◆岸田劉生と椿貞雄展
久留米市石橋文化センター。前回は、2017年2月で、冬だった。今回はバラがたくさん香ってた。花菖蒲も。美しく整備された庭園。木陰の所々に配置されたガーデンファニチュア。ともかく優雅な場所である。サンドイッチ入れたピクニックバスケットと紅茶の魔法瓶があるといいな。
ともかく久留米市美術館の特別展。岸田劉生は教科書によく載っている。宿に泊まり、夜トイレなどに起きたとき、廊下に飾ってあったらいやな絵のアンケートをとったら、圧倒的に票を集めるのは麗子像だと思う。自分の実の娘を、楳図かずおの怪奇漫画、もちろん楳図かずおの方があとからになるけど、つまりグロテスクに怪奇に描くというのがもう。あの作風はデロリって言うんですって。総絞りの見るからに上等の着物を着て微笑む麗子ちゃん。油彩実物を初めて見たけどやっぱりこわいよ。椿貞雄の若い頃の自画像は「ザ・目力」というタイトルをつけたいくらい眼光鋭い。お二方とも洋画家なのだが、掛け軸、水墨画類の展示もある。そういえば時代がかぶる小杉未醒も守備範囲広かったよね。
◆丸星ラーメン
国道3号線沿い、久留米市の宝満川と筑後川の間にあるのが、知ってる人は知ってる丸星ラーメンだっ。BGMは昭和歌謡。はやい、安い、うまいと書いてある。確かに早くておいしいよ。しかも一杯400円。ドロっとしたとんこつラーメンは、郷里宇部で親しんでいる。初めて博多ラーメンを食べたとき「さっぱりしたスープですね」と言って驚かれたものだが、博多は、とんこつスープといってもサラサラなことが多い。
◆元祖長浜屋
博多らしいっていえば、元祖長浜屋である。メニューはラーメン、肉、替え玉、ビール、酒、焼酎のみだったような。フローリングはコンクリート。装飾らしいものは、お子様は危ないので店内で走らないでね的イラストのみ。丸くて大きなアルマイトのお茶入りヤカンがテーブルにどーん。ハードボイルドなインテリアである。こちらのスープは塩分が少ない。肉はいわゆるチャーシューではない。薄切りの豚肉なのだろうが汁気の少ない、佃煮状に煮てあるものである。この肉の塩気でラーメンを食べるって感じ。すっかり気分は高倉健、菅原文太、あるいは梶芽衣子あたり。年に1~2回、真夜中にしか行くことはありません。
私はバリカタなどという注文は絶対しない。カタ麺など消化が悪いし、麺の茹で時間が短縮されるのみなので、店にメリットこそあれ、客にいいことなどない。デンプンはアルファ化されてこそだと思う。
麗子さんは実際は綺麗な方だったのでしょうね。