(アルミカークラシック@大塩駅)
大塩駅に停車していた3000系のトップナンバー編成。神戸方から【3000+3001+3600】のナンバーで組成されたこの編成は、唯一デビュー当時の前面細帯にリバイバル塗装された編成でもあります。山陽電車のアルミカー・クラシックと言う事ですね。1次車の落成は1964年、昭和39年ですから東京オリンピックの年。既に営業年数50年を超えた車輌であるにもかかわらず未だ第一線を守り続けているのは、やはり腐食の少ないアルミ製車体の為せる業なのかもしれません。
姫路・網干と山陽電鉄西のターミナルを巡った後は、ゆっくりと神戸方面へ戻りながら撮影地を巡って行く事にします。飾磨駅の隣にある妻鹿駅は、生野の銀山を源流とし、播但線に沿って流れる市川のほとりに佇む小駅。基本的に山陽電鉄の橋梁はプレートガーターなので撮りやすいですね。安易なアングルとは分かっていながらも、ついつい橋のたもとでカメラを構えたくなる気分をご理解いただきたく(笑)。
お次は高砂駅の手前の伊保駅付近でワンカット。法華山谷川の河口にある船溜まりを横目に走る阪神車の直通特急。埋め立て地に多くの工場が林立する播磨臨海工業地帯ですが、工業地帯が面する海は魚影豊かな播磨灘。まだまだ漁業を営む人々も多く、伊保をはじめこの辺りの漁港では、春のこの時期水揚げされるイカナゴの稚魚(シンコ)を醤油とザラメで甘辛く煮付けた「くぎ煮」が名物。関東でも小女子(コウナゴ)の名前で佃煮がよく売られてますよね。
夕陽を浴びて伊保の街を行く3050系の4連。川のほとりの古びたコンクリートの建物はキッコーマンの高砂工場。高砂から伊保にかけての海岸沿いはかつて大日本帝国陸軍の砲兵工廠として使われていた広大な埋め立て地ですが、そこに戦後は国鉄の高砂工場が開設され、昭和59年の国鉄高砂工場撤退後は神戸製鋼所やサントリー、三菱重工など日本を代表する企業がひしめき合う工場地帯となりました。
高砂駅を降り、再び夕暮れの加古川橋梁へ。夕陽がバッチリ線路に当たるかと思ったんだけど、ちょっと時間が遅くて到着したときは既に薄暮状態でした。加古川のほとりに立つのは三菱製紙の高砂工場。製紙産業って水いっぱい使いますからね、たいていこんな感じで大きな川のそばに立っていることが多い。暮れていく高砂の街、川面にシルエットを映す、スリーダイヤモンドのプラント。橋を渡っている山陽電車が見えますでしょうか…
県道の相生橋を渡り、尾上の松駅に着いた時にはすっかり日が暮れてしまいました。結局川と鉄橋ばっかり撮ってた気がする山陽電車の旅。藍の空の下に明かり灯る駅に、山陽のアルミカーが滑り込んで来ます。新開地行きの普通列車に乗り込み、ドカッとシートに腰を下ろすとさすがに疲れが。朝からずーっと動きっぱなしだったもんなあ。
直通特急の通過待ちでぶらりと出てみた東二見駅のホーム。山陽電車の中枢である東二見車庫と工場建屋が見えます。山陽電車で唯一心残りだったのは、東二見の車庫をゆっくり見る事が出来なかったって事だあね…。さすがにね。もう暗くなっちゃってるからね。遠くから検修ピットに入っている3000系を眺めるのみであります。
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