発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

久留米市美術館など

2017年02月10日 | 物見遊山

◆吉田博展

 近くに用事があったので、空き時間に行ってみたのだ。石橋文化センターは、その名のとおり、ブリヂストン石橋正二郎氏がつくって久留米市に寄贈したものである。昨年石橋財団が撤退し完全に久留米市の運営となり、青木繁の「海の幸」など美術館の有名な収蔵品の多くは東京のブリヂストン美術館の所蔵となり、美術館の名称も「石橋美術館」が「久留米市美術館」となった。

 今年初の特別展である。観覧者多し。水彩、油彩、木版などの風景画がほとんどだが、印象に残ったのは戦争画の「空中戦闘」昭和16年。大迫力である。当時すでに高齢だった画家は、それでも戦闘機に乗ったのだろうか。これは乗らなきゃ描けないな。2枚あるのだが、1枚で、「スカイ・クロラ」(原作森博嗣、監督押井守のアニメ映画、川井憲次の音楽と空の描写が秀逸)の何千コマに値する表現なのではないかと思った。

 文化センター内には、美しい庭園や花壇、図書館やホール、売店やレストランもある。梅が枝餅も売ってる。全体的に統一感がある。

 

◆650

 シーベルト毎時。100パーセント致死量の100倍の線量ということである。それが福島第一の2号機の地下で、しかも圧力容器の真下に入る途中なのである。メルトダウンとは、つまりそういうことなのだ。ひとの生存どころかロボットが耐えられない線量。現場に入った汚染されたロボットはどうなるのだろう(その場に放置するのでなければ、これもまたどこかに閉じ込めておくしかないのか)。連日の報道は表現を抑えてあるが絶望的な汚染だということが素人にもわかる。廃炉の見通しが立たないということは、予算の見通しも立たないということだが、廃炉できなければどうなるのか。別のところでメルトダウンなど起きたらどうなるのか考えるのもいやになるが、考えないわけにはいくまい。原発事業を継続したとしての人類の勝率はどのくらいなのか。撤退できるのに誰かの利益のために撤退しないのか。あともどりするにはすでに手遅れな案件なのか。自分にわかるのは廃炉はメルトダウンするより前に行わないととんでもないことになる、ということぐらいだ。

◆いとしの卵かけごはん

 博多駅のマイング名店街に「うちのたまご」というお店がある。「うちの」というのは今は合併して飯塚市になっている旧筑穂町の「内野」のことである。内野は長崎街道の宿場町で、旧い町並みがよく残っている。筑前内野という駅があり、筑豊本線(の一部、桂川〜原田間、通称原田線)という電化されていない路線が通る。近くの山にJR九州のゴルフ場と養鶏場がある。内野のたまご=「うちのたまご」ということなのだ。原田線は、運行が少ない。日中4時間くらい、まったく空っぽになってしまう時間があり、そんな時間には、過密の鹿児島本線を避けてということだと思うがJR九州の列車の甲種輸送(鉄路を使用して列車を運搬すること)だか回送だかに使用されていて、たまに「ををっ!!」と思うような列車に出会える。旅客輸送に使われるのはキハ31気動車。昔、福岡県内の長崎街道を取材して歩いていた頃は、キハ125(今は久大本線や、日田彦山線、唐津線などで走ってるのをよく見る)が使われていた。彼岸花の咲く中を黄色いキハ125が走る姿は可憐であった。

 その「うちのたまご」店では、生卵と、ケーキ、プリンなどの卵菓子類を販売しているのだが、席があり、卵かけご飯を食べることができる。たまご2個、ご飯2杯までとお味噌汁で520円ということで、通るたびにほぼ満席である。1個60円以上する上等の卵の卵かけご飯である。とはいえ駅から30分で帰宅でき、帰ればご飯も炊けている身としては、寄り道して卵かけご飯を食べて帰ろうとは思わない。

 以前、エッグベネディクトのためのポーチドエッグは「うちのたまご」を使うと簡単だと書いたことがある。卵かけご飯が苦手な向きにも、ポーチドエッグをのせたご飯なら、すごくおいしく食べられるのではないかと思う。たぶん卵かけご飯が苦手な人は、白身、特に溶き卵にしたときにいくら混ぜても、ドロっと残ってしまうカラザがいやなのだと思う。気にせず食べる人は食べる。はずす人もいるが。ポーチドエッグにすると、白身はほぼ固まって、カラザの所在などわからなくなる。で、黄身は魅惑のほぼ生状態なのである。卵かけご飯の白身カラザ問題は、鍋に沸かした湯に生卵を落とす、というひと手間をかけることで、簡単に解決するのだ。

 私は、かつおぶしの削り節パック1つにお醤油をよく混ぜたものを熱々のご飯に載せて、その上にポーチドエッグ(卵はなんでもいいけどできるだけ新しいものを使ってね)を載せた、猫玉丼とでも呼ぶべき、卵かけご飯の変形が好きである。まあ試してみてね。独り飯の卵かけご飯が至福の味わひになりますのよ(?)

 

 


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