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Ken’sBar:手段が目的化する『飲酒検問』

2006-12-06 | ケンカイ
asahi.comのニュースから。

お酒つき平井堅さんコンサート、終演後に全車検問(asahi.com)


名古屋市で19日夜に開かれる人気歌手平井堅さんのコンサートが客にアルコールを出すスタイルのため、車で来場した人の飲酒運転を招きかねないとして、愛知県警と市が主催者に、酒提供の取りやめの検討や飲酒運転防止策をとるよう要請している。主催者は酒提供の形は守る一方、車での来場者には酒を出さない、飲酒運転しないよう呼びかけるなど対応をとる。だが良識に頼らざるを得ないのが実情で、県警は、コンサート終了後に会場の駐車場から出るすべての車を対象に飲酒検問を実施することにした。
(中略)
ホールを所有する市は10月、主催者から酒類提供を知らされた。県警に相談して11月初旬、主催者側に(1)酒を提供しない(2)提供するなら、チケットなどへの注意書きや場内放送、ポスター掲示で飲酒運転をしないよう促す(3)平井さん本人が客に呼びかける(4)酒提供の際、車で来ていないことを確認する――などの検討を求めた。県警が11月中旬に同社に酒提供について確認すると「変更できない」との回答だったため、飲酒運転の防止策を依頼したという。
(中略)
当日、県警は駐車場出口で全車に検問を行う。県警幹部は「東京ドームなど客のほとんどが公共交通機関で来る会場と事情が違う。飲酒運転の可能性がある状況を見過ごすわけにはいかない」と話している。


この目的は「飲酒運転をさせない」ということが第一義であはずですが、警察の視点は『摘発』にしか目がいっていないようです。これでは『犯罪が生まれる状況をわざわざ見逃してから、犯罪として取り締まる』という、なんとも本末転倒な話しになります。

この状況でまず行うべきは「飲酒した人に運転をさせないよう促す」という『防犯的(予防的)』な処置であり、それなら、例えば「駐車場でのアルコールチェッカーの設置・提供」や「泊り駐車スペースの提供」といったことで十分に対応が出来るはずです。また、もともとこのイベントで提供されるお酒もせいぜい「ワンドリンク」程度ということですので、「十分に醒ましてから(=少なくとも呼気アルコール濃度が0になってから)」帰宅させるという処置も現実的な範囲であると思います。

また、この理屈で言えば、ナゴヤドーム等での野球開催時には毎回飲酒検問を行わなければいけないことになりますし、錦三や名駅周辺の繁華街では毎日飲酒検問を行わなければならないということになるでしょう。不幸な事故を減らすために飲酒運転を無くすということには異論がありませんが、そのための手当てとしてはちょっと「履き違え」感が漂う今回の対応と私は感じます。