寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第3034話) お返し

2020年10月13日 | 知識

 “六十年ほど前の昭和三十年代のことだ。明治生まれの祖母は他人から食べ物をいただくとお礼にマッチを渡していた。なぜ?ずっと不思議に思ってきた。
 今年初めに読んだ女性漫才師の第一人者内海桂子さんの本に「頂き物には必ずお返しをする」とあり「お付け木」を渡すことが紹介されていた。お付け木とは硫黄が塗ってある板切れで、かまどに火を移すときに使われたマッチのない時代の台所の必需品だったという。この本から、長い間の祖母にまつわる疑問が解けた。昭和三十年代はガスこんろを付ける際、マッチが必要だったからマッチをお返しとしたのだろう。
 九十七歳で亡くなった内海師匠の訃報に接して思った。昨今は何を渡したらいいのだろう、と。”(9月21日付け中日新聞)

 岐阜県大垣市の岩田さん(女・70)の投稿文です。またまた昔、昔の話です。頂いたもののお返しの話です。持ってきていただいたとき、お付け木やマッチを渡していたという。これは知らないが、この話から思い出したことがある。ボクが子供の頃、赤飯など重箱で持って行くと、すぐ移し替えて空の重箱を返してもらう。その時、子供の駄賃程度のお金が重箱に入っているのである。お使い賃である。当時はめでたいことがあると、赤飯をよく配ったものである。
 そうして、こうした頂き物をきちんと記録していたのである。もらったら返す、これが当時の習わしであった。礼儀であった。これを間違うと非難の対象になった。ボクの妻も母親の習慣を受け継ぎ、今もきちんと付けている。そして返礼に気をつけている。あげたものはあげたもの、貰ったものは貰ったもの、同等のものをお返ししなければならないなんておかしい、とボクは思っていた時期がある。そうして、ボクの意見のように、世の中こういうことに全く無頓着になっていった。そうなってみると、それにボクは違和感を感じるようになった。あの習慣は、世の中を円滑に、良い絆を保つための知恵であったのだ。話が長くなるので、ここらで止めますが、皆さんはどう思われるのでしょうか。


1 コメント

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Unknown (野のはな)
2020-10-14 11:12:02
別れ
そこここに別れがあった猛暑なか
別れない決意で今年40年
神無月
神様がいないこの月この事態
八百万の神も乗っかるキャンペーン
ここでない何処かに行こうキャンペーン
古民家へ新しい風吹きこまれ
地方へと人が戻ってくる予感
猛烈に働いていた日も過去に

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