原題:『La sociedad de la nieve』 英題:『Society of the Snow』
監督:J・A・バヨナ
脚本:J・A・バヨナ/ベルナ・ビラプラーナ/ハイメ・マルケス=オレアラガ/ニコラス・カサリエゴ
撮影:ペドロ・ルケ・ブリオッツォ
出演:エンゾ・ボグリンシグ/アグスティン・パルデッラ/マティアス・レカルト/エステバン・ビリャルディ/ディエゴ・ベゲッツィ
2023年/スペイン・アメリカ・ウルグアイ・チリ
極限状況下での人食について
日本においても例えば大岡昇平の小説『野火』(1951年)などもあるが、本作と状況が類似している点においては武田泰淳が「ひかりごけ」(1954年)という短篇小説のモチーフにした、1943年に起きた「ひかりごけ事件」が挙げられるだろう。
「ひかりごけ事件」で唯一生き残った船長もその後は苦しむことになるのだから、1972年に搭乗していた飛行機が雪山に墜落(ウルグアイ空軍機571便遭難事故)して生き残った29人のカトリック教信者だったウルグアイの若いラグビー選手たちの食人に対する葛藤は『コンクリート・ユートピア』(オム・テファ監督 2023年)で生き残ったキリスト教信者たち同様想像に難くない。
この遭難事故は過去に何度も映像化されているのだが、本作の原作は1974年に出版されたイギリスの作家のピエス・ポール・リードの『生存者』でも2006年に出版された生還者の一人であるナンド・パラードとヴィンス・ラウス共著の『アンデスの奇跡』でもなく、2009年に出版されたウルグアイのジャーナリストのパブロ・ビエルチの『La sociedad de la nieve』である。原作の違いでストーリーが大きく変わるとは思えないけれど他の作品は未見で比較考察はできない。
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