”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

第66期A級順位戦8回戦大盤解説会③

2008年02月04日 | 羽生善治
 千葉女流三段がこれまたいい。何がいいって歯に衣着せぬ発言がいいんだな、これが A級棋士の指し手をバッサバッサ切り捨てていく、いいですねぇ~、これが。沸きますね~。これが。柔らかくオブラートに波風立てない深浦王位とのチグハグさがこれまたよかったですね~。深浦王位「うわ、さすが千葉さん。バッサリと言いますね~、飛ばしますね~」千葉女流三段「おかしいな、生き直そうとしているのに、こんなはずじゃ」(場内爆笑)あれ、千葉女流三段、直そうとしているんでしょうか?(笑)持ち味だからそのままでいいのに。深浦王位「そう言えば今日は旦那さんも来られていますね?」千葉女流「はい、なので安心です。わたしがぶっとんじゃった時でも連れ帰ってもらえますんで。」(また場内爆笑)

 そんなこんなで丸山九段vs郷田九段が終了。丸山九段勝ち。やっぱりあの3八角はなかったんじゃないかなあ、郷田九段、と素人目だが言ってみる。そして羽生二冠vs木村八段が羽生二冠勝ちで終局。こちらはまったく危なげなしで磐石の勝利。それにしても受けの木村八段に受けさせないなんて強すぎます、羽生二冠。それから三浦八段vs谷川九段は谷川九段の勝ち。今期の順位戦を面白くしてきた三浦八段もここまでか。あ、ぐーちゃんはすんごいほっとしておりやす。谷川ファンの鑑ですな。おいておいて、解説を聞くにつれ、谷川九段の読みの凄さに感嘆する。光速流の美学とでも言うんでしょうか?詰みを読み切る思考の深さと英断にこれぞプロだとひたすら驚嘆。行方八段vs藤井九段は藤井九段勝ちで行方八段降級に。A級って厳しいクラスです。そして角道を明けたまま四間飛車穴熊、今後どうなっていくんでしょう?最後に残った影のメイン、佐藤二冠vs久保八段。ナント佐藤二冠逆転勝ち。佐藤二冠は首の皮一枚つないだってとこでしょう。久保八段は逆に苦しい立場に。それにしても飛車で左辺を制圧して右辺も厚みを増して久保八段優勢だったのになあ。佐藤二冠の玉頭戦盛り返し術に釘付けになった。玉頭戦でも久保八段の芸術的さばきが決まったかの雰囲気のときもあった。けれどうまく体を入れ替えて勝ちきった佐藤二冠であった。これは名局ではの声があちこちで聞こえる。うーんと思わず唸る。見ごたえがあった。

 午前1時、終電は見事に詰んでいる。将棋のネット中継を遅くまで見ていることを知っているうちの奥さんには「ひょっとしたら終電間に合わないかも。そのときは始発で帰るから」と先手を打っておいて正解だった。かつ、午後11時に奥さんから携帯メールで「どう?」と聞かれていたので「まだ解説会。帰れなさそう。」と形勢判断を正確にしていたのも功を奏したか(自画自賛)。観戦記者のナカピンさんとロピーで落ち合う。オジサンとぐーちゃん、ナカピンさんは定跡手順か手馴れたもので何も申し合わせもせず代々木駅に向う。ぐーちゃんと以前「羽生×二宮トークライブ」をご一緒した。会場の新宿サザンシアターは代々木駅に近い。それで代々木駅付近で呑み会した。「順位戦では大概終電詰むんでオジサンとここまで歩いてきて始発まで呑むんですよ」というたいがー未体験の定跡手順をインプットされていたので何も言わずみなさんに着いていく。千駄ヶ谷ではお店が詰んでいるから代々木まで歩いて出るのだ。

 お店は○○とか▲▲とか選択肢はあったが○○に決める。決め手は代々木駅に一番近いから(笑)4人で始まったA級順位戦8回戦通称”ラス前”大盤解説会の感想戦。ひととおりナメタあと、それなりに将棋界、棋戦状況など将棋ファンらしくかくかくしかじか熱く語り合っていた。いつしか話題は学生時代の将棋大会話だったり、それぞれの家族の話だったり、3時間も呑んだくれていると、酔っ払いにありがちな話題の発散状態に。っていうかぐーちゃんが一人飛んでいたという気もするけど、ま、みんなではじけていたということにしておこう(笑)。

 そのうち肩をトントンと叩かれ、振り返るとネット中継を終えた烏さんだった。連れを見ると青葉さんもいた。その他見知らぬ二人とご挨拶がてら名刺交換。一人は毎日新聞の方、そしてもう一人が桜木さんだった。ををを、ここで東京中継のお三方、青葉さん、烏さん、に加え、まだ見ぬ桜木さんにも会えるとはっ!烏さんが「玲瓏管理人たいがーさんです。」と自分を紹介してくれていたようで、いや本当にこういうときの名刺になりますね。ナカピンさんからも重ねて紹介していただきやした。

 お店は閉店時間の午前5時に。始発の時間ともなる。JR組のぐーちゃん、ナカピンさんはすっかり出来上がっているが家にたどり着けそうだ。地下鉄組のオジサンと自分はいたって普通の会話、一緒に始発電車で家路につきましたとさ。濃密な1日を満喫いたしました。

第66期A級順位戦8回戦大盤解説会②

2008年02月03日 | 羽生善治
 大盤解説会の解説をあいつとめなされるのは、深浦康市王位と近藤正和六段、千葉涼子女流三段と熊倉紫野女流2級。19:00、陣取った席の真横の扉から、まずは深浦王位と近藤六段が登場されまする。いつからか登場した形勢パロメータ、今回も壇上左手に鎮座ましまするのでやんした。たいがーの左横にオジサン、右手2つ向こうにぐーちゃんでしたが、たいがー右横の白髪のおじさんは初対面なのにいろいろ話される気さくな方で、ご持参のPCを駆使されて19:00前までのたいがー空白の6時間の棋譜を教えてくれるのでした。オジサンの日記によればTEDさんという方らしい。次回もまた教えてください(^^)

 さてさて、解説会の始まり始まり。まずは羽生二冠vs木村八段。羽生ファンとしては一番気になる。木村八段、地下鉄飛車から右玉に構えたんだ。ほぉ~。そして羽生さんの6三角打ち。後手番ながら羽生二冠の形勢がすでによさそうとのこと。ちょっとほっとする。次は谷川九段vs三浦八段。羽生ファンとしては、挑戦者レースで肩を並べる三浦八段も気になる。谷川先生ファンのぐーちゃんは、勝てば降級の可能性がなくなるので気をもんでいる。こちらは形勢は五分。丸山九段vs郷田九段。丸山九段得意の角換わりを真っ向から受けた形の郷田九段。例の7ニ歩からの駒組みが丸山九段よく形勢は丸山九段よりか…。でもその7ニ歩までこの前の羽生二冠vs丸山九段戦じゃんと軽く突っ込む。藤井九段vs行方八段。行方八段は負ければ降級。藤井九段が角道をあけたままの四間飛車、歩は3筋以外ついてないしあまり見たことない。駒ぶつかりなしで形勢判断なし。最後に佐藤二冠vs久保八段。両者とも降級の目があるだけにどちらも負けられない。久保八段がこれまた7ニ歩として5六に馬をつくる。これは久保八段が一本取った形で久保優勢とな。佐藤二冠早くも危うしか…。

 飛び入り参加で田名後将棋世界編集長に連れられて先崎学八段がカジュアルなセーター姿で登場。深浦王位は性格が真面目で発言が大人しいけど、先崎八段のトークは緩急自在で面白い。佐藤二冠…もといモテ光君ネタやら、深浦王位の大人発言への突っ込みやらで、会場を先崎ペースに引き込む。そうなんですよね~、こう言った大盤解説会では技術解説能力も大きいけど、将棋ファンを惹き込む時事ネタ・裏ネタなどをいくつか持って、ポイントにぶっちゃけ発言がある方が盛り上るんですよね~。深浦王位は形勢判断は素晴らしいけど、解説者としては大人し過ぎます。急遽「山手線内回りのゲリラ」本のサイン会が行われることに。自分は連盟到着するなりサイン本買う悪手を指してしまっていたま、サインしてもらった気分になろうとサインしている先崎八段を拝んでおいた
 
 次の一手出題は2回。第1回目は、丸山九段vs郷田九段戦から丸山九段の手番71手目。▲6三角が△4五銀ただ取りだし△8五金の地点にも筋が通っているし△3一玉への睨みに4一の地点への効かせにもなっている。▲8六銀で△8五金と取る手もある。そうすると▲6三角は動かさない方がいいと判断。これらに着手するよりは玉を包むように寄せる▲1五香を選択。提出したあと、オジサンから▲1五香は入玉の可能性が出てくると教えられる。勉強になった。結果は候補手になかった▲4一銀。ナント!正解者なし。4一の地点へ効かせるまでの読みはよかったが、もう一歩踏み込んで考えなくてはならなかったか。

 休憩時間となり隣の研修室が臨時解説場になっていることに気づき赴く。このご時世まだ棋譜をコピーしているのか?というホンチャン解説会だったが、こちらは勝又清和六段主導でネット中継とプロジェクタを駆使しながら解説している。このご時世こちらでしょう?連盟の人たちは気づいているのかな?大体、関西2局の終局を隣で伝えているのを横で聞いていて、ホンチャン会場で終局を聞くまで30分以上のタイムラグがあったのは嘆かわしいことだよぞ。それは問題と思ってもらわないといけないな。定員オーバーで臨時解説会を開くところは柔軟な対応と賞賛できる(後日、勝又六段の英断で臨時解説会が開催の運びとなったことを知る。連盟は古い体質であった)けど、ホンチャン大盤解説会の運営を、ネット時代になぞらえてもう少し改善していかないとね。臨時解説会の解説者は、勝又六段主催で若手中心、村山新人王、片上五段、千葉五段、金井四段などなど。ストレートでわかりやすいフレッシュ解説者で面白かった?(ホンチャン会場組だったので休憩時間のみの参加、面白かった)

 熊倉女流2級と近藤六段にバトンタッチ。熊倉女流がしゃべる前に村山新人王登場って彼女かわいそうだよ。まだあまりこういう場に慣れていなそうだったから逆によかったのかな。さておき、いやあ村山新人王、いいですね。若手らしくズバズバ発言する。さすが若手辛口三羽烏の一人だけある。渡辺竜王と検討した内容を中心に話すなど面白かった。「羽生vs木村戦、羽生さんの△6三角に木村さん▲9七角はなかったんじゃないですかね。この6三角はいい手ですけど、▲9七角はちょっと…。」とか。

 さてさて次の一手第2回目は佐藤二冠vs久保八段戦、久保八段の手番63手目。結果から言うとはずれ▲8八銀が遊び駒になっているのでその活用か、自陣を整備する手が有力だった。自分の中の候補は美濃囲いを銀冠に発展させる▲3七桂か▲2六歩。近藤六段が▲2六歩を1つの候補とされたので▲2六歩としてしまったが、正解は▲3七桂だった、残念。

 そしてこのラス前大盤解説会も大詰めを迎える。休憩を挟んで10時45分からは、深浦王位と千葉女流三段だ。

第66期A級順位戦8回戦大盤解説会①

2008年02月02日 | 羽生善治
 A級順位戦8回戦通称”ラス前”の現地大盤解説会に初めて行ってきました。タイトル戦ではその1局であるけど、A級順位戦8回戦はA級棋士10人の一斉対局であるからにして全部で5局、内容の濃いいろいろな戦型の将棋を裏話を交えながら解説を十分堪能してきました。いやあ、将棋ファンには満足の時間を過ごせました。

 これまでタイトル戦は少なからず現地大盤解説会や連盟大盤解説会に足を運んできているけど、順位戦解説会は終電詰む(※将棋用語から”終わっている”の意味)ことが多いし、例年8回戦くらいで状況が見えてたりしてイマイチ盛り上がりにかけていたこと、仕事が忙しかったことなどから足は遠のいていた。しかし今年は例年になく挑戦者争いと残留争いが激烈であり、勝負将棋が見られる予感があること、会社の有給休暇40日以上は翌年に持ち越せない中で余りに余っている状態であること、たまたま開発のピークでないこと、これまたたまたまこの一斉対局が金曜日で翌朝朝帰りとなっても平気なこと、などなどで、この金曜日は有給休暇を取得して満を持して将棋連盟千駄ヶ谷へ赴いたのだった。

 大盤解説会、ぐーちゃんと携帯メールで「15:00くらいに行きますかね?」と申し合わせ。「羽生二冠vs木村八段戦は角換わりの将棋になったか。木村八段は居玉のまま…?」などと13:00くらいまでは家でネット観戦。Web 中継5対局中3対局、東京の青葉さん、烏さん、大阪の翔さんが知り合いだと気づき妙な感心をする。銀杏さん、桜木さんとお知り合いになれば完全制覇なのか?(笑)それにしてもインターネット人口が増えているからか、今年の展開に将棋ファンの感心が高いためか、例年になくアクセス集中によるデータ寸断が断続的に発生している。ほっとくのはヤバイですな。ま、自分はこれから連盟に出かけるからいいかと外出準備。

 連盟には15:00到着。早速1階販売部に。羽生先生の1000勝記念扇子(六根合一)、谷川浩司九段「光速の詰将棋」(2008/02/01連盟先行発売)、将棋世界2008/03月号(連盟先行発売)、先崎八段「山手線内回りのゲリラ」(サイン本)、を購入する。ふっと横を見ると将棋本物色中のバンカナがいた、どうでもいいけど(笑)さてと、まずは大盤解説会の整理券ゲットしないととそそくさと2階道場課に急ぎ「56」番ゲット。2階研修室前の長イスにぐーちゃん発見。しばし歓談。「2月9日の朝日杯落ちました。自分の分まで楽しんできてください」とかとか。

 そうこうしているとふらり羽生先生が4階対局室から階段を使って2階研修室前の長イスに座る自分の目の前に登場されるではないですか!びっくらこきました。こきながらも会釈。羽生先生が自分だと気づかれたか対局中であらされるのでどこか上の空っぽく見え微妙だが、羽生先生も反射的に会釈を返される。言葉をかけるのは自粛。夕方17:20頃にも再度羽生先生登場。2階には飲み物の自販機があるのでこれを利用されるのだ。将棋連盟会館にはエレベータもあるが、階段を使うのが羽生流。階段は大きく外側、壁づたいで歩かれるのも羽生流、いや羽生スタイルだ(将棋世界2008年03月号参照)。

 そのうちオジサンがこれまたふらりと登場して整理券ゲットされる。羽生ファンのオジサンだ。一言二言我々とかわされた後いつものとおりふらりとまたどこかに。オジサンスタイルだ(笑)オジサンは「60」ゲットだが間もなくして整理券番号もう「100」は突破しているようだった。定員オーバーとなり急遽大盤解説会会場隣の研修室に臨時解説場を設営したのだった。ぐーちゃんと販売部にでも行きますか?とのことで1階に。そしたらバッタリ瀬川先生に遭遇。先日の指導対局を覚えていてくださってご挨拶。瀬川先生はこの日A級順位戦終局まで控え室で検討されるとのこと。この日指導対局も行われ第1部は15:00~、第2部17:00~の2部構成。第2部の熊倉女流とぐーちゃんは指導対局だったのでそれを脇で観戦。自分の対局では舞い上がって手が見えないけど他人の対局では手がよく見える(笑)

 そして18:00、整理券番号順に入場となる。自分は前から4列目左側にオジサン、ぐーちゃんらと陣取る。席を確保して、再びぐーちゃんの指導対局をオジサンと観戦。ぐーちゃん、角落ちの手合いで勝利す。熊倉女流は強かったらしい。

 いよいよお待ちかね大盤解説会だ。