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~26日の続き
ピピピピ。(電話の呼び出し音)
「もしもし。」
「あ、もしもし はやみです。しのみやさん?」
・・嫌な予感がした。
刑事である はやみさんからの電話。
「すぐに やよい町の救急病院に こられますか?」
「何か?」
「さめじまけいごさんが 交通事故を起こして 緊急入院をしました。」
「え?!」
「お知りあいですか、しのみやさん。」
「すぐに行きます。」
(自動ドアが 開く音)
廊下の突き当たりに 数人のスーツを着た人が待っていた。
その中に はやみさんがいた。
「しのみやさん、安心して下さい。左足を骨折していますが 命に別状はありません。意識もしっかりしています。」
「すみません。」
「あのー、さめじまけいごは・・。」
「犯人・・なんですね。」「えぇ。」
「ニュースで聞いて びっくりして。」
「追跡している途中の事故でした。大事に至らなくて良かった。」
「彼は 悪くないんです、ただ私が・・。」
「ラジオ・・聞きました。伝言板。」 「まあ。」
「彼は 聞けなかった。」
「そうですか・・。」
「少しだけ 会いますか?」
「ありがとうございます。」
「けいごさん・・。」
そこに 横たわるけいごさんが いた。
頭に 包帯を巻いている。
彼は いつもの 優しい目で 私を見た。
「ごめんな、れいこさん。」
「え?」
「もう少しだったのに。」
「いいの、もう いいの。」
「あの260万は?」
「まだ、私の部屋にある。」
「え?」
「使えなかった。」 「れいこさん・・。」
「ごめんね、こんな私のために。」
「こんな なんて言うなよ、れいこさんは れいこさんだ。」
「あのさ、れいこさんが好きな くどうあかねさん いるだろ?」「うん。」
「その人に 40万借りたんだ。」
「もう、いい!」
「あの人 弁護士だから きっと力になってくれるよ。」
「私の事は いいから!」
「・・オレ やっぱり れいこさんの事が好きだ。くどうさんに言われて 気がついた。もう 弟の事は 関係ない。」
「私だって。・・私だって。」
「思いを伝えるのは 難しいな。」「うん。」
「遅すぎ・・たかな。」「ううん。」
(はやみ刑事)
私は 二人を残して病室を離れた。
そして 娘に電話をかけた。
「はい。」
「あ、もしもし あやか?」
「はい。」
「お父さんな、今夜も帰れない。」
「はい。」
「大丈夫か?」
「はい。」
「あやか・・。」
「何?」
「いや・・。じゃぁ。」
「はい。」
電話が切れる音
私は あやかに ちゃんと思いを 伝えられない。
言葉にできない。
でも、このままじゃ だめだ。
あやかに せめて 自分が 思っていること、それを言葉にして伝えないと。
~ジャズの音楽
「おじいちゃん・・。」
「ん・・、なんだ たろう?トイレか?」
「まだ 寝ないの?」
「あぁ、ううん。」
「ラジカセ・・直った?」
「あぁ~、直った、直った。なあ たろう。」 「うん?」
「おまえは まだ ちっちゃくて分からないかも 知れないが、大切なものはな、あっと言う間に 無くなってしまうんだ。」
「ぼくの お父さんや お母さんの事?」
「そうだ。だからこそ 大事なんだ、伝えるって事がな。」
「伝える・・?」
「言葉にして、後で後悔しないためにも。」
「よく 分からない・・。」
「ははは、そうだろうな。だが そのうち分かるよ。たろうも分かる。きっと分かる。さあ、もう おやすみなさい。」
(あやか)
お父さんからの 電話は 珍しかった。
何か・・言いたそう だった。
でも、私は 上手く話す事が 出来ずに すぐ電話を切ってしまった。
明日は 晴れるといいな。
お母さんのラジカセを 取りに あの おじいさんとたろうくんに会いに行こう。
ここで7話が 終わり。
ラジオの前で・・というタイトルだから みんな ラジオが きっかけなんですね。
実際は こんなにタイミング良く 聞けたりしない・・とか 思ってしまいますが、
(ごめん こんな事言って・・★)
それぞれ いろんな事が 起きるけど、優しい人ばかり。
夜に 聞くのも いいな~って ちょっと しんみりしてしまいます。
(私が 文字に写したのじゃ 伝わらないと思いますが、聞くと 実際は もっと いいです。)
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