”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

K-1 WORLD GP 2007 IN HONG KONG

2007年08月05日 | 桜庭和志
 主役は武蔵だった。藤本にKOで敗れた。一線から退く決意もしかけた。選手生命後がない。そんな中のトーナメント初戦、金的蹴り3発。本来ならドクターストップ。それを押し切り試合再開。闘志をむき出しにしたかつての、かけあがる頃の、武蔵がそこにいた。最近陰を潜めていた1、2,3の攻撃が出る。失神したパク・ヨンス(韓国)に、武蔵が吠え、怒鳴り、襲いかかる。セコンドが止めに入っても、興奮はおさまらない。これだ、これだよ、武蔵っ。

 いつの間にか、相手を見るようになった武蔵。5本の指に入るとされた防御が逆に仇になる。二の次、三の次の攻撃が出てこない。スウェーバックするだけ。じれったい武蔵となった。結果は当然のごとくそれに追随した。あげくの果てに藤本にKO。

 試合序盤、金的蹴りを3発、最後の1発はファウルカップも割れたかというくらいまともに入った。試合中断。ドクターストップもかかった。しかし本人は「このままでは終われない」と拒絶。3試合を消化した後に再びリングに立ち、左ハイキック、左右フックの速射砲で“反則男”をマットに叩きつけた。どん底にあえぐ03、04年世界GP準優勝者の闘志が蘇った。

 準決勝王戦、またしてもひざ蹴りを金的に受ける不運でダウン。セコンドがタオルを投入。これは後味が悪かった。武蔵本人は、苦悶の表情を浮かべながら、試合続行を主張したが、見ているものとしてはTKO負けだろう。審判団も1度はタオル投入は無効と判定したが、当然対戦相手の王は「勝ち」を主張する。試合放棄とみなされ武蔵の決勝進出が決まったが釈然としない。そんな中、武蔵のドクターストップとなった。

 密かに期待していた金泰泳。彼の眼窩底骨折の疑いによるドクターストップは残念だった。先日HERO'Sで田村に善戦した。その勢いで戦闘竜、藤本と見事にKO勝ちしていただけに武蔵以上に残念だ。

 ピーターアーツ、暴君復活だ。ニコラスペタスはよく3度のケガから復帰し、老獪な試合を組み立てた。しかしそれがピーターに火を点けたと言えよう。力でねじふせた試合を見て、今年のGPが楽しみになった。

 崔洪万は、よほどKO負けしたことと、ラスベガスで試合できなかったことが悔しかったのだろう。ニュースタイルが見えた。ピーターと同じ、いやそれ以上の完封劇だった。ゲーリー・グッドリッジに何もさせないで勝ったのはヒョードルくらいなもの。このまま行けばGP大本命だろう。

 バダ・ハリ、徐々にチャンピオンとしての風格がついてきたか。因縁のピーターに判定勝ち。先日のHERO'Sでの所英男vsブラックマンバ戦のように、アゴを砕かれた相手との再戦は精神的に打ち克つことができるか、相手のみならず自分との戦いも必要だ。この男はそんなものは無縁なのか、いやいやよほどチーム、スタッフに恵まれているのだろう。信頼できる仲間がいて次に向うことができる。欲を言えば、荒削りなところが魅力だったので、無難な戦いはちょっと残念か。

 藤本祐介、TVでの放送が王だけとは淋しい。棚ボタ優勝だし、印象が薄かった。実際、金にKO負けしていては先が思いやられる。どうも藤本には期待がかけにくい。

 意外にも武蔵への応援が多かった香港大会。香港のファンも同じ東洋人で世界に通用する可能性をもった選手を見極めているのだろう。後は推薦枠であるが、武蔵、もしくは金、この二人から1人は選ばれてほしい。

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