”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

ドラマ:2010/7-9

2010年07月22日 | TVドラマ
今クールは以下に決めようと思います。

「夏の恋は虹色に輝く」
出演:松本潤、竹内結子ほか
毎週月曜日午後9時フジテレビ系列

「ホタルノヒカリ2」
出演:綾瀬はるか、向井理ほか
毎週水曜日午後10時日本テレビ系列

「GOLD」
出演:天海祐希、長澤まさみほか
毎週木曜日午後10時フジテレビ系列

「うぬぼれ刑事」
出演:長瀬智也、生田斗真、中島美嘉ほか
毎週金曜日午後10時TBS系列

「ハンマーセッション!」
出演:速水もこみち、志田未来、比嘉愛未ほか
毎週土曜日午後8時TBS系列

「GM 踊れドクター」
出演:東山紀之、多部未華子ほか
毎週日曜日午後9時TBS系列

100冊の本講演会(2/2)

2010年07月19日 | 羽生善治
休憩時間をはさんで質問コーナー。さきほど挨拶した吉川さんが聞き手として羽生さんと壇上に登場する。それでは、たいがーメモにて。


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

1.「直感」は右脳、「読み」は左脳、「大局観」は?
「そうですね、流れに沿った手とでもいいましょうか。ただ何をやったらいいかわからないし時間がないという状況になれば最後はそのひとの好みというか性格・主観に依るんではないでしょうか」

2.「直感」と「閃き」の違いについて
「閃きというのは脳科学的にも女性の方が優れているんだそうです。さておき、友人の白石康次郎さんが語っていたことですが、朝起きて勘が冴えていると思ったときは自分の判断で、自信が持てないときはコンピュータに頼るんだそうです。自分のバロメータでスイッチするのがいいのではないかと。」

3.不調の見極めについて
「第三者の視点って大きいと思うんです。よく”頑張ってください”と言われるんですが、調子の良いときは”ありがとうございます”と素直に思えるのですが、調子の悪いときは”頑張っているのにこれ以上何を頑張れって言うんだよ”と(笑)」

4.プレッシャーをプラスに思考
「”進化”しているかはわかりませんが”変化”していることは間違いありません(笑)」

5.想定外のことが起こったら?
「将棋の言葉に”指す前に香車の位置を確認しろ”というものがあるんです。要するに盤の4隅を確認しろということですね。またいろいろな応手の策があがったときに最後の案は注意するようにしています。良い手のときもありますが結構読み抜けをした経験があるんです。」

6.アクセルとブレーキのバランスは?
「やはり外側で起こっていることに臨機応変に対処していくことになります。凪であれば無理に動かないとか、ですね。」

7.6次の隔たりについて
「横へのつながりというのが大きな波として起きつつあるとは思います。ただ頭の片隅に置くだけでまずはよいと思います。


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

ここからは会場からの質問タイム。たいがーメモ。

A.夫婦間のパートナーシップについて
「長い年月があって今があると思っています。(奥さんから見た羽生さんは?という質問に対して)いや、わたしに聞かれても(笑)」

B.お子さんとの接し方について
「イベント後数日経って尋ねたりして会話を大事にしています。例えばディズニーランドに行ってプーさんに会ったと。2、3日経ってプーさんは何を持っていたとか・・・」

C.寝る前につぶやくこととかありますか?
「ツイッターでつぶやくようなことはしてません(笑)そうですね、その日やることが終ったら寝るという感じでしょうか」

D.コンプレックス・弱点はありますか?
「人前に出て話すのは苦手でしたし、小学生のとき習字は苦手でした。それがなぜかこのような場で講演させていただいたり揮毫をしたためたりすることになるとは(苦笑)」

E.読書において捨てる本は?
「本棚のスペースに依存します。本は溜めるとすぐに埋もれてしまいますんで、本棚に入りきらなくなったらひとにあげたり図書館に寄贈したりしています。」

F.社会に出てから勉強したことはありますか?
「海外で対局したときに英会話ができたらよいなと思い英会話を勉強しました。ただ習ったり、止めたりの繰り返しですね。」


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

G.自分を動物に例えると?
「ヘビ。名前が”ハブ”だけに(笑)ま、それは冗談ですが、どうでしょう?自分ではわかりません。」

H.尊敬する人は?
「一生懸命ものごとに取り組んでいる人は尊敬します。棋士では嫌いな人がいるとたいへんなんです。対局で一日顔をつきあわしているので、もし嫌いな人がいると苦痛になってしまいます(苦笑)」

I.負けが続いているときは?
「例えば充電しているときってすぐ結果がついてこないことが多いんです。しばらくしないと結果として表れてきません。また、生活習慣を少し変えるということがあります。」

J.ものごとに専心していく上で重要なことは?
「3つあると思います。
・同じことを繰り返していける。
・新しいことを何か見つける。
・見る角度を変える。
でしょうか。」

K.感情のコントロールはいかにされているんでしょうか?
「不利な状況って実は楽なんです。他力に頼るしかないんですね。ちょっと優勢な状況の方がプレッシャーなんです。そういう場合には、ワンクッション入れて、対局に臨むようにしています。」

L.「直感」から浮かぶ手とは?
「80通りの手の中から2,3の手に絞り込むのですが、例えて言えば、カメラのピントを合わせるようなイメージとでも言いましょうか。形としてどうか?というのが非常に大きいような気はします。」

M.自分の性格について客観的にみると?
「どうでしょうか。ただ棋士は繰り返しが多いので、今までやったことないようなことするようにしています。また朝起きて対局が始まったとき、今日は冷静だとか、感情的だとか、それに応じて対応したりします。」

N.読む本の種類について
「本屋に行くのが好きなんでジャンルを問わず適当に買うことが多いですね。ネット上から購入することもあります。海外に比較して日本は質・量とも充実していて恵まれているのではと思います。」

質問タイムを終えての感想。羽生さんはずっとブレテナイんだなあと感じたのと、ちょっとだけ新しい羽生さんを発見できたと感じたのだった。自分が今度インタビューする機会があれば同じ質問は避けて、新しい羽生さんの一面をどんどん出せたらなあと思ったのだった。

100冊の本講演会(1/2)

2010年07月18日 | 羽生善治
 羽生善治名人のデータサイトを管理・運用しているとたまにはありがたい話が舞い込んでくるものです。100冊の本委員会の吉川さんから、玲瓏管理人を本講演会にお招きいただきました。最近は羽生さんの講演会に行く機会がなかったので、ちょうど良いタイミング、と言ってはなんですが、これは行く一手でしょう、ということで行ってきました。

 会場の三宅坂ホールは、東京はど真ん中、国会図書館の隣にある、社民党本部の建屋5階にある、由緒・歴史のあるホールです。国会図書館は、玲瓏データの特に棋戦結果や観戦記情報を集めるのに足しげく通っている場所で馴染みはあります。しかし、そのお隣の社民党建屋に入るのは初めてでした。うーん、エレベータに歴史を感じる(^^;、そう思いながら5階会場に向かいます。

 5階に着くと長蛇の列。当日支払いの受付待ち行列。自分は招待いただいた身なので「ごめんなさい」と行列を横目で見ながらごぼう抜きで招待客受付に向かいます。もらった札がA席、前方にはVIP席とS席がありますが、羽生さんが立つだろう位置と程よい近さで満足な距離、羽生さんの登場を心待ちにします。ぐるっと見回すと500人は集まったでしょうか。600人収容できるホールですので8割の入り、思った以上に人が集まりました((^^;吉川さん、ご苦労様でした)


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

 講演開始のアナウンスでは羽生さんたっての希望で今回の入場料の一部をホームレス支援金に充当させるとのことでした。すばらしい。3人の男性、2人の女性、若者5人が壇上にあがっていきます。アカペラで「Stand by me」を熱唱。なかなか斬新な始まりです。早稲田大学の合唱サークルの学生さんとのことでした。その後、スライドショーで羽生さんのプロフィール紹介。メンデルスゾーンの「歌の翼に」をBGMに生い立ちが語られていきます。そして漸くグレーのスーツと白いワイシャツ緑のネクタイの出で立ちの羽生さんが登場します。

 「皆さん、こんにちはー」とお決まりの挨拶。しかしこの日はそれに対し「こんにちはー」と会場後方から元気のよい若者の声。それを聞いた羽生さんはすかさず「皆さん、元気ですねー」と笑みを交えながら返します。和やかなムードで講演開始です。「例えば100キロのバーベルをあげるような無茶なことを言うつもりはありません。」羽生さんの言葉は万人にわかりやすい。今回の話題は3点。1.つき・運、2.プレッシャー・緊張感、3.ミス。実はこのブログを読まれている方には馴染みの内容です。


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

 ここからは”たいがーメモ”。

1.つき・運
時代の流れでもあるし変化し続けるもの。ひとをひきつけてやまない。ギャンブル。しかし深くかかわりすぎないのが得策。
指し手を考えるときには3つのプロセス:「直感」「読み」「大局観」から形勢される。
脳科学者:池谷裕二氏に拠れば「直感」と「閃き」は異なるもの。「直感」は論理的に説明できるが「閃き」は何だかわからないもの。
調子のバロメータはひとえに勝負どころで見切って決断できるかにつきる。不調のときは生活習慣を変えたりするといい方向に向かうことが多い。

2.プレッシャー・緊張感
先日のサッカーW杯の代表選手でも「楽しんでプレイしたい」というひとが増えてきた。ゾーンというかいい意味で集中できれば全力が出せる。
3つの場合わけ:①楽しんでやる②プレッシャー・晴れ舞台③やる気がない
例えば高飛びで150cm飛べるひとから見た100cm、200cm、155cm。155cmにプレッシャーがかかる。いい緊張感があればよい結果も得ることができる。
いろいろな手を考えると言っても普段よりは公式戦で一番深く考える。追い込まれて切羽詰まったときにひとに依るかもしれないが一番力が出る。

3.ミス
ノーミスの対局は1年に1回あるかないか。一番大変なミスは一手詰めを見逃したこと:血が逆流するかのような感じだった。
将棋には感想戦と言って対局の反省を対局者同士が行う。「反省はするけど後悔はしない」
ミスは起きるものとして捉える。「ミスにミスを重ねる」ことは極力なくす。
順調なとき=良いサイクル→ミスをする=いい流れが断ち切られる→難易度の高い状況
ミスの対処法:自分を強くもつ、諦めない、ついて行く方が実は精神的に楽、微差で勝っているときの方が辛いもの
リスク:
若いうちは知らない→思い切ったことができる
経験を積むといろいろ見えてくる→知らないうちにブレーキをかけている
最近はアクセルを意識的に踏んでいる
メンタル面:
年齢とともに上昇している。ものごとに動じない。


【写真提供】100冊の本委員会)吉川正弘氏

その他
6次の隔たり=世界中の人は6人仲介すればつながっている
ひとりひとりのもつ影響力というのは実は大きい
理由1:ターミナルみたいなひとがいる
理由2:遠くのひとと知り合いがいる
タテのつながり社会からヨコのつながり社会への変遷か=新たな価値の創出

自分としてはこれまでにすでにお話を聞いてきた内容でしたが、羽生さんの言葉がより洗練されてきていることを実感しながら聞いていました。最後の6次の隔たりについては、タテ社会からヨコ社会になり新たな価値の創出へのつながりという展開が以前よりも明確になって今更ながら”ををを、なるほど”と納得したりしていました。

休憩時間にメールだけのやりとりだった100冊の本委員会の吉川さんを見つけてご挨拶。「玲瓏さんのリンクからコンスタントに申し込みいただきました。ありがとうございました。」とがっちり握手。玲瓏クンのリンクが役立ってたんですね。「もしよければ写真分けていただけますか?」と無理な注文を承ってもらいました(^^; 

では質問タイムは次回・・・

どうぶつしょうぎ出版パーティ

2010年07月13日 | 羽生善治
 7月12日は「どうぶつしょうぎ出版パーティ」に出席しました。東京は四谷のレストランにて午後6時から立食パーティ形式、レストランには溢れんばかりのひとが集まり、出版の賑やかな門出としてお祝いとなりました。

 このパーティに出席された方は、従来の将棋界のパーティから少し枠をはみだした感もあり、こうやって将棋界も変わってゆくのかな、そう感じさせるものでもありました。パーティでは、これまでのどうぶつしょうぎの変遷をPCを使用してスライド形式で振り返り、スライドの中で登場しパーティに参加された森内俊之九段らにその折々に直々にコメントをもらっていくものでした。パーティ最後にはサプライズも用意されていました。どうぶつしょうぎの生みの親であるお二人、北尾まどかさんと藤田麻衣子さんを中心に株式会社ねこまどメンバーを交えて、かわいい音色の楽器の生演奏をバックにどうぶつしょうぎの歌を披露されたのでした。かわいい絵も親しまれる要因である一方、こういうかわいい音楽もまた親しまれる要因なんですよね。

 自分はパーティ会場の開場時間にはやばや到着。まだ集まる人がまばらな中、昨年の年末に初めてお会いした、柿木将棋の柿木さんと将棋を世界に広める会のtakodoriさん、「先を読む頭脳」の共著者である伊藤毅志博士とご挨拶。パーティが始まるまでレストランの奥の部屋で雑談などしてパーティが始まるのを待っていました。柿木さんとtakodoriさんとのどうぶつしょうぎスペシャルマッチなどが実現。自分はどうぶつしょうぎのルールを立体的?にした特別ルールで対局などもしたりしていました。

 柿木さんは今流行りのiPad/iPhoneを持参されており、iPad版柿木将棋を見せていただきました。実際指で駒を動かす感じが実にいいですね。また国際化についての取組みとして、英語・フランス語を含めて多くの外国語に対応する仕組みも実際に目で見て確認。将棋の国際化にも貢献するのは間違いなく、将棋世界の田名後編集長や中川理事、上野理事との電子メディア戦略についての井戸端会議(笑)に参加させていただきながら楽しい時間を過ごしました。

 パーティ開始。ネット中継班の銀杏記者や文記者、蝶結記者らと歓談しながら白ワインをたしなみスライドを堪能。パーティエンディングのサプライズ演奏では、ちゅう太理事と高野ゴダン、連盟の瀬川さんに囲まれながら、一緒にどうぶつしょうぎの歌を楽しんだのでした。マンデーレッスン仲間のEtsu氏と久々の再会。場所を別のところに移して1杯酌み交して帰宅したのでした。

不惑

2010年07月02日 | 羽生善治
 今年の9月27日をもって満40歳を迎える羽生さん、昔なら数え年ですでに40歳である。”不惑”の年齢を迎えた羽生さんは、これまでも惑うことなく将棋道に邁進されてきたかと思われるが、白星という結果が連珠するさまを見るにつけ余計に円熟の境地に入られたかと思うのである。14勝2敗。今日時点の2010年度これまでの成績で、対局数、勝ち星とも成績ランキングトップを走っている。

 プロ棋士生活24年目を迎えた。人間で言うと干支が2回り。将棋界に変革期が本格的に訪れたことを目のあたりにしている…。これまで羽生世代がチャイルドブランドとして台頭してから羽生世代と谷川浩司九段が棋界を引っ張ってきた。これは紛れもない事実である。七大タイトル戦線にはいつも羽生世代と谷川九段が顔を出してきた。しかしその在り来たりになっていた実情に最初に風穴を開けたのは渡辺明現竜王であるし、次は深浦康市現王位だった。

 2004年、渡辺明は森内俊之を破って竜王に就いた。2007年、深浦康市は羽生善治を破って王位に就いた。しかし羽生世代はいつでも壁であり続けた。タイトルホルダーでなければ挑戦者に必ず名乗りをあげてきたのだ。2009年初頭。朝日杯公開対局。4強に名乗りをあげたのは、渡辺明、久保利明、阿久津主税、佐藤和俊、とうとう羽生世代の名が途切れた。第50期王位戦リーグ。本命視されていた羽生善治は木村一基に3回戦で破れる。5回戦で渡辺明にも敗れてしまう。16年続けてきた夏の舞台から姿を消した。それは高い壁であり続けた、羽生世代、いや羽生善治が表舞台から消えた瞬間でもあった。この年の銀河戦決勝は阿久津主税と深浦康市。本格的な新しい時代の到来を明示しているかのようだった。

 2009年JT杯静岡大会は羽生善治名人vs行方尚史八段。行方尚史は大山十五世名人の落とし子、その奇才は棋界でも認められるところであり、この両者第7期竜王戦の挑戦者決定戦という大舞台でも顔を合わせたこともある。戦型は矢倉。しかしある手を見逃してしまう。あっけなく土俵を割った。解説にあたった高橋道雄が帰りのタクシーで羽生善治に尋ねたところ、意外にも”うっかり”だったことを耳にする。年齢からくる集中力の衰え、羽生善治も年齢に勝てないのか…

 一方でどっこい、羽生世代も意地を見せる。永世竜王決戦に敗れた昨年のリベンジとして臨んだ羽生善治に待ったをかけたのは竜王位そもそも最初の戦犯である森内俊之、その勢いのまま挑戦者となった。リベンジと言えば、虎の子のタイトル棋王を奪われた佐藤康光もなみなみならぬ意気込みを見せ、羽生善治に決戦の場を渡さなかった。しかし森内俊之は4タテ、佐藤康光はフルセットまで行ったが敗れ去ってしまう。羽生世代の絶対的強さが霞んでいく。

 羽生善治王将の前に名乗りを上げたのは、遅れてきた次世代の旗手、久保利明だった。2009年春、佐藤康光を破り棋王奪取、タイトル初戴冠。王将リーグは羽生世代の分厚い壁の塊であったにもかかわらずブッチギッテ挑戦者となった。何より鮮烈だったのは、王将タイトル戦は名局揃いと言わしめたことである。観戦記者の小暮さんの言葉を借りれば、自慢の豪速球をこれでもかと投げ込み、それを全力で真芯で捉える、そんなスゥイングする対局であった。羽生さんと初めてお会いしたのが5年前の王将就位式であり、王将というタイトルには勝手な愛着があるが、久保さんが新王将になったことには清々しさを感じたのだった。

 しかしどっこい羽生善治は生きていた。今年2月、早指し棋戦となった朝日杯、準決勝で谷川九段、決勝で久保棋王、この両者との熱戦を勝抜き初制覇。NHK杯将棋トーナメントでは怒涛の快進撃を続けていた糸谷五段を受け止めて2年連続の制覇となった。今年の春になって、三浦八段の挑戦となった名人戦、深浦王位の挑戦となった棋聖戦を、いずれもストレートで防衛。他を圧巻せしめたのである。記憶力は確かに衰えた。一方、大局観は研ぎ澄まされている。ものごとに動じないどっしりとした根っこ、泰然自若。その裏にはあらゆる可能性を肯定し柔軟に変化していこうとする姿勢を垣間見ることができる。まさに不惑の年齢を迎えた今後に期待している。