青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

読書の秋

2006年10月21日 13時58分22秒 | 日常
今日は家事雑用をするのみの、ぼんやりした秋の土曜日。早速朝に髪を切りに行って、掃除して洗濯してゴミ出して…
夜は一応日シリなんぞを見ようと思うけど。

昨日の晩から、ダンボールの中の文庫本を一冊持ち出して読み終えたところ。
雑誌以外の読書と言えば、戦記モノか紀行モノかドキュメンタリー。非常に偏りがあるのだが、小説の類は読まない。面白いのかもしれないけど。
何を読んだかといえば、宮脇俊三の本なんだけどね。

中学校の頃、近所の古本屋でこの人の著作は本棚で見つけるたびに購入しているので、だいたいは読んだのだろうか。「時刻表2万キロ」「最長片道切符の旅」「駅は見ている」「時刻表昭和史」…このあたりがメジャーどころですかねえ。だから、好きな作家?と言われればこの人なんだろう。あまり意識していないが。

『ディーゼルカーは小さな無人駅に停りながら茶畑の中を行く。空は晴れ上がって、閑散とした車内は春のようにけだるい。農家の軒には干柿がスダレのように吊下がっている。瓦屋根と渋い板壁と柿の実の対照の中に派手なトタン屋根の入り込む余地はないらしく、新しい家でも瓦で屋根を葺いている(「最長片道切符の旅」より)』

これは、晩秋の一日、浜名湖の北側を行く国鉄二俣線(現在の天竜浜名湖鉄道)へ乗った時の記述である。
自分もこのブログで色々書くけれども、この人の紀行文における淡々とした風景描写は、水を飲むようにすーっと入って来て厭味がない。彼の心の中で自己完結しているようで「どーだどーだ」と言う押し付けがましさがないのがいいです。目で見た事実を自己表現で膨らませているのだが文体自体は控えめで簡潔であり、それが読み手の目の前にリアル以上の空想を掻き立てると言う感じかなあ。

ともかくそれぞれが名著だと思いますよ。
コメント
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