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閉鎖病棟 ―それぞれの朝―

2019年11月09日 | 映画
閉鎖病棟 ―それぞれの朝―
を観ました。

長野県のとある精神病院。
死刑執行が失敗し生きながらえた秀丸(笑福亭鶴瓶)。
幻聴に苛まされるチュウさん(綾野 剛)。
DVが原因で入院する由紀(小松菜奈)。
三人は家族や世間から遠ざけられながらも心を通いあわせる。
彼らの日常に影を落とす衝撃的な事件はなぜ起きたのか。
それでも「今」を生きていく理由とはなにか。
法廷で明かされる真実が、こわれそうな人生を夜明けへと導く―――。


平山秀幸監督です。
企画モノの大作の印象が強いですね。
高評価した作品もいくつかあります。

冒頭に白黒でわかりやすくプロローグがあります。
とても脛に傷持つ人々の物語ですがその敗芸の伝え方は上手だと思います。
全体的に静かで台詞も少なく説明の為のシーンも少ないというか、察せられるシーンが多く上手な作りでした。

精神病院が舞台になっていて役者陣の演技はとても難易度高いですが実に素晴らしい仕上がりでした。
そもそも空気感がしっかりしていたのでこういう特殊な設定の説得力ありました。
誰がいい人で誰が悪い人なのか?とちょっと探ってしまうような序盤でしたが、結局みんな精神的に病気なだけでした。

演出もハイセンスで新旧実力派の俳優が揃っていて作品通して非常に高品質でした。
極端にドラマチックに展開せず若干の歯がゆさを感じさせる展開。
そしてこの手の物語なのに予兆のような明確な未来があることを示しての終わりもとても好みでした。

主に笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈という3人の事を描いた群像劇な要素もあり。
そんな3人が意気投合して平和なシーンはとてもいい雰囲気でした。
なんか孤独な人々の幸せはより深みを感じました。

明確にややこしいキャラが100%トラブルを起こすのですが、結局そのキャラが物語の核になって物語を転がすのでちょっとストレスでした。
ここまで「そのまんまかい!」を思わされる物語も珍しいですね。

ちょっと重さもありますが、素敵な気持ちにもさせられる爽やかさもありました。

主演は笑福亭鶴瓶でした。
目線は綾野剛や小松菜奈ですが物語のテーマはこの人物でした。
複雑で悲しい過去を持ちながらも病院では皆に慕われる人物を見事に表現していました。
車椅子演技でしたがなかなかのクオリティでした、そして結構痩せた感じも出ていて良い役作りでした。

綾野剛は最近クセが強い役が多いですが今作もかなりのクセの役でした。
まとものように見えながらも結構メンタル的に弱い部分もあり発作を起こしたり。
最近は役者ハイに入ってるくらい見事なカメレオンっぷりを見せてくれます。

小松菜奈はすっかり大好きで相変わらず映画でしか見れずにいいですね。
なかなか悲壮感強い難しい役でしたが素晴らしい演技力だと思います。
なかなか残酷で体を張ってる魂の演技でした。

坂東龍汰は自閉症的で喋れない病気の子を演じていましたがかなりのクオリティでした。
ルックスもいいので今後活躍が期待されますね。

平岩紙、綾田俊樹、森下能幸、水澤紳吾、駒木根隆介などが病人の役をやってましたがとてもリアルでした。

僕の評価がめちゃくちゃ高い木野花は今作も素晴らしかったです。

渋川清彦がめちゃくちゃややこしいチンピラ役でした。
極度のトラブルメーカーですがこの人もめちゃくちゃ演技派なので説得力ありました。

病院の看護師長を小林聡美が演じていました。
優しく患者たちを見守る母親のような佇まいはさすがでした。

なかなか印象的で深みがある上質な物語でした。


そんなわけで7点。
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