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初恋~お父さん、チビがいなくなりました

2019年05月14日 | 映画
初恋~お父さん、チビがいなくなりました
を観ました。


3人の子供が巣立ち、人生の晩年を夫婦ふたりと猫一匹で暮らしている勝と有喜子。
勝は無口、頑固、家では何もしないという絵に描いたような昭和の男。そんな勝の世話を焼く有喜子の話し相手は飼い猫のチビだ。
ある日有喜子は、娘に「お父さんと別れようと思っている」と告げる。
驚き、その真意を探ろうと子供たちは大騒ぎ。
そんな時、有喜子の心の拠り所だった猫のチビが姿を消してしまい…
妻はなぜ、離婚を言い出したのか。
そして、妻の本当の気持ちを知った夫が伝える言葉とは――


小林聖太郎監督です。

なんか自分好みっぽい作品な予感があったので、猫映画だし見てみました。

期待通りなかなかハイセンスなほのぼの映画でした。
猫映画には小洒落たほのぼの感がよく似合うし、あるあるの作風ですが今作もそうですね。
その点でちゃんと及第点な映画だと思います。

そしてタイトル通り猫が居なくなるお話で居なくなった時の老夫婦のお話です。
老夫婦のラブストーリーな映画と言っていいと思います。
マンネリの中、どちらかと言うとたいてい男の方に駄目な要素があって。
女性の方にはまだ繊細な要素があって。

今どきでは珍しいですが亭主関白でいかにも妻側の不満が爆発しそうな雰囲気でした。
出かける時の準備から料理から床の用意から靴の脱ぎ履きまでやってあげる関係性でした。
山田洋次作品みたいに日本らしい家族描写と夫婦描写で実に見心地が良かったです。
商店街の人々との交流や新たに街にやってきた人との交流。

徐々に心が離れていく妻とマイペースで頑固な夫。
過剰な事件感やトラブル感も無く見ている人も自然と共感できるくらいのボリュームは良かったです。
それでいて夫にも妻には言えない問題があって。
なんか世代的にも自分の両親を見るようで妙な親近感がありました。

口数少ない頑固な夫。
みんなそんな夫(父)の好物だと栗を買ってくる。
そしていざその夫が八百屋を通りかかった時に好物の栗と言われると
「栗が好きなのは妻の方だよ!」
というシーンが実に長い夫婦関係を表現していて見事でした。
誰もが夫の好物と思っているものを、夫だけは妻の好物と思っている。
長いこと一緒に暮らしているとこんな感じになりそうですよね。

回想シーンではかなり古めな昭和なシーンがありましたが、かなりノスタルジックで素晴らしい演出でした。
まさしくタイトルの初恋はここにかかってくるのでしょうが。
昭和な時代での出会いから出産、子育ての質感はめちゃくちゃ良い雰囲気でした。

些細で優しいクライマックスでしたが実にいい塩梅でジーンとしました。
その後のエピローグ的なシーンもほっこりでジーンとしました。

実力派のベテラン俳優たちの演技の見心地の良さが見どころでした。

主人公を演じた倍賞千恵子がナチュラル演技で実に説得力ある妻像でした。
それでいて妙に可愛らしさもあって、女の面もあって。
娘の家に泊まりに行くシーン、娘の服で過ごすシーンがとても良かったです。

夫役の藤竜也が実に藤竜也らしいキャラでした。
端的で頑固で。
それなのに人間味あるシーンやちょっと衰えの怖いシーンもあって。
元々好きな役者ですがその良さがちゃんと出ていました。

市川実日子が末っ子の娘役で素晴らしかったです。
この人はザ・ハイセンスな女優さんだと思いますが、実にナチュラルに市川実日子でした。

佐藤流司って子が仮面ライダーっぽいと思いながら見てましたが案の定そうでした。
かわいい顔してるので今後仮面ライダー出身俳優ブレイクできるでしょうか。

小林且弥が引っ越してきた小説家役でした。
この人もハイセンスな印象が強くてナチュラルな空気感が良いです。

小市慢太郎は最近すっかり売れっ子ですが今作では藤竜也の息子役でした。
トレードマーク的な白髪を黒髪にしていましたが息子感はあまり出ていなかったです。

西田尚美はちょっとしか出番なかったですがこの人も上手ですね。

倍賞千恵子の若い頃を演じた優希美青が可愛かったですね。
ちゃんと昭和の雰囲気も出ていて。

期待した通りにかなり好みの映画でした。


そんなわけで8点。

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