創発企業経営

15年目の会社の経営、事業報告

ドラッカーと渋沢栄一 (2)

2012年09月08日 | 経営
ドラッカーの理念が日本で非常に人気がある理由は、日本的経営との共通点にあると思います。
 
ドラッカーは「経営とは人を幸せにする仕組み」であり、これを達成するには、企業(組織)を維持発展させ、利益を出し続けていくとが必要であるといいます。 そしてあらゆる組織は社会の機関であるといいます。
 
つまり「人を幸せにする」には、自己中心になりがちな経営姿勢を、顧客を第一とし、また従業員を大切にし、マーケティングとイノベーションを通じて社会に貢献、その結果として利益を得るという循環が必要になるということです。
 
日本の資本主義の父といわれる渋沢栄一の思想の基底には儒教的価値が存在します。 渋沢栄一は、幕末維新の変革後に早くも欲望に傾きすぎる資本主義の危険性を制御するために経済合理性を追求しつつ、経済活動に道徳を求めるという「経済道徳合一説」を訴えました。
 
渋沢栄一が暗記するほど学んだ論語の教えは、「いかにして安定した社会秩序を築き、組織や人の繁栄を継続するにはどのようにしたらよいか? 」 ということでした。
 
こうして2500年の時間を経て、ドラッカー、渋沢栄一、孔子(論語)という連関が浮かびあがってきます。
 
その根本は渋沢の言によれば「商業の目的は私利私欲でなく、公利公益たるべき」ということです。
 
しかし、個人は組織のために貢献し、最終的には社会が豊かになることが末永い社会の安定につながるという循環を切ってしまうことにより、世界中の人が不幸になる事件がありました。 リーマン・ショックに象徴される強欲資本主義といわれる自己中心的な行動です。 日本でも大幅な株価の下落が起こり、米国の失業率は2009年10月には10%を超え、その後の経済的影響は欧州に移行、欧州債務問題やギリシャ破綻危機を引き起こす原因となっています。
 
同じ時期2008年の中国では粉ミルク会社22社が、牛乳にメラミンを混入する事件がありました。
 
一部の人の利益中心主義が、他人の幸福と社会との調和をないがしろにした時の影響は、計り知れないものがあります。

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