峠を越えて - Get over the Pass -

自然を愛する気持ちを忘れずに

2005年西表島

2010-09-24 | これまでに訪れたところ
もう随分前(2005年3月)になりますが、今回は西表島縦走のお話です。写真を整理しながら当時を思い出すのも、なかなかいいもんですね。


石垣島南東の上空です。3月初頭でまだ冬型の天候でした。上空は風が強く、サンゴ礁の海岸もこの通り輝かしさがありません。数日間、雨まじりの曇天が続きました。
この後、右に大きく旋回して空港に着陸。


これは後日、石垣島の前勢岳から撮ったものです。奥にうっすらと見えるのが西表島で、その手前にはサンゴ礁に囲まれた小浜島があります。西表島まで石垣の離島桟橋から約40分と、割と近いです。

西表島は島を半周する外周道路と集落を除くと、殆どが国有林に属します。島内をトレッキングしたり縦走する時は営林署に入山届が必要になります。また島と周辺海岸は国立公園に指定され、動植物の採取も環境省の許可が必要です。これから行かれる方は注意して下さい。

西表島に着いてから雨が降り続き、大原港の民宿で2日間停滞を余儀なくされました。
しかしなんとか天候も回復してきたので、縦断を決行することにしました。
朝早くに民宿を発ち,レンタカーで島を半周して漸く浦内橋の手前の乗船場に着きました。ここの駐車場に車を置き、いよいよ縦断開始です。


さあ、出発! 
遊覧ボートで浦内川を遡上します。この時の縦走メンバーは、私と同僚のN君、そして地元ガイドのTaishiさんの3人です。
Taishiさんは30年以上前に西表島に移り住んで、現在はカヌーやトレッキング、自然観察を専門としたガイドをされている方です。最近はよくTVのバラエティ番組にも登場してますよ!




ボートで遡ると、川が開けてきます。空は、相変わらずの曇り空。
両岸には、熱帯特有のマングローブが繁茂しています。船長さんによると、この川を渡るヤマネコが、何回か目撃されているそうです。30分ほどのんびり景色を楽しんでました。


ボートを降りて20分ほど登山道を歩くと、展望台に到達します。ここからは山全体が見渡せ,その中に落差20mほどの「マリユドゥの滝」が眼下に現れます。
「マリュドゥ」とか「マリュード」などとも言いますが、100m以上はありそうな大きな滝壺を意味する「丸い淀」から、「マリ」・「ユドゥ」がどうも正しいようです。


マリユドゥの滝からさらに進むと、今度は「カンピレーの滝」です。かなり増水していたので、滝には近づけません。
500年以上前に西表島で勢力を持っていた慶来慶田城(けらいけだぐすく)氏の10代用州が18世紀後半にまとめた「慶来慶田城由来記」には、カンピレーのことを「かんひらい」と表記されています。これには「神の座」という意味があるそうです。しばらく滝の轟音と木々が鬱蒼と覆い茂った山肌を眺めていると、結構、神秘的な雰囲気を感じますよ。


一般の観光客はこのカンピレーの滝までしか行けません(入山届が要ります)。山道は、古見集落と大富集落へと続いています。


翌日は、天気が回復。道はしっかりして、順調に進めました。それにしても植生が濃いですね。
途中、「禁猟区 琉球政府」の標識がありました。戦後の米国統治下で、琉球政府が置かれていたのですね。沖縄の歴史を感じます。


ハブか?!
Taishiさんが◯◯◯◯と呼んでいましたが、もう名前を覚えていません。さっき調べたら、黄褐色の体に茶色の斑点が入っているのでガラスヒバァみたいです。名前の由来は沖縄方言で「カラスヘビ」から来てるそうです。「カラス(烏)は黒い」と「ヘビ」なら、「ヒバァ」は方言と思うんですが、生物学的に「ミナミヘビ科ヒバァ属」なので、「ヒバァ」は方言とは違うんでしょうね・・・?
兎に角、沖縄で一番多い毒ヘビです。


2日目の野営の様子です。南国とはいえ夜はとにかく寒く、持参した与那国の花酒を飲んでも一向に体が暖まらない。でも酔いは回ってるようですね、N君! 
後でニュースを見て分かったのですが、この日、奄美で雪が観測されました。やっぱり寒かったんです!




3日目、ようやく浦内川の上流部まで来ました。もう川幅は狭くなり、水量も少なくなってます。


仲間川沿いの林道に出ました。ここから河口にかけては、日本最大のマングローブが広がってます。


やっと西表島を踏破しました!
展望台からマングローブを背景に、記念写真です。右が私、左がN君です。


お世話になったTaishiさんです。
Taishiさんが着ているTシャツ、覚えておいて下さい。後で出てきますよ。

このあとTaishiさんの奥さんが運転する車で浦内橋の駐車場まで戻り、今回の西表島縦断は終了しました。

ここからは、おまけの写真です。


雨で停滞中に、サキシマスオウノキを見てきました。
仲間川の遊覧船に乗って、船着き場からわずか100mほど木道を歩くと大きな板状の根が見えてきます。樹齢は400年。お手軽に行ける点では、万人向けの観光スポットでした。


島の北東部の外周道路沿いに、日本最西端の高那温泉があります。露天風呂ですが、入るには水着着用なので、行かれる方は忘れないようにして下さい。私は、売店で水着を買う羽目になってしまいました。
で、温泉の紹介はここまでで、本題は写真に撮ったコウモリです。温泉の周りをウジャウジャ飛び回っていました。このヤエヤマオオコウモリは洞窟内でなく、樹に止まっているそうです。羽根を広げると80cmにもなるので、飛んでる姿はとてもコウモリには見えません。
下がっていたのを撮ったのが左、拡大したのが右です。


由布島に渡る水牛車です。有名ですね。


島では、牛の放牧が見られます。「石垣牛」として出荷されます。


もう1つ動物ネタを。
西表島と言えば、ヤマネコですね! 島内の至る所でこんな看板をよく見かけます。左の道路標識の「ヤマネコ」、どこか見覚えがありませんか?
そうです、TaishiさんのTシャツに描かれたヤマネコです。この猫の絵はTaishiさんがデザインしたものです。島のお土産屋さんで売ってます。私は2着、買いました。


西表島のあと石垣島に戻って更に10日間の滞在です。相変わらずの曇り空でした。
丁度そのとき、八重山列島恒例の「日本一早い海開き」がありました。しかし、あまりに寒かったので、誰も泳いでいません。セレモニーが終わったら、みんなサッサと帰ってしまいました。それにしても、「海開き」の看板がどっかに飛んでいってしまったのが、妙に悲しいです・・・


長かった滞在を終え、石垣島から飛び立ちます。高度とともに、眼下の景色が遠のいて行きます。


雲の隙間から、玉取崎や平久保半島が見えます。サンゴ礁が広がる石垣は、やっぱり奇麗ですね。
この頃から、石垣通いが始まりました。今年も行ってみたいです!


国土地理院発行1:50,000地形図「西表島東北部」,「西表島東南部」,「西表島西部」の一部を使用