青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

茜空 千鳥魚食む 春日川

2020年03月10日 21時00分00秒 | 高松琴平電気鉄道

(夕日に向かって@八栗~古高松間)

高松は、東京に比べると朝が遅い分夕方が若干長い。それでも、房前の鼻からレンタカーで走って行くと、どんどんと太陽は西に傾いていく。18時にはレンタカーを返却する段取りになっているので、志度線の線路に沿いながら高松市内へ。八栗駅から古高松の駅にかけては、バックに八栗山を従えながら夕日に向かって走る志度線600形。低い低い夕陽が車体の隅々までを照らします。

潟元の下り坂を、夕陽を背にして降りて来る志度行き。太陽は雲間に沈み、残照が空を焼いて非常にいい雰囲気になって来た。日の沈む30分前から日の入り後の1時間くらいまでが一番のシャッター数の稼ぎ時と言うか、ドラマティックな空の表情と合わせると、鉄道車両もいつもに増して魅力的に見えて来る時間帯です。踏切でカメラ持って構えていたら、通りすがりのばあちゃんに「何か珍しい電車でも来るんですか?」という撮り鉄あるあるな反応をされてしまったのだが、「ゆ、夕焼けがきれいなんで!」みたいなロマンチスト的発言をしてしまった。別に珍しい電車が来なくてもいい。地方私鉄は、普段の姿が一番いいんだから。

春日川の水面に夕映えの高松の空が映る。どこからともなく飛んできた浜千鳥が一羽、川の干潟に降りて来て、水際で小魚を狙い始めました。鳥たちの夕餉時を横目に、春日川を渡る志度線の小さな車両は、低いガーター橋の鋼製の枠に半分くらい隠れてしまいました。

少し高い位置から、遠く五色台を眺めつつ暮れてゆく高松の街を望む。川の向こうにぽんやりと明るいのが、春日川の駅。ゴルフ場の漆黒の森の向こうに、高松サンポートタワーが青く輝きます。レンタカーの返却時間が迫って来ました。川面に電車の灯りがゆらゆらと揺らめけば、二日間に渡って回って来たことでんの旅も、そろそろフィナーレです。


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