昨日(もう一昨日になりそうな時間だけど)、最終の引越しが終わりました。
家の中がガラーンとして、声が響く。
あぁ、ほんとに帰国するんだなぁ・・・・。
と、しみじみしている暇もなく、引越しやさんに一通り荷物の説明をした後、
病院に。
タイミング悪男が発病です。
テツジロー、来デン5日目にかかった lung betaendelse (直訳で肺炎)に再び。
いまかよっ!ってツっこんで良いですか、ココでだけ。
レントゲンもとらないし、入院もしないので、日本で言う肺炎とは少し意味合いが違うのだと思います。
今日はもうすっかり熱も下がり、咳もそんなにひどくなく元気だったので、
予定していた、幼稚園へ最後の御挨拶に行ってきました。
もう今日しかいけなかったしね。
帰国が決まってから、私の頭にいつもあったのは、
お世話になった先生たち、仲良くしてくれたお友達にさよならを言う日がツライ。
ということ。
今日ついにその日がきて、
1時間少しでしたが、皆でアイスとクッキーを食べて、
テツジローのアルバムと幼稚園の名前入りカップをもらって、
先生たちにお礼を言って、
終わりました。
子どもの卒園式は、自分の卒業式より泣けるってほんと。
泣けて泣けて・・・
でも今は少しすっきりしました。
Tusind Tak, Erika og IngerMargrethe og Pia og Egely boernehaven !!!
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たった2年間でしたが、デンマークに来てからの色々なことを
ブログという形で記録に残せてよかったなぁと思っています。
コメントでは励ましてもらったり、元気付けてもらったり、一緒に祝ってもらったり・・・
本当にありがとうございました。
今日は最後の記事にしようと思うので、
いつもより更に一段と長くだらだらと、
私の心にいつもあるなにか、について書きたいと思います。
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学生時代、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、というものを育てていました。
細胞は業者から購入することもできるのですが、研究室にそんな余裕はなく、
付属病院で行われる帝王切開に立会い、でてきたばかりのホヤホヤの
臍帯(臍の尾)をもらい、それから細胞を採っていました。
この細胞、買ったものなら難なく増えていってくれるのですが、
私が育てていたのは、いわば野生のものなので
(手技がへたくそなせいもあるかもしれませんが)
まぁみごとに育たない。
全部が育たないのではなく、増えていくものと、全然増えないのと、
もう諦めかけたころに増えるのと、最初だけ勢いよく増えるのと・・・色々。
細胞単位でもそんなだから、提供してくれるヒトが違えば、その増え方はまたまた全然変わってしまう。
この細胞を使って、どんなおうちだったらよく育つかを実験し、
よく育つおうちを人工的に作れたら・・という研究をするのに、
こんなに、なかなか増えなくて、個体ごとに元気度が全然違うと使えないよ!
ということで
担当の先生と、原因をあれやこれや考えましたが、
結果、わからず 「個体差?」といって笑っていました。
(卒論ぎりぎりで笑ってる場合じゃないけど)
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卒業後、とある病院に実験助手として勤めていたとき、
今度はマウスの遺伝子を調べる仕事をしていました。
その遺伝子検査のほかに、
週一度、マウスさんたちのおうちに入っている、
ワラのようなもの(なんて名前だったか忘れた)を交換し、
新しいお水を入れてあげるという
いわば、マウス飼育係?のような事もしていました。
マウスっていっても、10匹、20匹ではなく、100匹単位です。
全部終わるころには体中が動物園の臭いに・・・。
とても年ごろの女の子がする仕事ではないなぁとおもいつつも、
実はこの仕事が結構気に入っていました。
なぜなら、
マウスの個体差を見るのが楽しかったから。
まるで人間の縮小を見ているみたいに、
生まれたてのマウスは無防備で、無条件にかわいい。
幼児期、生まれて1~2週間のマウスはおもちゃのようなかわいさがあるものの、
手に負えないほどの活発さで、飛び跳ねる→ケースを飛び出す→いなくなる。
ちょうどヒトの子2,3歳児の予想外の行動をみているようでした。
青年期のマウスはため息の出るようなきれいな毛並みで、
色艶がとてもよく動きもすばやい。
気性が荒い時期でもあり、一番よく噛み付いてくる。
中年期のマウスは見かけ上の個体差が一番顕著にみられ、
太っていたり、はげていたりする確率も高く、
一人で餌を独り占めにするデブマウスや、じっと動かないマウス、
元気のないマウス、結構な年なのに元気に子供を産み続けるマウス、
皮膚病のマウス・・・色々います。
老年期は毛がだんだん白く、薄くなっていき、
行動も遅く、やせ衰えて、目の色も悪く
あとわずかとわかる形になってくる。
ある程度、成長の過程はあるものの、
やせてたり、ふとっていたり、はげていたり、元気だったり、病気だったり、
子どもを生んでも乳をやらなかったり、食べちゃったり・・・・
あたりまえだけど、みんな違う。同じだけど、同じじゃない。
ひとつとして同じものはいない、のです。
それがとても面白かった。
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その後、妊娠して、つわりでマウスの臭いに耐えられなくなり仕事をやめ、
今、2児の母になりました。
毎日イライラする事もあるけれど、
いままた生き物の個体差に魅せられている気がします。
(細胞やねずみと同じにしているのではないですが・・・)
テツジローとカノスケ、似てるんだけど、全然違う。
長い間夜泣きがあって、よく病気をして、
お絵かきがだい好きで、甘えたで、泣き虫のテツジロー。
いつも走ったり踊ったり泣いたり笑ったり、
天真爛漫、集中力散漫のカノスケ。
3人目産んだらまた全然ちがう個がでてくるんだろうな。産まないけど。
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そんな道を歩んできた私の
心の中にいつもある、小石、塊。
それは
個は面白い。
そして
個の本質なんて、結局のところわかりっこない。
ということ。
数人の中にいる個と、
個 対 個の 個はちがう。
個対個において 個は光る。魅力的である。そして面白い。
そして、どんなに個を見つめても、
個の本質はわからない。
一人として同じ人間はいないのだから
どんなに親しい友人でも、親でも、兄弟でも、子どもでも、
どんなに同じような家族構成で、育ってきた環境が似ていても、
想像はできても、やっぱり結局は自分以外の人のこと、個の本当のところは
わからないのです。
だからこそ、
人を思いやり、わかろうとしたり、
わかってもらおうとすることは大切なのだと思うのです。
大前提に
「わかりっこない。」があったうえでの思いやりと、
「わかりっこない」ことなんてない、と思う 思いやりは違う。
そう思うのです・・・・
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あぁ、どんどん支離滅裂になっていく。
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デンマークでの生活は、雑音のない、皆が笑顔の、とってもシンプルな、
天国にいるような生活でした。
こんな終わり方でごめんなさい!
!!SLUT!!