寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第3366話) 七福神の絵

2022年08月20日 | 人生

 “その昔、幼稚園に進んだ祝いとして、今は亡き両親が地元の画家に頼み縦四十五cm、横百四十五cmほどの七福神の額絵を描いてもらいました。やがて太平洋戦争が始まり、今でいう中学生だった私も学徒動員で特攻機の部品を作りました。住んでいた愛知県岡崎市にも空襲はありましたが、幸いなことにわが家も額絵も無事でした。額絵は少し黒ずみ額の部分に傷があるものの、今もわが家の仏間に飾っています。
 仏壇の花を取り換えて重なっていた経本を整理していた五月末、笑っている両親の写真が出てきました。早速写真を立てかけると額絵の七福神と一緒に自分をずっと見守ってくれているような気がして、改めて両親への感謝の気持ちが湧く今日この頃です。”(8月1日付け中日新聞)

 愛知県岡崎市の神谷さん(男・90)の投稿文です。祝いとして七福神の絵を画家に依頼されたご両親。そして80年以上経った今も仏間に飾られている。そんな両親に今も感謝されている90歳の息子さん。肉親の情は歳に関係ないことをこうした投稿でいつも知らされます。
 ご両親が七福神の絵を依頼されたにはいろいろな願いが込められていたことでしょう。七福神の絵は見ているだけでも何か幸せな気分になります。ボクの家には小さな作り物の七福神があります。
 親子兄弟、肉親の関係は切っても切れないだけに、一生の間にいろいろな状況が生じます。助け合ったり、憎しみあったり、本当に様々です。兄弟は他人の始まりという言葉もあります。相続問題でこじれる場合も少なくありません。でも、親子は切っても切れません。亡くなった後にも続いていきます。神谷さんのご両親はいつ頃亡くなったのでしょう。もう何十年と経つでしょう。でも今でも感謝です。いや、時が経つほど感謝の気持ちが大きくなります。ボクも若い頃に父母と不穏な時がありました。でも今はそれも懐かしく、毎日のように墓に行き、ただ感謝を伝えます。