MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レッド・ムーン』

2017-09-25 00:23:49 | goo映画レビュー

原題:『The Stalking Moon』
監督:ロバート・マリガン
脚本:T・V・オルセン/ウェンデル・メイズ/アルヴィン・サージェント
撮影:チャールズ・ラング
出演:グレゴリー・ペック/エヴァ・マリー・セイント/ノーランド・クレイ/ロバート・フォスター
1968年/アメリカ

ホラー映画の元祖となった西部劇について

 本作の本来の観賞の仕方として、主人公の退役軍人のサム・バーナーが、10年前にネィティヴアメリカンに囚われていた白人女性のサラ・カーヴァーと彼女とネィティヴアメリカンとの間に産まれた息子を見つけ出し保護したのをきっかけに、その息子の父親である族長のサルバが彼らの後を追いかけてきて、彼らの滞在先を次々と襲撃して全滅させ、クライマックスにおける対決までその様相は白人のサムとネィティヴアメリカンのサルバの、人種を賭けた息子の親権を巡る命がけの戦いと映るはずである。
 しかしロバート・マリガン監督の演出は子供に対するお互いの父親の情を描くことはしない。寧ろ原題に「ストーキング(stalking)」とあるように、サルバは最後の方までほとんどその姿を見せず、サムはどのような人物に追われているのか全く見当がつかず、ただサルバに襲撃された場所がどこも壊滅状態だということだけを噂で聞くのである。つまりこれは親子の情を描いたというよりも、サムに3発の銃弾を受けてもなお向かってくるサルバを見ても、後にトビ―・フーパー監督が撮った『悪魔のいけにえ(The Texas Chain Saw Massacre)』(1974年)の先駆となるようなホラー映画と捉えるべきであろう。


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