発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

インプレッション・トレーニング、ですって?

2013年04月12日 | 物見遊山
 イムズホール。
 『人は0.5秒で選ばれる! 重田みゆき インプレッショントレーニング』に行く。
 ご招待。
 重田みゆきさんって、テレビに出てる有名な人らしいけど、見たことはない。
 ただ、手鏡を持って来てください、と言われただけ。さて、今日の体験は身になってくれるだろうか。
 ひねくれ者の私は、とりあえず講師が「働くということは、はたをらくにするということです」とか、「長い棒と短い棒が支え合って人という字になるのです」などと言い出すと、寝ることにしている。どっかで誰かが言ってたような、ほんらいの語源と違う駄洒落や、ほんらいの字源と違うこじつけを言い出す人の話が面白かった試しがないからである。給料をもらってる会社の研修でのお話なら、社員のお仕事として聞くけどね。
 元フライトアテンダントで、やはりフライトアテンダントや接客のトレーニングを行っている40代の女性、というと、ぴっちり結い上げた髪と、肩パッド入りのスーツ、襟元にど派手なブローチかコサージュ、あるいは派手なイヤリングな感じを想像してたんだけど、出て来た重田みゆきさんは、鮮やかなターコイズブルーの、無地だけど遊び着っぽくもある半袖ワンピース姿で、若いバラエティ系のタレントさん的な風貌だった。
 いきなり「いい笑顔なしに、何か人にしてもらおうなんて甘~いっ!!」と、きたもんだ。ともかく二週間続けてください。無理にでも笑ってたら幸せがやってきます。他人に与える印象と、自分自身が笑顔することで得られる自分の脳へのフィードバック。ともかく笑うのだと。まあ細かいところは記憶違いがあるかもしれないけど、そんな感じで。
 すごい説得力でぐいぐいと二時間進んだ。
 彼女の波瀾万丈な人生体験談をまじえながら、ひたすら、チャーミングな笑顔についてのワークショップとレクチャーが続いたのである。彼女の指導する顔のマッサージも、さきごろ亡くなった田中宥久子さんの顔筋マッサージに似て非なる、笑顔のためのマッサージ。シワをなくすとか美しくなるとかむくみを取るとかの効果の話ではなく、ともかく笑顔とはっきりした発音のためのマッサージ。第一印象とは、何より先に、魅力的な笑顔。それ以外の話は省略されていた。
 誰もに二時間のレクチャーをするのだから、誰でもできる、二時間でも成果があがる、一番大切な、笑顔に特化した話だけ。たぶん、しぐさとか服装だとか話し方など、時間が長くなればいろいろなことが付け加えられるのだろうけど、ともかく二時間なら、何よりもまず笑顔。ほかのことはほとんどなく、ともかく笑顔。実に正しく、合理的なプログラムに思えた。
 なるほどなー。
 でも、それって、販売の人たちだったら得意なことで、誰でも普通にやってることじゃないかしら? そんなことを考えながら、翌日、用事があって駅に行き、名店街の土産物売り場でからし明太を売っているところを歩いたら、たくさんの女性販売員がお客さんに声を掛けているのだけど、誰一人として笑顔ではない。笑顔が禁じられているのだろうかと思ったくらい。
 作り笑いじゃなくて、自分の脳によいフィードバックを与えるために、いいかえれば自分自身が幸せになるために、微笑んでいるのだと思えば、笑えないかしら?


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