きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

それは突然やってきた!尿管結石

2012年03月26日 | 健康・養生・鍼灸
数年前のことである。
患者さんを施術中に左側の背腰部に突然違和感を覚えた。痛いという訳ではなく、ちょっと言葉では言い表せない「ムズムズするような、疼くような、重いような・・・いやーな感じ」で、ギックリ腰の前兆かも知れないと思いつつも、今まで感じた事のない不快感であり、大事を取っていつもより早く治療院を閉め、18:00には帰宅の電車に乗った。
 
乗った直後から、それは始りました・・・・
左側腰背部の重い痛み、周期的に襲ってくる吐き気、冷や汗、身の置き所が無いようなイヤーな感じと便意・・・。

やっとのことで家に帰りついたのが19:00。
とても夕飯を食べられる状態ではなく、横になって周期的に襲ってくる痛みに耐えていた。横になっていると少し楽なのだが、そのうち便意をもよおし、トイレの便座にしばらく座っていても、大便が出るわけでもなく、腰部の痛みがしだいに激しくなってきて、座っていられずにまた横になるを何度か繰り返しました。

痛みは初期の左背部から明らかに下に降ってきており、左脇腹から左腹部へと移動して来ていて、この時点で「尿管結石」と確信した。
水をがぶがぶ飲んで、安静にして、なんとか23:00頃までは我慢できたが、とても我慢できる痛みではなくなり、お腹が破裂するのではないかと不安になるほどの、居ても立ってもいられない、未経験の痛みとなり、思わず「うーん、うーん」とうなり声が出てしまうほどになったので、これはいかんと女房に運転してもらって、近くの救急病院へ行った。

症状を医者に話したら「ああ、急性大腸炎ですね。一晩に何人も救急車で来るんですよ。」と言う???。「痛みが背部から側腹部に移動しているし、便秘ぎみなので、尿管結石ではないですか?急性大腸炎なら下痢になるはずですが?」と言っても、「大腸炎ですね~筋弛緩剤を注射して、痛み止めを出しておきますから」と言うだけでした。

尿管結石も、急性大腸炎も緊急処置は同じでしょうから、「はい、お願いします」と治療を受けました。家に帰ってからは、手探りで、しかも左手で、腰部から側腹部の圧痛点を探っては、寸6(50mm)、3番鍼(0.20mm)を打ちました。雀啄をくわえると重痛部にズーンと響いてとてもきもちよく。これをしばらく続けてから寝ました。この夜はきっかり2時間ごとに痛みが出て、そのたびに痛み止めを飲むと言うのを4回くりかえして朝を迎えました。
朝はなんとなくすっきりした感じで目覚め、痛みもありませんでしたので、ちゃんと診察してもらおうと、電車で同じ病院にいくことにしました。

駅まで歩きましたが、なんとなく尿意を覚えたので、駅のトイレで用をたしました。
尿が上手く出てこず「あれ~、なんか尿の出方が変だぞ。」と思った瞬間、まったく唐突に、なんかの異物が、まさに「プッ]と言う感じで、尿道口から飛び出したのを、感じました。
おちんちんの先に赤茶色の2~2.5mmほどの粒状の物がくっついているのを発見したのは全くの奇跡で「何じゃ、こりゃ~~~」と言う感じしたが、すぐに「結石だ~!」「ばんざ~い」でした。慎重にティッシュに取って、大切に病院に持ち込み、昨日の医者に見せましたが「あ、結石ですね。良かったですね。」とサラッと言われて(ムカ~!)、「だから昨夜、結石ではないかと言ったでしょう。」と口には出せず。兎にも角にも痛みも出ず、腰も軽く、一件落着めでたしめでたしでした。

 こんな小さな粒でも尿管(腎臓と膀胱を繋いでいる管)を降りてくるときに尿管の内壁とこすれて、反射的に尿管が異常痙攣するために、あんなにひどい痛みが発生するなんてね、にくらしい結石やろうですが、逆になんとなく愛しく思ったりもして・・・。

繰り返します・・・大腸炎は下痢、尿管結石は便秘ですぞ!!!。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

不知火検校と座頭市

2012年03月18日 | 健康・養生・鍼灸
「不知火検校」は極悪人の按摩「杉の市」の物語であり、宇野信夫の同名戯曲をベースに森一生監督、勝新太郎主演で1960年に作られました。一方、1962年に子母沢寛原作、三隅研次監督で製作された、按摩でやくざ者で居合いの達人の「市」を主人公とした「座頭市物語」は、以後「座頭市シリーズ」として大映での勝新太郎の代表作となったが、いずれも主人公は盲目のアウトローが特徴で大菩薩峠の机(この字だったかな?)龍之介もこれに属するかな、60年代は安保闘争やベトナム戦争などもあり、その後の70年代とともになにかと世情不安定な時代であったことが思い出される、がここでは映画の話ではありません。

 鍼灸を生業としている立場から・・・題名にある「検校」、「座頭」とは何なのかという話をしてみましょう。

 検校も座頭も室町時代から定着した盲官(視覚障害者の役職)の一つであり、最高位が「検校(けんぎょう)」続いて「別当(べっとう)」、「勾当(こうとう)」となり、最下位が「座頭(ざとう)」となります。

 仁明天皇の子であり、自分も若くして盲人となった人康(さねやす)親王に仕えていた盲人に検校と勾当の2官が与えられたのが盲官の最初といわれています。また室町時代に「平家物語」をまとめた明石検校(あかしけんぎょう)が幕府から庇護を受けて、盲人の組織(後代には琵琶、平曲、三味線、筝曲、胡弓、鍼灸、按摩、将棋などを業とする者の組織に発展)である「当道座(とうどうざ)」を作ったとされています。

 江戸時代には寺社奉行の管轄下で当道座は発展し、組織のトップに立つ総検校は十万石を超える大名と同等の権威、財力と格式を持っていたといわれています。鍼灸の世界では、日本独自の管鍼法(細い管を通して鍼を刺入する、現在の刺鍼法の主流)を創出した杉山和一検校(すぎやまわいちけんぎょう;杉山流)が有名で、今でも毎年「杉山祭」が催されています(江ノ島にて)。

 良い腕をもった鍼医者であったからこの地位まで上り詰めたかどうかは定かではありません。当道座(視覚障害者)への幕府の保護政策の一つに貸付金の制度があったようで、この貸付金を元手に金融業(金貸し)をして儲けていた人たちも多く、この財力で官位を手に入れていったということもあるようで、鍼や按摩の名人というよりは経営者としての能力が高かったから検校まで上り詰めたのではないかと私などは考えています。
 杉山検校は紀国屋文左衛門との交流も深かったと伝えられていますし・・・。
邦楽を支えてきたのも検校たちです。お正月に良く流される筝曲「春の海」を作った宮城道夫さんも視覚障害者でしたね。

 一方座頭は「座頭市」で分かるように、流しの按摩さんレベルであり、「あんま上下(かみしも)十六文」(上下、つまり全身をもんで、料金はかけ蕎麦一杯と同じ十六文(二八蕎麦。二八の十六文)という厳しい状況にあったようで、真面目にこれだけで稼いで位を上げていくのは無理だったでしょうね。いつの世も経営的センスのある人が成り上がれるのですね。

 座頭市は「俺たちゃな~ご法度の裏街道を歩く渡世なんだぞ~」と自ら言うように無宿人(住所不定)ですから、当然貸付金も借りれなかったでしょうが、博打の才能をいかして結構稼いでいますね。各地の親分の所を回っていれば、客人として食・住には困らないしね・・・その割にはいつも汚い恰好をしているのが変ですね・・・。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

ボトックス vs デトックス

2012年03月17日 | 健康・養生・鍼灸
 ボトックスは現代医学の治療法の一つで、毒素を体内に注入することで神経や筋肉を麻痺させて行う治療法で、眼瞼痙攣を緩和するためにボツリヌス菌を瞼に注射して顔面神経を麻痺させたり、筋肉を弛緩させて顔のしわを取ることなどが行われています(研修を受けた限られた医師が行っています)。

 一方、デトックスは体内の毒素(というと大袈裟で、老廃物も含めて不要なものと言った方がよい)を体外に排出させることを言います。 
 デトックスというと、「汗を沢山かいて・・・・」という風に言われますが、身体の生理作用で生じた老廃物や、飲食などで体内に取り入れたもののうち不要なもの(毒素と呼ぶかどうかは?ですが)は生理作用で自然に体外に排泄されている訳で、その内訳は75%が大便によって、20%が小便によって、5%が汗によって・・・ということです。
 つまり、大小便で体内毒素(?)の95%が排出されているのです。岩盤浴、溶岩浴、ゲルマ温浴、など汗をたくさんかくことがデトックスに良いと巷で喧伝されていますが、一番はいいウンコといいオシッコをすることなのですね。まずは便秘を無くすということが重要になりますね。

 さらに言えば、体内に吸収されてしまった毒素(?)は肝臓で処理されますので、日頃から肝臓にあまり負担をかけないように、タバコ、アルコール、訳の分からない添加物の入った食品などを避ける習慣を身に着けることが肝心です。デトックスを云々する前に、食べ物・飲み物に注意して体内に不必要なものや、必要なものであっても過剰には取り込まないことが肝要になりますね。

 さて、以前中国の「有毒」食材が問題になって、今はチョット下火になっていますが。
中国産、中国製の食べ物は「もう買わない。」という人もいますが、いちいち産地やメーカーを確認して食物を買うようになったことは良いことだと思います。じつは日本も似たり寄ったりで、日本のほうがハイテクでより巧妙にやっているから問題化していないにすぎませんね。これまでが無頓着すぎたと思っています。

 以前発刊されたAERAに「安心・安全を食べたい」「中国だけじゃない!危ない食卓、すべて公開」「表示のウソホント」「デパ地下は安心か」・・・・など、特集でこの問題を取り上げていましたが。これを見た家内は、これじゃ何を食べていいか分からないじゃないの・・・と嘆いていました。 とはいってももう意識レベルは大分下がって、今は何を食べさせられているか分かりませんが・・・。

 加工食品の食品添加物は入っているのが当たり前ですが、一見何も手が加えられていないと思える食材でも もはや添加物まみれなのですね。脂をインジェクションされたステーキ用の肉、いかにも新鮮そうに見える野菜や魚も例外ではなく、外食産業でこれらが使用されているのは当たり前のことで、また一般の家庭向けにスーパーでじゃんじゃん売られているのですね。

 NHKの特集番組のなかで、インジェクション装置を開発した食品加工装置のメーカの人が「肉が柔らかくて美味しいのはこの装置のおかげなのだ!針でざくざく刺し、おいしい脂を注入する、この日本の技術はすごいのだ!」と誇らしげに話していましたが、何かが狂ってますね。

 アナゴやうなぎ、フグなどの産地表示についても問題化していますが、基本的に資本主義社会の必要悪の部分もあるわけで、気にすべきところは気にし、どうでも良いところは気にせず、選択できる賢い消費者でいたいものです。

 観光地で売られているお菓子や饅頭や海産物だって、なぜこんなに日持ちするのか???ちょっと考えれば・・・分かりますね。ただし、こんなものを食べ続けて60年近くも生きてきた私を例にするまでもなく、人間ってなんてタフなんだろうと呆れますね。おもに肝臓君のお蔭ですね。いくら肝臓が高性能の毒物処理プラントであるといっても、これまで負担をかけすぎてすみません、今後はもう少し楽をさせてあげたいと思っています・・・・が。


<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

地震対策・・・取りあえず

2012年03月14日 | 日々の暮らし
関東地方での震度7の地震が予想されて、少しは対策をしておこうかと重い腰を上げて

まず家の方は、一通り防災グッズをそろえ・・・2X4の家が潰れることは無いだろうし、場所的に津波の影響は考えられないし・・・問題は火災かな

火事さえ起きなければ家の方は何とかなるだろうと、やっぱり楽観主義から抜けきれない

地震によって、家のある磯子区から三浦市の職場までの交通機関はまず遮断されるだろうから、日中起きた場合は取りあえず職場で待機するためのグッズ、ラジオ、懐中電灯、ロウソク、医薬品などを準備

一息ついた後で、家には歩いて戻るほか無いと予想されるため、必要なマウンテンシューズ、ヘルメット、防災グッズを詰めたリュックをすぐ持ち出せる形で職場に置くことにした

取りあえずはこんなところで・・・後は神に祈るほか無いだろうね

高校時代には100Km程は歩いたことがあるが、どうなるかなあ~


睡眠時無呼吸症にCPAP

2012年03月10日 | 日々の暮らし
 神奈川県呼吸器循環器センター呼吸器科での2泊3日の検査入院の後、「一晩中ほとんど呼吸してないね・・・血中酸素濃度も低いね・・・重度の睡眠時無呼吸症ですね・・・このままほって置くと死にますよ!」と市川染五郎そっくりのちょっと頼りない若い医師にサラリと宣告され、「持続陽圧呼吸=CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)」装置を使い始めてから既に7年が経過した。

 若いころから激しいイビキをかいていて、「呼吸が時々止まっているようだ」と妻にも言われていて、ずうっと「無呼吸症」だと思ってはいたのだが、検査を受けるでもなくほっておいた。
いよいよこれはまずいと思ったのは「夢」がきっかけであった。

当時、毎夜見ていた夢は正に悪夢といってよい。
トンネルに閉じ込められたり、海底に沈められたり、がけ崩れにあったり、迷路に迷い込んで抜け出せなかったり、シチュエーションはいろいろだが、結果、いくらもがいても脱出できない!!息ができない!!苦しい!!死ぬ!!!!!というところで目が覚める、といったような悪夢であった。

次第に悪夢を見る回数が増加し、悪夢を見て目覚めた後の不整脈の発生(4回に1回は脈が飛ぶ)と動悸の激しさと、胸苦しさと、その後に再び寝ることに対するなんとも言えない不安感を強く感じるようになっっていた。

 無呼吸症は、単に昼間どうしようもなく眠くなり仕事に差しさわりが出る、事故を起こす、といったことに留まらず全身的な障害や疾病の発生原因になる。

寝ている時にたまに呼吸が止まるというよりは、ずっと止まっていてたまに呼吸する(呼吸が復活する時に大きなイビキをかく)といった具合で、一晩中満足に呼吸をしていないわけで、長時間の酸欠状態と熟睡できていないことによる自律神経の失調が問題になる。

本来、寝ることで副交感神経優位(リラックス状態)となるべきところが、一晩中交感神経優位(ストレス状態=「闘争か、逃走か」の状態)となっている訳で、眠くて交通事故を起こしてしまうといったことだけでなく、高血糖や高血圧などを引き起こし、また癌や脳梗塞、心筋梗塞、などの原因にもなる。

遺伝的要素があるが、肥満には必ずしも関係がないようで、ちなみに私は理想体重を維持しており、肥満体ではないのに発症しています。
進化の過程でヒトの顎が退化して口腔が小さくなったことと、言葉を話すために舌が発達して大きくなったことが原因とされますので、細面でおしゃべりな人が要注意かな・・・?

CPAPは鼻にマスクを付け、機械で空気を送って咽喉内を陽圧にすることで、舌を前方に押し出して鼻からの気道を確保し、空気の通りを良くする装置です。
慣れるまで違和感があって、継続できない人が3割ほどいると担当医に聞いていましたが、私の場合は全くOKで、翌朝目覚めたときには「こりゃすごい!!!!」と、効果の程を実感、というよりその結果に感動すら覚えました。

 それまでは夜中に2~3回は目覚めてトイレにいっていたので、「まあ歳のせいかな」と思っていたのですが、これがCPAPを使ったその日から夜中に目覚めることはピタリとなくなりました。それに朝起きたときの口のねばねば感やノドのイガイガ感が全く消えたのは、口呼吸をしなくなったためと思われます。不整脈も無くなりました。昼間電車の中でつり革につかまって立ったまま寝てしまうということも無くなりました。

加えて、まだそんな年でもないのにと思っていたインポテンツぎみ(所謂、中折れ状態)が解消し、またここ数年無かった「朝立ち」が毎朝のように起こります。これは勃起という生理作用が副交感神経にコントロールされており、とりもなおさず寝ている時に副交感神経の活動が優位になった証拠です。朝立ちしなくなったら寝ていても交感神経の活動が優位でストレス状態にある証拠。

そのかわり、気道に陽圧がかかっているせいか、知らぬ間に空気を飲み込んでしまうらしく、朝起きた時にお腹の張りを覚えることがあり、また気持ちの良い大きなオナラを沢山するようになりました。このオナラは腐敗性のオナラではないので臭いませんが・・・。

いずれにしても、もうCPAPは手放せません。装置のさらなる小型化とリース代の値下げ(健康保険は使えます)ができれば、もっとありがたいのですが・・・。

治療院に来る患者さんの中でも、施術中(マッサージはもとよりハリ治療中も)にすぐに寝てしまうヒトについては施術中に無呼吸が起きていないかを観察しています。あきらかに無呼吸と思われる方には、自分の経験をお話して、一度「睡眠時無呼吸外来」のある病院で検査を受けるようにお奨めし、必要があれば病院への紹介状も書くようにしています。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

河津桜開花情報・・・三浦海岸

2012年03月08日 | 日々の暮らし
京急三浦海岸駅前の河津桜の開花状況をモニターしています
今朝は曇天で花の色がよくありません・・・
今日時点で、日当たりの良い場所にある樹の日当たりの良い枝では3分咲きの状態
同じ樹でも日が当らない枝ではまだ蕾のままです
見れるようになるのは来週でしょうね









駅前広場の3本をモニターしています
小松が池とそれに続く桜並木と菜の花のコントラストが見どころなのですが、今年は菜の花が河津桜の満開までもってくれるか心配なところです

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>
三浦海岸駅前の鍼灸院

いまだに氾濫する?コラーゲン神話

2012年03月07日 | 健康・養生・鍼灸
患者さんから良く出る質問。
「膝が痛くて・・・、整形外科で軟骨が磨り減っているといわれたので、テレビで良く宣伝しているコラーゲンを飲み始めたのですが、コラーゲンは効きますか・・・?」

こんな時、私はこう答えています。

飲みはじめてから3ヶ月以上経っている場合には・・・、
「効果のある無しは、ご自分で実感・評価するしかありません」、「飲み始めてから効果は実感していますか?」、「効果が有りそうだと思われるのであれば、もうしばらく続けて、さらに様子をみたら宜しいのでは無いでしょうか。」、「効果が実感できないのであれば、ご自分には合わないと思って、止めた方が良いと思います。」

飲み始めてすぐの場合には・・・
「効果のある無しは、ご自分で実感・評価するしかありません」、「3ヶ月続けてみて、効果の有り無しを判断されては如何ですか。」

実は、コラーゲンの効果には別にチャンとした説明があって、受け止める患者さんによっては、以下のような説明を行っています・・・ただし注意深く!!。

1、コラーゲンは人(動物)の体内で合成される繊維状の蛋白質の一種で、皮膚、骨、軟骨、腱などの結合組織の主成分で、ほとんど全ての臓器や器官に含まれています。

2、コラーゲンは多数のアミノ酸が結合した、極めて大きな高分子(簡単に言えば粒子)ですので、皮膚から浸透して体内に入ることも、食べて腸壁から吸収されることもありません。皮膚がコラーゲンを透過するとしたら、身の回りの有害物質のほとんどは皮膚を透過して体内に入ってしまい、大変なことになってしまいます。

3、他の蛋白質と同様に、飲食されたコラーゲンはアミノ酸に一旦分解されることにより、腸壁から吸収されるのですが、一旦分解されたアミノ酸を材料にしてコラーゲンが再合成される保証はどこにもありません。

4、つまり、コラーゲンを添加した飲料を飲んでも、フカヒレを食べても、手羽先を食べても、コラーゲンの合成が促されることは無いのです。

5、身体の中で生成されない「必須アミノ酸」を充分含む蛋白質が「良質の蛋白質」ですが、コラーゲンは構成されるアミノ酸の種類が特殊で、動物性蛋白質の中では例外的に良質でない蛋白質なのです。
 蛋白質を食べると言うことは、体内で合成される材料となるアミノ酸を供給することであって、ことさらコラーゲンを食べる意味はないのです。普通の魚や肉で良いのです。

6、なお、コラーゲン合成の過程ではアスコルビン酸(ビタミンCです)が必要になりますので、なんのことはない、焼き魚にレモンを絞って食べた方が膝にもお肌にも良いのです。「ビタミンCが不足すると壊血病になる」ということは皆が知っていますが、これはコラーゲンの合成が損なわれたため血管がもろくなったためです。

6、お肌にハリや艶が出たり、ぽにょぽにょに成ったりするのは、コラーゲンの保湿(水)効果によるのであって、コラーゲンが皮膚から浸透して何らかの効果を発揮するということはありません。健全な角質層と水分(汗)と脂(皮脂)が美しく、バリヤー効果の高いお肌を作るのです。角質層を破壊しないこと、自律神経系の働きを正常に保つことが美肌作りの基本となります。

再び書きますが、以上の説明は、患者さん(お客さん)によって、よくよく注意しながらお話しすることにしています。
薬と同じで、科学的にどうであろうと、「効くか、効かないか」はまた別の次元の問題であり、そう簡単ではありません。
せっかく効いているものを、または効果に対する期待や希望を、ノーシーボ効果(逆活性プラシーボ反応)によって、打ち消してしまう必要はないからです。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>
三浦海岸駅前の鍼灸院です

河津桜開花情報・・・三浦海岸

2012年03月06日 | 日々の暮らし
今日の暖かさのせいで、三浦海岸駅前の河津桜も花の数が増えてきた

木全体としては、まだまだ「ぱっと咲いた!」とは云えないが、全体的にピンク色になってきているし、陽射しの良く当たる枝を局所的に見れば、可愛い花が楽しめます

今は雨に濡れてしょぼくれていますが・・・見ごろは来週の土日かなあ。






<鍼灸マッサージサロン・セラピット>
三浦海岸駅前のはり・灸・マッサージ



あらためて思う、健康情報のこと

2012年03月06日 | 健康・養生・鍼灸
元勤めていた会社のOB会に参加した時のこと。

この会は研究所の1部署から他部署に移ったり、定年退職したり・・・の昔の仲間が集まっての飲み会であり、幹事さんの面倒見が良いため、律儀に毎年開かれている。

中高年者の集まりであり、あっちが痛い、こっちが痛いの話から、サプリメントの話など、健康に関する話題も多かった。 世間一般がそうであるように、例えばコラーゲン、コンドロイチン、○△酢、ヒアルロン酸・・・などなど、マスコミで喧伝されている健康補助食品やサプリメント類を常用している人達が結構いた。

 仕事柄、「○△を飲んでいて、身体の調子が良いんだけど、○△は良く効くよね!?。」と同意を求められたりしたが・・・ちょっと困りものである。
 彼らは大企業の研究所に勤務する研究者、技術者で、いわゆるインテリで、科学的思考をする人達で、自分の健康に不安があったりして、健康にはかなり気を配っている(ように見える)人たちであるが、やっていることは、近所のおじいちゃん、おばあちゃんと同レベルであることに驚く。
彼らでもマスコミの情報、メーカーの宣伝に踊らされ、毒されている訳であり、いわんや一般の人達においておや・・・・である。

そんなことも有り。
以前書いた「健康系フリーマガジン」の事をもう一度お浚いしてみたい。

所用で某総合病院に出かけた時のことである。
いつものとおり、休憩室や廊下の展示場所で病院や市が行っている健康セミナーや、講習会のテキストや記事に目を通そうと思った。
この日はめずらしく目新しい綺麗な冊子が積まれていて、表紙には良く見かける「無料、どうぞご自由にお持ち下さい」の文字があり、いわゆる「フリー・マガジン」。

健康や医療に関する解説があり、その後にそれに関する健康食品やサプリメントの広告が満載という例のパターンのもの。
掲載されている食品や材料をざっと見てみると・・・黒糖バナナ黒酢、DHA、EPA、サメ生肝油、スクワレン、オメガ3脂肪酸、ベータグルカン、グルコサミン、ラクトフェリン、コラーゲン・・・・などなど。今話題の名前が並んでいて、これらの効果・効用の解説が一見科学的ではあるが、相変わらずの「針小棒大」である・・・。

 私がよくチェックしている独立行政法人「国立健康・栄養研究所」のホームページの中の「健康食品の安全性有効性情報」では、これらの材料は・・・
「ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない」、「○○薬との併用でおそらく有効と思われる」、「適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われるが、妊娠中・授乳中の使用は避けるべき」、「食事以外から一度に過剰摂取するときは注意が必要」・・・などと、みんな???の付く、慎重な表現になっている。

健康補助食品とは、「こんな実験結果も出ています。」程度のもので、必ずしもヒトを対象にして科学的・医学的に実験検証されていない(例えば医薬品で行われる2重盲検ランダム化比較試験などされていない)ものばかりであることをキチンと認識しておく必要がある。

時間つぶしで見るフリー・マガジンとは言っても、病院に置かれていればそれなりに信頼できる内容と患者さんは思ってしまうのではないでしょうかね・・・あきらかに疑似科学に属する誇大広告満載のこのようなフリーマガジンは病院側でちゃんとチェックして排除すべきではないだろうか・・・。フリーマガジンが何たるものかを理解しているヒトばかりではないのですから・・・「なんでこんな良い本がただなの!?」と不思議がり、かつ有り難がっているおばあちゃんもいるのですから。

健康食品(健康補助食品)はほんとに要注意です。
「食べました」、「効きました」、「治りました」的表現には、眉に唾をつける必要があります。ほんとうに効くなら医薬品とすべきで、ただし、そのためには医学的エビデンス(効用の科学的な実証)が必要であり、実験検証のためには、莫大な費用と時間がかかります。
健康(補助)食品には十分な科学的・医学的エビデンス(実験検証)は必要ないので、どこかの学者や大学教授、しかも専門外だったり、しかも基礎研究だけで臨床を経験したことが無かったり、の人が実験した結果「こんな効果があるらしい、ただしラットの実験で、大量に食べさせた場合・・・」なんていうのを、チャンとした学会に論文発表しないで、一般の人の目に触れやすい健康雑誌に投稿したり、突然本を書いたりする形で、あたかもヒトに大きな効果がある「大発見???」をしたように宣伝したりしています。

 宣伝のうたい文句は、こんな症状の人がこんなに良くなった、こんなに効果があった・・・癌に効いた・・たぐいの経験談ばかりで、この経験談はまずウソと思った方が良いでしょう。実際はゴーストライターの捏造が多いのです。
経験談を鵜呑みにしてはいけませんが、実際は活性プラシーボ効果というものもあるので、話はちょっとややこしい。
言えることは、万が一「あの人には効いた、治った」という事実があったとしても、「私に効く、治る」保証は全くありません・・・と言うことです。
人はそんなに単純な生き物ではありませんから。
お金と時間をかけて、充分に実験検証を行った医薬品だって、万人に効く訳ではないのですから・・・。

「効いた、治った・・・、連絡先は○△へ・・・」のいわゆる「バイブル本」を使った違法商法(厳密には、法の網を潜っている、と言うべきか)も相変わらずはびこっています。

ダイエットのための中国茶(お茶に食欲を無くす科学薬品が混入されていた)で死亡した人が出たのは大分前ですが、新奇なものを試すなら命がけの覚悟が必要です。
ヒトは大昔からそうやって試行錯誤を重ねて、サバイバルゲームを重ねて、多くの犠牲者の下に毒薬と良薬を選別してきた訳ですが、かといって何も自分から積極的にそんな実験に真っ先に協力する必要はありませんね。
クワバラ、クワバラ!
<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

痛風にはシナモンが効く・・・か?!

2012年03月05日 | 健康・養生・鍼灸
 私の知人が、
「持病の痛風で足がすごく痛かったが、ニッキを飲んだら痛みが消えた。」
「痛風が治った!ニッキは凄いね!痛風に良く効くよ。」
とうれしそうに盛んに周りに喧伝していた。

 ちなみに知人は、80歳を少し越えた方で、元軍人さんで若いときから剣道をしており、現在も剣道や居合道の指導者で、食欲も旺盛で、酒も好きで、でっぷり太った体型で、脊柱管狭窄症で歩行が少し不自由で・・・。

 痛風は高尿酸血症(血液中の尿酸値が高い)が長期間続いて、関節内に尿酸結晶(
鋭い棘状の、見るからに痛そうな結晶)が析出することによって起こる関節炎のことだ。
昔から相撲取りやプロレスラーなどに多い病気だったが、最近は食の欧米化とともに急増してきている。
さらに、「でぶや」とか「ギャル曽根」とか暴飲暴食を売り物にしたタレントや「大食い競争」的番組が人気の暴飲暴食の時代なので、ますます心配になる。

 痛風発作は激烈な痛みで有名だが、第一中足趾節関節(足の親指の付け根の関節)などの下肢関節(心臓から遠くて体温が低いため)に多発し、疼痛、腫脹、発赤(赤く腫れて、痛む)が強く歩行困難になる。
急性発作は1週間ほどで軽快し、次の発作まで無症状だが、血漿尿酸値(血液の中の尿酸の量)をコントロールしないと発作を頻発するようになり、慢性関節炎になるほか痛風腎とよばれる腎合併症(尿蛋白、腎結石、尿毒症、脳血管障害、心機能障害)を併発することがある。

 痛みの抑制とともに高尿酸血症の治療が必要であるが、過食、高プリン体、高脂肪、高蛋白食嗜好、常習飲酒、運動不足、肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常などが関係するため、生活習慣の改善が必要だ。

 ところで桂皮(シナニッケイの樹皮から作られた生薬)とシナモン(シナモンの樹皮から作られた香辛料)は厳密には異なるものであるが、ともにクスノキ科ニッケイ属の植物から作られ、いわば兄弟で・・・。

 シナモンはクスノキ科の常緑樹の名前であり、その樹皮を乾燥させて作られた香辛料の名前でもある。シナモンは世界最古のスパイス(香辛料)の一つであり、独特な甘みと香り、かすかな辛味があり、カプチーノ、アップルパイ、シナモンティー、シナモントーストなどの飲料や洋菓子などに使われている。
近種のシナニッケイ(シナ肉桂、ニッキ;cassia)の樹皮からも作られるが若干成分がことなり、これは「カシア」と呼ばれている。

 さて、このシナニッケイの樹皮から作られ、昔から生薬として使われているのが「桂皮(ケイヒ)」であり、「日本薬局方」にも収録されている(つまり食品ではなく認可された薬として扱われている)。
桂皮は体を温める、発汗を促進する、胃を丈夫にする、排尿を促進するなどの作用があり、多くの漢方薬に配合されている。中国では後漢時代(A.D.25~220年)に書かれた薬学書「神農本草経」に初めて記載され、日本には8世紀前半に伝来し、正倉院の御物にもあるらしい。

 さて、知人の件であるが香辛料として市販されているシナモンやニッキを食したものと思うが、先の効能をみれば、とりあえずの痛みの緩和には有効なことが分かる。つまり血流を改善し、体温を上げることで尿酸の結晶化を防ぎ、発痛物質を排除し、炎症の修復を促進し、かつ発汗・排尿の促進効果に水分の摂取を加えれば、血中の尿酸値を下げることができるからである。
ただし、痛風発作はおとなしくしていれば通常1週間ほどで治まることを考えれば、摂取と自然治癒のタイミングが旨く合ったということも否定できないが・・・。

 いずれにしても、これで痛みが緩和されたからと言って「治った」と思うのは大間違いであり、根本的に生活習慣を変えない限り「高尿酸血症」の状態は変っていないので、発作を再発する危険性は高い。

 また、薬効があるということは必ず副作用もあると言うことであり、香辛料として少量を摂っているかぎりは問題がないが、食品として販売されているものをむやみに痛風治療のために摂取するということは問題であるので、止めた方が良い。
シナモンカプセルやシナモンサプリメントの副作用が海外で問題化しているようであるから注意が必要だ。

 痛風に対する鍼灸の治療も、急性期は局所治療による疼痛の緩和だが、慢性期には5臓の機能を整える、排尿を促す、血行を良くして再発を防止することに主眼をおいた施術となる。合わせて、生活習慣の改善に対する強力な指導、サポートが重要になってくるのである。
 
<鍼灸マッサージサロン・セラピット>