向上心
土曜日の夜に見たもの。
何だと思います?
多分、私自身以外の人にとってはほとんど意味のないことかも知れない全く個人的な印象なのでしょう。
けれどもそれはとても印象的なことでして、この話から何かに思い当たるひとがあるかも知れません。
週末久しぶりに戸外の仕事をして来ました。
土曜日の夜には出先の日帰り温泉に行き、そこで見たものにある意味感動したのです。
何を見たか?
それは温泉の更衣室でした。
更衣室には入って右側に脱衣カゴの並ぶ棚があり右手には百円の鍵付きコインロッカーが並んでいます。
自分がよく行く地元の温泉も同じで、私はお金を払わない脱衣カゴを使っています。
で、その夜もカゴを手にしたものの、気持ちが一瞬固まりました。
ここは知らない場所ですし、三千円ばかり入った財布を持っていたのです。
どうしようかな?
百円払って安心の方がいいかも知れない。
そう決めた時ふと棚の隣に目をやると
折目正しくキレイに畳んだ衣服が脱衣カゴの中に整然と収めてあるのが見えました。
公衆浴場でコレほど見事に整理された様子を見た事がないと思います。
何故なら殆どの人はバスタオルでカゴを覆っているからです。
その手前のカゴには化粧品と思しき小瓶の入ったビニール製のポーチが立っていて
更に横にはローションのような大きめの容器が二つ立っています。
そのまた手前にはバスタオルがキレイに畳んで置いてありその配置も
無意識に置かれたとは思えないくらい整然としているのです。
もしも誰かがイタズラにでもそのどれかに触ったら
立ち所に気がつくでしょう。
それが最初の印象でした。
衣服のカゴだって誰かが金目の物を物色すれば絶対に元に戻せない綺麗さなんです。
公衆浴場で安心して荷物を無料の脱衣カゴに入れておくのに
最良の方策かも知れません。
この方策は自分には絶対に気が付かない事でしょう。
ズボラな私は適当に畳んだ衣服にタオルを被せて隠すタイプの人間でした。
この歳になるまでそこに疑問を持ったことは一度もなかったと思います。
自分はそう言う人間だと恥ずかしくもなくそう考えていたのです。
でもこの整然とした脱衣カゴを見たとき、初めて恥ずかしいと感じました。
自分の人間性を恥ずかしいと思いました。
齢七十を過ぎても人間性を向上させることはできるのか、
それは分からないけど、意識してみます。
実は去年のクリスマスに、大人のADHDじゃないかと言われている
少々変わった友人がいて、常々仲間は彼のことを心配しています。
私も彼はコレからもちゃんと生きて行けるだろうか、などと思う事があったんですよ。
上から目線と言うわけでもありませんがね。
所が、そのクリスマスの日に、制服に着替えて仕事をしてたんですね彼が、
その時たまたま彼が着替えた部屋に入って探し物したんです。
そこで見たものは整然と畳まれて重ねてある着替え前の彼の衣服でした。
ビックリしました。
こんなにキチンと出来る人なんだと思うとそれまで心配していた自分が恥ずかしくなったのです。
この人の方が私よりずっとちゃんとしている、と思ったのです。
その経験があったから今回美しく整理された脱衣カゴに出会った事が余計に印象に残ったのでしょう。
人間改革。
幾つになっても出来るはずです。
向上心を持って生きたい私です🌟
今頃かい?