青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

赤電が走る街

2016年10月07日 22時01分52秒 | ローカル私鉄

(狩川を渡る@塚原~和田河原間)

大雄山線随一の撮影ポイントでもある狩川の鉄橋。冬になると、サイド打ちで箱根の外輪山の向こうに真っ白い富士山の見える場所なんですが、富士山どころかまともに箱根も見えないような天候状態なので橋を渡って塚原の駅へカーブしてくるところを正面がちに。床下はピッカピカに塗られていて、鈍く光るボルスタアンカーが眩しい。


小田原駅から緑町の駅へ向かって下り勾配を降りてくる赤電塗装。行き先表示は「小田原」か「大雄山」のどちらかを内部から点灯させる行燈型。全列車が小田原行きか大雄山行きかしかないので、合理的と言えば合理的ですなあ。回送とか試運転の時はどうするのだろうか。


緑町を出ると、電車はゆっくりと東海道線の下をくぐって行きます。ここのカーブが半径100mくらいの結構急なカーブなので、おのずとこの路線の車両限界は18m以下の車両に限られているそうです。目一杯編成をくねらせて、窮屈にカーブを曲がって行く車両の台車が、車体からはみ出しそうですねえ。


大雄山線の終点、大雄山駅の一つ手前にある富士フイルム前駅。南足柄市は、「フジカラー」でお馴染みの日本最大の写真フィルムメーカー・富士フイルムの創業の地でもあります。1937年に豊富な湧水を工業用水として設立された足柄工場は今でも同社の主要事業所で、工場のみならずグループ会社のゼロックスの研修センターなどなどこの辺りの県道から見ると山一つ分富士フイルム関係の施設になってる感すらある。


富士フイルム前駅は古レールを曲げて屋根を掛けただけの単式ホームですが、他の駅より明らかに横幅のあるホームの広さが工場への通勤客を意識してるっぽさあるよね。まあ今現在どんだけの人が電車で工場へ通っているのか知る由もないんだけど、駅前の寂しい感じを見ると相当少なくなっているのは事実っぽいですね。


ラッチらしいラッチはなく、機能重視のいかにも工場の最寄り駅って感じの改札口ですね。一応は朝夕は係員が詰めて有人になるらしいですが、改札上の「椎野養魚場」の広告が渋いな…そういや小田原から平塚あたりにかけては椎野さんって苗字が多いイメージがありますね。一族なのかしら。関東ローカルだと「かつおの酒盗」のCMでお馴染みのしいの食品とかも小田原の会社だったっけ。ちなみにしいの食品のCMのナレーターは一時期椎名へきるだった事があるというどうでもいい話。シーノとシーナで韻を踏んでいるのだろうか。


モサモサしたソテツが伸びて看板を隠している富士フイルム駅前を横目に、赤電が大雄山へ。「足柄ハリカ」の看板もこれまた渋い。ギフト系企業のCMと言えばズームイン朝(NTV)が「シャディのサラダ館」で、朝のホットライン(TBS)が「贈り物のハリカ」であった。そんな時代が私の幼少期だ。シャディは一冊の百貨店で、アズユーライクで酒井和歌子。♪全国どこでもハリカのチェーン、贈り物はハリカです♪は獅子てんや・わんや師匠でしたな。ズームインは言わずもがなの徳光時代だったが、朝のホットラインは有村かおりとスポーツキャスターの大沼啓延サンの軽妙な語り口がさわやかで印象的であった。赤電が走っていた街に、赤電が帰って来た風景は、そんな昔の事をつらつらと思い出させてしまうのかもしれん(強引)。

シメがあんまり大雄山線と関係ない話で申し訳ない(笑)。
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