MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『クロッシング』 100点

2010-11-30 23:10:51 | goo映画レビュー

クロッシング

2008年/アメリカ

ネタバレ

冴えない男の本性

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 原題の‘Brooklyn's Finest’の意味は‘ブルックリンの警察’となるらしいが、本来ならば‘finest’は‘fine (素晴らしい)’の最上級を示す言葉なのだから、観客はこの作品内で誰が最も素晴らしい人物なのか見分ける楽しみを味わうべきであろう。
 候補として挙げられる人物は、退職目前のベテラン刑事のエディ、信仰深く家族想いの麻薬捜査官のサル、そしてギャングの中に潜入捜査をしているタンゴの3人である。
 この作品で3人が最初に‘クロッシング’するシーンにおいて、サルとタンゴはギリギリではあるが自分たちの任務をこなしていたが、エディは一緒に事件現場にいた新人警官がミスを犯したために、上司のアドバイスを受け入れずその責任を自分で引き受けてしまう。エディという人物は区域外の揉め事は無視したりして新人警官にバカにされたりしており、観客もただ無難に仕事をこなすだけで売春婦と付き合う無能な警官のように見倣してしまうが、エディがただ者ではないことは後に分かることになる。
 麻薬捜査官としてのサルの活躍振りはサルが有能ということよりも、大家族と病弱な妻のために金銭的に追い詰められていた故の‘成果’であるし、タンゴはギャング仲間のキャズと余りにも関係が密になりすぎてしまったが故に、結果的に上層部の思惑通りキャズを仕留めることができたにも関わらず、タンゴはキャズの仇をとるためにレッドを殺しに向かう。サルもタンゴもそれぞれ家族や仕事に深入りし過ぎた結果、悲劇を迎えることになる。
 ところでエディなのであるが、まずエディには家族が存在しないのか、家族と離れて暮らしているのか不明なのであるが、拘わらなければならない家族が現れない。エディの仕事の仕方はなるべく事を大きくしないという方針であるために、事が小さいうちに全てを収めてしまい、結果的に大きな仕事に関わらなくなるのである。実際、エディの眼識の正確さは警察署に貼り出されていた行方不明の女性の顔を思い出すことができたことで証明される。その上、定年退職してしまったエディが昇進も昇給も見込めないにも関わらずあれほど危険な仕事を敢えて一人で引き受けるということは警官としての矜持と、それに伴う、普段は隠していた才能があったからである。
 つまり全く冴えないように見えるエディこそが『ラスト・ソルジャー』のジャッキー・チェンが演じた名も無き兵士同様に‘ヒーロー’としてのたしなみを備えた‘最高に素晴らしい’人物なのであるが、この作品の国内外の意外な低い評価を見るにつけて、やっぱり本物のヒーローは孤独のままで誰にも理解されないのかと痛感してがっかりしてしまった。もうそろそろこのような‘冴えない男たち’を理解してあげてもいい頃合だと個人的には思うのであるが、確かに見分けることは難しい。


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今頃になって見つかる“傑作”?

2010-11-30 00:01:45 | 美術

ピカソ未公開作、大量発見 仏、総額66億円超(共同通信) - goo ニュース

 これは間違いなく“事件”だと思う。見つかった作品は1900年から1932年に

かけて制作された作品ということなのだが、これはピカソの“青の時代”から

“シュルレアリスムの時代”までをカヴァーしているということだから、ピカソの全盛

時代の作品が大量に発見されたということになる。晩年の作品であるならばピカソ

といえでも筆力が落ちていたからそれほど期待もしないが、全盛時代の作品と

なれば新たな傑作も存在する可能性は大いにある。かなり研究されているはずの

巨匠ピカソの作品でさえも存在すら知られていなかったものがあるということに

驚かされる。フランス南東部で発見されたという事しか今現在分かっていないが、

一体どのような場所でどのような状態で保管されていたのか興味は尽きない。


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