tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

東海七福神&荏原七福神を歩く

2014-05-04 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
品川駅を高輪口に降り、高架下の丼ものの店が集まったアーケード「品達どんぶり五人衆」で「牛中落ちカルビ丼」を食べ、腹ごなしにのんびり歩き始める。今日は「東海七福神」を歩く。
12:01 八ツ山橋。京浜急行の電車が次々と来るのが面白くて、しばらく佇む。

京浜急行・北品川駅を過ぎ、国道15号線(第一京浜)を歩道橋で渡る。人が一人二人歩くだけで、この歩道橋のよく揺れること。写真を撮っていると、揺れが伝わってブレてしまうのではないかと思うくらい。

12:19 第一番、品川神社(大黒天)。ここには昨年暮れの「東京十社めぐり」でも来た。

境内の山の崖を少しだけ下りたところ、いくつもの鳥居を抜けたところの日陰にあるお稲荷さんの佇まいが良かった。煌々とした陽光の中に堂々と聳えているお社だけが、神様の居所ではない。

境内と同じ高さで、正面を京浜急行が横切る。

七福神めぐりをしているのに、それぞれの神様にご挨拶することをあまり意識していない。結構いい加減。石段を下りてきて振り返って初めて気づく。大黒様はここにいらしたのか。

12:35 第一京浜を渡り、京浜急行をくぐり、新馬場駅前の商店街を抜け、第二番、一心寺(寿老人)。こじんまりとした可愛らしいお寺。

門を入ってすぐ看板が。「江戸三十三観音」なんてあるのか。また回る目標ができたな。

本堂の柱に「身元調査お断り」と表札が。なんだろ、お寺で「身元調査」って?…と思って今ネットで調べてみたら、お寺の「過去帳」(=檀家・信徒の死者の俗名・法名・死亡年月日などを記しておく帳簿)を見て、差別目的で身元(出身)を調べようとする輩が過去にいたようで、それを禁ずる意味なんだとか。家の玄関先によく貼られている厄介払いの「セールスお断り」と似たようなものかな…などと考えていたら、思わぬ根深い問題があったので驚く。

路地裏のスナック「あそこ」。中から演歌が漏れ聞こえてくる。

12:38 第三番、養願寺(布袋尊)。本堂の前が路地の交差点を兼ねている不思議な敷地をしていた。

本堂の影の先に地球が落ちていた。

中華料理店のシャッターに。

路地。奥の壁に繁ったジャスミンから、香りが風に乗ってくる。

目黒川。この川に沿って右側に第四番の参道が。

12:49 第四番、荏原神社(恵比寿)。

恵比寿様。釣竿持ってます。

第二番からずっと、旧東海道を歩いている。車もほとんど通らず静かな道。「製菓実験社」なる表札を掲げる建物が。フーセンガムの膨らみ具合とか、ポップコーンの爆発具合を実験してるんだろうか…などと、のどかな想像をする。
(今ホームページを見てみたら、菓子やパンの業界誌を発行している会社のようだ。発行誌「月刊製菓製パン」は、和洋菓子のレシピ、商品提案からラッピング、経営情報、「ストレート法食パン吸水率と焼成条件の影響」実験レポートまで、内容は多岐にわたる。会社の創業は大正14年と、なかなか由緒がある)。

13:13 第五番、品川寺(毘沙門天)。読みは「ほんせんじ」。大同年間(806年~810年)に開創された、品川で最も古い寺だという。

本堂のつくりにはどことなくアジアの異国めいた趣がある。
今日の東海七福神は、その名の通り、すべて(旧)東海道沿いにあるが、京浜急行の高架線にも沿っていることから、絶えず電車の走る気配がする。

境内には、後ろの8階建てマンションに負けない、高さ25mの大きなイチョウの木がある。樹齢はおよそ600年だという。600年か…。

七福神ではないが、境内の雰囲気に惹かれて入り込んだ海雲寺。「えんの行者」像。“デスクトップ大”のごく小さな像だが、後ろのマンションの巨大な建物を従えるさまが、なんだかカッコいい。

旧東海道の道筋を離れる。芝生の根付きもまだ若々しい、真新しい公園が。少し休む。

公園の裏手に運河が通っている。沿って歩く。昔はここが海岸だったのではないだろうか。でも今は、沖に向かってどこまでも、高速道路や巨大な倉庫やマンション群が建ち並んでいる。海上都市、不思議な感じがする。

13:55 第六番、天祖諏訪神社(福禄寿)。参道のすぐ脇まで建物が並び、間口は狭そうだが、本殿前まで進むと、池と「厳島神社」もあり、なかなか奥行きがあった。

七福神のコースを外れて海の方に歩く。大井競馬場の駐車場でフリーマーケットが開かれていた。どんな様子なのかと入ってみたが、アジア的ないかがわしさと埃っぽさがあるばかりで、何かが欲しくなるような感じではなかった。ファミリーが自宅の不用品の売り買いを素朴に楽しんでいるのではなく、怪しげなセミプロが出処不明のバッタ物を倦んだ様子で並べている。そんな売場のひとつに、仕事で見知った男性がいた。こんな所で何やってるんだろ?と思う。入口に置かれていたチラシを見ると、出店料は3000円(車なら4000円)とある。別途年会費500円。ヤフオクの方がずっと割がいいな。
外に出ると、マンションの屋上の看板が目を引いた。遠近感を狂わせるくらい大きい。何しろマンション3,4階分くらいある。あの文字の一画だけでも人間より格段に大きいのか。

東京モノレール・大井競馬場前駅。

14:30 運河を渡り、大井埠頭中央海浜公園へ。モノレールの行き来を眺めながら休む。モノレールは開けた運河に沿って走っているので、駅に着くまで、駅を出てから、長々と眺めていられる。駅を通過する快速もある。近未来の乗り物だったはずのモノレールだが、年季の入ったコンクリートの桁を這い進むさまを見ていると、「昭和の懐かしい乗り物」を思わせる。

再び運河を渡って競馬場を過ぎ、しながわ区民公園の中を行く。緑に囲まれて落ち着く。だが、湾岸の高速道路の車の走行音は絶えず聞こえており、静寂はない。

第一京浜と京浜急行沿いに出る。大森海岸駅前で歩道橋を渡る。…やはり揺れるな。歩道橋ってこんなに揺れるものだったっけ?大森海岸は京浜急行で品川から6駅目。

15:09 第七番、磐井神社(弁財天)。

来た道を第六番・天祖諏訪神社あたりまで戻る。立会川。以前、「ボラの大群が現れた」と話題になった川だな。ボラが気の毒になるような淀んだ川だが。

15:35 立会川駅前の商店街。まっすぐ行って第一京浜を渡るとアーケード街になったが、居酒屋でくさやでも焼いているのか、ものすごい腐臭があたり一帯に漂っている。屋根付きが仇になっている。もっとも、他の店はほとんど閉まっているが。

立会川が暗渠になり、その上を歩いて大井町駅へ。この道は以前、自由が丘から大井町へ歩いた時にも通った。

大井町駅前に出て、そこまでで歩いたのは12km。さて帰ろうか、どうしようかと思ったが、ここからさらに、別の七福神を歩いてしまうことに。なんと酔狂な!
16:02 荏原七福神第一番、大井蔵王権現神社(福禄寿)。

疲れてはいたが、歩くと決めてしまったらなぜか気楽になった。ウォーカーズ・ハイとでも言うのだろうか。
16:15 第二番、東光寺(毘沙門天)。「下の病気」にならぬよう東司の守護の鳥瑟沙摩(うすさま)大明王が祀られている、と。かすかに小便臭かったのは気のせいではなかったのか。

本堂前の大樹の根元には素朴な石仏がいらした。

ニコンの工場。四角だけで構成された壁面と、それを伝うパイプ。面白味はまるでなく実直だ。

西大井駅付近の横須賀線の踏切を過ぎる。踏切が鳴り出したので振り返ったら、横須賀線と東海道新幹線が二段重ねで通過した。

“葉むくじゃら”な家。人は住んでいるのだろうか?主がいなくなって、蔦の欲するままになっているのだろうか。

海辺の東海七福神コースにはなかったアップダウンが、荏原七福神にはある。

16:39 第三番、養玉院・如来寺(布袋尊)。16:30で閉門となっており、中には入れず。

神社や寺ばかり回り続けていると、「そこに神社や寺がある」という気配がわかるようになる。ビルの向こうに見え隠れするあの巨木の下に、目指す神社があるのだろう。

16:53 夕日を背に、第四番、上神明天祖神社(弁財天)。「旧東海道歩き」のおじさんたちがたむろしていた東海七福神の寺社とは異なり、荏原七福神の寺社は、どこもひと気がなかった。

17:05 大井町線・荏原町駅の踏切の向こうに、第五番、法蓮寺(恵比寿)。

歩いているのは「立会川緑道」。大井町駅の手前で川の姿は見えなくなっていたが、また出会った。

17:26 第六番、摩耶寺(寿老人)。ここもすでに門は閉ざされていた。

坂道を登る。目指すは上のあの木立ち。

17:28 第七番、小山八幡神社(大国天)。

「標高35m、品川区内随一の高台」とだけあって、眺めがいい。ベンチに腰かけ、靴を脱いでしばらく休む。

17:48 目黒線、西小山駅。便意を催したので公衆トイレに入る。個室の中にいても、近くのパチンコ屋の自動ドアが開いたかどうか、流れ出てくる騒音でわかる。駅前は人通りが多いが、なぜか人の行き来が途切れた一瞬があった。

地下化された目黒線の上にできた緑道を行く。ここはこの時に通った。…さて、どこをゴールにしようか。決めあぐねる。

18:28 目黒不動。ここは「五色不動めぐり」で来た。本堂まで登ってお参りする。

門前にバス停があった。ここでゴールにしよう。歩いたのは合計21km。ちなみにバス停の横にある鳥居の向こうには、「元祖山手七福神」の恵比寿様がいる。七福神はまだ続く。

※今回の七福神めぐりで参考にした本は、東久留米七福神めぐり板橋七福神めぐりの時と同じ、『東京ありがた七福神めぐり』

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