コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

パ・リーグ:日ハム頑張れ!

2006-09-27 | よもやま話
プロ野球ペナントシーズンもいよいよ大詰め。特に今年はパ・リーグが熱いですね(^-^)。シーズン当初は「ソフトバンク独走?」といった印象を感じていましたが、蓋を開けてみれば、日ハム、西武、ソフトバンクの三つ巴のまま最終盤までもつれ込んでいます。

中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋人の私としては、パ・リーグのどの球団にも頑張ってもらいたいのですが、今年に限ってはやはり「日本ハムファイターズ」に頑張って欲しい!と思っています。やっぱり、新庄の最後の勇姿を名古屋ドームで見たい!というのが願いですね(^-^)

残り1試合で、マジック1。さて、今日の日ハム-ソフトバンク戦が本当に楽しみです!

企業と車:飲酒運転対策の実務対応(予告編)

2006-09-26 | 飲酒運転特集
飲酒運転と企業対応関係のエントリには、相変わらず大変多くのアクセスを頂いております。これまでのエントリでは、飲酒運転で検挙された従業員に対する主に労務面から見た企業対応を考えてまいりましたが、実際の「経営の現場」では、起こった後に後始末を考えていてはとても対応が間に合わないため、「事が起こる前の対策」が大変重要になってきます。そこで、シリーズにて「飲酒運転対策を織り込んだ、企業と車の実務対応」を考えて行きたいと思います。

ざっと思いつくままに上げてみると、企業として車を使う際の検討ポイントとして次のようなものが挙げられるかと存じます。
○業務中の「車利用」のルール化
○車通勤への対応
○業務時間とプライベート時間の切り分け
○飲酒運転を回避させるための支援策
○就業規則上の手当て(制裁を含めて)

以上のテーマを中心に、今後、数回に分けてご紹介したいと思います。

「こんなことが知りたい!」というご希望がありましたら、是非コメントにてお寄せください。可能な限り対応させていただきたいと思っております。

イブ・ゼミ:“上期シリーズ”無事終講です!

2006-09-25 | オボエガキ
6月より毎月1回ペースで行ってきました「Awingのイブ・ゼミ」、第4回目の9月22日をもって、無事“H18年度上期シリーズ”を終講させていただきました!

毎回多数の皆様にお越しいただき、本当に感謝をしております。模造紙とポストイットを用いた「張り出しディスカッション(いわゆるブレストですね(^-^)」でゼミナールを行っていくという、やや変わった手法を用いてまいりましたが、皆様の積極的なご参加により、大変有意義なゼミナールとなったのではないかと思っております。

10月からの“下期シリーズ”は経営に必要な「実務トピックス」シリーズ(仮称)として、その時々のトピックスに応じた「事業を経営する立場として、真剣に向き合っていきたいこと」を一緒になって考えて生きたいと思っています。詳細が決まり次第、このブログやホームページ等でご案内申し上げます。

それでは、今後の『イブ・ゼミ』もご期待ください!

好評御礼:「飲酒運転と企業対応」を特集化!

2006-09-21 | 飲酒運転特集
飲酒運転と企業対応に関するエントリには、本当にたくさんのアクセスを頂いており、誠に感謝しております。好評につき、関連エントリを「飲酒運転特集」としてまとめさせていただきました。飲酒運転と企業対応に関するエントリを一度に読まれたいという方は、ぜひa href="http://blog.goo.ne.jp/tateishi_awing/c/6227ebc38b9159045d28f2384f4798f1" target="_blank">コチラからご覧ください。

さて、相変わらず飲酒運転に関する報道が続いておりますが、その中で一つ気になる記事を見つけました。朝日新聞の記者が酒気帯び運転で検挙され、懲戒解雇となったそうです。以下、記事を一部引用いたします
本紙記者を懲戒解雇 酒気帯び運転で検挙
酒気帯び運転をして道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで山梨県警甲府署に検挙された朝日新聞甲府総局の中川裕史記者(27)=20日付で管理本部付=について、朝日新聞社は21日の代表取締役会で、同日付で懲戒解雇する処分を決めた。

(中略)

 中川前記者は19日未明、甲府市内の自宅近くで、酒気帯び状態で乗用車を運転、甲府署員に検挙された。さらに、自身の検挙を上司に報告しないまま、公人が酒気帯び運転で検挙されたことを報じる記事を執筆した。
(出展:asahi.com)

労働基準法の規定により、解雇を行う場合には「解雇事由に関する就業規則への定め」が必要とされています。特に制裁処分である懲戒解雇の場合には、「限定列挙」すなわち「列挙されている事柄に当てはまらなければ、懲戒解雇ができない」と考えられています(罪刑法定主義と同様の考え方ですね)。

さて、今回のケースが朝日新聞社の就業規則の何に該当していたのかは定かではありませんが、広報部の説明によれば「法規に触れる行為であった上、検挙されたことを上司に報告していなかった」ということが懲戒解雇事由にあたるとされた模様です。

ただ、今回のケースを見ていると、もしこの記者が「懲戒解雇処分の効力」を争ったとしたら、実は争うことができる余地があるのではないかと私は感じました。即ち、「会社が行った懲戒解雇処分の客観的合理性」を否定する主張をするための材料が残ってしまっていると感じています。

まず第1点目は「この記者が酒気帯び運転で検挙されたのが、完全なプライベート時間であった」ということ。Yahoo!ニュースの読売新聞の記事によれば、「18日の日中に焼酎を飲み、19日の未明に自宅近くの検問で検挙された」ということです。酒量はもちろん、飲み終えてからの時間や行動が分からないので「自覚があったか否か」は不明ですが、少なくとも「会社とは無関係な私的な時間」に起こった出来事であることは間違いが無いようです。そうすると、そもそも「私的な時間に行った行動で、しかも、“被害者”が未だ存在しない」という行為に対して、そもそも報告の義務があるのかという点に疑問が残ります。

また、第2点目としては「発生事象に対して、懲戒解雇という処分が重すぎる可能性がある」ということです。今回の場合、「自分のことを棚にあげて、人のことを記事に仕立てて報道している」という事実があります。これは、報道に携わる「記者」の資質を否定されても仕方がないと考えられます。したがって、少なくとも「このまま当社の新聞記者として続けてもらうわけにはいかない」という判断は妥当性があると思われます。

しかし「このまま当社の社員を続けてもらうわけにはいかない」という判断が妥当かどうかというと、必ずしも妥当とは言い切れない面があります。なぜなら、「朝日新聞社として行っている業務は、何も記者だけとは限らない」という側面があるからです。記者を続けさせられないとしても、例えば印刷工場や配送センターでの現業職(それも車を使わない業務)であれば、十分に仕事をさせられる可能性もありますし、大企業である朝日新聞社の場合、「一人の従業員の配置転換」が出来る程度の柔軟性は持っていると考えられてしまいます。したがって、「懲戒処分としては、配置転換+降格(その職種にふさわしいレベルまで下げる)が相当であって、懲戒解雇処分までは行き過ぎではないか」とツッコミを入れられてしまうケースも考えられてしまうのです。(もちろん、この記者の雇用契約が記者業務に職種限定されたものである場合には、職種変更を伴う配置転換ができませんので、解雇やむなしでしょう。)また、過去の同種同様の事例(プライベート時間中の酒気帯び運転での検挙+未報告)においてどのような処分が行われてきたかも考慮材料の一つにされることでしょう。

これらのことを総合すると、今回の懲戒解雇というものの有効性については、「自分たちが(公務員を中心に)ツツいてしまった結果、自分たちにも跳ね返ってきてしまった」と言ってしまっても良いのではないかと私は思います。ただ、このような処分を行ってしまったことで、結果的に「朝日新聞社のコンプライアンス」に対する問題が生じることになってしまっているのではという別の危惧も生まれます。

「組織として法令に抵触する可能性を否定できない意思決定を行った」とすれば、これは「一従業員が私的な時間に法令違反を犯した」ことに比べてはるかに大きなコンプライアンス上の問題となってしまいます。自分たちが闇雲に報道した結果、結局自分で自分の首を絞めてしまっているような感じを受けてしまう今回のケースでした。

P.S.
本日のYahoo!ニュース(毎日新聞)には、
<飲酒運転>罰則付き県条例制定へ 宮城県議会が全国初

という記事も紹介されていました。この件につきましては、また後日ゆっくりと考えてみたいと思います。

新車購入:ついに買ってしまいました!

2006-09-20 | よもやま話
ついに、新車を購入してしまいました!・・・・とはいっても、原付のことですがゞ(^^;;

今回購入した原付は↓コレ↓

YAMAHAの“VOX”という50ccスクーターです(^-^)。今回は、4色あるカラーバリエーションの中から、非常にビビッドに目立つオレンジ色をチョイスいたしました(^-^)

実は、独立開業以来「原付が欲しい~~~~」と思っていました。しかし、普通の原付では「私が普段持ち歩いている量の荷物(カバン2つ以上)を持ち運ぶことが難しい」という難点があったので、これまで購入に踏み切れていませんでした。

しかし、今回のVOXは、50cc原付ながら何と約34Lもの大容量スペースを装備! 縦長に設置されたラゲッジスペースに大きな真鯛テニスラケットまですっぽりと収めることが可能なのです。

実際、私が持ち運ぶ大量の荷物を入れたカバン(A4ファイルを3冊以上収納可能なビジネスバック)でも、きっちりと収めることができます。

また、エンジンは通常の車と同じ水冷4サイクルエンジン。立ち上がり時こそ2サイクルエンジンに劣りますが、坂道をぐんぐんと登っていくパワーは、今の事務所&住まい周辺の環境にはピッタリです。

また、燃費がものすごくよいのも原付のよいところ。公称値では何と65.0km/Lという車では考えられない驚異の数値をマーク!普段乗っている愛車に比べて5倍以上も走りますので、ガソリン代高騰が高騰している今ならすぐにペイ出来てしまいそうです。

実は、私が原付に乗るのはこれで2台目。とはいえ久しぶりの原付運転ですので、もうすこし車と体を慣らしてから本運用としていきたいと思っています。

もちろん、原付といえども呑んだら乗るな・乗るなら呑むなは変わりません。安全運転で出発進行~!ですね(^-^)。


イブ・ゼミ:貴方に必要なのは『やりたいこと』、それとも『儲かること』?

2006-09-18 | おすすめ
さて、ブログ上部でご案内の通り、第4回のイブ・ゼミがいよいよ近づいてまいりました。H18年度上期シリーズの最終回となる第4回のイブゼミは、9月22日(金)19時より、金山駅そば「名古屋都市センター」にて開催です!

今回のテーマは、上期シリーズの締めとして『やりたいこと? それとも儲かること? ~ 自分が望む歩き方はどっち?』と題し、「これからの自分が望んでいる道を歩んでいくためには、どのように稼ぎ、また、何をしていくことが必要なのか?」について考えていきます。

「やりたいこと」をそのまま素直に出来るというのは幸せなことです。しかしながら、「生活の糧を稼がなければならない」という現実の前では、やりたいことだけをやることは至難の業です。また、自分ひとりでできる範囲を超えていこうとすれば、そこで必要となる「従業員」に見合った稼ぎも用意しなければなりません。

今回の『イブ・ゼミ』では、こういった『起業してから夢に進んでいくまでの間のジレンマ=制約条件』をしっかりと見つめ、『甘くない現実』をいかに楽しめるようにするかを一緒に考えます

もちろん今回も『張り出しディスカッション』で皆さんの意見をスパークさせていきまう!参加者全員で『頭の中のアイデア』を書き出していくことで、新たな発見や、違う角度からのモノの見方をつかんで頂きます!

シリーズで開催してきましたが、それぞれ単発で受講されてもご満足いただけるよう、『1回完結型』でイブ・ゼミは開催しています。これまで参加された皆様は『最後の締め』として、また、今回初めてしたいという方も『新たな一歩』として、必ず『明日からの自分』に役立つ“気持ちのホトバシリ”を持って帰っていただきます!『起業家ゼミナール』シリーズは今回が最終回、この機会を逃さず、多数の皆様にご参加頂きたいと存じます。


飲酒『割り増し』判決:それを言っちゃいかんでしょ(-_-;;

2006-09-17 | 飲酒運転特集
飲酒運転関連のエントリには、非常にたくさんのアクセスを頂いておりますが、そんな中で今日は一つの記事を発見しました。

<酒気帯び>死亡事故の被告に「割り増し」判決 大阪高裁


酒気帯び運転で死亡事故を起こし、業務上過失致死と道交法違反の罪に問われた大阪府内の内装業の男(35)に対し、大阪高裁は14日、懲役1年とした1審・大阪地裁判決を破棄して懲役1年6月を言い渡した。白井万久裁判長は「やはり時節柄というかそう簡単には済まされない。、1審の刑期は軽すぎると言わざるを得ない」と付言した。(以下略、下線太字は筆者による)
(Yahoo!ニュース - 毎日新聞)


この判決報道でやはり気になるのは、裁判官が発した量刑についての「やはり時節柄というか」という付言。これって、
これを言っちゃぁ、お仕舞ぇよ
って類の話しじゃないですか?(^^;;

これを言ってしまえば
じゃあ、“時節柄”がよければ、もっと軽かったんですかい?裁判が行われているタイミングだけの話しなのですかい?
という分かりやすいツッコミが来てしまうことを、この裁判官は予期していなかったんでしょうか?

刑事裁判での裁判官は、自らの判断で被告人から「自由」を剥奪し、強制労役に服させることが認められている唯一の存在です。社会全体の「肌感覚」は意識しなければならないかもしれませんが、むしろ「世間(やマスコミ)の注目度」には左右されない高い意識が必要なはずです。

今回のケースである酒気帯び運転の据えの死亡事故について、同種の事案で1年実刑が妥当なのか、1年6月の実刑が妥当なのか、はたまた執行猶予付きが妥当なのかは分かりません。しかし、少なくとも今回の不用意な発言については「裁判に対する信頼性をいっぺんにすっ飛ばしてしまった大失言」と言わざるを得ないでしょう。

裏を返せば、昨日までのエントリでお話ししてきた「懲戒処分」でも同じことが言えます。一方的な意思表示で、相手方に対して大きな不利益を与えることは、「相当高いレベルでの論理的な筋道」が求められます。今回のように「今、注目されているから」という理由だけで、安易に「重罰化」することは、かえってコンプライアンスを損ねる結果にもなりかねないと、私は考えます。

飲酒運転と懲戒:「飲酒運転⇒即懲戒免職」の動き広がるが・・・(2)

2006-09-14 | 飲酒運転特集
昨日(というか今日)のエントリの続きです。先のエントリでは、「飲酒運転」に対して行政処分・刑事処分がどのようなバランスを取っているのかという点について、また、会社にとって「懲戒処分(特に懲戒解雇・免職)」はどのような意味を持っているのかについて検証しました。本日は、これを踏まえて「飲酒(酒気帯び、酒酔い)運転に対して、即懲戒解雇・免職が妥当か」という点と、ここから発展して「懲戒処分を行うとすれば、どのようなバランスとするか?」について考えて生きたいと思います。

飲酒運転に対する懲戒処分のバランスは?


昨日見てきたとおり、飲酒運転(酒気帯び運転+酒酔い運転)は

(1)回復不可能な重大事故(つまり、死亡事故)を引き起こす可能性が高くなる。
(2)一方、酒気帯び運転や酒酔い運転そのものは何等の具体的な損害をもたらしていない。

という側面を持っています。そして(1)を重視して「飲酒運転をするような人には運転を認めるわけにはいかない」ということで、行政処分としての免許停止・取り消しがあり、また、(1)(2)のバランスから「飲酒運転行為を行わないよう未然に牽制する必要はあるが、他の『具体的な損害』の発生をもたらす犯罪行為よりは制裁の程度を押さえる必要がある」ということで、刑事処分としての刑の条件が決まっていると考えられます。

これを踏まえて「飲酒運転⇒即懲戒解雇・免職」が妥当かどうかを含め、懲戒処分のバランスを考えてみたいと思います、。

まず「検問等で酒気帯び/酒酔い運転が見つかった場合」というケースから。行政処分と同様の発想をすると、「会社としては、たとえプライベートタイムとはいえ飲酒運転をするような人には、会社に関連するところでは車を使わせられない」と考えることになるでしょう。したがって、
○業務上での自動車の使用(運転)を禁止する
○自家用車による通勤を禁止する

ということになるでしょう。この場合、処分期間が重要になりますが、行政処分と同様の重み付けを考えると、「酒気帯びの初犯なら6ヶ月or1年程度(免停期間より長い期間)」、「酒気帯びの再犯や酒酔いなら無期限(たとえ欠格期間明けで免許を再取得してもなお認めない)」というところが落としどころになるのではと思います。(これは感覚的なものであり、根拠を問われると少し厳しいのですが・・・)

ここで注意すべきことは『いかなる状況においても例外を作らない』ということ。
たとえ営業や配送ドライバー等のように自動車を使用しなければ仕事にならないといったケースであったとしても、車なしで営業・配送業務をそのまま担当してもらうか、それが不可能な場合は営業から事務へ、配送から積み込みへ「車を使用しなくても良い業務への配置転換」という処分をあわせて行うこととなります。但し、この場合は「降格・処遇低下を伴わない配置転換」が原則となります。

また、もし「車でなければ通勤が実質的に不可能な場所」の場合であった時にも、会社としては「何らかの方法で通勤してもらう、それが出来なければ、自己都合による退職を促す」という対応を取ることになるでしょう。ただし、この前提としては飲酒運転には前述のような処分を課すことを従業員一人ひとりにしっかりと認識させておく必要があります(就業規則への記載でもよいのですが、場合によっては労使協定を結んでおくと確実です)。

一方、飲酒運転の刑事処分が「主に罰金」であることを考えれば、「酒気帯びで即懲戒解雇処分」ということは「既に刑事事件として罰金という形で必要十分な社会的制裁を受けているもの」に対して、生活基盤の喪失という「極めて重い制裁」を重ねて課すことになってしまいます。懲戒処分は『その人に社会的な制裁を加えるものではない』ことを考えると、やはり『酒気帯び運転で即懲戒解雇』ということに『合理性』を認めることは相当に困難であると思われます。

特にプライベートな時間で自家用車を使用しているときであれば、「会社業務とは完全に離れている⇒従業員は会社に対して責務を負っていない状態」であるため、「内部的制裁」を加える余地は相当少ないと思われます。

ちなみに、もし酒気帯び・酒酔い運転の発覚が「業務中」であった場合には、そもそも「飲酒をしながら仕事をしているという行為」そのもので「職務専念義務も業務上の安全配慮義務も履行していない」とみることができますので、即懲戒解雇というのも全く問題はないと思われます(就業規則上の手当てをきちんと行っておく必要はあります)。

ここで微妙なのが「通勤・帰宅途中」の場合です。この時間帯を「業務中」とみるのか「私生活上の時間」と見るのかは悩ましいところです。労災保険での「通勤事故」の考え方をすれば、経路の逸脱が起こればそこからは「通勤ではない」とされますが、こうなると「逸脱したほうが懲戒処分が軽くなる」というジレンマを抱えます。したがって、「通勤・帰宅途中」の場合には「自宅を出てから、自宅に着くまでを業務時間中とみなす」等の規定を織り込み、原則としては業務中に準じて扱うことになろうかと思われます。(もちろん、会社のイベント等で車通勤者にお酒を提供することは論外です。)

一方、「酒気帯び/酒酔い運転によって、事故を発生させた場合」というケースの場合はどうでしょうか?この場合は、「危険性があると認識しながら危険な行為を行ったうえで、損害を生じさせた」ということになります。こうなると、会社としては「このような人をこのまま引き続き雇用し続けることが、組織秩序・規律維持の観点から妥当かどうか」という判断を迫られます。

実際に飲酒運転事故を起こしたとなれば、それがたとえ報道ベースに一切乗らず、また、その程度がごく軽い物損事故であったとしても、他の従業員に動揺が広がることが想定されます。また、もし仮にそのまま一緒に働かせていた場合には「会社はこのような事でも寛容に許してもらえる」と誤ったメッセージが伝わることすら想定されます。

したがって、「飲酒運転で、実際に事故を起こした」となれば、たとえプライベート時間の出来事であっとしても、本人への反省を促し他の従業員が事実を受け入れることができるまでの期間という意味で「相当長期間(年単位)の停職処分」以上の処分は必要でしょう。また「会社として受け入れられない程度の事故」であった場合には、諭旨退職・懲戒解雇もやむをえないでしょう。
もちろん、飲酒運転事故の発生が業務中・帰宅途中の場合であれば、事由の如何を問わず「一発解雇」は当然といえましょう。

なお、先のエントリでもコメントが寄せられていましたが、仮にこのような処分を決めたとして「人を見て、恣意的に処分の軽重を柔軟に対応する」等ということを行うようであれば、それこそ「筋が通らない」話になります。上記のような考え方であれば、そこに「その人が有益な人かどうか」等ということを挟む余地はなくなります。こと「酒気帯び運転・酒酔い運転に対する懲戒処分」を決めるのであれば、制度設計も制度運用も「公正・公平」でなければ、当事者はもちろん、周囲の従業員や顧客、株主、取引先といった「利害関係者」に納得してもらうことは到底不可能ですし、「労務トラブルの芽」を生み出すきっかけにもなりかねません。したがって、このような懲戒処分を運用する際には「原理・原則に従った処分」というものがどうしても必要となります。

そもそも飲酒運転の防止として会社で出来ることは無いのか?



ここまで、長々と「飲酒運転と懲戒処分」の関係性についてみてきました。飲酒運転に対する懲戒処分を設けるのは「あくまでも会社内部の秩序・規律維持」が主の話であり、「懲戒処分を設けることで、飲酒運転をさせない」という話しではありません。実際、飲酒運転をする人は「自分だけはつかまらないし、事故も起こさない」と信じて運転しているわけですから、懲戒処分(や刑事処分等)による牽制効果はどうしても限定的と言わざるを得ません。

では、会社として「従業員に飲酒運転をさせない」ために取り組める方法は何かないのでしょうか? もし、「従業員には一切お酒を呑んではならない」とか「プライベート時間も含めて車の使用を一切認めない」ということが出来れば完全に飲酒運転をなくすことは出来るしょう。しかし、現実にこのような「過度な自由の制約」が認められるとはとても思えません。

逆に言えば「飲酒運転するかしないかは、自分の意思しだい」ということです。先にも述べたとおり、飲酒運転とは「時間がたっているからもう冷めている」とか「自分はお酒に強い」という気持ちから「自分だけは大丈夫」と思い込んで行うケースが大半ではないかと思われます。(中には「飲酒しながら運転」してしまう人もいるようですが、一般的にはこれはごく限られた一部に過ぎません)

逆に言えば、「『大丈夫』という思い込み」を無くすことができれば、”無自覚の飲酒運転”を無くすことに繋がるということです。つまり、自分の現在の状態を客観的に観る事ができるモノがあれば、きっと有効に働くということになります。

そこで、今注目を集めているのが「アルコールチェッカー」と呼ばれる機械。この装置は、センサーの働きで、息を吹きかけることで、呼気中アルコール濃度を計測し、分かりやすい形で表示してもらえます。もともとは「お酒が弱い人を中心とした呑みすぎ防止」を目的として開発された機械ですが、飲酒運転の防止にも十分に応用可能です。

このアルコールチェッカー、現在様々なモノが販売されていますが、私のおススメは次の写真で紹介する
TANITAのアルコールセンサーです。



このTANITAのアルコールセンサーの第1の注目点はその「携帯性」です。全体の大きさがちょっと大き目のスティックのり程度と大変小さいことから、鞄のどこにでもしまえますし、車の片隅に気軽においておくことも可能です。また単4電池2本で動きますのでこれ一つあれば「車に乗るときに、いつでもすぐにチェックができる」ことになります。操作もスイッチを入れて息を吹きかけるだけという大変簡単なものです。

また、このアルコールセンサーは、計測機器では大変定評のあるTANITA製ということで、表示の信頼性も期待できるでしょう。計測結果はデジタル数値で表示されますので、だれでも分かりやすく「自分の今の状態」を測定可能です。

また、非常にお値打ちな値段も魅力です。定価でも1台当たり3,600円程度ですし、今ならAmazonで購入すれば1台2,800円弱で購入可能です。

ただ、よく「このようなチェッカーはかえって飲酒運転を助長するのではないか」という意見を耳にします。たしかに、この機械を使えば「ちょっと呑んでもこの機械で基準値以下ならOK」という思いを抱く方も多いでしょうし、「ちょっとだけ」の飲酒運転が増える危惧というのは否定できません。

しかし、そもそも飲酒運転がダメな理由は「体内にアルコールが存在することで身体・思考能力の低下が生じ、このことによって重大な交通事故を引き起こす」ことにあります
したがって、「チェッカーの測定で問題ないとされるレベルまでお酒覚ます」というのは、「運転に支障の無いレベルまで体内アルコール濃度をを下げる=身体・思考能力を回復させた状態」にすることであり、これをチェッカーを用いて客観的に認識することは「よくわからないまま運転する」ことよりもはるかに安全な行為であると私は考えます。

ただし、もちろんこの計測器の表示は目安ですので、「チェッカーで測定したから安心」という性格のものではありませんし、「飲酒しても覚ませば運転していい」という意識では問題有りでしょう。ただ、「二日酔いの朝」などに車を運転する際にこのアルコールチェッカーを活用することは、むしろ「飲酒運転の防止」のために大変好ましい使い道だと思います。私も「自己予防」の一環として使っていきたいと思っています。

ちなみに、このアルコールセンサー、現在、Amazonでも大変な人気商品となっており、今後品薄状態が続くことが予想されています。したがって、もし「試してみたい」と思われたら、今すぐこちらからご注文されることをおススメします。(執筆時点であれば1~2週間で商品が発送されるとのことです)

会社が本気で「従業員に飲酒運転をさせたくない」と思うのであれば、免許を持つ従業員にこの「アルコールチェッカー」を配布し、「飲酒運転になるかどうかを客観的に判別できる環境」を整えることも一つの方策でしょう。また、ここまでやった上で、さらに従業員との合意形成や就業規則上の手当てを適切な手段で行っておけば、飲酒運転行為そのもに対して「即懲戒解雇」といった特に厳しい懲戒処分を課すことも『会社は十分な配慮を行い、また、従業員もこれを許容している』として『合理性』が認められる余地が出てくることも考えられると私は思います。

重大な結果にを引き起こす可能性を自ら上げることになる『飲酒運転』をしてはならないのは当然のことです。しかしながら、会社が懲戒処分を課すということは『飲酒運転がいかにやってはいけないことなのか?』ということはまた別の話しです。会社にとっての懲戒処分とは何か、また、会社が『社会的責任(CSR)』を果たすために本当に行うべきことは何かといったことをしっかりと見据えて、対応を考えていく必要があると私は思います。

本日も大変長くなりましたが、今日はここまで。ご意見・ご感想をぜひコメントにお寄せください。


飲酒運転と懲戒:「飲酒運転⇒即懲戒免職」の動き広がるが・・・(1)

2006-09-14 | 飲酒運転特集
「飲酒運転問題」へのみなさまの関心は非常に高いようで、本日も非常にたくさんのアクセスを頂いております。おかげで、ブログ更新への大変な励みとなっております。


さて、先のエントリにも書きましたとおり「飲酒運転を自由とする懲戒免職に対する不服申し立て]が現実に行われている一方で、公務員を中心に『飲酒運転⇒即懲戒免職』の動きが着実に広がっているようです。

Yahoo!ニュースの「飲酒運転問題」トピックスを見ると、全国各所の自治体で「飲酒運転で検挙された時点で、事故の発生の有無に関わらず懲戒免職」という動きが広がっているようです。現在の報道では「懲戒免職にして当然、むしろ遅きに失している」というような論調が多いので、思わず「そりゃそうだよね~」と言いたくなってしまうところなのですが、このような時だからこそ「懲戒免職/懲戒解雇」というのが「飲酒運転」という行為に照らして妥当な“重さ”かどうかということを慎重に考えなければならないと感じます。そこで、改めて「飲酒運転と社内処分のバランス点」について改めて考えてみたいと思います。

「飲酒運転」により課される法律上の処分


道路交通法上でいう「飲酒運転」は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に大別されます。「酒気帯び運転」とは、文字通り酒気を帯びている状態で運転することであり、「呼気中アルコール濃度0.15ミリグラム以上」で違反となります。一方、「酒酔い運転」は「アルコール等の影響により正常な運転が困難な状態にある」というものですが、アルコール濃度等の基準はなく、直立不動が可能か、歩行困難な状態ではないか、言語能力は正常かなどを調べた上で判断されます。(運用上は酒気帯びの基準値に達していることが条件となっているようです。)

検問等で飲酒運転が発覚した場合には、まず運転免許の停止・取り消しに関連する行政処分(違反点数の付与)が行われます。それぞれの違反点数
●「酒気帯び」の場合⇒違反点数6点(0.15mg以上)又は13点(0.25mg以上)
●酒酔いの場合⇒違反点数25点

この違反点数は、過去3年の運転免許停止処分回数が0回(すなわち“初犯”)だった場合であっても、酒気帯びの最も軽いものだとしても即免停30日、酒酔いに至っては即取消+欠格2年という形になっています。
これは、
○「酒気を帯びた状態」というものたとえ自覚がなかったとしても身体・判断能力が低下した状態であり、重大な交通事故に繋がる恐れが高いこと と、
○一般的に「酒気を帯びた状態」というのは「自らが認知可能で、能動的な行為である“飲酒”」によりもたらされること(つまり、自分でコントロール可能な領域が広い)
ことの2点から、道路交通法違反の中でも特別に重い点数が課されていると解釈できます。この点では、「重大な結果に繋がる可能性が高い飲酒運転をするような人には、運転をさせるわけには行かない」という筋道の話しからすれば、非常に妥当なものでしょう。(酒酔い運転の“客観基準”が無いのが気になりますが・・・)

また、重大な結果に繋がる飲酒運転の場合、行政罰の反則金ではなく、「刑事罰」が課されます。酒気帯び運転の場合には「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」、酒酔い運転の場合には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています。
懲役は「身体的事由の拘束と強制的な労役」であり、罰金は「財産の強制的な徴収(没収)」ですが、いずれも「社会に対する脅威を与えた者に対して社会からの制裁を与える」行為です。

「酒気帯び・酒酔い運転そのもの」は「法律に抵触する行為」は行われているものの「(危険性はあるものの)まだ具体的な損害が発生していない」ものです。他の刑法犯と比較すると、議論はあるにせよ概ねバランスは取れているのではないかと感じられます。(例えば「故意に第三者に具体的な損害を与える犯罪」の一つである「窃盗」の刑事罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。)また、具体的な損害が発生する「危険運転致死傷罪」では「準故意犯」の扱いとして傷害等と同様の「15年以下の懲役(死亡させた場合は1年以上の有期懲役)」)となっています。

これらをまとめると「飲酒運転」に対する行政処分・刑事処分は、「放置すれば将来的に発生する可能性がある重大な結果(事故)」を引き起こさせないために予防的・牽制的に設けられているものであるといえるのではないかと考えられます。

企業等で行われる「懲戒処分」の種類と意味


次に、企業等で行われる懲戒処分を考えてみたいと思います。まず、企業秩序や就業規律の維持を目的として企業等は「内部組織における懲戒処分」を行うことが出来ます。

ここで注意しなければならないのが、懲戒処分を行う一義的な目的はあくまでも「組織内部の秩序・規律の維持」であるということです。「組織の社会的評価(外部評価)の確保」についてはあくまでも副次的なものに過ぎません。また懲戒処分を「対象者に対する経済的社会的制裁」を目的として行うことは合理性を欠くと言わざるを得ないでしょう。

一般的に行われている懲戒処分は次のようなものがあります。
○戒告-文書又は口頭により行為を咎める。運用上は人事考課の不利要素として反映する場合が多い。
○減給-一定期間給料の一部を減らす。罰金刑に相当。労働基準法上の制限がある。
○出勤停止-一定期間労働する権利を剥奪する。その間の賃金は支払われず、在籍日数にも加算されない。懲役・禁固刑に相当。
○降格-現在の職位より下位の職位へ低下させ、労働内容を変更する。あわせて下位の職位において支給される賃金額に減額されるケースがほとんど。
○諭旨退職-退職願いを提出させ、合意退職の扱いにて退職させる。退職金は一部減額の上で支給となるケースが多い。場合によっては一定期間後の復職の可能性はある。
○懲戒解雇-一方的に労働契約を解除し、労働者としての地位を失わせる。退職金を支給しないケースがほとんどであり、復職は認められない。

この他、ここに列挙しないものであっても、「何らかの行為に対して、制裁として不利益を与える」場合には全て「懲戒処分」として取り扱われます(例えば、手当の支給停止は減給類似の懲戒処分です。)

このうち、「当該対象者を組織から永久に排除する」という「懲戒解雇」は、社会的制裁である「刑事罰」に置き換えれば「当該対象者を社会から永久に排除する」ものである「死刑」に相当します。また、懲戒解雇により対象者が被る結果とは「生活基盤を支えるための収入を得る手段の非自発的な喪失」となり、その影響は「生計を維持されている家族」にまで及びます。このように、「懲戒解雇」とは、その意味からいっても、もたらす結果からいっても、通常想像されている以上に「重い」処分であるといえます。

したがって、労働基準法では、懲戒解雇を含めた解雇について「解雇は客観的な合理性を欠き、社会通念上相当であると認めれない場合には、その権利を濫用したものとして向こうとする」という制約を課しています、。また、解雇ができる条件を就業規則等に定めた上で、雇用開始時に通知しなければならないとしています。さらに、過去の判例などを見ると、懲戒解雇については「限定列挙」すなわち「就業規則等にはっきりと定めていなければならない」という取り扱いが行われています。

また、組織内部のこととはいえ、懲戒処分を経営層の自由な裁量に任せては、生活基盤をかけて就業している労働者の地位が脅かされることに繋がってしまうということで、各種の法律で「就業規則」又は同種の規程にて懲戒処分の内容や基準を定めることが求められています。

「飲酒運転⇒即懲戒解雇/懲戒免職」は果たして妥当なのか?


ここまで、「飲酒運転に対する行政処分・刑事処分の重み付け」と、「企業等における懲戒処分の重さ」を紐解いてきました。ここで、ようやくですが「飲酒運転⇒即懲戒解雇/懲戒免職」という懲戒処分を定めることが、果たして妥当かどうかを考えます。・・・・といいたいところですが、エントリが大変長くなってしまいましたので、ここでいったん切って、明日以降のエントリにてこの続きは書きたいと思います。
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恐らくこの「飲酒運転⇒即懲戒解雇/懲戒免職」という問題については、様々ケースを想定する必要あるかと思います。思いつくままに上げてみると・・・
○状況の違い(検問等での検挙のか、実際に事故を引き起こしたのか?)
○時間的な違い(「業務時間中」「通勤・帰宅途中」「業務外のプライベートな時間」のどれか)
○使用している車の違い(「社用車」又は「自家用車」)
の3つの切り口では分けて考える必要がありそうです。このあたりを踏まえ、また明日以降のエントリで具体的な検証を行いたいと思います。

また、このテーマにつきましては皆様のお考えをお聞かせいただきたいと思います。例えば、「プライベートな時間に自家用車を運転していた際に、検問にて酒気帯び運転(アルコール濃度0.2mg)が発覚し道路交通法違反に問われた(即ち事故等ではない)」というケースの場合、皆様が経営者だとすればどのような「懲戒処分」を課す(又は課さない)でしょうか?コメントとして皆様のご意見をお寄せいただければ大変幸いです。

長くなりましたが、本日はここまで。続きは次エントリにご期待ください。