忙しかった一週間の終り、気の緩みから帰りの電車で寝過ごしてしまった。
予定外に降りた駅は、ひとっこ一人居なくて、虫の声以外は何も聞こえてこない。
僕はそれが好きで、とても嬉しくなった。
秋虫達がリンリンと言う。
すっかり貸し切りの駅だ。
しばらくすると踏み切りが遠くの方でカンカンと鳴り始め、静寂を切り裂きながら快速の電車が過ぎて行った。
ひときわ明るい光の箱は沢山の人間を軽々と連れ去った。
やが . . . 本文を読む
何と無く過ごしやすい雨の降る日に
何と無く街を歩いてみるのだが
幸福は今日も不在だ
良かった思い出ばかりが
頭に張り付いて離れないせいで
幸福は今日も不在のままだ
普遍の存在を根拠も無く信じてきたせいで
僕は今、無理やり上げられたリングの上でサンドバッグみたいにボコボコ叩かれている
痛みとは結局のところ避けることなんてできず
ただただ慣れていくしか無いのだと
そう実感する
愛やお金で幸福に為 . . . 本文を読む