寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2776話) 自分の国

2019年04月22日 | 意見

  “私は日本に来た外国人に日本語や日本のビジネスマナーを教えています。「日本人は日本を好きじゃないのかな?」。彼らがこう話すのを聞くたび、私は恥ずかしく残念な気持ちになります。かくいう私も二〇〇九年から三年間、米国で生活するまでは日本のことを深く知ろうとせず、母国が好きとはとても言えませんでした。米国中西部のミズーリ州で日本に憧れて本や雑誌を通して日本の文化を学ぼうとする大学生や宣教師に日本語を教える中で、私の方が逆に日本の素晴らしさを気付かせてもらいました。帰国後、日本の伝統文化を少しでも伝えられたらと思い、華道や茶道を始めました。
 「隣の芝は青い」と言います。まずは自分の足元の草花に目を向けるようなことから始めるのが大切だと思います。自分が暮らす地域や国を見つめ直すことで世界はきっと違って見えてくるでしょう。それこそが世界の真の姿だと私は考えています。”(4月4日付け中日新聞)

 名古屋市の日本語教師・萬さん(女・50)の投稿文です。日本人の幸福度や満足度について少し調べて見ると、いろいろなデータが出てくる。ある調査では日本人の幸福度について、世界156ヶ国中、2019年度は第58位とあった。それも2015年度の46位から下がり続けている。日本は失業率の低さ、衣食住の質、労働者一人当たりの資産形成、市場の規模等々、経済力に関するほとんどの指標で世界のトップクラスにある。しかし、現在の生活に満足している日本人は65%に過ぎないという。何がそうさせているのか。それが外国へ行って、日本の良さを知ることが多い、とうのは何かが足りないのである。萬さんは3年間アメリカで過ごされた。そこで日本の良さに気付かれた。ボクなど10日くらいの外国旅行でも、日本の良さを知ることが多かった。もちろん外国生活に慣れていないこともあるが、日本に帰ると、日本はいいなあ、とつくづく思うことが多かった。人間豊かさにどっぷりつかったら、それが当たり前になり、幸福感も豊かさも感じなくなるかも知れない。ボクらは戦後から今日まで、貧しさから豊かさに、上昇の中で過ごしてきた。昨日より今日の方が良かった。それをいつもありがたいと思ってきた。最初から豊かさの中にあったら、ありがたさを感じないだろう。そこは他国を知れば分かるのではなかろうか。人間は比較する中でいろいろなことを知る。今こそ日本をもっと知るべき時ではなかろうか。


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