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元生活保護現業員が思うこと…①

2010-05-20 | まいにち

  以下は『消費者法ニュース』第83号に書いてものです。同誌が発行されたのでいいかなと思ってUPします。

 

全国と同じように広島県でも生活保護の受給者は急増してきています。

20084月には、24319世帯34,904人であったものが20094月には2,6347世帯37,846人となり、同年9月では27,469世帯40,062人の受給者となりました。

私は、1974年に広島県庁へ就職し、17年間生活保護現業員としてまた、児童相談所や精神保健福祉センター相談員として働き2009年に退職しましたが、この中で感じてきたことや考えていることを述べます。

私が就職した74年はオイルショックが始まり高度経済成長が終焉をむかえるころでしたが、福祉事務所は「生活保護事務所」ともいえるような生活保護がその業務の中心でした。たくさんの先輩が生活保護現業員や査察指導員として働き、「漏給防止」が語られている時代でした。何かあると小山進次郎の『生活保護の解釈と運用』(1951年)と読めと言われたものです。

ところが、他の部署へ配置替えとなり福祉事務所へ再配置となるたびに生活保護をめぐる状況は大きく変わってきていました。

特に生活保護の切り捨てに大きな役割を果たしたと思うのは1981年の「123号通知」です。この通知によって金融機関などへの照会のために白紙の委任状をとるようになったのです。

ある島の一部を担当していた時のことです。島の中には8つの集落があり、それぞれに特定郵便局がありました。従前どおり生活保護申請者の住んでいる地域と町役場の近くにある郵便局へ預貯金の照会をしていたのですが、指導監査に来た県の職員は島内にあるすべての郵便局と陸地部の隣接市内の金融機関へ照会するべきだというのです(貯金をするためにわざわざ船に乗っていくお年寄りがおられるとも思えなかったのですが)。

 だんだんと「不正受給の防止」や「適正実施」のみが強く叫ばれるようになってきました。

 また、福祉行政だけではなく様々な分野で即戦力になるのが優秀な公務員だといわれ積極的に他職種から福祉職場へ配置換えがなされるようになりました。(広島県ではすでに75年から福祉職の採用をやめています)

 私は土木や県税の職場から生活保護現業員に配置されること自体がおかしいとは思いませんが、配置後にきちんとした研修がなされることが必要だと考えます。

現在、福祉事務所に配置されている生活保護現業員の4分の1は経験年数が一年未満であり、3年未満で見てみると7割にのぼるといわれています。また、(彼らを指導する)査察指導員の4人に一人はこれまた生活保護業務の経験がありません。

広島ブログ

 

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