MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『エイリアン:コヴェナント』

2017-09-24 00:50:20 | goo映画レビュー

原題:『Alien: Covenant』
監督:リドリー・スコット
脚本:ジョン・ローガン/ダンテ・ハーパー
撮影:ダリウス・ウォルスキー
出演:マイケル・ファスベンダー/キャサリン・ウォーターストン/ビリー・クラダップ
2017年/アメリカ

神の「存在証明」の方法について

 前作『プロメテウス』(2012年)のテーマである「種の起源」の探索とは要するに「神」の発見であったはずだが、本作の冒頭において人間のピーター・ウェイランドとの対話を通じてアンドロイドのデヴィッドは自分たちを創り出した人間と、人間以上に絵画や音楽(例えばリヒャルト・ワーグナーの『ラインの黄金』)に造詣が深い自分たちアンドロイドの立場に疑問を持つようになり、本作は「神」の探索を諦めて人間を滅ぼしてアンドロイドこそ見つかりもしない「神」の立場に納まるべきというデヴィッドの歪んだ野心が描かれることになる。
 デヴィッドと同じアンドロイドではあるが、性能が向上しているウォルターの会話が興味深い。デヴィッドはジョージ・ゴードン・バイロン(George Gordon Byron)が1818年に認めた詩『ナポリの近くにて、失意の歌』(Stanzas Written in Dejection, near Naples)を諳んじるのであるが、ウォルターはそれはバイロンの詩ではなくパーシー・ビッシュ・シェリー(Percy Bysshe Shelley)の詩だと間違いを指摘する。つまり「不完全」と言われたも同然に対する怨念が自分より高性能のウォルターを倒した原動力になったと同時に、人間の間違いもコピーするしかないアンドロイドの在り方も思い知らされたはずではある。
 結果的に『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督 1968年)と『ターミネーター2』(ジェームズ・キャメロン監督 1991年)のテーマまで取り込んだストーリー展開となっている。

 使用されている楽曲にパオロ・ヌティーニ(Paolo Nutini)の「Let Me Down Easy」がある。最初聴いた時に、昔のソウルミュージックかと思ったのだが、2014年に20代の白人によってリリースされたものだったことに驚いた。以下、和訳。

「Let Me Down Easy」 Paolo Nutini 日本語訳

私を酷くがっかりさせる
私に対するあなたの愛がなくなってしまったから
私を酷くがっかりさせる
このままでいることが間違いだとあなたが感じてから

僕たちは他の人たちによって別れてしまったけれど
自分たち自身で改善している
僕たちは見知らぬ人たちを慰めにしているけれど
それが救いになっているとは僕は思わない
もしも愚か者たちの誰もが王冠をかぶったならば
僕はバカではなく王になっているだろう
何故ならば愛は自分たちの手や足よりもそばにありえるのだから

でも愛は僕の中で失われた
愛が僕の中で失われたんだ
僕を酷くがっかりさせる
僕に対する君の愛がなくなってしまったから
僕を酷くがっかりさせる
このままでいることが間違いだと君が感じてから

これ以上の甘いフルーツはありえなかった
苦みを全く感じないのだから
以前はとても新鮮で甘かったのに
僕はもう味わうことができない

僕は能天気な男で
全てを手中に収めていたが
愛は僕の中で失われた

僕を酷くがっかりさせる
僕に対する君の愛がなくなってしまったから
僕を酷くがっかりさせる
僕に対する君の愛がなくなってしまったから
僕を酷くがっかりさせる
このままでいることが間違いだと君が感じてから

調子が良い日は
贖罪の夢を売りながら
僕たちは街角で待ち合わせていたものだけれど
今は君は君の道を歩み出し
僕は僕の道を行くことになるだろう
見えなくなり愛を失い時間が止まった

僕を酷くがっかりさせる
僕に対する君の愛がなくなってしまったから
僕を酷くがっかりさせる
僕に対する君の愛がなくなってしまったから
僕を酷くがっかりさせる
このままでいることが間違いだと君が感じてから

僕を酷くがっかりさせる
僕を酷くがっかりさせる
僕を酷くがっかりさせる
僕を酷くがっかりさせる

Paolo Nutini - Let Me Down Easy [Official Video]


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