”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

K-1 WORLD GP 2007 開幕戦

2007年09月29日 | 桜庭和志
 チェ・ホンマンがK-1の試合するとき、韓国ソウル市内の交通量は半減すると聞いた。日本だとサッカーワールドカップ開催のときがそうだったみたいなあんな感じですね。画面からもチェ・ホンマンコール。韓国国民はチェのような世界に通用するヒーローを待ち望んでいたのでしょう。

 ということで地上波放送で見た感想を。
#スカパー721でもやっていたんだろうけど見逃しちゃった(^^:

 今年は誰が優勝するのだろう?と思わせるくらい調子がいい選手が多いですな。スーパーバトルサイボーグのジェロム・レ・バンナ、最凶の暴君ピーター・アーツ、フライハイのレミー・ボンヤスキー、そして前年GP王者セーム・シュルト、ヘビー級チャンピオンのバダ・ハリ、例年になく盛り上がること請け合いだ。

 一番面白かった試合は、グラウベ・フェイトーザvsハリッド・ディ・ファウスト。あ、そうだと思ってK-1公式ページのベストバウトの投票を覗いてきたらやっぱりこの試合。内容が面白かった。ファウストが積極果敢に攻め込むもののカウンタの膝とパンチで2度もダウンさせる。また一瞬動きがとまるような有効なものもあったにも関わらず、ファウストの蘇生が早くすぐさま反撃。判定でグラウベとなったが、ファウストのケレンミ溢れるファイトに拍手だった。

 無様な醜態を見せたのが藤本祐介。日本人頂上決戦となった第7試合、相手は澤屋敷純一。最初はひょっとしたら澤屋敷の鼻いってもうたかと思うくらいおびただしい澤屋敷の鼻血(やはり鼻骨骨折)だったが、攻めきれない藤本。序々にペースを自分のものにした澤屋敷に、スタミナと気持ちが切れた藤本。結果はあきらかだった。自分が蹴っていったり、パンチを出していったりの状態でリングに這いつくばる藤本。プロとしては見せてはイケナイ醜態でしょう。やはり藤本には期待できない。澤屋敷は日本代表というよりすでに世界標準かもしれない。

 セーム・シュルトはホーストの愛弟子ポールスロウィンスキーを完封。しかしどこか試合は面白くない。チェホンマンの相手をふところに入れさせない前蹴りと相手の攻撃を待つ闘い方も不満。もっともチェの相手マイティ・モーは恐れず積極果敢に飛び込んでいった。K-1の投票ページにおけるMVPはマイティ、彼のファイトは賞賛に値しますね。

 プロは見にきてくれるファンを喜ばせ、また足を運んでくれるようなファイトをしなければならない、と桜庭選手は語っている。相手を圧倒する試合もその倒された相手が無類に強ければそれはドラマとなる。ファーストコンタクトであれば、グラウベvsファウスト戦で見られた壮絶な打ち合いにこそ超人同志にしか醸し出せない緊張感と高揚が生まれ、ファンは酔いしれるのだから。

兵どもが夢の跡  

2007年09月28日 | 羽生善治
 第48期王位戦(三社連合・日本将棋連盟主催)七番勝負はフルセット、第7局は最終盤まで形勢不明の大熱戦の末、挑戦者深浦康市八段が悲願の初タイトルを獲得した。渡辺竜王以来の新タイトル保持者となった深浦新王位を祝福したい。

 深浦新王位は準タイトル戦であり今年をもって終了した棋戦である朝日オープン選手権で第21回のタイトル保持者になったこともある実力者で、プロ棋士の中ではいつ七大タイトルの保持者になっても不思議とはされず、むしろ今回初タイトルということに少々の驚きをもたれる、折り紙つきの実力者である。

 その深浦挑戦者をむかえうつ羽生三冠は言わずと知れた棋界のスーパースターであり、この二人の過去の対戦成績から激戦必至と戦前から予想された。

 結果は羽生王位失冠。羽生前王位は次のように対局後感想を述べられた。

 「7七桂(105手目)がうまい手で、これが詰めろ逃れの詰めろになってしまいました。中盤、しのぎに回ったあたりも、つらいような気がしていました。結果は残念ですが、力を尽くしたので、仕方がないというところです。」

 常日頃から勝敗決めるだけならじゃんけんでいい、勝敗よりプロセスを重視したいと語る羽生さん。そのプロセスにおいて自分の出せるものを出し切った清々しさがあった。何より将棋ファンを最終盤までどきどきはらはらさせ、将棋ペンクラブで話題賞を受賞した渡辺明ブログで竜王は「最終盤の攻防は白眉。記者の方々はこの膨大な変化をまとめるのは大変だが、しっかりと取材して頂くことを期待したい」と述べているくらいプロ棋士をも唸らせる戦いだったのだ。

 玲瓏管理人としては、羽生さんの対局結果をいち早く反映することを心がけているが、しかしながら敗退の結果をなかなか受け容れられず更新を滞らせることもある。それでも、今回タイトル失冠というマイナスの結果を、そのプロセスにおいて受けた感動というプラスの要因が上回り、将棋の奥深さを改めて気づかされ、いつもどおり速攻の反映を何の躊躇もなく行うことができた。

 今更ながら羽生さんの将棋は面白い。皆が気づいてこなかった引出しをタイトル戦という大きな舞台に臆すことなく開けてくれる。勝負ごとに勝敗結果は重要だ。しかしそれ以上に珠玉のプロセスにファンは感動するのだ。
 

HERO'S ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦

2007年09月19日 | 桜庭和志
 2007年09月17日横浜アリーナにて開催。地上波TBS系列にて午後9時から2時間枠で放送された。放送全体の感想としては、PRIDEの質の高さに比較するとまだまだだが、かなり改善されてきたと思う。PRIDEから選手が続々と移籍してきており選手層が充実してきたことが要因とも言える。願わくばスカパーか何かで全カード生放送して欲しいところだ。(スカパーTBSチャネルでは1ヶ月遅れの10月20日に全カード放送予定だそうな)

 チーム桜畑のチームリーダとして初めて臨む桜庭和志選手。相手は、船木率いるARMS柴田勝頼選手。桜庭の悪い癖でもらわなくてもいいパンチを迎えにいくところはあったがグランドになってしまえばもう安心して見ていた。ところがサイドポジションから桜庭がシュートボクセばりにパンチを顔面に見舞う。強烈。フィニッシュは少し強引に腕ひしぎ十字固め。大晦日「Dynamite」同級生かつプロレスでは先輩の船木といよいよ対決か・・・、と思いきや、桜庭は試合後のマイクで「お兄さん、僕らも年なんで、よろしくお願いします。」とヒクソンに挑戦状。どうするサダハルンバ谷川。

 宇野vsジダ。宇野敗北。宇野にはかなり厳しい戦いになるのではと思ったが、しかし歴戦の兵。予想以上の宇野のテクニックに関心しきり。ジダの間合いを見切り攻撃させなかったのは見事。しかし踏み込まれて切れるパンチを顔面、目じりに受けてしまったことが敗因だろう。

 カルバンvsシャオリン。あのシャオリンを一発のパンチで持っていくカルバンに口をあんぐり。予想だにしない展開にしてもギリギリのつばぜり合いなんだろうなくらいは思っていたが、一気にカタをつけてしまうとはカルバン恐るべしだ。

 ミノワマンvsケビンケーシー。ヒクソンの愛弟子ケビン。戦い方はヒクソンそっくりだった。ミノワマンのフックでKO勝ち。しかしミノワマン本人も語っていたが、スイッチが入らないまま試合に入ったかの盛り上がりのかけた戦いだった。ヒクソン流の戦いでは打撃に対しての備えが古く今流ではないのだろう。

 メルビン・マヌーフvsファビオ・シウバ。ラッシングパワーではどちらも引けをとらない。どうなるのか?と思い息を呑んで見ていたが、やはりマヌーフ。一発の破壊力は尋常ではない。

 山本KIDvsビビアーノフェルナンデス。総合格闘技3戦目とは言え柔術世界王者フェルナンデス。KIDはアマレスでオリンピックを目指していただけに総合格闘技の練習はずいぶんご無沙汰していた点が懸念された。どうやらKIDは左拳を練習で痛めていたことも試合後わかった。KIDの判定勝ち。KIDの咄嗟の反応、判断力に舌を巻く。練習ではあそこまで研ぎ澄まされない野性の感だろう。フェルナンデスの一瞬で極めるグランドテクニックにふつうならやられていたかの場面もあったがそこは神の子KID。フェルナンデスがもう少し打撃を覚えて、KIDが寝技を覚えれば、また見てみたい面白いカードになるだろう。

 カルバンvsジダ。ジダの打撃力はカルバンを凌いだ。これは純粋に驚き。しかし、カルバンのクレバーなところは打撃は無理だと思った瞬間にグランドでの勝負に切り替えているところだ。ジダは桜庭にもグランドを教わっている。一旦は腕ひしぎ十字をかえした。が、その直後カルバンが手首を逆にして絞り一本をとる。ジダの将来性を感じつつも、出る杭を打って見せたカルバンの総合力に舌を巻いた試合だった。

 セルゲイ・ハリトーノフvsアリスター・オーフレイム、ユン・ドンシクvsセルク”弁慶”ガレシック、宮田和幸vsハービー・ハラの三試合、チーム桜畑―U-FILE CAMP対抗戦オープニングファイトの二試合は放送されなかったのは残念。

 試合翌日記者会見でカルバンは五味の名前を、ハリトーノフはヒョードルの名前を挙げた。果たしてこの2人:五味、ヒョードルはHERO'Sのリングにやってくるのだろうか?なんか眉唾な展開かもしれないが、それに乗るのも一興、今後の展開に目が離せない。 

「勉強について、私たちの考え方と方法」を読んで

2007年09月11日 | 羽生善治
 本日「陣屋決戦」凄かったですね。ゴキゲン中飛車から向かい飛車に。「桂の高飛び歩の餌食」という格言何のその、飛車先を伸ばす作戦。飛車の急襲から飛車交換して、飛車角を相手陣に打ち込み龍馬を作る。龍を切っての寄せは鮮やかでした。羽生さんが勝たれて3勝3敗のタイ。今期は第七局も「陣屋決戦」。もし日程さえあえば現地に赴きたいところです。

 さて本題。この9月の新刊本「勉強について、私たちの考え方と方法」読みました。船井総合研究所代表取締役社長小山政彦氏と羽生さんの共著です。第1部羽生善治のこだわり、第2部小山政彦の凝り性、第3部対談・経験と哲学、の三部構成となっています。

 第1部羽生さんのパートでは『決断力ほにゃらら』として講演でお話されることにプラスαという印象です。プラスαとは、何も知らない分野の方が直観をもたらせてくれるとか、信頼しあう者同士は美しいスタイルを壊さないとか、知識や情報とは別の独自のルールをこだわりと呼ぶとか、いかにして相手のミスを引き出すかとか、必要なのは相手を圧倒する圧力とか、とか。

 第2部小山氏のパートでは父親の会社小山商店を年商数十億円とした実績・経験より、いろいろ参考となる言葉がありました。「失敗しても諦めなければそれは失敗とは言わない」、「今日やれることは今日のうちにさっさと済ませる」、「難しいことをできるだけ平易な言葉で説明できるか」、「リーダーが部下の足を引っ張るな」、「人生は軌道修正の繰り返し」などなど。

 第3部は両者の対談。ホント羽生さんはいろいろな分野のトップの方と対談経験をお持ちです。こだわりの羽生さんと凝り性の小山氏が融合してどのような化学反応が起きる、起きたのか?が興味の焦点でした。平常心をどれだけ維持できるかで勝負は決まるや、必要なのは闘争心ではなく勝負の過程の”美しさ”や、真のストレス発散とは信頼できる人がいることや、考えるための持久力が勝負の行方を左右するや、新しいことを受け入れる柔軟性を持ち続けるや、いくつもの山を乗り越えて勝つのが勝利の醍醐味など、講演会とはまた違った色の羽生さんが見えて面白かったです。

激高

2007年09月07日 | イチロー
 「これがアウトか審判!」と珍しくイチローが激高した。無理もない、この日のイチローの結果は4打数1安打だったが、盗塁1つと安打2本を「幻」にされたからだ。

 「際どくないよ。ああいう人たちと一緒にフィールドに立つことがすごく恥ずかしい。」誰よりもプロフェッショナルたりえんとするイチローは、MLBは神聖な場所であり、世界一のフィールドとして誇りをもっている。今年はマリナーズが優勝争いしていることが何より大きい。リードオフマンとしてはチームを勝利に近づけんとすることが役目だ。試合後、収まらない怒りとともに吐き捨てた言葉。2-1とリードしながら8回8失点で逆転された試合展開を振り返って「でも自分たちの野球も恥ずかしいけど・・・」と付け加えた。その言葉に、チームリーダーの自覚とプロフェッショナルたるプライドが浮き出ていた。

 一回先頭打者として緩いセカンドゴロ。ほとんど同時をアウトと判定された。これはまあ仕方ないかで済ませる範疇だった。この後がいけない。三回先頭打者ではライトへクリーンヒット。すぐに二盗を試みる。ジーターにタッチされる寸前で膝を引き交わしたが判定はアウト。テレビのビデオリプレイは何度もジーターのタッチが空振りするシーンを映し出し、ヤンキース専属解説者ですら「Ichiro is unlucky.」と語る。五回ショートへの緩いゴロ。これまたビデオリプレイを見ると完全にイチローの足の方が野手の送球より速い。にもかかわらず判定はアウト。度重なる理解しがたい判定に地面に向かって叫ぶイチロー。それを見たシアトルマリナーズのマクラーレン監督はいつもは冷静沈着なイメージであるのにイチロー同様珍しく激高し審判に抗議した。「イチローは問題がある時しか激高しないからね。」チームリーダーと監督は熱いパイプで結ばれている。

 イチローは名前がビッグになり過ぎたが、かつて自分が責任編集した雑誌『インパクト』でその原点は故ちばあきおさんの「キャプテン」「プレイボール」の谷口であり、イガラシと語っている。谷口、イガラシは傑出した実力はない弱小チームのキャプテンで、この野球漫画は努力と根性で勝利をものにする泥臭いストーリーだ。平凡な内野ゴロを安打に変える、タイミングアウトの盗塁をタッチをかいくぐってセーフにする、ホームランをフェンスによじ登ってアウトにする、一瞬の機転でホースプレーにする、そんな漫画チックなプレーを世界最高峰とされるMLBの舞台で現実にするイチロー。

 MLBの審判よ、ホームディシジョンかどうか知らないけど、どうかベースボールファンを悲しませるようなそんなちんけな判定だけはしないでおくれ。

久々システム更新情報です

2007年09月06日 | 更新情報
ちょくちょく「玲瓏」いじくっていましたが、今年の元日以来の更新情報です。

◆データ補充
王位戦、書籍、雑誌、トーク、獲得賞金額、

◆システム更新情報

①雑誌に主だった表紙追加:2月2日
書籍と同じくamazonアソシエイトプログラムによりご紹介しています。
#ご利用いただきありがとうございます。これが結構微々たるものです(笑)
#年間のサーバ費用が出れば嬉しいのでドシドシご利用ください。
#今は全然届きません(T_T)

②レイアウト変更
「履歴書」「揮毫」のページ模様替え

③戦型別成績
京急将棋まつりのお子さんからのご質問でどの戦型の勝率がよいか?の質問に答えるがごとく各戦型の勝率を追加しました。

④各月別成績
常連であり将棋道場仲間いっこうさんからのリクエストで月ごとの勝率を出してみました。7割を切っているのは3つの月、6月、11月、3月。いずれも季節の変わり目。初春、初夏、晩秋ですね。特に晩秋の勝率が6割を切っているのは顕著ですが、それ以外は7割前後と万遍なく勝利されているから逆に驚きです。

それでは8月19日以降分blogも合わせて追加しておきます。

7年連続の200本安打

2007年09月04日 | イチロー
 史上3人目の偉業だ。
 
 シアトル・マリナーズのイチロー外野手は3日(日本時間4日)、ニューヨークのヤンキースタジアムでのヤンキース戦で先発したロジャー・クレメンス投手から1回に安打、3回に2ヶ月ぶりの本塁打を記録し、7年連続の年間200安打を達成した。

 7年連続の年間200安打はMLB史上3人目、歴代2位で、83~89年のウェード・ボッグスに並ぶアメリカン・リーグ記録。最長は1894年から1901年にかけてウィリー・キーラーが記録した8年連続。デビューから7年連続は、自身が持つ連続記録で更新した。

 イチローは「去年は170~190安打の間で苦しんだので、そこに課題を置いていた。200安打よりも、正直、そこをスムーズに乗り越えたことがうれしかった。技術的に向上したか?可能性としては向上する余地はあるが、マイナスがゼロになったという感じ。でも、毎年目標にしている数字なので感慨深いものはある。」と話した。 記者から早くも8年連続の話題となったとき「もう来年の話かよ。早いよ。」と笑顔で遮った。その笑顔には「ボクもギリギリのところでやっているんですよ。」とコメントした3年前のイチローから一皮向けた進化したイチローを印象づけた。

FeelAlive講演会 Q&A

2007年09月02日 | 羽生善治
 羽生さんの講演会は残念ながらDVD化されない模様。FeelAliveのページってナンカ新興宗教みたいに怪しい臭いがプンプンしてましたが(^^;、至って普通(というかボランティア?の方多数の運営でところどころ手際の悪さが見え隠れしてフレッシュでしたが)の講演会でした。

 講演会は1時間の講演とQ&A30分(今回は45分でした)という構成がほとんど。自分の質問がありましたが、今回は最初から諦めて挙手せず、ひたすらメモってました(爆)

Q-1:ミスをして成長するということはたくさんミスをするべきか?
A-1:自分が将棋を覚えて子供将棋大会に出たら簡単に負けた。道場に通い始めたが、最初は15級という席主が配慮してくれた級。2ヶ月くらい勝てなかった。そうこうしているうちにどうやったら勝てるかがわかってきた。

Q-2:アイデア・発想力に関連して、みそラーメンを食べに行って塩ラーメンがいいと思ったが?
A-2:みそでも塩でもなく醤油ラーメンということもある。実はそういうときは羅針盤を見失っていることが多いので、直観を信じるようにしている。

Q-3:将棋の公式戦対局感想戦にて悲観的なコメントが多い。経営者は楽観的になろうと努力するが、棋士の方は社交辞令で悲観的なコメントが多いのか?
A-3:決して社交辞令ということはない。あらゆる局面を考え慎重に指そうとする。自分が指して相手が指す。相手に手が渡ることから他力に頼らざるを得ないため、悲観的なコメントが多くなる。

Q-4:将棋の神様の実力を100%としたら羽生三冠は何%か?
A-4:30%に達していない。余談だが将棋をある程度勉強された方の最善手は比較的見つけやすいが、将棋を覚えたての人の最善手はなかなか見つけにくい。

Q-5:若い人に対してメッセージはないか?
A-5:最先端の戦法はタイトルホルダーから出ることもあるが大半は若手棋士から出ている。10代20代の頃は勢いがあって怖いもの知らずというところがある。とりとめてメッセージはないが、これまでとおり勢いのある将棋を指していってほしい。

Q-6:決断力を磨くため①将棋②日常生活で何かしているか?
A-6:①では極力忘れることにしている、思い出せないことは重要ではない。②ではどんなに小さなことでもいいから何かを発見することを心がけている。

Q-7:石橋を叩いても渡らない。無理に決断をしないというのもあると思うが?
A-7:時間に猶予があれば無理に決断をしないというのも決断でしょう。一方で時間の制約がある場合には決断せざるを得ない。人事を尽くして天命を待つでないが、全力を注いで決断する。その決断に言い訳をするか?後悔しないか?後悔しないように決断したい。

Q-8:2勝3敗の対戦成績となっている王位戦では失冠の危機。プレッシャーのかかるときの決断は?
A-8:今結果が欲しいというときでもあえてそこで冒険的な手を指すこともある。一局の中ではうまく行かなくて軌道修正することも多々ある。選択した手を後悔しないか?が重要とも思う。タイトル戦の重要な対局において負ける覚悟はいつでも持っている。

Q-9:羽生さんが強いのは才能か?それとも努力か?
A-9:棋譜はネットを通じて誰でも入手できるので情報は棋士平等のものである。あとは個人の切り口とそこに付け足す個人のアイデアだと思っている。他人を知らないので比較できない。

Q-10:5手先も読めないのにトップに立ち続けるのは?
A-10:突き詰めていくと”偶然”かもしれません(苦笑)いや、最後は直観やどっちが好きかという個人的な好みであるし、決断しても答えがない場合が多いのが事実なので。

FeelAlive講演会

2007年09月01日 | 羽生善治
 レポ遅れました。もちろん、行ってきました。羽生ファン本家サイト無双流管理人の茶々丸さんとペア早期割引チケット購入したので、前から4列目の中央を陣取りました。写真の方は本家サイトにて近日公開ですよね?>茶々丸さん。

 早期割引チケットは前から4列目と決まっているとはつゆ知らず、いい席ゲットしようと開演1時間30分も前に会場に到着。がらんとした雰囲気にお一方待っている人が。人懐っこく話しかけられるので話しているうちに、無双流掲示板の常連だった名古屋のハブラーさんだとわかる(^^)ま、世間って思っている以上に狭いんですよね。

 羽生さん登場。最近、本を持参して講演されるようになった。出だしは多少、うーん、何となく暗めのスタート、ちょっとだけお疲れだったんでしょうか?ま、そりゃそうだ。このスケジュールとこの猛暑ではなおさら…。

 本講演のテーマは『決断力を磨く』。世の中、何かを決めることが多い、まさに決断の連続。そんな中でどう決断力を磨くか?

 直観とひらめきの違い。直観とは、これまで培ってきた知識・経験が凝縮されたもので、恐れの気持ちやためらい、欲望が含まれて居ない純粋な思考だという。ひらめきとは、直観とは似て非なるもので、先入観や思い込み、常識や衆目、データ、知識を超えた創造性豊かなものだという。

 前に進む勇気。未知の世界へ恐れることなく踏み込む力。元に戻せない、待ったができない、真剣勝負の中でしか得られないものだという。

 深く考えるには集中することが必要。この行為は海に深く潜ることと似ている。いきなりは深く潜れない。潜水病になるからだ。蛇行しながら徐々に身体を馴染ませていく。ジャック・マイオール。有名なダイバー。潜水すると普通は一歩間違えば死の危険と隣り合わせの状況であるため心拍数が上がるが彼の場合は安定しているのだという。それだけ、集中しているのであるし、潜水という行為が彼に精神の安寧をもたらしているのだろう。

 人間、ミスをしたときは動揺し慌てるものである。早く挽回もしたい。知らず知らず精神的なゆとりをなくしている。こういう時は忘れるという行為が一番だ。今ある局面において最善を尽くす。つまり負の連鎖を断ち切ることこそが重要である。

 プレッシャー。3種類のケースが想定される。世界陸上や国際大会の球技。最善は楽しんでリラックスしている状態。最悪はやる気のない状態。もうひとつプレッシャを受けていながらやる気のある状態。だから、どうやってやる気をもって、かつリラックスできるかが鍵なのだ。
 
 情報・知識が溢れている。人間は欲張りで、たくさんの選択肢からひとつ選択すると必ず不満が残ってしまう。不満はしかしながら言い出すとキリがない。如何に捨てるか?が重要である。

 最近感動した言葉、六次の隔たり。6人の知り合いを辿っていけば世界中の人にたどり着けるという仮説。これは世の中には池袋駅みないなターミナル的な人が存在するからであろう。

 詩人・吉増剛造さん(盤上の海・詩の宇宙共著者)はこう語っている。「日本語は複雑な要素をもつ言語で全部を把握するのは不可能であろう。しかし、その言葉のもつあるところをすり抜けることは可能である。」情報の世界の錬金術ではないが、組み合わせることによって少しでも目的に近づけるかもしれないと、ある日気づかせてもらった。

 自分自身の可能性と発想。マジョリティに甘んじないことが重要だろう。将棋は5手先もわからない。未知の世界、プロセスの中で予想だにしない展開、突発事項を如何に慌てず楽しんでいくか。そして自分がやったことに責任をとる。この2つが重要だ。