”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

ドラマ:2007/1-3 レビュー

2007年03月29日 | TVドラマ
恒例のTVドラマレビューをば。
まずは以下URLのドラマ視聴率 
http://artv.info/ar0701.html


「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」14.93%(4/12)
「ハケンの品格」20.15%(3/12)
「エライところに嫁いでしまった!」12.77%(7/12)
「華麗なる一族」24.39%(1/12)
「風林火山」

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
主演:速水もこみち
毎週月曜日午後9時フジテレビ系列

 中川雅也(まー君)役の速水もこみち君は頑張りました。一番良かったのは、オカンの中川栄子役の倍賞美津子さんでしょうか?オトンの中川兆治役の泉谷しげるもよかった。鳴沢 一役の平岡祐太君も存在感があった。石黒賢や浅田美代子も渋い演技が光っていた。

 まー君の彼女佐々木まなみ役の香椎由宇さんは、TOKIOの長瀬主演マイボスマイヒーローの鉄仮面教師で演技はイマイチだったけど、やはりそこはすぐには変わってなかったですね。

 ストーリー的にはどうだったか?イマドキの若者らしく親の苦労を見ながらすねかじりから始まるも、最後はオカンと東京に一緒に住み始め親孝行するマー君。そして東京に出てくる若者はみな実はそうかもと思わせる親への愛情をオカンに求める仲間達。ほのぼのとした気持ちになった。ただ最後にまなみとまー君が別れる必然性のないところは腑に落ちなかった。

ハケンの品格
主演:篠原涼子
毎週水曜日午後10時NTV系列

 実は一番面白かったドラマはこれだったかもしれない。最初は見逃していたが、視聴率が予想よりもよいとのことから、どれどれと見始めたらハマってしまった(^^;; 東海林武役の大泉洋とスーパーハケンの大前春子役の篠原涼子の息の合った絶妙の掛け合いにハマってしまったのだ。いや、それだけでない。痛快なところがたくさんあったからだ。

 また、森美雪役の加藤あい、里中賢介役の小泉孝太郎は、大人しすぎるキライはなくはないが、上述二人の対称性を考えると実にうまいキャスティングだったかと思う。脇を固める松方弘樹、白川由美、小松政夫など渋い味は出していたが、イマとなっては無難にソツない演技だったという感想だ。

 このドラマの痛快なところは、おおよそありえないハケンの傲慢さを架空の世界で実現したことと、そのまたありえない資格の多さで幾度もの窮地を脱していくこと、また3ヶ月という短いウルトラマンのカラータイマー的期限の設定、細かいところでは「うわ、そんな資格まで。一体何年かかったんですか?」と何気ないセリフで”ありえない”ところをツッコンでいることでしょうか?その傲慢ながら実は情にもろい大前春子が地方に飛ばされた東海林のところに初めて自分を売り込む劇的なエンディングで幕を閉じる、最後まで痛快な展開でした。

エラいところに嫁いでしまった!」 
主演:仲間由紀恵
毎週木曜日午後9時テレビ朝日系列

 やはり山本君子役の主演仲間由紀恵は演技力ありますね。またこの前までNHKの大河ドラマをしていたことを彷彿させるセルフ語りには思わず惹かれました。優秀不断なダメ夫を演じる山本磯次郎役の谷原章介も、この難しい役どころをうまくこなし新たな引出しを見せてくれた印象です。磯次郎の母親で君子のお姑さんにあたる山本志摩子役の松坂慶子ははまり役。あのほんわかした雰囲気にギャグのような鈍さを自然に演じれる人はなかなかいないでしょう。

 脇を固める布陣もよかった。山本源之介役の近藤芳正、守山保役の温水洋一、守山由美役の濱田マリ、山本栄太郎役の橋本さとし、山本波男役の本田博太郎などなど、多士済々。

 このドラマは、「そんなヤツおらへんやろ~」を基本に、田舎と都会の生活・しきたり、優柔不断な夫とてきぱき男勝りの妻の性格を対比しながら、昔ながらの嫁・姑問題をコミカルに展開したものだった。この4月から始まったNHK連続テレビ小説「どんど晴れ」のシナリオはこのドラマに似ている。

華麗なる一族」 
主演:木村拓哉(SMAP)
毎週日曜日午後9時TBS系列

 結論から言おう。つまらなかった。視聴率ほどのドラマだったか?

 セットは凄い。さすがTBS開局55周年記念特別企画だけのことはあり、それは映画さながら。キャスティングもそうだ。木村拓哉、長谷川京子、山本耕史、山田優、北大路欣也、原田美枝子、仲村トオル、吹石一恵、稲森いずみ、多岐川裕美、西村雅彦、笑福亭鶴瓶、矢島健一、西田敏行、武田鉄矢、津川雅彦、柳葉敏郎、と並べてみても豪華だ。

 昔、三浦友和・山口百恵の赤いシリーズで人気を博したどきどきの展開も内在していた。木村演じる万俵鉄平と元恋人だった稲森演じる鶴田芙佐子が腹違いの兄弟やも知れぬという展開。実の父は先代、つまり父親とは腹違いの兄弟やもしれぬ複雑な人間関係。そして、本宮ひろ志的な男のロマン、カリスマ的な人を纏め上げる人間的な魅力。

 しかし、何故”死”を選ぶのか?「白い巨塔」の原作者でもある山崎豊子は、「大地の子」など戦争三部作を世に出し、どこかしら主君や理念に準じて死を選ぶ行為を尊いものと描く節がある。天皇万歳として散っていった人たちはいる。第二次世界大戦だ。でも、”死”を選ぶ行為は30年前のTVドラマで確かに流行ったが、この時代に合っているか、というより、遠回りに「強大な権力には逆らえない」と主張しているのはなんとも夢をつぶすようでつまらない。例え、それが現実だとしても。

また「風林火山」も見始めました。最近ジャニーズづいてたけど久々役者が揃ったというキャスティング。主演に抜擢された内野聖陽は、2005年1~3月の月9「不機嫌なジーン」で竹内結子と共演して以来注目していたので、ちょっとだけ嬉しいかな。

HERO'S 2007 開幕戦

2007年03月12日 | 桜庭和志
 会場が冷めている。これがブラウン管から伝わってきた印象だ。

 「桜庭が再帰戦勝利」が各スポーツ紙の見出しだったが、およそファンタジスタ桜庭らしくない勝利にこだわった試合だった。試合前の記者会見をキャンセルしたという。ファンを大事にする桜庭は会見は出席してきた。それだけ桜庭は追い詰められ、余裕がなかったのだろう。盛り上がりのないまま、開始早々1分26秒で腕ひしぎ十字固め。打撃の雄、ユーリーはタップした。あえて相手の得意なところに踏み込み、寸でのところで交わして最後は自分の得意技で、という起承転結といかなくても序破急な戦いを見せてくれてきた彼に、以前と同じことを求めるのは満身創痍を考えるともう無理なことなのかもしれない。

 桜庭以外はどうか?船木のところで鍛えなおされた柴田勝頼は素晴らしかった。あの山本を秒殺だ。判定は少しあやしくもあるが、鋭くキレのあるパンチ、山本の意識がとんでいたから仕方がない。そしてビジュアル。あの研ぎ澄まされた身躯、見るものに凄みを感じさせるだけでプロとして◎。今後に注目だ。

 塩コショー・アッカは、ボビーオロゴンより芸能人格闘家として掘り出しものかもしれない。経歴を聞くとテコンドーを学びにこの東洋の地に来た模様。今後に注目だ。メルヴィン・マヌーフは残念ながら相手に恵まれない、というか強すぎる。”ドンキーコング”ケビン・ランデルマンとの試合が興味本位で見てみたい。マイティ・モーは、ガオグライ・ゲーノラシイン戦でのKOから不振に陥っていたが、数日前のK-1大会でも勝利をしているし、我武者羅さが戻って、そしてファイトに勢いが戻ってきた。

 トリをかざる、宮田、宇野、所は、相手よりも技量が上回っていて、申し分ない試合運びだった。ただ何か盛り上がりにかける。これはヘビー級のような一発でもっていくパワーとインパクトがないからかもしれない。彼らにメインを任せることは、かなりスイングした試合ができればよいが、そうでない場合には一般の成人男性と同じ体重では見ている人に緊迫感を醸しだすことは難しいことだろう。

 PRIDEはフジテレビの契約がきれとうとう資金ショート、UFCに吸収された。K-1が始めたHERO'Sは冷めた状況、日本の総合格闘技が地盤沈下を起こしている。選手達は危機感を抱いているのだろうか?こういうときの猪木は動きが機敏だ。IGFという新団体を設立した。猪木の人間性に疑問符がよく唱えられるし、彼の弟子達はみな離れている状況からしてそれは事実だと思う。ただ無理をしなくても悠々自適な生活に甘んじようとすればそうできる身でありながら行動に移す(担ぎ出されている?)猪木を軽んずることはできない。

"私には夢がある”講演会:質問編 後半

2007年03月01日 | 羽生善治
質問17 講演の中でバサロスタートの引用がありましたが・・・

水泳のバサロスタートは水中で潜っているため抵抗が少なく水面に上がったときはより前に進んでいます。たくさんの勉強や研究をしているときは成果がすぐに表れませんがその量が質に転換したときもう一段上の実力となった表面化すると思うんです。

質問18 谷川さんとの対局は毎回違うものになるとお聞きしましたが・・・

お互いに過去の戦型を覚えていてお互いに変化しようと思って対局します。対局が終わったあと将棋では観想戦をするのがならわしです。野球やサッカーでは勝者がインタビューに応えることはありますが敗者も一緒にというのは不思議かもしれません。この観想戦は一局30分から1時間行われ、主に個人のスキルアップのために行われます。

質問19 羽生さんの勉強の仕方について教えてください

ええと、決まっていません(^^;詰将棋を解いたり、他の人の棋譜を並べてみたり、思いついた手の研究をしたりしています。特に勉強の時間に制約をつけないのが特色でしょうか?例えば8時間と最初に決めていると自然とペース配分してしまうからです。気分が乗ったとき深く考えるようにしています。棋士仲間で研究会といういのも行ったりしますが気の合ったもの同士違う方向に行ってしまうこともしばしばです。真剣に考えたいときは一人で行うことが多いです。

質問20 将棋以外のものは将棋の”こやし”になりますか?

スポーツ観戦はよくします。中でもテニスは将棋によく似ていると思うんです。どこが似ているかと言えば、総合的に点を取っていても勝てない、例えば7-6、1-6、1-6だとすると負けてしまう点です。どう見てもそれはラインアウトだろうと思っても審判へクレームを続ける選手もいます。ああ、流れが悪いんだな、と解釈して見たりします。

質問21 中終盤の手渡しは?

実は自分の手番で戦局が決まるときほど苦しいと思うんです。相手が手番をもっているときの方が自分が何もできない分楽だと思うんです。プロ棋士はよくやるのですが、可能性を残しつつ相手に手を渡すことは高等戦術として重要なんです。ただこれは気持ちにゆとりがなければなかなかできません。しかし自分ひとりの力では何もかも全部できないのは将棋でも同じなのです。

質問22 意思決定で必要なことは何でしょうか?現佐藤棋聖との竜王戦で昔、最初の一手に数分使ったらしいのですが・・・

最初の一手は7六歩か2六歩くらいしかなく、あのときはただ気持ちの整理をしていただけだと思います。

質問23 プロ生活20年で成長したことは何ですか?

こうして人前で話しができるようになったことでしょうか?(笑)人前で話しをするのはできることなら避けたいと今でも思ったりします。どうして講演の話が来るようになったのか自分でもよくわかりません(笑)

質問24 落ちていたお金を拾わず後で後悔しますか?

後悔はします。ただ、そうなってしまったのは仕方がないと思うと思います。余談ですが、大阪で昔財布を落としたことがありました。交番に届出たのですが、30分後拾って届けてくれた方がいて、もう返ってこないだろうと思っていただけに、凄く嬉しかったです。

質問25 今日の講演で1番のトピックスは何ですか?

自分自身を信じられるか?でしょうか。自分は自分のネガティブなところを誰よりもよく知っているので、迷いを生じることになります。ただ、他の人と同じと思えば怖くありません。自信をもつこと、そして心の安定をもつことは重要だと思うんです。

質問26 オリジナルの戦法について教えてください。

歴史のある将棋界でも何年かに一回の割合で出てきています。限界までやって出てくるものだと思います。

質問27 二児の父親として子供の教育はどう考えられていますか?

おかしなことをやっても怒りすぎないのは重要だと思うんです。否定せず様子を見るようにしています。

質問28 今日の出会いで聴講者に期待するのは何ですか?

大それた期待というのはありません。ただ、これをきっかけに、何かを考えてもらえれば嬉しいです。”少し”を積み重ねると大きな”たくさん”になります。コツコツやること、継続することは、ものごとをうまくなろうとすると重要だと思うんです。

マスメディアについて述べたいと思います。対象が大きくなればなるほど、多数の人に理解してもらえるようにと、情報が薄くなっていると思うんです。このような講演の場では、情報の密度は大きいと思うんです。

質問29 羽生さんは何故勝てるのですか?何に起因していると思われますか?

自分は、戦型にあまりこだわらない、オールラウンドプレイヤーであるというのは大きいと思います。また、違う手が出てきて対応策を打ち出していくことは、自分のスタイルに合っていると思っています。少しだけでも半歩前にいればいいと思うんです。

質問30 20年前何を見ていましたか?

中学生のときは対局に無我夢中だったので何もなかったと思います。今となっても見つけられていません。目の前の対局の中でひとつひとつ新たな発見をすることが目標であったりします。

質問31 モチベーションを保つにはどうしたらよいでしょうか?

無理しないことだと思います。自分のペースを崩さないことが重要だと思うんです。

ご清聴ありがとうございました。

◆番外編:講演会終了後管理人自ら羽生先生にアタック(^^)

羽生先生、最近研究会はいかがですか?

メンバーは、ええ、森下さん、木村さん、松尾さんなんですが、森下さんが理事になってご多忙なので最近は休止状態ですね。落ち着いたら再開するとは思いますがいつになることやら…(^^;

 なるほど、研究会メンバーは2002年前後から変わっていないんだ、と確認させていただきました。

追伸)
当日の様子がUPされました。
”私には夢がある講演”
主催者の方にお聞きしたところ、本講演はDVD化されないこと、残念ですね。