発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

維新ということばについて思うこと

2012年02月14日 | 日記
 「船中八策」ということばを出してきたところを見ると、やはり明治維新になぞらえているようだ。どんな船なのだ。乗る人がいる限りはドロ船でないことを願う。
 政治団体○○維新の会、の「維新」は、正しい革命の勝ち馬に乗る僕たち、という響きで使っているふしがあると私は思う。
 のぶ工房は「維新」とつく本を3冊出してる。「維新」は「あの時代の革命」という意味であり、それ以上でもそれ以下でもない。
 江戸城無血開城、とはいうものの、いわゆるひとつの明治維新の時代は、間違いなく血にまみれた日本国の内戦である。
 3冊の本でとりあげた筑前も長州も、まさに死屍累々な時代だった。
 幕末維新のあたりを本にした、のぶ工房の発行人としては、とても「維新」ということばを政治団体としてネーミングする気にはなれないし、そういうことばづかいをするメンタリティの政治団体を支持する気にはなれないのだ。
 ひとつ提案がある。
 ○○維新の会、の「維新」を、いったん「革命」とか「改革」とか「大改革」とかいうことばと言いかえて、それでも納得できる内容だったら、どんどん支持や参加をされたらいいと思う。
 意味はあまり変わらない。
「維新」というネーミングが先走りしていて、しかもそのネーミングのイメージは、おそらくは曖昧で詳しくない歴史認識に基づくものである。
 そういえぱ、1990年代、「平成維新の会」というのがあった。各界で活躍され頭がよろしいと思われる方々が参加されていたと記憶している。「平成改革の会」とか「平成革命の会」という名前だと、あれほど錚々としたメンバーは集まらなかったと思う。でも瓦解した。

「船中八策」ということばについては、これも「8つの目標」とか「マニフェスト8項目」とかに言い換えてほしいと思う。
 坂本龍馬の「船中八策」の存在については諸説ある。私は別に龍馬に特別の思い入れがあるわけじゃないけど、龍馬ファンの人たちはこのことばを使うことについてどう思っているのだろう。
 小説や、テレビドラマに出て来る坂本龍馬は、学校の先生の思想信条に、強い制限を加えるような人じゃないと思うんだけど。
 まあ、親や生徒の意見を先生の評価に反映する、というのは、運用次第ではいい学校を作るかも。顧客の意見が反映されないサービスという点で、公立学校は、他のサービス業と大きく違うわけで。それが学校を悪くしている理由のひとつかもしれない。
 でも、それは、個人の思想信条とは別の次元だ。私が行ってた昔の学校でも、日教組でもそうでない先生でも、ダメなひと、困ったひと、明らかに不向きなひと、というのはいたし、それは組織とは別の問題だということは、中学生でもわかることだった。
 いちばん問題なのは、「維新」だの「船中八策」だのの、イメージ先行のネーミングに希望を見いだす人々が多いという現状なのだろう。過去の「自民党をぶっ壊す」「郵政改革」と少しかぶる気がするが、こちらは、それでも少しは具体的なキャッチフレーズだった。 

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