質問① 勝負の日、体調が悪いときどうすれば良いですか?
特に2日制では出足で調子が少し悪いときの方が結果がいいこともあります。「棋は対話なり」と言うように相手の調子に引っ張られて調子が上向くこともあります。
質問② 「決断力」の中で、真似をする、学ぶ、理解すると出てきますがもう少し詳しく教えてください。
他人の話を聞いたり、本から得た知識から”真似”をします。関連する”真似”を積み重ねて”学んで”いきます。それでは一歩進んでこうすればこうなると”理解”します。例えば棋譜。PCの画面だけではすぐ忘れがちです。自分でどうなのか?と思うときは必ず盤と駒をもって手を動かします。五感を使った方が身につくと思うのです。
質問③ 勝負事、無謀とチャンレンジの違いを教えてください
新しい手を試してうまく行くのは感覚的に3割です。ああ、やめておけばよかったと思うこともしばしばです。そこでこの手は3回までやろうとか勝手な基準を設けます。この新しい手は不調な時ほどチャレンジできます。調子がいい時は流れを止めるかもしれないからです。
質問④ 升田将棋との違いについて教えてください。
升田将棋は、”新手一生”を標榜し、今から30年も前でありながら現代のスピード感を備えた将棋でした。ただ、相手が呼応してくれないところっと負けたり、はまったときには切れ味鋭く勝ったりと、アンバランスな将棋でもありました。風貌は写真を見たことがある方はご存知のように”仙人”みたいな人でした。
質問⑤ 現状自分より上だと思う人と対戦する場合はどうしますか?
大きな差があるときは思い切った作戦をとります。わずかな差しかない場合には、普通に指します。
質問⑥ ”月下の棋士”の氷室将介は羽生さんがモデルですか?
違います(笑)”月下の棋士”は業界では誰がモデルか皆だいたいわかっています。作家能條純一さんともお話したことがありますが、登場人物の名前には必ずモデルの人の名前が入っているんです。6~7年前にテレビ放映がありました。そのときは将棋会館へ来る子供達は一様に帽子を被っていたりしましたが、明らかに氷室将介の真似だったですね。
質問⑦ 営業ですが2位にはなれてもなかなか1位になれません。佐藤棋聖に気持ちがよくわかります。ちょっとした違いだと思いますが・・・
時代とのマッチングというのもあると思います。そのときの流行が棋風にあっていれば少し有利になります。盛んに研究されている局面では他の人がすでに思いついていることが多いのです。結論が出ていない局面においてどう対処するか?が肝心です。でも、最後は”気合”でしょうか?(^^)
質問⑧ 羽生さんは凄く普通に見えます。将棋以外で他に趣味などありますか?
棋士に対して偏見を持たれているのではないかと(場内笑)今の20代の棋士の人たちはホントごくふつうの若者です。ふつうというよりは皆しっかりしているのではないでしょうか?プロの棋士への養成機関でもある奨励会も師匠が教えてくれることは稀で自分で勉強するしかありません。早くから負けたときは自己責任と意識づけられています。
一日中将棋盤を見てそれを1ヶ月続けたら気が狂いそうです。息抜きとしては、何も考えずぼーっとしたり散歩をするのが趣味ですね。
質問⑨ 重要な対局でどうやって迷いを断ってこられましたか?
対局で何が厳しいかと言えば"時間に追われる”ことです。皆さんも〆切りがあるかと思いますが時間に追われる事ほど辛いものはありません。勝敗では、10代の時の方が3~4日落ち込むこともありましたが、時間が解決してくれました。
質問⑩ ”決断力”で直観の7割が正しいとありますがもっと比率が高いと思うのですが・・・
厳密に統計をとった訳ではないのでわかりませんが、将棋の場合、感覚的に直観のまま指すと3割は負けます。直観は過去の知識の積み重ねによって生まれるもので、迷ったときは再度直観に戻ることもあります。
質問⑪ 羽生さんはご自分では”ふつう”と思われますか?
自分ではごく標準の日本人だと思っています。もっとも何をもって”ふつう”か”ふつうじゃない”かわかりませんのでよくわかりません。
質問⑫ 深い思考に行くにはどうすればいいですか?
深い思考にはいきなり行けないので”助走”が必要です。ただ、当日の体調も影響しますし、考えがいがある場面かというのも重要です。これらが整えば車のギアが入るように深く考えられます。
質問⑬ 羽生さんにとって人生の価値観を聞かせてください
日々発見することですね。例えばおいしいラーメン屋さんが見つかった、とか、些細なことでも何でもいいと思います。
質問⑭ 結婚を考えています。結婚感について教えてください。
棋士は一人で受け止めることが多いです。独身のときはまさに一人で責任を背負っていました。家族ができて子供に癒されることもありますし、独身時代より気持ちが安定していますね。
質問15 羽生さんの棋士としてのゴールは何ですか?
こういうものになりたいというのはありません。さきほども述べましたが、日々の発見を重視しています。
質問16 夫婦ゲンカはしますか?
子供が学校へ行くようになってから奥さんは忙しく夫婦喧嘩どころではないようです。ま、対局日前日などは気を遣ってもらっているんだと思います。
※後半につづく
特に2日制では出足で調子が少し悪いときの方が結果がいいこともあります。「棋は対話なり」と言うように相手の調子に引っ張られて調子が上向くこともあります。
質問② 「決断力」の中で、真似をする、学ぶ、理解すると出てきますがもう少し詳しく教えてください。
他人の話を聞いたり、本から得た知識から”真似”をします。関連する”真似”を積み重ねて”学んで”いきます。それでは一歩進んでこうすればこうなると”理解”します。例えば棋譜。PCの画面だけではすぐ忘れがちです。自分でどうなのか?と思うときは必ず盤と駒をもって手を動かします。五感を使った方が身につくと思うのです。
質問③ 勝負事、無謀とチャンレンジの違いを教えてください
新しい手を試してうまく行くのは感覚的に3割です。ああ、やめておけばよかったと思うこともしばしばです。そこでこの手は3回までやろうとか勝手な基準を設けます。この新しい手は不調な時ほどチャレンジできます。調子がいい時は流れを止めるかもしれないからです。
質問④ 升田将棋との違いについて教えてください。
升田将棋は、”新手一生”を標榜し、今から30年も前でありながら現代のスピード感を備えた将棋でした。ただ、相手が呼応してくれないところっと負けたり、はまったときには切れ味鋭く勝ったりと、アンバランスな将棋でもありました。風貌は写真を見たことがある方はご存知のように”仙人”みたいな人でした。
質問⑤ 現状自分より上だと思う人と対戦する場合はどうしますか?
大きな差があるときは思い切った作戦をとります。わずかな差しかない場合には、普通に指します。
質問⑥ ”月下の棋士”の氷室将介は羽生さんがモデルですか?
違います(笑)”月下の棋士”は業界では誰がモデルか皆だいたいわかっています。作家能條純一さんともお話したことがありますが、登場人物の名前には必ずモデルの人の名前が入っているんです。6~7年前にテレビ放映がありました。そのときは将棋会館へ来る子供達は一様に帽子を被っていたりしましたが、明らかに氷室将介の真似だったですね。
質問⑦ 営業ですが2位にはなれてもなかなか1位になれません。佐藤棋聖に気持ちがよくわかります。ちょっとした違いだと思いますが・・・
時代とのマッチングというのもあると思います。そのときの流行が棋風にあっていれば少し有利になります。盛んに研究されている局面では他の人がすでに思いついていることが多いのです。結論が出ていない局面においてどう対処するか?が肝心です。でも、最後は”気合”でしょうか?(^^)
質問⑧ 羽生さんは凄く普通に見えます。将棋以外で他に趣味などありますか?
棋士に対して偏見を持たれているのではないかと(場内笑)今の20代の棋士の人たちはホントごくふつうの若者です。ふつうというよりは皆しっかりしているのではないでしょうか?プロの棋士への養成機関でもある奨励会も師匠が教えてくれることは稀で自分で勉強するしかありません。早くから負けたときは自己責任と意識づけられています。
一日中将棋盤を見てそれを1ヶ月続けたら気が狂いそうです。息抜きとしては、何も考えずぼーっとしたり散歩をするのが趣味ですね。
質問⑨ 重要な対局でどうやって迷いを断ってこられましたか?
対局で何が厳しいかと言えば"時間に追われる”ことです。皆さんも〆切りがあるかと思いますが時間に追われる事ほど辛いものはありません。勝敗では、10代の時の方が3~4日落ち込むこともありましたが、時間が解決してくれました。
質問⑩ ”決断力”で直観の7割が正しいとありますがもっと比率が高いと思うのですが・・・
厳密に統計をとった訳ではないのでわかりませんが、将棋の場合、感覚的に直観のまま指すと3割は負けます。直観は過去の知識の積み重ねによって生まれるもので、迷ったときは再度直観に戻ることもあります。
質問⑪ 羽生さんはご自分では”ふつう”と思われますか?
自分ではごく標準の日本人だと思っています。もっとも何をもって”ふつう”か”ふつうじゃない”かわかりませんのでよくわかりません。
質問⑫ 深い思考に行くにはどうすればいいですか?
深い思考にはいきなり行けないので”助走”が必要です。ただ、当日の体調も影響しますし、考えがいがある場面かというのも重要です。これらが整えば車のギアが入るように深く考えられます。
質問⑬ 羽生さんにとって人生の価値観を聞かせてください
日々発見することですね。例えばおいしいラーメン屋さんが見つかった、とか、些細なことでも何でもいいと思います。
質問⑭ 結婚を考えています。結婚感について教えてください。
棋士は一人で受け止めることが多いです。独身のときはまさに一人で責任を背負っていました。家族ができて子供に癒されることもありますし、独身時代より気持ちが安定していますね。
質問15 羽生さんの棋士としてのゴールは何ですか?
こういうものになりたいというのはありません。さきほども述べましたが、日々の発見を重視しています。
質問16 夫婦ゲンカはしますか?
子供が学校へ行くようになってから奥さんは忙しく夫婦喧嘩どころではないようです。ま、対局日前日などは気を遣ってもらっているんだと思います。
※後半につづく