寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第2855話) 40年前の教え

2019年10月16日 | 教訓

  「『ありがとう』と『ごめんなさい』。この二つの気持ちを表わす言葉は思ったときに伝えてね」四十年以上前、幼稚園の教諭から聞いた教えを、母になった私は今も大切にしている。感謝と謝罪の気持ちは概して心に思ったときから時間がたてばたつほど言い出しにくくなるものだ。偶然出会った人が相手なら、そんな気持ちを伝えるチャンスはその場しかなく、ちゅうちょしていたら相手はどこかに行ってしまう。高校三年生の娘と中学校二年生の息子にも、これまで日常生活を送る中で折に触れてこのことを教えてきた。
 先日、中学校二年生の息子がはき古した靴下に向かって「ごめんな、ありがとう」と言って処分している場面に遭遇した。反抗期の真っただ中にあって荒っぼい言葉を私にも向けることが増えてきていただけに、一瞬意外に思ったが、素の息子を垣間見られた気がして感激した。息子にも私の教えが伝わったんだ!”(9月22日付け中日新聞)

 三重県鈴鹿市の主婦・中島さん(47)の投稿文です。「ありがとう」と「ごめんなさい」、人間関係をスムーズにするのにこの言葉は効果は大きい。この二つの言葉だけで十分とも言える。逆にこの二つの言葉を使わずに他の言葉を使うから難しくなる。弁解したり、理屈を言ったり、非難したり等々。
 中島さんは幼稚園の先生から教わったこの二つの言葉をよく覚えておられた。幼稚園である。よほど印象に残ったのであろう。それを自分が実践する中で、息子さんや娘さんに伝えられた。先日ある知人が書かれた本をいただいたが、その中に「親の言うことを聞かぬ子も、親の真似は必ずする」という文があった。中島さんも、息子さんが反抗期で、親の言うことを素直には聞かないことに不安な中に、思いがけない息子さんの姿を見られた。これこそまさにこの言葉通りである。言葉には反抗するが、親の態度は自然に身についていたのである。「ありがとう」と「ごめんなさい」以外、態度にまさる言葉なしであろうか。


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