青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

寄する波 音のかそけき 塩屋浜

2020年03月08日 11時00分00秒 | 高松琴平電気鉄道

(24時までのシンデレラ@木太東口駅)

木太東口駅のベンチ横に貼ってあった、ことでん0時便のお知らせ。金曜日のみですが、高松築港0:00発の琴平線琴平行きに接続し、瓦町を0:10に出る長尾線と志度線の列車があります。それぞれ終着駅の到着時間は、琴電琴平0:58、長尾0:41、琴電志度0:42。普段の最終が高松築港/瓦町で23:30頃なのでかなりの終車延長。高松中心部の繁華街で、長っちりの呑兵衛がもう一杯くらいゆっくりと呑めてしまうという危険なダイヤ(笑)。そらーシンデレラもかぼちゃの馬車には乗らずにことでん乗って帰るわ!というちょっとクスっとする広告。王子哀れ。

池戸の駅からもう一個くらいどっかで降りようと思ったんだけど、なんか決め手が見つからなくて木太東口で途中下車。乗って来た築港行きが駅を出て行く。瓦町に近付いてきて、だいぶ駅周辺も街っぽくなってきました。が、駅周辺は普通の住宅街過ぎてそのまま駅に戻るハメに(笑)。これならことでんでは珍しい高架駅の水田駅あたりで降りたほうが良かったか。それとももう少し乗ってって花園辺りで高徳本線との立体交差なんぞ見に行ってみたほうが良かったか。

ちょっと駆け足気味の長尾線の旅は、瓦町に到着して終了。長尾線の20分ヘッドの運用は1時間20分で1回転する運用で、日中は4編成で回る感じですね。長尾線のラストライドはすっかりお気に入りになったピカピカエメグリカラーの1303編成。乗り換え通路を走って志度線のホームへ移動します。レンタカーを止めてる房前公園の駐車場が17時に閉まってしまうので、せいぜい1時間前くらいには戻っとかないとなあ。

ホームで待っていたのが624号先頭の2連、1057列車。房前の駅を出た時に乗ってった電車に再び遭遇。瓦町でお買い物をしていた高松マダムや親子連れに混じって、少し日が傾きかけた屋島の山の下を東へ東へ。瓦町では立ち客も出ていた車内は、琴電屋島を過ぎると閑散としてきて、カーブをゴトンゴトンと走る音が聞こえるだけのローカル私鉄らしい雰囲気に落ち着きます。

房前駅、15:54着。ここを出たのが11:54発の電車なんで、ちょうど4時間で房前→志度→長尾→瓦町→房前のぐるり一筆書き東讃の旅が終了致しました。乗降客自分一人の房前の駅でも、出発するには指差確認を怠らない車掌さん。ことでんは未だに全車車掌乗務ってのが素晴らしいですよね。車両の運用数と行路数を考えたら相当の人員が必要と思われるのですが、だいたいの地方私鉄は経費節減のためにワンマン化から進めちゃうからさ。

クルマに乗って移動する前に、今一度景勝の地である房前の鼻を撮影したく、今度は午前中にいた側と逆サイの塩屋側から撮影することに。海鳥休む瀬戸内の夕景、小さな岬を回ってくる小さな小さな電車が、木々の僅かな切れ目から射す淡い夕陽に燦然と輝きます。

房前の鼻の塩屋側の撮影地は、波打ち際の堤防の下の線路脇が少し土盛りされて高くなっています。ここに、以前は「塩屋海水浴場前」という夏場だけの臨時駅があって、琴電も直営の海の家を出すなど集客に努めていたそうです。護岸工事によって砂浜が縮小され、夏の間の臨時駅は昭和45年に姿を消しますが、それまではなかなか賑わった海水浴場だったとか。今は海藻や流木が散らかってはいますが、狭いながらも白砂の浜辺は確かに海水浴場には向いていそうな雰囲気。色とりどりのパラソルが並んだであろう浜辺を行く列車が通り過ぎると、瀬戸内の凪の海から聞こえる微かな波音と、波の間に間に静寂だけが残る冬の塩屋の浜です。


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