ぱっぱらっ記 In Danmark

夫の転勤に伴い、家族四人=夫、私、長男3歳、長女1歳でデンマークで、2年間暮らした記録です。

Slut ! ~オシマイ!~ 

2007年03月08日 | 日々のこと
昨日(もう一昨日になりそうな時間だけど)、最終の引越しが終わりました。

家の中がガラーンとして、声が響く。

あぁ、ほんとに帰国するんだなぁ・・・・。


と、しみじみしている暇もなく、引越しやさんに一通り荷物の説明をした後、
病院に。


タイミング悪男が発病です。

テツジロー、来デン5日目にかかった lung betaendelse (直訳で肺炎)に再び。
いまかよっ!ってツっこんで良いですか、ココでだけ。


レントゲンもとらないし、入院もしないので、日本で言う肺炎とは少し意味合いが違うのだと思います。


今日はもうすっかり熱も下がり、咳もそんなにひどくなく元気だったので、


予定していた、幼稚園へ最後の御挨拶に行ってきました。
もう今日しかいけなかったしね。

帰国が決まってから、私の頭にいつもあったのは、

お世話になった先生たち、仲良くしてくれたお友達にさよならを言う日がツライ。

ということ。

今日ついにその日がきて、
1時間少しでしたが、皆でアイスとクッキーを食べて、
テツジローのアルバムと幼稚園の名前入りカップをもらって、
先生たちにお礼を言って、



        終わりました。

子どもの卒園式は、自分の卒業式より泣けるってほんと。

泣けて泣けて・・・


でも今は少しすっきりしました。


Tusind Tak, Erika og IngerMargrethe og Pia og Egely boernehaven !!!


*******


たった2年間でしたが、デンマークに来てからの色々なことを
ブログという形で記録に残せてよかったなぁと思っています。

コメントでは励ましてもらったり、元気付けてもらったり、一緒に祝ってもらったり・・・

本当にありがとうございました。



今日は最後の記事にしようと思うので、

いつもより更に一段と長くだらだらと、
私の心にいつもあるなにか、について書きたいと思います。


************


学生時代、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、というものを育てていました。

細胞は業者から購入することもできるのですが、研究室にそんな余裕はなく、
付属病院で行われる帝王切開に立会い、でてきたばかりのホヤホヤの
臍帯(臍の尾)をもらい、それから細胞を採っていました。

この細胞、買ったものなら難なく増えていってくれるのですが、
私が育てていたのは、いわば野生のものなので
(手技がへたくそなせいもあるかもしれませんが)
まぁみごとに育たない。

全部が育たないのではなく、増えていくものと、全然増えないのと、
もう諦めかけたころに増えるのと、最初だけ勢いよく増えるのと・・・色々。

細胞単位でもそんなだから、提供してくれるヒトが違えば、その増え方はまたまた全然変わってしまう。


この細胞を使って、どんなおうちだったらよく育つかを実験し、
よく育つおうちを人工的に作れたら・・という研究をするのに、

こんなに、なかなか増えなくて、個体ごとに元気度が全然違うと使えないよ!

ということで

担当の先生と、原因をあれやこれや考えましたが、

結果、わからず 「個体差?」といって笑っていました。
(卒論ぎりぎりで笑ってる場合じゃないけど)


*************


卒業後、とある病院に実験助手として勤めていたとき、


今度はマウスの遺伝子を調べる仕事をしていました。

その遺伝子検査のほかに、

週一度、マウスさんたちのおうちに入っている、
ワラのようなもの(なんて名前だったか忘れた)を交換し、
新しいお水を入れてあげるという

いわば、マウス飼育係?のような事もしていました。

マウスっていっても、10匹、20匹ではなく、100匹単位です。
全部終わるころには体中が動物園の臭いに・・・。


とても年ごろの女の子がする仕事ではないなぁとおもいつつも、

実はこの仕事が結構気に入っていました。


なぜなら、

マウスの個体差を見るのが楽しかったから。

まるで人間の縮小を見ているみたいに、
生まれたてのマウスは無防備で、無条件にかわいい。

幼児期、生まれて1~2週間のマウスはおもちゃのようなかわいさがあるものの、
手に負えないほどの活発さで、飛び跳ねる→ケースを飛び出す→いなくなる。
ちょうどヒトの子2,3歳児の予想外の行動をみているようでした。

青年期のマウスはため息の出るようなきれいな毛並みで、
色艶がとてもよく動きもすばやい。
気性が荒い時期でもあり、一番よく噛み付いてくる。

中年期のマウスは見かけ上の個体差が一番顕著にみられ、
太っていたり、はげていたりする確率も高く、
一人で餌を独り占めにするデブマウスや、じっと動かないマウス、
元気のないマウス、結構な年なのに元気に子供を産み続けるマウス、
皮膚病のマウス・・・色々います。


老年期は毛がだんだん白く、薄くなっていき、
行動も遅く、やせ衰えて、目の色も悪く
あとわずかとわかる形になってくる。


ある程度、成長の過程はあるものの、
やせてたり、ふとっていたり、はげていたり、元気だったり、病気だったり、
子どもを生んでも乳をやらなかったり、食べちゃったり・・・・


あたりまえだけど、みんな違う。同じだけど、同じじゃない。
ひとつとして同じものはいない、のです。

それがとても面白かった。

************


その後、妊娠して、つわりでマウスの臭いに耐えられなくなり仕事をやめ、

今、2児の母になりました。


毎日イライラする事もあるけれど、

いままた生き物の個体差に魅せられている気がします。
(細胞やねずみと同じにしているのではないですが・・・)


テツジローとカノスケ、似てるんだけど、全然違う。


長い間夜泣きがあって、よく病気をして、
お絵かきがだい好きで、甘えたで、泣き虫のテツジロー。

いつも走ったり踊ったり泣いたり笑ったり、
天真爛漫、集中力散漫のカノスケ。

3人目産んだらまた全然ちがう個がでてくるんだろうな。産まないけど。

*************


そんな道を歩んできた私の
心の中にいつもある、小石、塊。

それは 

個は面白い。

そして

個の本質なんて、結局のところわかりっこない。

ということ。


数人の中にいる個と、
個 対 個の 個はちがう。

個対個において 個は光る。魅力的である。そして面白い。

そして、どんなに個を見つめても、
個の本質はわからない。

一人として同じ人間はいないのだから
どんなに親しい友人でも、親でも、兄弟でも、子どもでも、
どんなに同じような家族構成で、育ってきた環境が似ていても、
想像はできても、やっぱり結局は自分以外の人のこと、個の本当のところは
わからないのです。


だからこそ、
人を思いやり、わかろうとしたり、
わかってもらおうとすることは大切なのだと思うのです。



大前提に
「わかりっこない。」があったうえでの思いやりと、
「わかりっこない」ことなんてない、と思う 思いやりは違う。


そう思うのです・・・・



**************

あぁ、どんどん支離滅裂になっていく。


*************


デンマークでの生活は、雑音のない、皆が笑顔の、とってもシンプルな、
天国にいるような生活でした。




こんな終わり方でごめんなさい!





!!SLUT!!












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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tongshin)
2007-03-09 08:49:40
あちこさーん

また戻ってきてねー
本当に、デンマークにまた来るときはぜひこちらにも足を伸ばしてくださいね。連絡お待ちしてます!!
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Unknown (mayugel)
2007-03-09 22:58:21
おかえり。なのだね~
海外での生活が、雑音のない、というのはなんかビンゴな言葉のような気がしたよ。たとえば、外国人とのコミュニケーションはベースに「理解しあえないかも」という感覚があって、それが逆に気負いなく接したり、自分の素でいれたりするのではないかと思ったりするので。。
日本ではしがらみがたくさん、かもしれないけど~まあうまくスルーして日本でも天国生活を続けて欲しいよ!!
,また近々会いましょう!!!!
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Unknown (yukari)
2007-03-10 04:56:05
日本に帰ったら すぐに桜のシーズンだね。 きっとまだデンマークは 春っぽくなってきた、とは言え 雪の中での生活なのに 不思議だよね。

「わかりっこない」

それって ちょっと わかって ちょっと わかりたくない気持ちです。

人との関わり方、って難しいですよね。 私もとっても苦手なので フィンランドに来て 知り合いがほとんどいない中での生活は 気楽だったりします。

私もうまく書けないです。

帰っちゃうの ザンネンだなぁ。 実は 密かに レゴランドに行ったら 絶対にあちこさんにも会いに行こう、って思ってました。 家の息子も 現地の幼稚園に行き始めましたよ。言葉が分からないから 大変そうだけど でも頑張っていっています。 子供って 泣いたり叫んだりしながら 周りの人と 正面からぶつかっていって 毎日 ちゃんと何かを手に入れて帰ってきます。

あちこさんも すごかったよ。 いっぱい いっぱい頑張ってたよ!

楽しいブログをありがとう。 またどこかで会えるといいな。
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Unknown (miwa)
2007-03-13 03:58:29
ようやく春らしくなって来たのに、もういらっしゃらないんですね。残念です。
私もあちこさんのブログから、デンマークの豊かな面を改めて考えさせられるようなきっかけをもらったように思います。素敵なブログをありがとう。あちこさんの文章とっても好きなので、日本に帰っても「ぱっぱらっ記」ぜひ続けて下さいね~

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Unknown (michiyo)
2007-03-14 19:42:09
毎日よくがんばってたね、あちこさん。
もっとデンマークにいられたらよかったけど、これはこれでよかったって思うようにします。
人生、何も無駄な事なんてないんだから、って思っているので。
…とはいいつうtも、やっぱりデンマークで会えたらおもしろかったな、ってちょっと悔やまれます。日本でだったら絶対に会えそうにないもんね…。

みんな元気でね!
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Re:tongshinさん (あちこ)
2007-03-23 07:19:33
コメントありがとうございます。
tongshinさんのブログのきれいな写真にはいつも癒されていました。
そしてスウェーデンでお仕事をされて、イナカにサマーハウスを持たれて、南の国にたまに旅行されつつ、スでの生活を楽しんでらっしゃって、とても羨ましかったです。
これからもそちらにお邪魔しますので、よろしくお願いします。
帰デンの際は必ずご連絡します。イナカの夏のフリマに行きたいです
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Re:mayugel (あちこ)
2007-03-23 07:25:45
ありがとう!ほんと2年間全くしがらみのない、雑音のない生活でした。こんな生活合わない人もいるだろうけど、mayugelなら同じようにデンでの生活を楽しめると思うからデンで会えなくて残念だったよ。そうそう、いい人がいるので紹介するわ!!そしてデンスケ&mayugelのおうちに遊びに行くわ(妄想膨らみすぎ)
ほんと、近いうちに会おう!

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Re:yukariさん (あちこ)
2007-03-23 07:49:16
コメントありがとうございます。
ほんと私もうまくかけないです。私の思ってること最後にブログにかいてみたかったのですが、もう膨れ上がりすぎてうまくかけませんでした。
子どもができてから、
上が女の子だと~で、上の子が男の子だと~で。とか、
お母さんがこういうタイプだと子どもはこうなる事が多い。とか、
そういう話を思い込んで押し付けてこられるのがほんとにいやで、
昔は~だったから大変だった、とかよかったとか、
こどもって~だからこうすればいいのよ、とか、
こういう話をうまくスルーできる性格ならよかったんですが、
結構正面からガッツリ受けるタイプなので・・・

自称 ガラスのハートを持つおばはん(たち悪い) として、
一言言いたかったのです。

子ども一人産んだからって、13人産んだからって、
子供のこと全部分かったように話すな!みたいなことを。
(yukariさんのコメントにあるような類の話ではないですよ!念のため。もっと押し付けがましいやつです)

もちろん、子どもの事だけじゃないですが。

やっぱり日本にいると、雑音全てが頭に入ってくるので疲れますね。yukariさん同様、私もあまり人付き合い上手じゃないので、デンでの生活は楽でした。

テツジローもデン幼稚園でほんとにいい思い出が出来たから
大輝君もフィン幼稚園楽しんでくれたらなぁ、と日本から祈っています。

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Re:miwaさん (あちこ)
2007-03-23 07:56:37
ありがとうございます。
私もmiwaさんの文章とっても好きです。
デンのいろんなこと、分かりやすく、深く考察してらっしゃると思います。これからも楽しみにしています。
miwaさんがはじめ、デンでの生活がすごく嫌だったって、いつか読んで意外でした。だって、今は全然そんな風じゃなくてむしろ楽しんでるように見えるから。
いつまでも、自分がいる場所を嫌っていたら人生の楽しみ半減しますよね。
私もmiwaさんを見習って、今は嫌なところばかりみえる日本ですが、これからは何か自分の場所を見つけられるように前向きに行こうと思います。
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Re:michiyoさん (あちこ)
2007-03-23 08:01:36
コメントありがとうございます。
michiyoさんには、ほんと色々励まされたり、教えてもらってありがとうございました。
わたしもいつかmichiyoさんのように、異国でたくましく生きたい!とおもいましたが、今回は無理でした。
でもまた機会があればチャレンジしたいと思います。
人生何も無駄な事なんてない、ですよね。
私もそう思います。別れるのは辛かったけど、デンに2年も住めて本当によかったなぁと思います。

michiyoさん御一家もお元気で!
といっても、これからもブログは覗かせてもらいます!
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