tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

見知らぬ町のランチ

2013-07-03 23:46:43 | 今日の出来事
羽田の方で仕事があった。海辺に近いのでひときわ風が強かった。
用事を済ますと、ぶらぶらと歩いて穴守稲荷をお参りし、
道端にいたおじいさんに駅はどちらですか?と尋ね(耳の遠い方だったので何度か問いかけを繰り返した)、
教えられたとおりに歩き出すと、電車の通過音が聞こえてきて、
なんだ、実は人に訊くまでもないほど駅は近かったんじゃないか、とわかり、
駅前通りを歩き、遅い昼食がとれそうな店を探した。
めぼしい店はなく、中華料理店に入ったんだけど、
椅子に座ろうとすると水滴が垂れていたのでまずはそれを卓上のティッシュで拭い、
そうして腰を下ろしても、店員は調理にかかりきりで声を出すでもメニューを出すでも水を出すでもなく、
あまりにも所在ない感じが強すぎて「なんか違うぞ…」という気分になり、
気がつくと椅子5脚くらいしかない手狭なカウンター席で先客がタバコを吹かしているのを見て
いやいやこりゃたまらないなと思い、力まず、企まずに、そっと店を出た。
もう1回駅前通りを歩き、今度は足を伸ばして角を曲がってみると、焼肉屋があった。そこに入った。

入って席に着いた途端、よどみなくメニューが出て、水が出て、おしぼりが出て、
やっぱりこれが自然な空気だよな…と思いつつ、「ハラミ・ロース定食」(800円)を注文。
先客はおばさん3人連れのグループ。「さすがは常連よねえ」などと声が聞こえるから、
メンバーの誰かはこの店の常連で、誰かは初めて来店したんだろう。

肉が来る。網で焼く。美味かった。
ご飯が大き目の茶碗にたっぷり盛られており、こんなに食べ切れるだろうか?と思ったが平らげてしまった。

食べている最中に30~40代の男性1人客が来店。
店の女将に「今日は何にします?」という言い方で注文を聞かれているから、常連なんだろう。
ジョッキのビールを注文。ラフな装いから察するに、今日は仕事が休みという近隣住民か。

満足して店を出る。
穴守稲荷の駅に着くとちょうど電車が入ってきたけど、駆け出す気にはなれなかったからやり過ごす。
ホームに入って時刻表を見ると、この時間帯は10分おきの運行。つまり、あとおよそ10分の待ち。
ベンチに腰掛けて、通過列車を眺めたり、向かいのホームで清掃員の男性がベンチを丁寧に拭くのを見たり、
あのひっつめ頭の女性3人組は空港勤務の人だろうか、
クーラーボックスのおじさんの一行は多摩川河口か羽田沖で釣りをしてきたんだろうか、などと観察したり。
ようやくやってきた電車は京成のお古の北総鉄道の車両で、かなり年季が入っていた。
車内の壁面の色は「らくだ色」とでも言えそうな色味で、時代を感じさせた。
蒲田駅に入る高い高架橋からは車窓に東京スカイツリーと東京タワーを一緒に見ることができた。

恐らくこれから一生降りることのないであろう駅と、
恐らくこれから一生訪れることのないであろう町。そこで食べたランチ。
人生のかすかな1コマ。

ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 ライフスタイルブログへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 一人暮らしへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 30代の生き方へ にほんブログ村 ライフスタイルブログ おひとりさまへ