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雑感録

これがぽ~ちゃんだ その7『WINGS AT THE SPEED OF SOUND』

 
WINGS AT THE SPEED OF SOUND(1976 Wings)

あらら、『BAND ON THE RUN』、『VENUS AND MARS』のヒットで調子にのっちゃったか。
バンド色をさらに打ち出そうと、今回はメンバー全員がリードボーカルをとっている。
その結果がこれ。いい曲もあるのに、アルバムとしては地味で散漫。
あのね、ビートルズみたいなつもりでやったのかもしれないけど、天才(ジョンとポール)とサブ天才(ジョージとリンゴ)の集団と、ウイングスをいっしょにしちゃいけないよ。
バンドとしての方向性と個性のバランスがしっかりとれていたビートルズならば、作者やボーカルが誰であろうとアルバムとしてのトータリティを保てたが、所詮は寄せ集めであるウイングスにそんなことができる訳がない。
この辺がポールの“バンド幻想”といわれる由縁なんだろうなあ。

なお、ウイングスはこの時期1年がかりのワールドツアーを敢行しており、このアルバムの9カ月後に前代未聞の3枚組ライヴアルバム『WINGS OVER AMERICA』をリリース。なんと全米1位を獲得しているが、個人的にはライヴはその場の空気がすべてと思っていて、“ライヴ”を“レコード”で聴くのは好きではない(ビデオならまだしも)ので、このシリーズでは割愛させていただきます。

01 Let'em in
最初は退屈な曲だと思ってたけど、シンプルながら噛めば噛むほど味が出るスルメのような曲。歌詞にポールのおばさんや弟、マルティン・ルターやエバリーブラザースのメンバーなど実在の人物の名前が出てくることは有名だが、「ブラザー・ジョン」がジョン・レノンってのは本当かなあ?
http://www.youtube.com/watch?v=orAkeA7jLss

02 The Note You Never Wrote
1曲目が静かに始まって、2曲目で盛り上がるかと思いきや、デニーがボーカルの不気味な曲でズッコケる。それにしてもデニーの声は妖しい曲にぴったりやなあ。

03 She's My Baby
次こそ盛り上がるかと思いきや、今度は地味な小品。ポールの声がユニークだが、繰り返しをなくして短くまとめれば、もっと素敵な小品になる可能性はあった。ちなみに邦題は『僕のベイビー』。こんな邦題があったとは知らなかったが、せめて笑いで盛り上げようという、邦盤担当者の苦労が伺える。

04 Beware My Love
今度は怪しげなオルガンから始まって、アコギのイントロからコーラスが続き、ポールの登場まで1分30秒。ポールの絶叫ボーカルと中盤のノリはいいのに、バンドを意識しすぎてアレンジを誤ったか。これで6分30秒は長過ぎ。ちなみに邦題は『愛の証し』。こんな邦題があったとは知らなかった。

05 Wino Junko
A面最後はジミーの曲。これもドラッグソングらしいが、ジミーは次の『LONDON TOWN』制作途中に脱退後、'79年にヤク中で死亡している。曲は相変わらず一本調子で、エンディングに変化をつけた程度。こうやってアルバムA面は盛り上がり損ねたまま終わっていく…。

06 Silly Love Songs
『馬鹿げたラヴソングのどこが悪い』とポールが開き直って作ったという話はあまりにも有名。メロディアスなベースが特徴的。限りなくポップだが、リンダとデニーのコーラスがちょっとしつこい。

07 Cook of the House
クレジットはポール単独だが、これこそリンダとの共作、いや、リンダの単独曲なんじゃないかとすら思うほど、考えてなさそうな曲。オールドロック調のアレンジで辛うじてもってるというか、リンダからプレゼントされたというウッドベースを生かすために作った曲なんだろうな。

08 Time to Hide
作もボーカルもデニー。以上。

09 Must Do Something about It
前曲からのクロスフェードで、また『Beware My Love』が始まったかと思ったら違った。ドラマーのジョー・イングリッシュのボーカル、意外と歌うまいじゃん。だからと言ってわざわざ歌わせる必要はないと思うが。エンディングはちょっとシャレてる。

10 San Ferry Anne
なんとなくビートルズの『Eleanor Rigby』的なものを感じるうら悲しい曲。ここでは弦楽隊ではなくブラス隊が活躍している。

11 Warm and Beautiful
ピアノの弾き語りで、ボーカルと同様のメロディを奏でるピアノとポールの歌いっぷりがキモ。『やさしい気持ち』なんて邦題があったとは知らなかった。

***CD版ボーナストラック***
12 Waliking in the Park with Elois
1974年、Coutry Hams名義で出したシングル。作曲はセミプロのジャズミュージシャンだったポールの父親で、デキシーミュージック風のインストロメンタル。ポールも親孝行な訳やね。

13 Bridge on the River Suite
『Waliking in the Park with Elois』のB面で、こちらもインストロメンタルだが、作曲はポール自身。たまたまだろうが、曲の長さはA面、B面とも3分12秒。以上。

14 Sally G
『Junior's Farm』のB面。ギターにバイオリンの典型的カントリー。

***この時期の他のオリジナルシングル***
Maybe I'm Amazed
オリジナルは『McCARTNEY』に収録されているが、これは『WINGS OVER AMERICA』からのシングルカットで1977年リリース。当初の邦題は『恋することのもどかしさ』だったが、シングルにするにはちょっと長くてもどかしかったため(?)、『ハートのささやき』に改題されている(それでも訳わからんが)。

Soily
『Maybe I'm Amazed』のB面で、同じく『WINGS OVER AMERICA』からのカット。ちょっとパンクっぽいロックナンバー。

つづく
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