青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

めでたきに 色とりどりの 帆を上げて。

2022年05月09日 17時00分00秒 | 南海電鉄

(これで運気も鯛アップ@南海加太線・めでたいでんしゃ)

一昔前ならば、GWともなると「スルっとKANSAI・2dayチケット」と言われる関西圏の民鉄ほぼ乗り放題になる魔法の杖のようなフリーパスで色んな会社を乗り倒していたもんですが、何でか知らんけど何年か前に海外からのインバウンド旅行者向け以外は発売を廃止してしまいましてね。最近はあまり関西私鉄の乗り鉄に来ておりませんでした。今回和歌山に行く事が決まってから色々と付け焼刃で調べたのでアレなんですが、ひとまず南海加太線が「加太さかな線おさんぽきっぷ」という比較的手ごろな感じのフリーパスを出していたのでそれに乗っかる事に。

和歌山市駅に入線する加太線の電車。数日前までは「和歌山に行く」という事を想定していなかったので、加太線に乗りに来るなんて思いもよらなかったんだけど、まあこれはいつも通り「その地域にある地方私鉄を巡って来る」という基本に立ち返るというか。あ、勿論加太線は現在れっきとした大手私鉄である南海電鉄の路線ですが、その辺りはご容赦いただきたく(笑)。大手私鉄の末端路線≒地方私鉄みたいなもんじゃない?暴論?

改めて南海加太線。紀ノ川駅から南海本線と分かれ、和歌山市北部の住宅街を海岸線に沿って進み、磯ノ浦から小さなサミットを一つ越えて終点の加太に至る全長9.4kmの路線。列車は全て紀ノ川駅から本線に乗り入れ、和歌山市~加太間の通し運転を行っております。全線単線。トンネルはナシ。途中の西ノ庄駅以外はすべて列車交換可能。あ、それと紀ノ川~東松江間に信号所(梶取信号所)があって、ここでも交換を行えるようです。加太は万葉の時代から和歌に詠まれる景勝地で、最盛期には1万人に迫る人口を誇りましたが、今は人口3千人弱の静かな港町です。

全線をそのまま乗って行けば僅か20分と少々で終点に到着してしまう短い路線。折角のフリーきっぷでもあり、見どころも何も知らないけれど、紀州の西端を走る大手私鉄の末端支線を味わってみる事にする。紀ノ川駅から分岐して最初の停車駅・東松江。モルタルの古い駅舎と構内を結ぶ通路は住民たちの生活の道になっていて、待合室の中を我が物顔で自転車が通って行く。緩く風の吹き抜ける旧駅舎の待合室では、「めでたいでんしゃ」の幟がはためいていた。

「めでたいでんしゃ」とは、南海本社の加太線に対するテコ入れ策として開始されたプロジェクトの一環の観光列車。7100系ワンマン2連をリフォームしたもので、「さち(桃)かい(青)なな(赤)かしら(黒)」の4編成を加太線に順次投入。南海では高野線の「天空」に次ぐ既存車両のリフォームによる観光列車ですが、普段はいつもの南海カラーの電車が行き来しているだけだった加太線に、突然こんな華やかなカラーリングの電車が投入されたインパクトは結構デカいんじゃないかな。勿論GWだからって事もありますけど、車内もなかなかの混雑でしたのでね。デザインワークなんかも、ちょっと人を食ったようなファニーな感覚があって洒落ている。


この日の午前中は、「かしら」と「かい」の2編成が運用に就いていました。
青空と競うように輝くスカイブルー。加太観光の新しいイメージリーダーです。


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