人骨

オートバイと自転車とか洋楽ロックとか

北海道ツーリング44

2005年02月02日 | ツーリングのレポート
左折できる道があった。松尾鉱山ナンタラ処理場方面とか書いてある。ここは違うかなと思い通り過ぎたが、結局入口はここであった。引き返して右折、ここからいよいよ現場へ近づいていく。すぐ左手に学習院ナントカ寮というのがある。こんな素敵なところで合宿できる学生はさぞかし幸せだろう。この道路はお宅の廃墟群を大きく右手に眺めながらグルーと取り巻くようだ。そこかしこにもワケの分からない廃墟が散見される。オラ、もうワクワクしっぱなしだ!しばらく近辺をクルマでうろついたあと、団地へのアタックをかけるべく路肩へ停車した。この松尾銅山は例の土曜の夜ジャニーズが出てるUSOとかいうテレビで見て以来憧れの地であったが、現物を目にすると誠に感慨ひとしおである。
「うっわー…」
「言葉にならないね…」
「うっわー…」
「すーごいねえ…」
「うっわー…」
「言葉にならないね…」
という感じで独り言が何度となくでたと思う。全く、はっきり言って、もう北海道なんてどうでもいい。ここは聖域である。巡礼の地である。イスラム教徒は生涯一度の大行脚としてメッカ巡礼を体験するというが、まさに聖地を目前にした教徒の感慨とはこんなものだろう。すごい、すごい、すごい。この世にこんな感動の場所があったなんて。北海道なんて行かずに一週間ここにいればよかったとこの時は本気で思った。普通の廃墟とは明らかに違う生命感がある。妖気アンテナ総勃ち。いつもみたく過去のこの地へ思いを馳せるとかそんなチンケな想像も起こらない。発してくる圧倒的な存在感に、もう黙るしかないのである。廃墟という言葉が相応しくないとさえ感じる。そう、これは貴重な歴史の遺産ではないのか。法隆寺なんてどうでもいいから、こちらを世界遺産へ登録しなくて良いのであろうか。歴史こそ浅いものの、この生命感溢れる歴史の遺物がゴミ扱いだなんて、日本人の価値観を疑ってしまうよおじさんは。とにかく日本に住んでいるのなら一度ここを訪れるべきであろう。廃墟もここまでくればもう立派な遺産だ。ナニがそんな違うのと言えば、とにかくその規模でしょう。まさに「街一つがそっくり」という表現が当てはまる。人類にはまだ知られざるポンペイがあるのだ。
しかし現実は残酷である。この巨大聖地を目の前にして、ぼくは妻をクルマに置いて数分の探索しか許されないのだ。一秒一瞬を惜しみつつ手前の1棟のお宅へお邪魔することに。季節は盛夏。もう、草ぼうぼう。建物は高くそびえているのにアプローチ困難、入口がどこだか分からない。お宅の南面に沿ってずっと歩いていたら、知らないうちに一段下がったところへ来てしまった。一旦引き返し遠めに眺めてみると、獣道(ではなくて実際は廃墟マニア道であろう)があったのでこれに従う。無事入口へたどり着けた。造りは時代ものであるから例の縦階段型なのだが、1階部分だけ近代マンションのようにすっぽり屋根で覆われた廊下となっているのが特徴かな。よって住人は階段1階まで降りたあと風雨に晒されることなく内部を往来できる。この廊下は何のためどこへ続くのだろうか。とりあえず廊下は置いておいて、一番手前の階段を登ってみた。間取りは例によって2DKでしょうか。ただし、窓からの眺望が非常に素晴らしい。特に最上階(5階かな)では八幡平の高原風景が窓枠いっぱいに広がって美しい。また各部屋にダストシューターが設けられていて、ゴミは全て1階に集積されるようだ。これも面白い。部屋の窓から今走ってた道路が見えているが、1台の自動車がノロノロ走っているのが見えた。同じくこの風景に驚愕しているのであろうか。ここから人が覗いていたら興醒めだろうから、目立たないようにしておいた。1階へ戻って今度は廊下を歩いてみた。梁の部分に「は」の文字が出た。これもどこかの廃墟系サイトで見覚えがあるなあ。


「は」

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