの人生相談を聞くたびに 思ってた。この人無理してるなって。」
「バカな事言わないでよ! 人の家に強盗で入り込んでる あんたに言われたくないわよ。」
「そうだな。」

「その女性のこと 好きなんでしょ。」
「そんなんじゃ ねーよ。」
「分かりやすい人ね、きれい事言ったって ダメ。」
「オレは ただ れいこさんに 申し訳ないだけ・・。」
「れいこって 言うんだ。」
「あっ・・(汗)。」
「その お金 ほんとに返さなくちゃいけないの?酷い利率で 貸すのは 法律違反だから 法的手段で・・。」
「そんな事が通じる相手じゃないんだ。取り立てが すごくて明日中に返さないと れいこさんが・・。」
「バカみたい。」
「だから あと40万。」
「40万あげるわよ。電気がついたら 持っていって いいわ。」
「れいこさんに渡したら 自首するよ。」
「警察に40万どうした?って聞かれたら?」
「自分で賭け事に使ったって言う。」
「れいこさんが 正直に話したら?」
「そんな事は させない。」
「私が 話したら?」
「あんたは 話さないよ。」
「どうして?」
「いい人・・だからさ。」
「バカじゃない?私が いい人?」

(くどうあかね)
自分でも 意外だった。どうしてこんな犯罪者相手に 私の心は動いてしまうのか?

「あ・・。」電気が 戻った。
さめじまの顔は 青白く やつれて見えた。
彼は ゆっくり私に近づき 手足を縛ってたビニールテープを剥がした。

「40万・・。」
私は さめじまに40万渡した。彼は 部屋を出て行った。
携帯電話で 警察に電話しようかと 一瞬思ったが 止めた。

(ラジオ)
臨時ニュースです。ふじみ町郵便局の・・・、
容疑者は タクシー運転手の さめじまけいご・・。


(れいこ)
あやかちゃんは 部屋に戻った。
その時 部屋のラジオから
「ふじみ町郵便局を 襲った・・、タクシー運転手のさめじまけいご 35才は・・。」


・・ここで6話が 終わりです。
中学生のあやかちゃんが 泣けます・・(涙)。
あの話題は 誰も太刀打ち出来ないなーと思いました。
映画の“よみがえり”みたいなので 合わせてあげたいです。

今日 放送分は そろそろ あゆみちゃん(まりこさん)も 出てこないかな~。
このところ 心配しているゆういちくん(川久保くん)だけなので 
二人の会話が 聞きたいです。



6/25 の放送

2007-06-26 11:48:07 | ラジオ

青春アドベンチャー ラジオの前で 6話

(ゆういち)
その夜 午後10時ごろ 関東地方に大型の台風が上陸した。
オレ さえきゆういちは 部屋にいた。
まりこさんの事を考えながら ラジオを聞いていた。

この時間に いったい何人の人がラジオをつけているんだろう?

みんな だれと どこで ラジオを聞いているんだろう?


(弁護士のくどうあかね)
タクシー運転手は 私のマンションに入るなり
私の口をふさぎ
「大人しくしてください。手荒なマネはしませんから。」
と言った。
男は 片方の手で 鍵をしめた。
男は カッターナイフで 私を脅しながら用意していたビニールテープで 私の手足を縛った。
(ラジオ)
たった今 入ったニュースです。ふじみ町郵便局 強盗事件ですが、
この郵便局の監視カメラが・・、
(雷が落ちる)

(あかね)部屋の電気が消えた。 停電だ。
部屋が 真っ暗になった。
「変なことしたら タダじゃおかないわよ!」
「用事がすんだら すぐに出ていくよ。」
「なんなの?近づかないでよ!」
私は 逃げようとしてバランスを崩し テーブルに足をぶつけた。
「あっ・・。」
「どうした?大丈夫か?」
「足を・・、平気よ!こっちまで こないで!」
「命まで 取ろうなんて 考えてない。」
「じゃあ-、何!」
「・・さすがに 肝が据わっているんだな。」
「じゃあ何?脅し? 私に恨みでもあるの?」
「ない。」
「あの 嫌がらせメールあなたね!」
「何の事だ。オレは 知らない。」
「じゃあ・・?」
「金だ。40万出せ。」
「は、ははは、よんじゅうまん?(笑)たった それっぽちで犯罪を犯すの。」
「いいから(怒)、40万用意してくれ。あんたには 40万でも オレにとっては どうしても必要な金なんだ。」
「いいわ、要求は それだけ?」
「ああ。」
「ただ、今すぐ 警察に連絡されると困る。」
「今じゃなきゃ いいの?」
「いい!はやくしろ!」

(くどうあかね)
弁護士という仕事がら 色んな犯罪者を知っている。
ただ、この男は 少し雰囲気が違う気がした。

「お金、電子金庫に入れているのよ。停電直るまで 待ってくれる? きっとすぐ つくわよ。」
「今 財布に入っているだけでもいい。」
「焦らないほうが いいわよ。エレベーターも止まっているし、あなたが階段で この43回から降りているうちに 携帯電話で通報すれば 下で 御用なのよ。」
「・・通報してもいい。でも1日、いや明日の朝まで 待ってくれ。そうしたら 自首する。」
「私の40万は?」
「勝手に使ってしまったと言う。」
「変な話ね、分からないわ。」
「いいんだっ、分からなくていい!」
「40万出して それはないわよ、説明して!なぜ40万必要なのか?」
「あんたには 関係無いはずだ。」

(れいこ)
夜10時すぎ いきなり停電した。
ちょうど けいごさんの事を考えていたから ドキっとした。
何も無ければ いいけど・・。

ノックの音がした。
手探りで 玄関に行く。
覗き窓から見ると 小さな人影が 見えた。「誰?」

「あやかです。れいこさん 開けてもらっていいですか?」
「あやかちゃん、帰ってきたのね。」
「れいこさん、私 怖い・・。」
「真っ暗だもんね、入って。」
「こっちに来て、暗いから 足元気をつけて。」「はい。」
「どこ 行ってたの?お父さん 心配してたよ。」
「ちょっと・・、ラジカセが壊れたんで 直してもらおうと思って。」
「そう・・。お父さんにメールしておいて。隣のおねえさんとこにいるって。」 

ちいさなラジオをつけた。
ろうそくに 火を灯し あやかちゃんと向き合った。
あやかちゃんは いつもより緊張してないような気がした。

次に続きます。