原題:『Spider-Man: Into the Spider-Verse』
監督:ボブ・ペルシケッティ/ピーター・ラムジー/ロドニー・ロスマン
脚本:フィル・ロード/ロドニー・ロスマン
出演:シャメイク・ムーア/ジェイク・ジョンソン/ヘイリー・スタインフェルド/マハーシャラ・アリ
2018年/アメリカ
モダンアートとしてのスパイダーマンについて
本作を観てつくづく思うのはストーリー以上に作画の斬新さである。例えば、『アリータ: バトル・エンジェル』(ロバート・ロドリゲス監督 2019年)が実写にアニメーションを近づけようという試みだったとするならば、本作はリアルを限りなくアニメーションに近づけようという試みにさえ見える。
さらにメインのスパイダーマンの他に異次元から「ピーター・パーカー(ピーターB)」「スパイダーグウェン」「スパイダーマン・ノワール」「ペニー・パーカー」「スパイダー・ハム」が現れるのだが、それぞれのキャラクターの描写が違うのである。ラストにおいては当初(1967年)の頃のスパイダーマンが2人現れ、指を指すなと言い争っているシーンを挿入してスパイダーマンのタッチの「進化」を見せ、タッチが違うキャラクターたちがメインのスパイダーマンの世界の中で縦横無尽に躍動する光景を見た時、これでは『未来のミライ』(細田守監督 2018年)が賞レースで適うはずもなく、何故このような作品が日本で生まれなかったのだろうと内心忸怩たる思いを抱いた。