青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

逢坂山の道すがら

2015年05月06日 16時13分13秒 | 京阪電鉄

(小町湯@大津市逢坂二丁目)

古い建物が残る大津の街並みと申しましたが、逢坂山の道すがら、上栄町駅近くの旧東海道にこれまたレトロな銭湯が。入口が軽く破風造りになったこの銭湯、雰囲気だけでレトロ建造物好きの血が騒ぎ、「入ってみてえええええ!」という抑えがたい衝動に駆られるも、当然午前中から銭湯が営業しているはずもなく営業開始は午後3時からだった。

  

併用軌道区間を抜け、上栄町駅付近を引き続きブラブラ。ここから次の大谷駅へは駅間距離が開くのでさっさと電車移動しようと思ったんだけど、なんかこの駅にも魅力があるね。急な坂道のカーブの途中にあって、上下のホームは2つの踏切を挟んで互い違いに設置されております。お寺さんの伽藍の上に、大銀杏が青々と葉を付けている路地裏の駅。


駅の裏に続く路地には、軒先に季節の花が並び、野良猫がのっそりと通る。踏切脇のお堂は裏山にある長安寺と言うお寺の入口に立ち、買い物カートを押したばあちゃんや、近所の子供たちが深々と手を合わせては通り過ぎて行く。湖都の暮らしの風景に溶け込むように走る京津線が、逢坂山へ向けて登って行きます。

 

その長安寺踏切から大谷方向へカメラを向けてみましょう。京津線のレールには、逢坂山越えの急勾配・急カーブ対策のため、要所要所に線路への散水設備が設置されております。レールと車輪の摩耗抑制と、住宅街を走る電車のフランジ音の防止ためでしょうが、電車が近づいて来ると線路脇のノズルからパーッと霧状にした水が撒かれます。あたかもミストシャワーを浴びながら走っているような、この光景も京津線名物。


この区間、線路脇の勾配標は27.0‰を示しておりまして、急勾配といい連続カーブといい確かに厳しい線路条件だなあ。車輪に水を浴びながら、Sカーブをよじ登るように電車は山へ向かって行くのでありますが、聞けば季節と気候によって水圧は強かったり弱かったりするらしい。もうちょっと豪快に噴いてる時期にまた撮ってみたいと思ったり…

  

踏切の真ん中にて散水設備をまじまじと観察していたら、路地で遊んでいる子供たちに不審な顔をされたのでそそくさと脚を進める(笑)。一つお隣の踏切はこれまたお寺さんに続く踏切で、妙光寺踏切と言うらしい。その名の通り妙光寺というお寺の境内に入るためだけの踏切と言うのがいかにも…な感じですが、特にガイドブックに載っている訳でもなさそうですが、境内に入ると庭木は整えられていて、慎とした雰囲気が感じられます。さすが歴史のある街のお寺さんだね。


そんな妙光寺の境内から、お寺の山門抜きのワンカット。パステルカラーの電車が山門の向こうを流れて行きます。電車は止めようかブラそうか迷ったんだけど、お寺の静けさと対比させるようにスローシャッターでブラしてみましたがいかがなもんでしょ。ソフトフィルターは後加工ね。


表題の小町湯。結局夕方にこの銭湯を再訪する事になったんだけど、番台に座る100歳近そうな大ばあちゃんが全く耳が聞こえないと言う素人にはおススメ出来ない物件ではあった(笑)。中も実にレトロで、壁の富士山絵とタイル壁の金魚のモザイクがとても文化財的な雰囲気の味のある銭湯で、ちょっと熱めのいいお風呂でありました。特筆すべきは、温泉ではないと思うのだが入った後に妙にお肌がスベスベする事か。そして帰ってから知ったのだが、ここはモノの噂によると幕末の頃から営業している知る人ぞ知る銭湯だとか…幕末って(驚)。

さすがに京に続く道の周りには、色々と歴史の濃いものが潜んでいるようです。
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楽しくて アゴも外れる 併用軌道

2015年05月06日 05時21分56秒 | 京阪電鉄

(湖都の電車通り@浜大津~上栄町間)

浜大津から上栄町にかけての京津線&国道161号併用軌道区間。さしづめ湖都の電車通り。焦茶色をした板塀の家があったりして、古い街並みがそこここに残っている。奥に見える「薬のヒグチ」の看板が懐かしいな。「目標は1,327店!」ってゾウの上に乗ったオヤジ(社長らしい)が叫ぶあのコマーシャル、子供心に「なんでそんな中途半端な数が目標なんだ???」って不思議に思っていたものだ(笑)。未だにその数字に何の意味があったのかは知る由もないのだが、誰か知ってたら教えてくんなまし。ちなみにこの「浜大津2号店」は既に閉店しているようだが…


京津線は、逢坂山の麓にある大津の街からまずは山を越えて山科へ向かうルートを通っているので、浜大津の駅を出るといきなり逢坂山に向かっての登りになります。この平成の世にあって、未だに氷屋さんなんかが残っているのも古都・京都に近く、古い街並みの残る大津市街ならではといったところ。「奥村製氷」の前を行く京都市役所前行きトップナンバー801編成。

 

併用軌道で勾配標が立っている訳でもないから正確なところは分かりませんが、目算で30‰くらいはあるんじゃないかなあ。長玉で圧縮するとその勾配の雰囲気も分かろうともいうもの。市街地なので信号につかまる回数も多くシャッターチャンスが稼げるのがありがたい。長い坂道に、長い車体をうねらせながら800形が浜大津の駅を目指します。


朝のラッシュ時間を終えて、四宮の車庫に向かう805編成の回送電車。床下機器を見てもお分かりになるかと思いますが、800形は逢坂越えの急勾配対策からサハクハなしのオール電動車と言うパワフルな編成になっとります。ちなみに後ろの「シングル4,800円」は東横インの浜大津駅前店、ここに泊まれば一日中京津線の軌道区間を眺めて過ごす事が出来るんだろうね。さすがに一日は飽きそうだけど(笑)。


800形の前面下に付いているのはヘッドマークなんですかね。「琵琶湖疏水 水と歴史のみち巡り」と書かれていて、一応8編成全部に取り付けられているんですが、大手私鉄の中でも京阪ってこの手のヘッドマークが好きなイメージがあるねえ。調べてみたらこういう事になっているようですが、周辺の見どころ、文化施設の多さからも大津線全体が通勤通学だけでなく観光路線という位置付けなのも分かる気がします。


併用軌道区間ですれ違う805&811編成。800形の車番は、三条側の2両を奇数・浜大津側の2両を偶数として、中間車は先頭車に50を足すと言うパターンで付けられているようです。例えば805編成だと【(三条)←805+855+856+806→(浜大津)】となります。


ブラブラと併用軌道を撮り歩いて、上栄町側の併用軌道入口まで来ました。いよいよここから本格的な逢坂越えと言う事でかなり勾配もキツくなって来ております。正直カメラを構えても水平が出ているかどうかが手持ちでは疑わしい(笑)。逢坂山に連なる山の緑も爽やかに、800型が坂道を降りて行きます。

 

811編成が併用軌道区間から鉄道線区間に入る上栄町のカーブを曲がって来ました。が、1両目と2両目の連結部分の開きっぷりがwまるでアゴが外れてるみたいじゃねーか。たまーに体の柔らかい人で肩の関節がボコっと外れる人がいるけどあんな感じと言うか。右の写真をよく見ると、あまりにもカーブがキツイもんだから台車が車体からはみ出しているのがお分かりいただけますでしょうか(笑)。

わずか800mの併用軌道区間ですが、ブラブラと歩くだけで目新しい光景に新鮮な気持ちになれる。
併用軌道フェチとしてはたまらんもんがありますなあ(笑)。
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