K君の回外運動障害について・・・の続きです。
K君のお母さんには医者への紹介状を渡すと同時に、以下の説明資料に基いて「回外障害」について説明を行った。
障害をチャンと理解して、医者にいろいろ聞けるようにとの思いであった。
参考資料は、医学書院「標準整形外科学」、J.CASTAING著「関節・運動器の機能解剖」他
平成21年1月○日 調査結果
回内・回外運動の制限
○ 前腕の2本の骨(橈骨、尺骨)が同じ長さでない場合は、橈尺関節の回転点の1つが破綻するか、運動軸が偏位することにより、回内―回外は不可能となる。
→つまり、骨折した前腕の2本の骨がそれぞれ接合した時に一方の長さが短縮すれば回内―回外運動が制限されることになる。
○ 他動要素(近位橈尺関節、遠位橈尺関節、骨間膜)のうち一つでも損傷されると回内―回外運動が阻害される。
→つまり、骨に異常がなくても関節や骨間膜の異常でも回内ー回外運動が阻害される。
近位橈尺関節・・・橈骨頭が上腕骨小頭と円錐帯の間で完全に適合していないと回内―回外が不可能になる。橈骨頭と尺骨の橈骨切痕との接触維持は輪状靭帯と方形靭帯により確保されているが、重要なものは輪状靭帯であり、小児の肘内障(輪状靭帯亜脱臼)やモンテジア骨折(橈骨頭脱臼を伴う尺骨近位骨幹部骨折)で回内―回外障害が起きる。
遠位橈尺関節・・・三角靭帯は水平面での橈骨と尺骨頭との関係を維持し、回内―回外を制限する。骨折後の三角靭帯の尺骨頭への癒着は回内―回外域を減少させる。
骨間膜・・・・・・骨間膜のすべての要素は回内位で弛緩し、回外位で緊張する。回外位の制動は骨間膜・方形靭帯(近位橈尺関節)・三角靭帯(遠位橈尺関節)とにより行われる。
○ 回内―回外運動筋
回内運動筋・・・円回内筋(正中神経)、方形回内筋(正中神経)
回外運動筋・・・回外筋(橈骨神経)、
上腕二頭筋(筋皮神経)・・・最も強力。肘90°屈曲位のとき最大。
可動範囲・・・回内70°、回外80°、トータル150°の可動域がある。
以上である。
回外運動障害の原因は以上のように極めて明快である。
患者さんの努力だけでは回復が見込めない場合があるということです。
K君の母親は、「このような説明は今まで関った医師達は全くしてくれなかった。これまで医師からは「兎に角動かしなさい、運動させなさい」とだけ言われて6年経ってしまった。」と残念そうに話された。
「旦那さんやK君とよく相談して、手術という事も念頭に置いて、兎に角一度紹介した病院で診断を受けてみてください」とお話した。
その後は事ある毎に、お母さんやお父さんが来院してK君の状況を知らせてくれることになる・・・以下、続く。
<鍼灸マッサージサロン・セラピット>
K君のお母さんには医者への紹介状を渡すと同時に、以下の説明資料に基いて「回外障害」について説明を行った。
障害をチャンと理解して、医者にいろいろ聞けるようにとの思いであった。
参考資料は、医学書院「標準整形外科学」、J.CASTAING著「関節・運動器の機能解剖」他
平成21年1月○日 調査結果
回内・回外運動の制限
○ 前腕の2本の骨(橈骨、尺骨)が同じ長さでない場合は、橈尺関節の回転点の1つが破綻するか、運動軸が偏位することにより、回内―回外は不可能となる。
→つまり、骨折した前腕の2本の骨がそれぞれ接合した時に一方の長さが短縮すれば回内―回外運動が制限されることになる。
○ 他動要素(近位橈尺関節、遠位橈尺関節、骨間膜)のうち一つでも損傷されると回内―回外運動が阻害される。
→つまり、骨に異常がなくても関節や骨間膜の異常でも回内ー回外運動が阻害される。
近位橈尺関節・・・橈骨頭が上腕骨小頭と円錐帯の間で完全に適合していないと回内―回外が不可能になる。橈骨頭と尺骨の橈骨切痕との接触維持は輪状靭帯と方形靭帯により確保されているが、重要なものは輪状靭帯であり、小児の肘内障(輪状靭帯亜脱臼)やモンテジア骨折(橈骨頭脱臼を伴う尺骨近位骨幹部骨折)で回内―回外障害が起きる。
遠位橈尺関節・・・三角靭帯は水平面での橈骨と尺骨頭との関係を維持し、回内―回外を制限する。骨折後の三角靭帯の尺骨頭への癒着は回内―回外域を減少させる。
骨間膜・・・・・・骨間膜のすべての要素は回内位で弛緩し、回外位で緊張する。回外位の制動は骨間膜・方形靭帯(近位橈尺関節)・三角靭帯(遠位橈尺関節)とにより行われる。
○ 回内―回外運動筋
回内運動筋・・・円回内筋(正中神経)、方形回内筋(正中神経)
回外運動筋・・・回外筋(橈骨神経)、
上腕二頭筋(筋皮神経)・・・最も強力。肘90°屈曲位のとき最大。
可動範囲・・・回内70°、回外80°、トータル150°の可動域がある。
以上である。
回外運動障害の原因は以上のように極めて明快である。
患者さんの努力だけでは回復が見込めない場合があるということです。
K君の母親は、「このような説明は今まで関った医師達は全くしてくれなかった。これまで医師からは「兎に角動かしなさい、運動させなさい」とだけ言われて6年経ってしまった。」と残念そうに話された。
「旦那さんやK君とよく相談して、手術という事も念頭に置いて、兎に角一度紹介した病院で診断を受けてみてください」とお話した。
その後は事ある毎に、お母さんやお父さんが来院してK君の状況を知らせてくれることになる・・・以下、続く。
<鍼灸マッサージサロン・セラピット>