MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ローラーガールズ・ダイアリー』 90点

2010-11-23 23:50:33 | goo映画レビュー

ローラーガールズ・ダイアリー

2009年/アメリカ

ネタバレ

少女の‘野蛮’な成長物語

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 アール・キャヴェンダーはアメリカンフットボールなどのスポーツが大好きだったが、不運にも子どもたちは2人とも娘であり、母親の美少女コンテストの英才教育で日々忙しい娘たちと一緒にスポーツを楽しむことさえ出来ず、子供たちが2人とも息子でベースボールをしている2人の息子たちの背番号が書かれている看板を庭に立ててほくそ笑みながら隣の家に住んでいる同世代の男が内心羨ましかった。
 しかし17歳の長女、ブリス・キャヴェンダーは何故かローラーゲーム(=ローラー・ダービー)にはまってしまい、ハール・スカウツというチームに加入してあっという間に頭角を現す。
 決勝戦でライバルのホリー・ローラーズに負けてしまうのであるが、ブリスの父親のアール・キャヴェンダーはそんな娘の活躍が嬉しくてたまらず、ついには自分の家の庭に娘の背番号22が書かれた看板を立ててしまう。
 同じ日に美少女コンテストとローラーゲームの決勝戦が重なってしまい、ローラーゲームの方を選んだブリスに対して怒り心頭だった彼女の母親のブルック・キャヴェンダーはブリスが美人コンテストで読む予定でいた手紙を何気なく読んで、娘が自分が想像している以上に素敵な大人の女性になっていることに驚き、嬉しくなる。
 ブリスのニックネームである‘ベイブ・ルースレス(Babe Ruthless =同情しないベイブ)’がメジャーリーガーの‘ベイブ・ルース(Babe Ruth)’の、‘マギー・メイヘム(Maggie Mayhem =故意に破壊行為をするマギー)’がロッド・スチュワートの曲のタイトルである‘マギー・メイ(Maggie May)’の、‘スマッシュリー・シンプソン(Smashley Simpson =ぶん殴るシンプソン)’がアメリカのシンガーソングライターである‘アシュリー・シンプソン(Ashlee Simpson)’の、‘アイアン・メイビン(Iron Maven =鉄器の熟練者)がヘビーメタルバンドの‘アイアンメイデン(Iron Maiden =鉄の処女)’の名前から取られていることを知らなくても物語は楽しめるし、原題の‘Whip It’は字幕で説明されているのでわざわざ無理して邦題に取り入れる必要もなく‘ローラーガールズ・ダイアリー’は比較的チャーミングなタイトルだと思う。作品内に散りばめられている更に細かいギャグ(例えば冒頭に友人がブリスに示された‘10’という数字の意味など)が汲み取れればもっと楽しめただろう。
 興業的には成功しなかったようであるが、選曲も素晴らしく、女優のドリュー・バリモワの初の長編映画作品としてはなかなかの佳作である。


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“なかにし礼”にならないために

2010-11-23 00:02:03 | 邦楽

宇多田ヒカル“親子関係、金銭感覚を修正したい”(スポーツニッポン) - goo ニュース

 宇多田ヒカルの新曲「Goodbye Happiness」のプロモーションビデオを見た。彼女

自身が監督しているそのPVは曲も含めてユーモア溢れるとても良い作品だと思い、

同時に、何故このようなユーモアがUTADA名義のアルバムには現れなかったのか

いまだに不思議でならない。ところで宇多田ヒカルが年内での芸能活動の休止を

宣言したことに関してテレビ朝日の「ワイド!スクランブル」でなかにし礼が「宇多田

が自身の金銭感覚を心配する必要は無く、早く目を覚まして作品を作るべきだ」と

いう旨の発言をしていたが、余計なお世話であるだろう。小室哲哉のような前例が

ある以上、自分の金銭感覚を疑っておくことは悪いことではないし、本人は大丈夫で

あっても、母親の藤圭子がギャンブルにはまっているという噂は絶えない以上、実兄

の膨大な借金を肩代わりしていたなかにし礼にも理解できるはずなのであるが。


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『シスタースマイル ドミニクの歌』 90点

2010-11-22 21:08:13 | goo映画レビュー

シスタースマイル ドミニクの歌

2009年/フランス=ベルギー

ネタバレ

女性初の‘ロックンローラー’

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 エルビス・プレスリーに感化された人間は『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(サム・テイラー=ウッド監督 2009年)の主人公であるジョン・レノンだけではないし、英語圏の人間だけでもないし、勿論男性だけでもない。『シスタースマイル ドミニクの歌』を観て、主人公のジャニーヌ・デッケルスが‘単なる世間知らずで自分勝手で頭の悪い女性’にしか見えなかったという感想を多く目にして、その無理解に驚いたのであるが、『ノーウェアボーイ』のジョン・レノンも‘単なる世間知らずで自分勝手で頭の悪い男性’にしか見えないのに高く評価されているにも関わらず、似たような無謀な行動をしているジャニーヌ・デッケルスが非難される理由はジャニーヌ・デッケルスがジョン・レノンと同じように本物の‘ロックンローラー’であると見倣されていないからであろう。
 同じように美術学校に通った経験がありながらも、ロックンローラーとして見るならばジャニーヌ・デッケルスはジョン・レノンを越えているかもしれない。わざわざ居心地が悪くなる修道院に入って尼僧になり、尼僧でいながら歌手デビューして、そのデビュー曲「ドミニク(Dominique)」がフランス語の歌詞で1963年12月のビルボードで1位を獲得して(現在に至るまでベルギー人としては唯一)、莫大な印税はレコード会社とプロデューサーの取り分を除けば、全額教会に寄付してしまい、音楽活動に専念するために教会から離れて、女性と一緒に暮らしているジャニーヌ・デッケルスは(ゲイであるため?)全く関与しないにも関わらず、「黄金のピルのために神に栄光あれ(Glory Be to God for the Golden Pill)」という曲をわざわざリリースして教会を怒らせて音楽活動を妨害されることになり、「ドミニク」の印税は教会に支払われているにも関わらず、ベルギー政府から追徴課税されてしまい、その資金を調達するために1982年に「ドミニク」のディスコヴァージョンをリリースするも失敗してしまい、結局、自殺を禁じられている尼僧であったにも関わらず、1985年に一緒に暮らしていた女性と51歳で薬物心中を遂げてしまうという、母親との確執から始まり、終始教会や政府などの体制に対して孤軍奮闘していたジャニーヌ・デッケルスは世界初の女性ロックンローラーと見倣して間違いないであろう。ジャニーヌ・デッケルスを前にするならばパティ・スミスも霞んでしまう。
 ジャニーヌ・デッケルスの不運はベルギーという小国で生まれてしまい、フランス語を話すために、彼女の理解者でありえた英語圏のロックミュージシャンとの交流ができなかったことと、やはりいまだに続いている女性だからという偏見から逃れられなかったことにあると思う。
 作品としてはラストの描き方が雑で、ジャニーヌ・デッケルスと彼女の親友のアニ・ぺシェルが借金の督促状を燃やしながら喜んでいた理由が全く理解できず、彼女たちが若くして自殺したような印象を与えてしまうのだが、破天荒な‘ロックンローラー’としてのジャニーヌ・デッケルスはよく描かれていると思う。
 「ドミニク」の‘ドミニク、ニク、ニク’という有名なフレーズは、いまだに例えば「ポ、ポ、ポ、ポーカーフェイス」というような大ヒット曲のフレーズに受け継がれており、その影響力は計り知れないはずなのである。


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決意がブレる深刻さ

2010-11-22 16:36:25 | Weblog

発言「気を許しすぎた」、続投に未練も 柳田法相会見(朝日新聞) - goo ニュース
法相進退、政府・民主の協議「何も決まらず」(読売新聞) - goo ニュース

参議院で問責決議案が可決されても法務大臣を続投する決意表明してから24時間

も経たないうちに辞任会見をしてしまう柳田稔という人の精神状態は、動画サイトに

尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像を投稿したと申し出た43歳の海上保安官

が当面の間勤務を休む事になった原因の“病気”レベルと言ってもよく、海上保安官

同様に暫くお休みになられた方がいいと思うが、結局、辞任の引き金は21日の夜

の首相公邸で行われた協議で仙谷官房長官、岡田幹事長、輿石東参院議員会長

に菅首相が“人”間違いをしてしまったという事実を言ったことだと思う。


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人違い?

2010-11-21 15:46:41 | Weblog

柳田法相、問責可決でも続投の意向表明(読売新聞) - goo ニュース
法相?えーっ何で俺が…柳田法相の発言要旨(読売新聞) - goo ニュース

 これはあくまでも私の想像なのであるが、菅直人首相は人事を間違ったのでは

ないだろうか? ここで言う“人事を間違った”という意味は適材適所という意味では

なくて、“人”間違いという意味である。柳田稔は過去に参議院厚生労働委員長を

務めている。今の厚生労働大臣は細川律夫であるが、細川は元々弁護士であり、

法務大臣として相応しいのは細川律夫の方であろう。つまり菅直人は柳田稔と

細川律夫を取り違えて任命してしまった可能性は大いにあると思う。これがバレたり

したらエラいことになるよね。


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勉強する必要がない人

2010-11-20 09:13:50 | Weblog

こどもニュースから老人ニュースへ!?(日刊スポーツ) - goo ニュース

 NHKの「週刊こどもニュース」は見たことがないが、初代“おとうさん”役であった

ジャーナリストの池上彰は今や“売れっ子”となってしまっている。それはともかく、

2010年9月21日にTBSで放送された「爆!爆!爆笑問題 大同窓会! 伝説の

人気番組からアノ大スター続々登場SP」という番組に細木数子が出演していたので

あるが、大田光が細木数子に池上彰について訊かれたら際に、細木は池上彰を

「もう少しお勉強して言われたほうがいい」と鼻で笑っていた。しかし細木は以前

自身の番組で「鶏に薬を使って1日に何個も産ませている」と言い養鶏業者を批判

していたが、実際に細木に言われなくても養鶏業者は需要に応じた様々な種類の

卵を生産していたことを実際に養鶏現場を見学することで知ることになる。私は細木

の方こそ「もう少しお勉強して言われたほうがいい」と思うが、平気で無知を曝らす

ことができる強いハートを持っている人には勉強の必要はないのかもしれない。


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『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』 70点

2010-11-19 17:14:08 | goo映画レビュー

ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ

2009年/イギリス

ネタバレ

楽曲の使用許可に関する考察

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』は青春映画としてはそれなりに良く出来ているが、ジョン・レノンの伝記映画として見るならばやはり物足りないと、私のようなファンなら思うであろう。
 チャイコフスキーが好きな伯母のミミ・スミスとエルヴィス・プレスリーが好きな母親のジュリア・レノンという全く対照的な‘2人の母親’に挟まれながら育つジョン・レノンが史実通りに描かれてはいるが、例えば、ミミ・スミスには何故子供がいなかったのか(あるいは敢えて作らなかったのか)、ジュリア・レノンは交通事故で亡くなるのであるが、何故車を運転していた加害者が無罪になったのか今まで分からなかったことが明らかにされると期待していたのであるが、肝心な部分が描かれていなかった。
 しかしサム・テイラー=ウッド監督の配慮は理解できる。余計なことを描いてオノ・ヨーコの逆鱗に触れて「ハロー・リトル・ガール」、クオリーメンの曲「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デンジャー」、ジョン・レノンの曲「マザー」の使用許可がおりなければ、ジョン・レノンの伝記映画でジョン・レノンの曲が一曲も流れないという不自然なものになってしまうからである(個人的には「ジュリア(Julia)」も流すべきだったと思う)。
 オノ・ヨーコに気を使った結果、‘2人の母親’に翻弄されてはいても、結構楽しい青春を謳歌している主人公は別にジョン・レノンではなくてもいいような無難な仕上がりになってしまっていることは同年に制作されたステイン・コニンクス監督の『シスタースマイル ドミニクの歌』を見ればはっきり分かると思う。


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言う事なす事全部ギャグ

2010-11-19 15:52:22 | Weblog
仙谷氏の本質あらわ 「自衛隊は暴力装置」 「社会主義夢見た」過去(産経新聞) - goo ニュース
蓮舫氏と民間仕分け人がバトル…結局予算半減(読売新聞) - goo ニュース
自衛隊は暴力装置―仙谷氏 抗議受け謝罪、首相も陳謝(共同通信) - goo ニュース
仙谷氏、「総理」と呼ばれ不快感 参院予算委で(共同通信) - goo ニュース

今回の事業仕分けを見ていて思うことは、結局客観的な基準など存在しないため、

仕分け人のさじ加減でどのようにでもなってしまうということである。仕分け人次第

であり、法律に基づく規則が無い以上、名前を変えられて予算請求されても仕方が

無いし、このような“いたちごっこ”は終わりそうにない。だから仙谷由人官房長官に

よるならば自衛隊は“暴力装置”にもなってしまうし、前田武志参院予算委員長に

よるならば仙谷由人は官房長官ではなく、総理大臣にでもなってしまうのである。

しかし私はそれでも構わないと思う。仙石由人は自分こそ総理大臣で、マキャベリの

名前でもだして本来自衛隊は“暴力装置”として機能していると本当のことを言えば

国民にも分かりやすくなるのに、下手に訂正したりするから訳が分からなくなる。

この政府の締りの無さは、一度チャラにでもしなければ治りそうにないと思う。


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深刻な人選ミス

2010-11-18 00:03:11 | Weblog

仙谷官房長官が柳田法相に厳重注意 「国会軽視」発言(朝日新聞) - goo ニュース

 柳田稔法相は国会答弁に関して「個別事案についてはお答えを差し控えます」と

「法と証拠に基づいて適切にやっている」の二つだけ覚えておけばよいと発言した

ことを「冗談だった」と言い訳していたが、この発言が冗談になる条件は柳田稔に

法務大臣としての資質がある場合に限られるはずであるが、これまでの他の発言

からも察する事ができるように柳田稔には法務大臣としての資質は微塵も感じられ

ないどころか、恐らく柳田稔には自分が法務大臣であるという自覚さえ無いと思う。

それにしても“目糞”が“鼻糞”を厳重注意したところで何か意味があるのだろうか


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『オーケストラ!』 80点

2010-11-17 23:54:38 | goo映画レビュー

オーケストラ!

2009年/フランス

ネタバレ

2つの‘オーケストラ’

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 原題『Le Concert(=コンサート)』とあるように、この作品はラストのコンサートシーンにたどり着くまでの主人公のアンドレイ・フィリポフを初めとする人々の葛藤が描かれているという点で『奇跡のシンフォニー』(カーステン・シェリダン監督 2007年)と通じるものがあり、原題は尊重されるべきではあるのだが、では邦題の‘オーケストラ’が悪いのかとなると一概にそうとも言いきれない。
 そもそも主人公のアンドレイ・フィリポフがパリに行けた理由は、KGBに所属しているイヴァン・ガヴリーロフもこの機に乗じてパリで開かれる共産党集会に出席したいためだった。
 しかしイヴァンが出席したパリの集会は30年前とは比べものにならないほど閑散としていた。他方、30年前にコンサートの途中でKGBに妨害されて中断を余儀なくされて以来、沈黙を守っていた指揮者のアンドレイ・フィリポフが絶好の機会を捉えてタクトを振るうパリで催されたコンサートには多くの観客が集っている。
 つまり主義主張の正しさが必ずしも人を引きつけるとは限らず、長い間、姿を隠していても人を魅了し続けるものもあるというアイロニーが描かれているのであり、言い換えるのならば、‘コンサート’というタイトルが正しいことは間違いない(=主義主張は正しい)としても、映画というものはオーケストラと同じように微妙な変化、例えば、アンドレイ・フィリポフが指揮をとるオーケストラにソリストのアンヌ=マリー・ジャケが加わるような変化が予測不可能な効果をもたらすこともあり、ここではタイトルを‘オーケストラ’とみなすことで2つの‘オーケストラ’の皮肉なコントラストを認めるべきであろう。


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